株式会社横山工藝 代表取締役 横山 国男 の日記 | 経営者会報 (社長ブログ)
「プリント道」45年余。新たな自身の夢と後継者への手紙-(株)横山工藝社長 横山国男のブログ
川奈ホテル&ゴルフコース
連休を利用して、かねてから「行ってみたい」との友人夫婦2組と川奈ホテルへ。
毎年米国のゴルフ誌が選ぶ「世界ベスト100コース」の50位前後を常にキープ
しているゴルファー憧れの名コースです。(他には廣野、鳴尾の両コースくらい)。
大島コース(1928開場)富士コース(1937開場)の36ホールで、今年は「大島
コース開場80周年記念」ということで、格安のパックが用意された幸運をキャッチ。
ホテル開業は1936年ですから、ゴルフコースが先にできたわけですが、アリソン
が設計した富士コースは、9年後、ホテルとほぼ同時期に完成したことになります。
創設者大倉喜八郎(男爵)は、大倉財閥の設立者としても、政商としても有名です
が、川奈ホテルの他に、帝国ホテル、ホテルオークラ、大成建設、富士銀行など
名の知れたところでも20数社の設立または設立に関与し、建築関係でも鹿鳴館、
帝国劇場、大倉山ジャンプ競技場など枚挙にいとまがありません。
ただ、喜八郎は1928年4月、大島コースの開場を目前にして90歳で亡くなりまし
たから、さぞ残念だったでしょう。あとは兄の喜七郎が継ぐことになります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大島の方は初めて回りましたが、聞きしに勝る難コース。経営が西武グループに
移ってカートを導入したので、今は我々熟年組でも苦にせずプレー出来ますが、
高低差30~50mもあろうかという打ち上げ、打ち下ろしもあり、当時はゴルフと
山登りを同時に味わうことになったのでは、と昔の人の健脚ぶりが偲ばれます。
夕食のあと、支配人と思しき方と「ゴルフ談議」を楽しみましたが、「30年前の若い
頃でも、夏の大島コースのキャディは本当に大変でした。14番Hに“見返り坂”と
愛称がつけられていますが、やれやれやっと14番まできたか、とお客様もキャディ
も見返りましたことから、その名がつけられたと聞いております」。(談)
当時は重機(ブルドーザー)もなく、設計家大谷光明指揮のもと、ほとんどモッコと
荷車くらいで手作りみたいなものでしょうから、山を崩すなどということはどだい無
理だったでしょう。近代ゴルフコースの設計理念では、ピンがティから見えるホール
が18Hのうち少なくとも12~14H、ハザード(バンカー、池)の位置が視認でき、
極端な打ち上げ、打ち下ろしが無いというのが定理でしょうから、そういう観点から
は全く外れています。しかし黎明期の日本のゴルフコースとして、今なおほぼ原型
を維持しているのは日本のゴルフ史上貴重な文化遺産コースだと思われます。
富士コースは本当に素晴らしいものです。相模灘と霊峰富士をのぞむロケーション
にも感動しますが、火山灰地と思われる表土に、こんなに美しい高麗芝のコースが
維持管理され、その設計の巧みさとともにおそらく「東洋一」と評されるのには、
誰も異論がないでしょう。大袈裟でなくゴルファーならここでプレーできる幸せを感じ
ると思います。 同行した友人たちも帰りの新幹線でも感激冷めやらぬといった
風情、あれこれの話題でスコアのことなどは二の次でした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
川奈ホテルのロビーは、建築当初の面影をそのまま残しているようで、その重厚な
和洋混淆の造りは素晴らしいものですが、ソファーや日本画の大作の傷みもあり、
機能面からもいずれは手を入れることになるでしょう。
また、ゴルフコースのスタートハウスへ通ずる中庭に面した南欧風の「回廊」は、
8c角ほどの木口を見せたウッドブロックが敷き詰められていて、長く続く白い
アーチとマッチして本当に美しく、建築家のどなたかも激賞していましたが、多く
の名選手がここを通って、と思うと自然と今からのプレーへの高揚感みたいな
ものを、帰りには美しいグリーンでのあの難しいパットを思い出し、ウッドブロック
の優しい感触を足裏に感じながら、再び川奈に来れた喜びを感じます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
70年前、大倉喜七郎が出身地である新潟県妙高高原に作った「赤倉観光ホテル」
はスキーのメッカとして有名ですが、バブル崩壊でやはりここも経営が変わりました。
昨年9月に訪れたこの「ノスタルジックホテル」、井上誠一設計のゴルフコースも
健在です。シミ一つない純白の本麻のテーブルクロスにナフキン、丁重であっても
慇懃ではない、微笑みを絶やさないプロフエッショナルなウエイターがサーブする
レストランは「超」をつけてもよいと思うほど。静謐さを保った上質のホテルとして
川奈ホテルとともに「古き良き時代」を彷彿させてくれます。
しかし文字通り日本の近代化、西欧文化への憧れを体現したとも言えるこのよう
なホテルも、バブルに翻弄され、ノスタルジーだけで生き残っていくのは容易では
ない時代になったような気がします。
今日は、「日本ゴルフコース設計者協会」の協力会員としての、ウンチクを語って
しまいました。
横山国男
【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
毎年米国のゴルフ誌が選ぶ「世界ベスト100コース」の50位前後を常にキープ
しているゴルファー憧れの名コースです。(他には廣野、鳴尾の両コースくらい)。
大島コース(1928開場)富士コース(1937開場)の36ホールで、今年は「大島
コース開場80周年記念」ということで、格安のパックが用意された幸運をキャッチ。
ホテル開業は1936年ですから、ゴルフコースが先にできたわけですが、アリソン
が設計した富士コースは、9年後、ホテルとほぼ同時期に完成したことになります。
創設者大倉喜八郎(男爵)は、大倉財閥の設立者としても、政商としても有名です
が、川奈ホテルの他に、帝国ホテル、ホテルオークラ、大成建設、富士銀行など
名の知れたところでも20数社の設立または設立に関与し、建築関係でも鹿鳴館、
帝国劇場、大倉山ジャンプ競技場など枚挙にいとまがありません。
ただ、喜八郎は1928年4月、大島コースの開場を目前にして90歳で亡くなりまし
たから、さぞ残念だったでしょう。あとは兄の喜七郎が継ぐことになります。
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大島の方は初めて回りましたが、聞きしに勝る難コース。経営が西武グループに
移ってカートを導入したので、今は我々熟年組でも苦にせずプレー出来ますが、
高低差30~50mもあろうかという打ち上げ、打ち下ろしもあり、当時はゴルフと
山登りを同時に味わうことになったのでは、と昔の人の健脚ぶりが偲ばれます。
夕食のあと、支配人と思しき方と「ゴルフ談議」を楽しみましたが、「30年前の若い
頃でも、夏の大島コースのキャディは本当に大変でした。14番Hに“見返り坂”と
愛称がつけられていますが、やれやれやっと14番まできたか、とお客様もキャディ
も見返りましたことから、その名がつけられたと聞いております」。(談)
当時は重機(ブルドーザー)もなく、設計家大谷光明指揮のもと、ほとんどモッコと
荷車くらいで手作りみたいなものでしょうから、山を崩すなどということはどだい無
理だったでしょう。近代ゴルフコースの設計理念では、ピンがティから見えるホール
が18Hのうち少なくとも12~14H、ハザード(バンカー、池)の位置が視認でき、
極端な打ち上げ、打ち下ろしが無いというのが定理でしょうから、そういう観点から
は全く外れています。しかし黎明期の日本のゴルフコースとして、今なおほぼ原型
を維持しているのは日本のゴルフ史上貴重な文化遺産コースだと思われます。
富士コースは本当に素晴らしいものです。相模灘と霊峰富士をのぞむロケーション
にも感動しますが、火山灰地と思われる表土に、こんなに美しい高麗芝のコースが
維持管理され、その設計の巧みさとともにおそらく「東洋一」と評されるのには、
誰も異論がないでしょう。大袈裟でなくゴルファーならここでプレーできる幸せを感じ
ると思います。 同行した友人たちも帰りの新幹線でも感激冷めやらぬといった
風情、あれこれの話題でスコアのことなどは二の次でした。
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川奈ホテルのロビーは、建築当初の面影をそのまま残しているようで、その重厚な
和洋混淆の造りは素晴らしいものですが、ソファーや日本画の大作の傷みもあり、
機能面からもいずれは手を入れることになるでしょう。
また、ゴルフコースのスタートハウスへ通ずる中庭に面した南欧風の「回廊」は、
8c角ほどの木口を見せたウッドブロックが敷き詰められていて、長く続く白い
アーチとマッチして本当に美しく、建築家のどなたかも激賞していましたが、多く
の名選手がここを通って、と思うと自然と今からのプレーへの高揚感みたいな
ものを、帰りには美しいグリーンでのあの難しいパットを思い出し、ウッドブロック
の優しい感触を足裏に感じながら、再び川奈に来れた喜びを感じます。
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70年前、大倉喜七郎が出身地である新潟県妙高高原に作った「赤倉観光ホテル」
はスキーのメッカとして有名ですが、バブル崩壊でやはりここも経営が変わりました。
昨年9月に訪れたこの「ノスタルジックホテル」、井上誠一設計のゴルフコースも
健在です。シミ一つない純白の本麻のテーブルクロスにナフキン、丁重であっても
慇懃ではない、微笑みを絶やさないプロフエッショナルなウエイターがサーブする
レストランは「超」をつけてもよいと思うほど。静謐さを保った上質のホテルとして
川奈ホテルとともに「古き良き時代」を彷彿させてくれます。
しかし文字通り日本の近代化、西欧文化への憧れを体現したとも言えるこのよう
なホテルも、バブルに翻弄され、ノスタルジーだけで生き残っていくのは容易では
ない時代になったような気がします。
今日は、「日本ゴルフコース設計者協会」の協力会員としての、ウンチクを語って
しまいました。
横山国男
【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
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- この一年は“なんくるないさぁ”で。 [01/01]
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