大きくする 標準 小さくする

2007年01月30日(火)更新

旦那と職人

日本人はそれほどお金持ちでなくても、日常的に「質の高いもの、
丁寧につくられたもの」を身の回りに置く、あるいは身につける
という国民性がつい最近まであったように思います。
「日本人のブランドもの好き」とも関係があるかも知れません。


かっては「目利きの問屋の旦那」が「誇り高いちょっと偏屈な職人」を
気長に見守り、いい仕事をさせるといったシステムも機能していたはず。
とは言うものの、旦那はこれはあのお客さんに、という「買い手」も
チャンと頭に入っていて、したたかな商人(あきんど)ぶりですが、
それでも時には在庫になってしまうものもそれなりにあったでしょう。

昭和43年ごろ、私は絹や麻などの高級な素材を使った婦人服地の手織物、
ジャカード、プリントものなどを扱う小さな問屋を、一緒に商社をやめた
先輩とやっていましたが、あるとき富士吉田市の名門機屋(はたや)であり
問屋さんでもある会社を訪れる機会がありました。


事務所を兼ねた邸宅のバックヤードには、蔵や倉庫がいくつもあり、膨大な
在庫ですが、素晴らしい織物ばかりでした。
中にはデッドストックと思しきものもかなりありましたが、
「旦那(社長)」は鷹揚なものであり、今考えるとこれこそ日本の「問屋」
の「力」、「モノつくり」そのものだったと思います。

今は名の通った「アパレル」でも、「価格」と「納期」だけ指定して、
ほとんどが企画から商社に○投げ、商社もさらに下請けの零細な事務所に
投げて、そこのスタッフが必死で中国と日本の間を飛び回るという構図が
一般的になっているようです。

毎年、「ファッション・服装」を学んで卒業してくる若い人(数万人)も、
今の日本では就職先も少なく、活かされないまま他の仕事に就いていきます。

富士吉田の「問屋」さんは廃業したと聞きましたが、あの鮮やかな服地の
数々は今でも強く印象に残っていて、その後の私のモノつくりやモノを見る
目に少なからず影響を与えたと思っています。


横山国男
http://www.yosakoiya.jp/
http://www.echi-zen-art.co.jp/

2007年01月24日(水)更新

太字の万年筆・・団塊人からの年賀状


東京でいいお仕事をされている広告・デザイン会社経営の
Kさんからの「年賀状」はペン書きで(そのままを印刷されて
いますが)カッコいいものでした。

賀春
「貫禄」が出てきたら始めよう、と思っていたことがあります。
「年相応」に縛られず続けたい、と思っていることもあります。

という「巻頭言?」のあと、12項目が書かれています。

Kさんは還暦目前だそうですが、私は団塊より5~7歳上の年代、
でも「ボクもやってみたい!」「そうそう同感!」という項目も
あって楽しい年賀状でした。そのうちのいくつかをご紹介して
しまいますが、Kさんお許しを。

*は私の独り言です。



1.太字の万年筆で手紙を書くこと。

*いいですねぇ。ホントかっこいいと思います。何かの雑誌で
魯山人のハガキ(絵入り)や文筆家の太字の万年筆で書かれた
手紙などの写真を目にすることがありますが、文字の巧拙は全く
関係なし。なんといっても青インクのやさしさがいいです。
同じ内容でもボールペンには匂い立つものが無いですね。

2.キューバ産の葉巻をくゆらせること。

*小道具の他、長年愛用のアームチェアーも欠かせませんよね。

3.オープンカーで神宮の森をドライブすること。

*これは私には無理。ところで一人でですか?

5.可能な限り、デニムで出社すること。

*可能な限り、というあたりが団塊ですか、それともやはり
経営者としては、ということでしょうか。ジーンズを穿ける
体型を維持したい、というならそれも納得。

6.四季折々に、旧友と痛飲すること。

*お歳も考えて、痛飲は四季折々ぐらいがいいでしょう。
「団塊世代の子弟教育は間違っていなかったか」なんていうのも
痛飲のネタにふさわしい。

9.アンチエイジングは拒否して、グッドエイジングを心がけること。

*映画「小説家を見つけたら」(2001年・71歳)のショーン・コネリー
ですね。颯爽とした自転車乗りのシーンには家内もしびれた、と言って
ました。

10. 年に10回は、海外でゴルフをすること。

*10回というのは10ラウンドのこと?それなら私にも可能かも。
2月にはタイへ行って3日連続、ティーチングプロと若い人に混じって
レッスンも受けてくる予定。これで3回。どこへでもお供しますョ。


12. 髭をはやすことと帽子をかぶることは、あきらめること。

*あきらめないでください。またショーン・コネリーですが、
髭もハンチングもナイスですよ。誰が「007/危機一発」の頃の
コネリー(不細工といってもよい)がこのようなオシャレな
好々爺になると想像したでしょうか。


Kさん、グッドエイジングを!!

今年もよろしくお願いします。


横山国男
http://www.yosakoiya.jp/
http://www.echi-zen-art.co.jp/

2007年01月22日(月)更新

子どもたちと邦楽

この週の日曜日に「福井県立音楽堂」小ホールでの催し
「新春を彩る長唄の世界」を聴きに参りました。

唄、三味線、それに前列下段の笛、太鼓の囃子方が黒紋付で
緋毛氈の上に並んだ華やかなステージは、見た目にも「雛人形」
を思い起こさせる「日本の美」でもあります。

勿論演奏と唄がはじまると、能の地謡が始まった時のような
独特の軽い震えが沸き起こって、モーツアルトもいいですが、
これこそ日本人なればこその感興ではないでしょうか。

杵屋一門のご出演で、特に人間国宝杵屋喜三郎さんのどっしり
したそれでいて85歳とはとても思えない艶のあるのびやかな
お声はあまり長唄を聴く機会のない私にもとても感動的でした。


前半が終わったところで「長唄ワークショップ」と称して
高校生一人、中学生3人(男子はひとり)がステージに上がり、
八代目杵屋弥吉さんの軽妙な司会と指導・解説で「三味線」の
ワークショップがありました。

子どもたちもこの3ヶ月ほど練習したそうですが、三味線の音の
作り方などがとてもよくわかり、子どもたちの演奏も形になって
いて、会場からも「ほおー、すごい」などの声もあがり、大拍手
です。

会場の合唱とともに「さくら」を演奏した後、最後に杵屋弥吉さん
が子どもたちに「ぜひ三味線をつづけてください。バイオリンや
ピアノを習う子どもたちは世界中に沢山いますが、三味線は日本
独特のもの、将来海外へ留学などする機会があれば演奏してあげると
とても喜ばれるんですよ」と話していました。


今年のロータリークラブの新年会は私が担当だったので、従来の
料亭での酒宴はやめて、例会場に小さなステージを設えてもらい、
金屏風を背に「小唄」(花菱流)と「琴」(生田流)のめでたい
曲を聴いていただきました。(会員の夫人や娘さんに友情出演して
頂いたので経費の節減にも役立ったのですが、それより演奏の場を
提供したことをとても喜んでくださったのが意外でした)

会員からは「正月らしくとてもよかった」と結構企画にお褒めを
いただきましたが、子どもたちだけでなく大人も邦楽を楽しむ機会
が少なくなっています。
東宝映画の「社長シリーズ」でもおなじみですが、昔は会社で少し
偉くなると「3ゴ」といって、囲碁・小唄・ゴルフを嗜むべし、と
されていたようですね。

学校でも近年「邦楽」が復活しているようですが、指導者がおられ
るのかよく知りません。
私の中学生時代は「茶道」「華道」「筝曲」などの部がありましたが
今はどうなんでしょうか。

ともあれ、元旦には京都で新春大蔵流狂言「福の神」で茂山千作さん
の「ワアッハッハ」の大音声を頭から浴び、昨日は杵屋喜三郎さんの
長唄と二人の人間国宝の至芸を堪能できたことは幸せでした。


横山国男
http://www.ysoakoiya.jp/
http://www.echi-zen-art.co.jp/


会社概要

http://www.ykougei.jp http://www.yosakoiya.jp

詳細へ

個人プロフィール

「知るは喜び、調べるは楽しみ、分かるは感動、学ぶは一生」とか。高齢者の仲間入りの年齢ですが、仕事でも趣味でもICT時代の恩恵に感謝しています。趣味・・本好き、水彩画、ゴルフ('05までJGA委員、現在中部ゴルフ連盟ジュニア育成委員ほか。エポック・・還暦のアルバトロス、'06...

詳細へ

<<  2007年1月  >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

コメント一覧

最新トラックバック

  • これもクリエイティブな仕事と思えば… from After5のメインストリート
    会社のイベントでポスティングを行うことになり輪転機を使ってオリジナリティーなチラシを作るべくにわか印刷屋になった話印刷といえば、昔は学校の先生がガリガリした原稿にイン ...
  • 昨日はバレンタインデー。悪党:民主党へ「青空」の歌詞を贈ろう from 脳挫傷による見えない障害と闘いながら・・・
    バレンタインデーでしたが、義理チョコで割引きシールを貼られたまま貰ったり。北方領
  • 犬山城 from 青春18切符で行く,日本の「城」巡り29
    oojijisunです,青春18切符で行きます お城巡りを準備中です、参考になります。
  • 【ブログピックアップ】横山工藝 横山国男さん from 経営者会報ブログ編集部
    「ブログピックアップ」では、 経営者のみなさんの書かれたブログの中から、 お薦めのブログをご紹介しています。 今回のお薦めブログは 横山工藝の横山国男さんです。  * ...
  • 「節約の王道」林望・著 | 我が道を行く、気品にあふれた節約本 from 23:30の雑記帳
    節約の王道(日経プレミアシリーズ) 節約本にありがちな、 ある種のみすぼらしさが感じられない、 上品なというか、気品にあふれた本。 筆者のものの考え方が独特なので、 同意できない方も多数いらっしゃると思われる。 例えば、ゴルフ好き、煙草好き、鉄道模型....