株式会社横山工藝 代表取締役 横山 国男 の日記 | 経営者会報 (社長ブログ)
「プリント道」45年余。新たな自身の夢と後継者への手紙-(株)横山工藝社長 横山国男のブログ
2007年05月31日(木)更新
みほとけは風のごとく花のごとく・・・禅僧からのお葉書 その一
ここ数日の内、お二人の禅師さまからお葉書をいただいて、なにやかやと
ちょっと粗野な気持ちになりがちだった、最近の自分を見つめ直すいい機会を
いただきました。
この愛らしい手描きのお地蔵様のおはがきを下さったのは松野宗純老師さま。
福井県の武生市(今は越前市)で、10年あまり「地蔵院」という、老師自ら托鉢
などで再興されたお寺(庵と言ってもよい大きさ)のご住職をされておられました。
御本尊はお地蔵様、お堂前には坂村真民先生が贈られた「念ずれば花ひらく」の
石柱があります。
2年ほど前、職を辞され、奥様の待つ横浜へお帰りになられましたが、確か
お年は77歳、今もご執筆や大学での受講、合間には「合唱団」で歌唱を
楽しんでおられるご様子です。
「PHP全国友の会会長」「松下政経塾塾頭」なども歴任され、平易な文章で我々
衆生に「禅」を通じての生き方をご指南され、「和力」などご著書も多い禅師さまです。
しかし何よりご尊敬するのは、米国の大学もご卒業後、メジャーの石油会社の
日本支社 にお入りになり、副社長時代不退転の決意で自ら発議した経営の変革ー
ー社員、全国の ガソリンスタンドのリストラを遂行され、再生の暁には自らもこの
リストラの苦悩の行き場を求めて、金沢の曹洞宗古刹「大乗寺」に、高齢を顧みず
禅の一修行僧をめざして門を叩かれたことです。
このときの決断は最愛の奥様からも賛成は得られなかった、と
以前NHK「新日本紀行」 でも述懐されておられました。
経営の最高責任者を終えても次々とポストを求め、一般社員の生活にはほとんど
関心ないようにも見える大企業の経営者も時にはおられるようですが、
松野先生ような経営者もおられたのです。
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2年ほどでしたが、主宰された「人間塾」でご指導をいただきました。
求めていた私の「心の師(メンター)」として、「仏縁」とはありがたいものだ、
と思わずにはいられません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お葉書には「私も人生最後の”林住期”を今歩いています」とあり、数年前大病を
された奥様がゴルフを楽しまれるほど恢復されたこと、私が作って差し上げた
お地蔵様のTシャツを「今年も着ていますよ」とお元気な近況が書かれてあり、
会社や私ども夫婦を気遣ってくださるお便りでした。
もう一枚は私に「金子みすず」を教えてくださった金剛院の諏訪普現師さまからの
おはがきです。次回に。
横山国男
【オーダーよさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
【染型工房 横山工藝】
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2007年05月29日(火)更新
彫刻入門
このところ新年度の県立美術館の社会人講座「彫刻ー基礎講座」に毎週
土曜日通っております。
若い人もいますが、中高年の方が多く、男女は半々、私が一番高齢のよう
です。「洋画」「日本画」どの講座もそんな感じで、「学び」好き日本人、特に
元気な初老の人たちが多いことを実感します。
4月から6月まで10回、延べ40時間ほどですが、もうすでに旅行で2回ほど
休んでしまいましたので、私より先生(芸大出の学校にお勤めの女性の講師)
のほうが私が挫折するのではと心配そうで、なにかと助言をしてくださいます。
・・・・・・・・・・・・・・・
春になるとなにかやってみたくなるものです。水彩画が好きで、昨年は敬愛
する玉村豊男さんの一日教室に入れたので、軽井沢くんだりまで5時間も
車を運転して今や超人気スポット「ヴィラデスト」農園のアトリエで、玉村さん
の手元もじっくり見せていただけたのは感激でした。
その時の私の「植物細密画」(ボタニカルアート)は憧れの「玉さん」に会えた
ことで満足したせいでしょうか、どうにも冴えない出来で終わりました。
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「彫刻基礎講座」はモデルさんを中央に3~4回までは鉛筆かコンテでデッサ
ン、人物の頭部や首、それを支える肩それぞれが球体や円筒、躯体などで
構成されているという「立体」をつかむ勉強。
小さくても鼻や口、眼窩、髪の毛などもおろそかにはできません。
最初はどうしても「似顔絵」のような平面になってしまい、苦労します。
うまく描けなくてもとりあえず次へ進まなくては。
講座は午後からですが、先週末は遅れているので、朝の10時ごろから誰も
いない教室で前の週作っておいた細木を棕櫚縄で巻いた支柱となる「芯棒」
に粘土付けを見よう見まねでやりました。
子供の頃の「泥遊び」を思い出す粘土の感触はなかなかいいものですが、
その内このままいくと「若い女性の頭像」はずいぶんデカいものになるぞ、と
不安が。
大きくて”稚拙”な「女性像」はイタダケマセン。せめて大きさぐらいは抵抗の
ないものにしないと、と考えているところへ先生が見えました。
「そうですね、やはり芯木を切った方がいいでしょう」ということで粘土を一度
全部とることに。「こりやますます他の人より遅れるな」とあせります。
「横山さん、石や木彫は削り取ったらおしまいですが、粘土はどんどんつけ
て、どんどん削ってみて。しっかり面でとらえてみて。ちょっといいですか」と
木片で作ったヘラのようなものでグイグイと削ったり、盛り上げたりすると
途端に「うーん、さすが」と思わせるプロの所業。
で、先週の終りの時点がこれです。
自分で言うのもなんですが、初めてにしてはなかなかイイ線いってるんじゃ
ないかと。
ロダンやザッキン、平櫛田中とはいかぬまでも、もし彫刻家を志していたら
・・・などとアホな夢想が許されるのが「素人ゲージツ家気取り」に許される
特権なのです。
悪い予感がします。この像を撫でまわしているうち、最後はなんともつまらぬ
見る人になんの感興もおこさせない「白い塊」に仕上がるのではないか、と。
最終の2回は「石膏取り」をして美術館での作品展もあるようなので、今から
”気合の入った”友人・知人への案内状のデザインまで考えている今日この
頃です。
横山国男
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2007年05月24日(木)更新
一問百答・・身ぐるみはがされる恐怖
<質問>
(明治大学商学部 今村隼さん)
中小企業を経営するお立場のみなさまに質問です。大企業にいたのでは絶対にできない経験、
身につかない能力というものがありましたら、教えてください。
大企業のサラリーマンの経験も少しありますが、小企業の社長にとって何が一番
サラリーマンと違うかというと、「会社と運命共同体であることを24時間強く意識して
いる」ことでしょうか。
社員や家族への責任感もありますが、特に今日のような経営環境では経営を続け
ていく、会社を存続させていくということはなかなか大変なプレッシャーです。
ダメということになったら、ほとんどの場合すべてを失うことになります。
(社長は第一の”連帯保証人”ですから)
○ これは大企業にいたのでは”絶対にできないスリリングな経験”でしょう。
誤解をおそれずに言うと私は「事業とか会社を命がけでやってはいけない」と思って
います。
社員や愛する家族、なにより自分の一度しかない人生に大きな犠牲を強いるほど
「価値」のあるものでしょうか。
まして倒産が原因の経営者の自殺などは本当に無くならないものか、と強く思い
ます。
・・・とは言うもののそういう状況に否応なく追い込まれることもあるのが中小企業、
同情を禁じ得ませんが、なんとか必死でそういうことにならないように頑張るわけ
です。
○ その結果”身につくこと、能力”がいくつかありますが、長くなりますので私が
大事だと思っていることの一つ、
「会社は赤字では潰れない、キャッシュフローが止まったとき潰れる」です。
人間でいうと「血液」の流れが止まるということでしょうか。もっとも何年も実質赤字
続きではキャッシュフローもへったくれもありませんが。
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今村さんへ
今回のご質問を頂いたとき、私の頭の中にはむしろ反対の「大企業にいたので
経験できたこと、身についたこと」が浮かんだのです。
私が独立開業した最初の顧客は当地の「上場企業」だったのですが、人を介して
取引のお願い(発注)に訪問したとき、「事業計画書」(設備、人員の将来計画、
資金調達、技術のPR,取引先のメリットなど)を持参したことです。
このような文書は商社勤務時代にさんざん書かされ、ビジネス文書や稟議書、
与信管理そのほか大企業での決済の仕組みを知っていたからです。
コトはスムースに運びました。
もうひとつ「総務・経理」もしばらくさせてもらいましたが、中でも「約束手形」に
ついてその利便性からくる「危険性」について多くのことを学びました。
そのことが30年間支払いに手形を使わず、また1枚も「不渡り手形」を経験せずに
来れたことにつながっていると思います。(銀行の担当者は一様に驚かれます)
その時代、私は将来起業することになるとは考えていなかったと思いますが、
今村さんにもしそのようなご計画があるのなら、大企業でのご経験は人脈や交友、
人間観も含め、大変役に立つケースもあるということを私の経験から申し添えます。
ご健闘をお祈りします。
横山国男
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2007年05月23日(水)更新
リボン図書館
???「リボン図書館」?。リボンに関する書籍が集められた図書館でも、
リボンで作った本がある図書館でもありません。
この5月の半ば、パリ2区・ビクトワール広場、有力メゾンのブティックや、
ギャラリーの集まる一等地に、当社の有力な顧客であるS繊維工業さんが
ショールームを出されたのです。
「図書館」とはプリントリボン、ニットテープ、チロリアンテープ、パイピング、
コード、トリミングテープ、オリジナルスエード調人工皮革などなど私も
知らないないものもありますが、およそ3万4千点をまるで図書館の書架の
ように配列、展示した様を取材した業界紙の記者が「リボン図書館」と
名づけたようです。(繊研新聞5月12日・パリ松井通信員の記事から)
S繊維工業さんは、福井というより日本を代表する「服飾副資材メーカー」
さんです。最近は人工血管など医療分野へも進出されていますが、なんと
いってもアパレル(スポーツも含め)、ファッションになくてはならない
細幅織物、リボン、テープ、ユニフォームなどの袖や裾に使われるフライス
生地などの特殊品メーカーとして年々業容を拡大されてきました。
当社とのお取引も20年になりますが、ラッピングリボンやテープなどへの
「シルクスクリーンプリント製版」をさせていただいております。
クリスマスの金・銀の入ったリボン、オーガンジーなどの薄い生地のリボン、
婦人靴の水玉のリボンなど夢のような美しいプリントリボンは「包装の簡素
化」という逆風もあるのですが、決してなくならないものの一つでしょうし、
フアッションに使用される副資材のレベルは今や世界でも日本がリードし
ているのではないでしょうか。
S社長とはゴルフもご一緒したことがありますが、先日小松空港からの
帰り、お寿司屋さんでばったりお会いし、「ぶんか」という福井県の文化
広報誌でS社長さんが「歌舞伎が大好き」という巻頭コラムを書かれて
いたことをお話しているうち、私が「能楽好き」だということもわかって
大いに盛り上がりました。「いやー、知らなかったなあ。でも能はよう分らん。
歌舞伎がやっぱりいいわ」。
しかし「日本の芸能・伝統文化を大切に守り、その美と心を企業経営に
活かす」という点では完全一致でした。
きっとパリでの「オープニングパーティー」ではそのあたりのイベントも組み
込んだものだったに違いありません。
〈マイリボン〉
家内が趣味のパン・ケーキをラッピングする為に作りました。我が家の
白ネコ「コージー」もモチーフに。
“マイリボン”をお作りになりたい方はご相談ください。
横山国男
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2007年05月22日(火)更新
観客は私たち夫婦だけ・・・名画座さん、応援します
日曜日の夜、久しぶりに福井の名画座「M劇場」へ家内と映画を観にいきました。
上映開始のブザーが鳴っても、驚いたことにお客は私たち夫婦の二人だけ。
売店で買った(初老のオジサンが窓口もモギリも売店もお一人で三役です)
飲み物とポップコンを気兼ねなくガサガサやれるのはいいのですが、「これじゃ
経費も出ないな」と申し訳ない気持ちになるのは、歳のせいでしょうか、それとも
経営者のはしくれだからでしょうか。 (夫婦割引で一人千円)
この映画館は私の子供のころからあり、古いですが清潔で福井の映画フアンに
とっても思い入れの強いところ。ずっと洋画を主に上映し、途中から非商業的な
作品も紹介してくれているいわば福井映画狂の”家”みたいなもの。
(頭の中を”ニューシネマパラダイス”のテーマ曲が何度も流れます)
観客が10人以下というのは時々ありますが、二人だけというのは初めてです。
もしホラー映画だったりしたら、横に座っている家内はトイレへ一人では行けな
いでしょう。
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肝心の映画は「クリムト」。あの画家のグスタフ・クリムトの映画ですが、これが
また難解というか芸術的というか日中のゴルフの疲れもあってときどき居眠りし
てしまいました。
ただ主演しているジョン・マルコビッチ(日本の名脇役 今福将雄さんにそっくり)
は、はじめて名前と顔が一致、ハリウッドのギャング映画などでも渋い演技で
昔から気になっていた性格俳優ですが、やはりただものではありません。
新聞に20世紀初頭のヨーロッパ画壇の異色の画家二人の映画作品上映、と
あったので観にいったのですが、次回は「モディリアーニ」。
主演はあの「ゴッドファーザーPARTⅢ」でも印象的だったアンデイ・ガルシア。
哀愁ある眼と黒い髪のあまり長身でないハンサム、秘めた情熱と静謐を同時に
感じさせて好きな俳優です。
予告編が上映されましたが、さすがと思ったのは妻のジャンヌ役のエルザ・
ジルベルスタインという女優さん、時々「ハッ」とするほどあの眼球のない「絵」
にとても似た表情をするのです。
モディリアーニの死の翌々日、お腹に新しい命を宿したまま投身自殺を図る
というショッキングな人生を送った妻のジャンヌ・・・。ピカソなども登場して
当時のパリのデカダンが映像化されるようですからぜひ観たいと思います。
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画家をテーマにした映画は結構ありますね。
古くはジェラール・フイリップの「モンパルナスの灯」、カーク・ダグラスが熱演
して確かアカデミー賞に輝いた「炎の人ゴッホ」、画家とその周辺の人物を
描いて見応えのあった「美しき諍い女(いさかいめ)」等など。
映画は素晴らしい。そういえばカンヌ映画祭で北野武監督の短編「素晴らしき
休日」も話題になっているようですね。
これも田舎の映画館での二人の男(農業の男と映写技師)の話とか。
そういえば「M劇場」の一人三役の方、「映写技師」も兼ねていたかもしれま
せん。
さらに帰り際、「私、映画に出ております、ぜひ観てください」とチラシをいた
だいたのです。
戸田博監督「十二月の空」での易者役、「春の公園」でのホームレス役だ
そうで、キャストを見ると主役じゃないですか。(ニューヨークのインデペンデント
系シネマフエスティバルに2作品ともノミネートされているそうです)
シネマなんとかで「福井をロケの舞台に」という活動もされているそうで、実は
マルチ人間、すごい人だったのです。
こういう人に今の地方の映画館や名画座は支えられているのですね。
戦後から続く映画愛好団体「福井映画サークル」の存続がピンチになって
いるとも新聞で読みました。
今年当社の「よさこい衣装」のご注文には、「あの、”さくらん”って映画ありま
すよね、あのサイケ調の着物云々・・」とおっしゃるお客様が結構いらっしゃい
ます。
映画「さくらん」もM劇場で近日上映、仕事の参考にもなるのでぜひ観にいく
つもりです。
そのとき”サークル存続”へのカンパもさせていただきます。
横山国男
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2007年05月19日(土)更新
”明大生との一門百答”に答えてみます
〈質問〉
私は大学に入る前に、正社員として3年間働いていました。
経営者として、私のようなイレギュラーな人材を「新卒」として採用
したい、と思われますか。
(明治大学商学部 和田亜梨沙さん)
「私のようなイレギュラーな人材」を「新卒」として、という部分が気に
なります。
ひとつは大学に入る前に3年間働いたことがなぜイレギュラーなのか、
ということです。私にはこの方がレギュラーではないかとさえ思えます。
3年間の社会人経験が和田さんに明大を選ばせ、明確な目的を持って
大学に通われたのではありませんか?
二つ目は大学全入時代となっている今日、何のために「大学」へいくのか、
という意義や目的が希薄になっているように思われることです。
目的意識のない、また「切磋琢磨」などとは無縁のまま卒業してくる
若者たちを「新卒」というラベルだけで採用する企業・・・不可解です。
企業が相変わらず「新卒」にこだわることが、就職氷河期に沈んだ
幾多の優秀な人材をスポイルし、多くのフリーターやアルバイターを
生み出したたことと無縁には思えないのです。
大げさにいえばこの少子高齢化時代に国家的な損失だったのでは
ないでしょうか。
OJTなどというとカッコいいですが、その中身は業務の習得というより、
大半は社会へ出る前に本来習得しておくべき「躾」や「他人への尊重」
などからはじめなければならないのが現状ではないか、と想像している
のですが。
企業にとって大変なコストであり、そうまでしても3年後には3割の人が
転職してしまう時代なのです。
結論・・私が採用する立場なら和田さんのような人材こそ欲しいと思います。
横山国男
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2007年05月17日(木)更新
「山道」「間道」「綾錦」・・・伝統織物の今
先週末山登りやハイキングに行ったのではありません。京都の着物問屋さんを
見学しました。(タイトルは絹織物の織り方というか名前です)
「いつ頃からの御商売ですか」「応仁の乱のころには店があったように聞いており
ますが」と著名な問屋の専務さん。この中庭の土もそのころから変わらないのか、
と思うとちょっと裸足で歩いてみたいような気もしました。
(別室での正倉院”名物裂”などの復元品も見せていただき感激)
能衣装や有職織物の織屋さん、帯や紐、お茶事のお菓子司さんにも”超”のつく
老舗のある京都ですから、特別驚きもしませんが、案内していただいたD百貨店の
呉服担当の方も、「手前共も間もなく創業300年となります」とカルく仰られます。
すごいものがありますが、それにしても近年の「着物」の衰退は目を覆うばかり
です。
昨年も「着物販売に新機軸を取り入れた」商社が倒産、マグニチュード7級の激震
が走り、特に象徴的だったのは室町でも有名な老舗の「問屋」さんにも被害が及ん
だことです。以前なら保守的なこのような「老舗」は取引に応じなかったはず。
京都の着物は独特の分業システムで作られ、その間をつなぐ「悉皆」(しっかい)と
いう業者(制度)が制作全般をコントロールしてきたのですが、糸、織、染め、蒸し、
水洗(水元)、仕上げ、縫いや刺繍などの各工程(工場・工房)の足並みも乱れて
きています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
珍しい織物(着尺地)を見せていただきました。「間道」(かんとう)ですが、織り方に
特別の技巧があり、気の遠くなるような作業の積み重ね、染めの色といい、モダン
な意匠といい「ああこれが間道ですか」と興奮しました。
間道 綾錦(縦糸の見本。尺幅で3千本以上ある。織かけ。)
「山道」というのもありますね? と工房から出張ってこられた方に私が尋ねると
「よくご存じですね、ここにはありませんが」とひとしきり伝統織物の話で盛り上が
り、いろいろなことを教えて頂きました。
建築か絵をやりたかった少年でしたが、工業高校や専門学校で選んだ「染職」の
周辺でその後も仕事をするようになって半世紀、「プリント」はまだ100年 くらいの
歴史しかありませんが、いつも憧れてきた「日本の伝統織物」、この春沖縄では
「芭蕉布」と「紅型」のお店で美しい女店主さんと話に夢中になり、集合時間に
遅れそうになりました。
「日本の伝統織物」 「鐘紡コレクション」
毎年「初詣」に京都の神社へお参りしますが、3年ほど前ですが愕然としました。
八坂神社へ向かう道路は歩道から人が溢れているほどでしたが、この年着物姿の
人を探すのに苦労しました。
「何かが変わった」と思わずにはいられませんでした。
「着物」だけが消えたのではなく、日本人の大切な何かが急速に消えていくような
気がしました。
世界に誇る日本の衣文化の代表「着物」、衰退を嘆くばかりでなく、シナジーネット
代表の坂口昌章さんにならって、私も「男の着物」を愛用するよう心掛けなければ、
と思います。
素晴らしい織物や着物を見せていただいたあとは、南座で「玉三郎」の舞踊劇を
鑑賞。愛らしくも妖艶、美を超越して幽玄・・・・・・。
「美しいもの」が見られた幸せな1日でした。これをして「眼福」というのでしょうか。
感謝!
横山国男
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2007年05月11日(金)更新
【今週のお題】社名の由来について
社名の由来について、後継者にも話したことがないように思いますので、
いい機会なので書いておこうと思います。
30余年前の創業時、個人経営でしたので「横山工芸」と称しておりました。
名づけていただいた方がいらっしゃいます。
尊敬する同業者の社長さんで、三重県亀山の「伊勢型紙」の老舗の社長、
松浦さんです。
福井ご出身の方で大変お世話になりました。当時「シルクスクリーン製版」の
近代的な福井工場を造られ、私もここへ出向して研修をさせてもらいました。
独立にあたり、ご相談し、ゴッドファーザーにもなっていただきました。
「横山工芸というのはどう?」
その数年後若くしてガンで亡くなられた時は本当に落胆しました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10年ほど前、書家の吉川壽一氏に友人のよしみで「書」で社名を
書いてもらったのですが、中でも気に入ったのが「株式会社 横山工藝」
というこのブログのタイトルでも使われている書体です。
実務上は「横山工芸」をその後も使っていて、「横山工藝」はロゴのような
扱いをしていましたが、後継の娘たちが「この方がカッコいい」というので
2年前に登記も変更し、すべてこの表記にしました。
もちろん私も気に入っていますが、パソコンの小さい文字ではクリアーに
見えないようなので今でも「工芸」を使うこともあります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
中国ではすべて「藝」のようですし、劇団「民芸」も最近また「民藝」と表記
するようになって「おっ」と思いました。
ところで社名変更について印象深い話を記憶しています。
CIが盛んだったころ、どなたでも知っている「伊藤忠商事株式会社」もビジ
ネスでは日本語ワープロがなかった時代「カタカナ」を使うことに一時熱心
だった経緯もあってのことでしょうか「イトチュー」とか「シーアイコーポ
レーション」とか経営ボード側から案がでたようですが、若い社員から圧倒的
に「伊藤忠商事」が好き、との反対で変更されなかったと聞きました。
CIブームに連れて一時は社名の変更が流行りましたが、今は「三角合併」
とか「M&A]とかで、大きな企業ではある日突然愛着のある社名が消えて
しまうかも知れない時代になりました。
横山国男
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2007年05月09日(水)更新
ナイスガイ ”ダン” ご苦労さんでした。
昨日8日地元の福井テレビ、夕方の地域情報番組に出演依頼があり、
当社の商品や仕事を紹介できるチャンスに恵まれました。
自分の描いた絵やデザインをTシャツやトートバッグなどに1枚から
プリントできる(写真でもOK,フルカラー)ことをお見せしたのですが、
夏を前にしてなかなかの反響でした。
放送現場のデパートに近い、仲良くしている「タオル専門店」の愛犬、
”ダン”(9歳・オスの黒の毛並みが美しいレトリバー)にも、さりげなく
登場してもらいましたが、Tシャツのモデルにもなってくれた本当に
しつけのよい、人間ではありませんが「ナイスガイ」なのです。
赤ちゃんの時から見ていますが、こんなに素晴らしい犬だったら飼っても
いいなと思い、実際ダンの子が生まれたときにも分けてあげる、といわれ
たのですが、家内が10年ほど前に亡くなったウチの柴犬を見送った際、
「もう他の犬は飼わないからね」と約束したから、と悲しそうに言うので、
今は迷い込んできた「白ネコ」が一匹、ひねもす無防備に寝ています。
ペットは今や2000万匹もいるそうですが、飼い主との素晴らしい関係
を見ることはそうありません。
いつもは自宅にいるので滅多に会うチャンスがありませんが、それでも
覚えていてくれるようで、こちらも「やあ、ダン 久し振りだね」と
自然に挨拶できる「ナイスガイ」なのです。
ダン、PRに一役かってくれてありがとう。
*「視聴者プレゼント」で”制作割引券”を差し上げて喜ばれた「チーム応援
団旗」(バドミントンクラブの作例)
1.2m×1.8m
横山国男
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2007年05月08日(火)更新
福井テレビ(FTV)の情報番組で”モノつくり”PR
今日(8日)の「福井テレビ」夕方の情報番組”おかえりなさい”のコーナーに
「出演してお仕事を紹介しませんか」というお話が連休前にあり、「それは
ありがとうございます、よろしくお願いします」ということになりました。
ということですぐディレクターが見えられ、番組説明と打ち合わせが行われ、
その後送られてきた「進行表」に沿って、登場する娘と「当社のモノつくり、
商品(作品)の紹介、視聴者プレゼントのアイデアなど」を家内も交えて
アレコレ検討しました。
夕刻16:55分から18時近くまでの地方局制作の地域生活情報番組です。
主な視聴者は主婦・学生・子どもたち、自営業者やTVをつけているお店など
のようです。
北国でも連休が過ぎればTシャツのシーズン、ビッグイべント「母の日」を
前に1枚から作れるオンデマンドTシャツ、「よさこい」の衣装もそろそろ
制作しなければ、とお考えの各チーム・・放映直後から電話が鳴りっぱなし
なんてことになれば「創業の日」「●婚記念日」でもあるので嬉しいのですが。
横山国男
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