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2008年10月31日(金)更新

形見になってしまった赤いセーター

10月最後の日記は悲しいものになってしまいました。
東京の友人Mさんが、つい先日、やはりというか病魔を乗り越えられず亡くなって
しまい、一昨日がお葬式でした。暗澹とはこういうのを言うのでしょうか。

同じ60歳代の友を、しかも私より少し若くて、スキーのインストラクターで、座持ち
の名人、ギターも歌もプロ顔負けだったMさん。
私たちの「佳き仲間の会」は名伯楽を失ってしまいました。

たまたま足のケガでお別れに行けませんでしたが、集まった仲間に見送られて
旅立ったことでしょう。

 私的なことですが、思い出をブログに記しておきたいと思いました。

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Mさんとはアパレル業界の友人を介して知り合いました。そのご縁はその後ドン
ドン広がって「仲間の会」ができ、年に数回、東京周辺や北陸でゴルフや飲み会
をやってきました。

会長を務める私の地元の友人とMさんの人脈や人柄で、中にはアパレル上場企
業の社長さんも数名おられますが、会えば少年に還ったように皆にぎやかに他愛
なく遊びに興じました。

死亡の報を聞いた時、それらの光景は一瞬セピア色となり、Mさんのにぎやかで
ヤンチャな声が耳元でしたように思いました。

今年の春、メンバーの医師S君(同級生。横浜で総合病院を開いています)が
帰郷した際、「Mさん、また入院したらしいね。本人が転移したらしいと言ってる
そうだけど」と聞くと、「よくないな、今年一杯は無理かも」と打ち明けられました。

2回目の手術が成功したので、体力の回復を待って、本人も希望しているから
ということで、この夏、御殿場へみんな集まってゴルフをする計画でしたが、結局
これも実現しませんでした。

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先日、恵比寿のWホテルに泊まったとき、「ああ、そういえばここはMさんの息子
さんの結婚式に来たなあ」、あれは何年前だったかな、などとフッと思いました。

暖かい披露宴で、Mさんの長年の友人である女優の萬田久子さんご夫妻も出席
されておられ、そのあと「佳き仲間の会」の二次会へも顔を出してくれました。
われわれ同様、今は深い悲しみの中におられると思います。

その年の11月、恒例の「北陸シリーズ・かにかも会」のとき、片山津でのゴルフ
はMさんと同組でした。

少しオレンジ味がかった真っ赤なVネックのセーターを着ていたので「その赤いい
なあ、還暦だからくれない?」と言うと「これ、萬田さんのダンナのナントカの記念
品なんですよ。でも還暦祝いならいいか」ということで、終わったあとのお風呂場で
渡してくれたのです。

その後冬のゴルフには愛用のアイテムになりました。
Mさんは巨体だったので少し伸びていますが、この冬、袖を通したらあの時の暖
かいMさんのにおいがするような気がします。

赤いセーター  刺繍のワンポイントはひげのリッキーさん

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Mさんも大好物だった「越前ガニ」は、解禁まであと一週間ほどだったのに。
今年はまだ誰からも連絡はありません。


横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2008年10月29日(水)更新

パレットを洗う。

今年の春から、念願かなって水彩画の教室に月2回通っています。生徒さんは
熟年ばかり12,3名ほどで、女性が少し多いかなという感じです。

先生は金沢美大卒のOさん。 50歳を超えられたくらいでしょうか。
水彩の命である「水」を生き物のように自在に操って、時々私の絵に2~3
筆手を入れてくださるだけで、「ウーム、ナルホド」と感心してしまいます。

何事もプロというのはすごいもんだな、とあらためて思う瞬間です。尊敬とともに
「少しでも近づきたい」、とその手元を食い入るように見つめることになります。

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ここのところ足のケガで休日も家にいるので、今まで描いた10枚ほどの絵を
見直し、自分なりに手直しをしてみました。
よくなったものもあり、描き込みすぎて汚くなったり、悪くなったものもあります。
「過ぎたるは・・・・」ですね。

パレットも一度洗って、絵の具の配列を考えてみました。
同系の濃淡順に、混じり合うと汚くなるものは上段と下段に分けて、色見本も
作ってみました。

この色はあれとこれをこんな感じに混ぜて・・イメージがわきやすくなったように
思います。

パレットとカラーカード

秋も深くなって、数少ない好天でもゴルフにも行けず、こんなことをしているより
他ありませんが、それでも思いがけない発見もあって、カナイが買ってきたバラ
を見て、ちょっと描きたくなりました。


横山国男

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2008年10月27日(月)更新

「ことばを旅する」・・・細川護煕から深まる秋の京都へ

’04年6月~’08年5月まで、週刊文春に毎月一回4年にわたり、中央見開きに
連載された細川護煕(もりひろ)氏の表題のエッセイを、旅の写真とともに楽し
みにしていました。

西行、良寛、漱石、与謝野晶子など、著者が「心に残る名言の生まれたゆかりの
地」を旅する紀行エッセイ集。
気に入ったものは時々スクラップもしていましたが、「テーマのある旅」というのも
なかなかいいですね。

先月単行本化されましたので、あらためて読ませてもらいました。
=「ことばを旅する」(細川護煕著 文藝春秋刊 @1600-)

「ことばを旅する」(文藝春秋@1600-)細川護煕著

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著者は熊本県知事から、第79代内閣総理大臣として、初めて自民党以外の
政権を樹立した立役者。 しかし’93年8月から10か月で退陣せざるを得なく
なったのは、氏の人生観が、権力とカネがものいう政治の世界と根本的に相い
れなかったのではないか、と私は想像しています。
細川首相が続くような国なら、日本はもう少し変わっていたかも知れません。

エッセイ第42回、兼好法師の「緒縁を放下すべき時なり」(徒然草)を地でいく、
還暦を迎えた’98年5月、あっさりと議員を辞職し、陶芸家の道へ。
湯河原に隠棲されているわけですが、第二の人生は創作に、というのは私の
憧れる生き方でもあります。

国会中継などで、かっての最高権力者が口を開けて居眠りしている図は、美しい
ものではありません。「老残」という言葉すら思い浮かびます。(失礼)
ロマンチスト、アーチスト・・・細川さんの「美学」では許せないものでしょう。

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細川さんは1938年1月生まれ、とありますから、今年70歳。
その風貌は、さすが肥後熊本藩主だった細川家の第18代です。
私が魅力的だと思う一つ目は70歳とは思えぬダンディぶり。まだ青年と表現する
のは無理でも、50代にも見えるのです。
「美」を追求している人だけが持つ、独特の若さがあるように見受けられます。

週刊文春 切り抜き。本カバーの裏表紙にも

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二つ目は、繊細で絵画のような素晴らしい文章を書かれること。
以下の文章は、先ほどの兼好法師「徒然草」を、生涯の友というべき書として挙げ、
修学院道(京都)を訪れた紀行文の文末に書かれたものです。
情景が浮かび、しっとりと心に沁みました。

 ・・・ 『横川を経て、兼好籠居を偲び訪れた秋の修学院道の紅葉はちょうど
    見ごろだったが、楓葉を散らす無常の風をまだ苦悩の中にいた兼好も
    感じただろうかと、そんなよしなし事を思いつつ、踏むには惜しい落ち葉
    の上をそっと歩いた。』

みなさまのテーマは「仏像」でしょうか、「季節の京料理」でしょうか。
秋真っ盛りの京都を旅したくなりますね。


横山国男

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2008年10月24日(金)更新

書とは“打つ”こと。

「バァ~ンと打つ!」・・大河ドラマ「武蔵」の題字、タイトルロールでおなじみの
SYO ARTISTを名乗る書家吉川壽一さん(当社顧問)が好んで使うフレーズ
です。

先日、この秋の吉川壽一書展が、東京文京区の「講談社K-スクエア」と新宿
高野ビル「コニカミノルタプラザギャラリー」で開催されたので観に行きました。
この書展は久米さんのメルマガでもご紹介いただきました。ありがとうございます。

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物心ともに絶大な後援者だった、亡き吉田福井新聞社社長は、級友の吉川さん
を「書を床の間芸術から引きずり出した男」と評しました。

フランス、イタリア、中国、中東など、世界各地で「書パフォーマンス」を演じ、
また前衛書の大家として毎日書道の重鎮でもあるのですが、もちろん見事な楷・草・
行書、時には道元の和歌などを書した「かな」の美しさなどには心を奪われます。

あの大きな体をゆすって、時々当社にも現れますが、展覧会間近になると彼の
頭の中はアイデアで一杯、息せきって入ってこようとするので、私が「あっ、靴、
靴脱いで」と言いたくなるほど。岡本太郎を思い浮かべてしまいます。

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今回「講談社」の方は、「漫画タイトルロゴ&ふきだし書の美展」と題して、数多く
のマンガのタイトルを書いてきた経緯から、「ふきだし」をとりあげることに。

小は80c角から大は150c角の15枚の布地に、ふきだしの輪郭をとり、中には
「越前墨流し」の模様をインクジェットでカラー出力したものを当社で用意しました。
この模様の上に「書」した、相変わらずトンだ発想の作品です。

吉川壽一「風雲展」漫画タイトルロゴ&ふきだし書の美展 チラシ  吉川壽一「風雲展」漫画タイトルロゴ&ふきだし書の美展 使用グラフィックアート

その他には、当社で見つけた、「スクリーン印刷技術による視覚の位相」を利用
した3次元フレーム(額縁)に、書を入れた作品も数多く制作しました。

新しいモノを見つけると、子供のように喜々として「SYO」が発想されるようです。

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「無二なる風のSYO・書展」=コニカミノルタプラザ(新宿高野フルーツ4F)

「コニカミノルタ」さんは、数年前から、彼の活動を全面的にバックアップしてくれ
ています。デジタルを駆使する御商売なのですが、究極のアナログ=「書」に
並々ならぬご関心をお持ちのようで、文化支援の意味の他に、技術者の発想に
資すると思われているのかも知れません。

日本のハイテク製品が群を抜いている背景に、このようなバックグラウンドがある
ことを感じます。なにしろ米粒に1000字を書く人がいる国ですから。

さて、「書とは“打つ”こと」の例を。天井まででも足りないデッカイ紙は越前和紙
の第一人者、岩野平三郎さん(本年度伝統文化ポーラ賞受賞)の雲肌麻紙。

大書“心” 宮本武蔵あての手紙・扇面に

そのほか、「剣豪・武蔵」「書聖・王義之」「沙門・空海」「光明皇后」をはじめ、
「ミロ」「ピカソ」にまで、連綿と巻紙や扇面に“手紙”を書くという(!)、その誰も
思いつかない着想と流麗な書に、今回もまたあっと驚かされました。

(講談社会場は26日まで。コニカミノルタプラザ/ギャラリーB&Cは終了)。


横山国男


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2008年10月22日(水)更新

反省猿次郎くん来社・・TV放映から得たもの。

13日と20日、月曜日の夜7時30分から、福井テレビ(FNS系)の制作番組
「福井浪漫 い~ざぁ・ええDay」で、当社を紹介していただきました。

先日ブログにも書きましたが、「猿まわしの太郎さんと反省猿次郎君コンビ」が、
次郎クンのふるさと福井を訪ねる、というストーリーで、いわば「里帰り記念公演」。
10月3日は当社にも来訪し、賑やかでした。

5日日曜日は、満員のTV局のホールで、猿まわしの公演がありましたが、記念に
地元の企業で作ったモノを見せたいとのこと。

次郎クンがステージで使う階段付き跳び箱を永平寺町の家具製造業さんが、
当社は地場産業の合繊織物を加工してコンビの衣装を作ることに。

10月20日(月)19:30放送 福井テレビ(FNS系)制作「福井浪漫 い~ざぁ・ええDay」 10月20日(月)19:30放送 福井テレビ(FNS系)制作「福井浪漫 い~ざぁ・ええDay」

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当社は、主に北陸地区の染工場さん、プリント、シルク印刷業者さんへのシルク
 スクリーン版(型)を30年余り製作してきました。
この10年は、染織や縫製産業が雪崩をうって中国へ移行した時期。お客さんや
同業者さんの中に廃業した所も多く、つらい状況は今なお続いています。

私たちも必死で生き残りの道を模索してきました。その一つがよさこいや太鼓、
音楽グループの少人数のステージ衣装、ユニフォームなどをオーダーで制作
する仕事です。やってみて大変な仕事だとわかりましたが、今では、県外からの
ご注文も少しずつ増えてきました。

産地ですので、素材や加工技術は豊富です。また専務や私が長年テキスタイル
(染織)デザインに力を注いできました。多くの資料やそのノウハウで何ができるか、
何をすべきか夢を語ってきました。

 このような資料や加工手法の知識、人と設備の制作ネットワークが、当社の
「ワンストップビジネス」を可能にしていると思います。
 企画・デザインは当社がやりますが、CADによるパターン制作、豊富な素材の
提案・調達、縫製やプリント等協力工場を含めたあらゆる二次加工など、それも
ほとんど地場周辺で完結できる強みです。

また、了解を得て保存してきた過去の代表的な衣装なども、まだ少ないですが、
新しいヒントやインスピレーションを得るのに役立っていると思います。

このようなモノ作りは、TV局にとっても「絵になる」と思われたようです。
2回の30分番組の中で、かなりの時間、制作過程や作品、現場などをスタッフと
共に放映していただきました。 こちらからお礼を申し上げねばなりません。

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説明役で登場した長女が、私が指示したわけでもないのに、当社のPRは少しに
して、明るく産地全体のPRをしてくれたのをとても嬉しく思いました。
後継修行中の身ですが、私にとってこんなことも今回のイベントでは印象的でした。

専務や私の、どちらかといえば「仕事を遊んだ遺産」を楽しく引き継いで、スタッフ
全員で力を合わせて、これからも日本のモノ作りにがんばって欲しいと思いました。


横山国男

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2008年10月20日(月)更新

石川遼クンに見る「スーパースター」の資質。

土曜日の朝、うっかり階段を3段ほど踏み外し、大したことはないと思っていた
のですが、夕刻になっても右足の指先が腫れて痛いので、近くの懇意の整形医
に行きました。

レントゲンで見ると、薬指、中指に小さな剥離骨折があり、全治一か月とのこと。
アルミ板の副木をあてていただいたので、歩行はなんとかできますが、しばらく
不自由な生活をおくる羽目になりました。

それにしても簡単にバランスを崩すようになったなあ、と年齢を実感させらました。
しかし「いや、いや この程度で済んでよかった」と、分別くさく自分を慰めるのも、
また老いた証しのような気がして抵抗を感じるものです。

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そんなことで日曜日の取引銀行のゴルフコンペは、絶好の天気でしたが、急きょ
欠席させてもらって、午後からTVで「日本オープン」をじっくり観戦。

すでに私には後景となってしまった、まぶしいほどの若さを感じさせてくれるのが、
2位に入った石川遼クン。
17歳ですが、持っているものは天性のゴルフの才能だけではないようです。

ルックス、ファッション、インタビューでの話し方や声質、しぐさや笑顔がいずれも
絵になる現代のメディア向き。 女子では宮里藍さんにも似たものを感じます。

長嶋、王、イチローに次ぐスポーツ界から久し振りの国民的人気を持つスターが
生まれつつある予感がしました。
それは早くもコマーシャルへの露出の多さが証明しています。
石川遼クンへの各社のアプローチは、今後さらに激しさを増すことでしょう。

ゴルフでは、青木、尾崎、中島(AON)、岡本綾子などもスターだったと思います
が、この人たち、たとえば尾崎などのコマーシャルへの登場はきわめて少なか
ったように思います。

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優勝した片山晋呉は独自のスタイルでここまで来た人という感じ。35才で7人目
の永久シードの25勝を挙げたのには並々ならぬものを感じさせます。

ゴルフに対してきわめてストイックで、練習と研究熱心ではこの人の右に出る者は
いない、というのが定説ですが、あの独特のテンガロンハットと不思議なネックレス
のスタイルは、ゴルフ行者のようで残念ながら少し華がないように思います。

プロ転向したとは言え、遼クンはアマチュアのお父さんが10年ほど指導したに
すぎません。
まだジュニア年齢の遼クンが、プレッシャーを楽しみながら自分をおびやかす
位置にきてしまう、という現実に、片山選手は苦笑しているかも知れません。

また苦節○十年、ようやく夢のツアーに出られるようになったプロも数多くいます。
彼らが石川遼クンの多額の契約金におだやかでない気持ちを持ったり、最近で
は心ない言葉を吐くシーンもあるとか聞きますが、私にはわかるような気もします。

しかし、一流選手のほとんどが苦しんだ、今回の日本オープンの超難関コースを
軽々とクリアした石川遼という“少年”に尊敬すら感じはじめているのでは。
自分たちの世界にタイガー・ウッズが生まれつつあることを、素直に誇りに思う
ようになって欲しいと思います。

第一、当人の遼クンはこれらの雑音をうまく処理し、時にはそれをエネルギーに
置換する才能まで持っているのでは、と感じました。
タイガー・ウッズなどを見ていても「スーパースター」に必要な資質です。

戦う舞台をアメリカに移す日もそう遠くないかも知れません。


横山国男

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2008年10月19日(日)更新

「君を幸せにする会社」を読んで。

何をもって「幸せ」というかは、人それぞれ違うのでしょうが、「幸せになりたい」と
世界中全ての人が願っている、もっと言えば、人だけでなく生きとし生けるもの全
てがそう願っているに違いありません。

「君を幸せにする会社」(天野敦之著・日本実業出版@1300)を読みました。
本書を書かれた公認会計士の天野さんは、「真善美」メルマガでもおなじみです。
久米信行さんもご推奨の一冊です。

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クマ太郎、プー太、コン吉など寓話の形をとった物語に引き込まれました。
例によって「あとがき」を読み返していますが、多くの心に残る文章がありました
ので、その一部を。

『物語のなかでクマ太郎が悩んでいたように、みんなががんばって利益を追い
求めているのに、みんながますます不幸せになっています。何かが根本的に
おかしいのではないかと多くの人たちが感じています。
こうした問題の根底にあるのは、「利益は創造した本源的価値の対価である」と
いう真理を、多くの人たちが忘れてしまっていることにあると思います。
本源的価値とは、お客様を幸せにし世の中をよりよくすることです。つまり企業
の利益はお客様の幸せの対価だということです。』

『しかし、現実には、多くの企業が、自ら本源的価値を生み出すことなく、お客様
をだますなどして他者から利益を得ようとします。
そのようにして一時的に利益を得ても、結局は損失となって還ってくるだけです。
企業が、継続的に利益を得るためには、自分たちのよさを活かした、自分たち
ならではの本源的価値を創造するしかないのです』

『しかし本源的価値を創造するのは、口でいうほど簡単なことではありません。
自分の利益のために無理にお客様を幸せにしようとしても、それはすぐにお客
様に伝わってしまいます』

・・・引用はここまでにしますが、その解決のカギは「まず自らが幸せになること」
とあり、全てが感謝の対象になる、私たちはついないものに目をむけてしまうが、
あるもののほうが圧倒的に多く、幸せになるために必要なものはすべて与えら
れているのですよ、と著者はおっしゃいます。

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折しも「世界金融危機」「地方経済衰退」のさ中、良書に出会いました。
ご一読をお薦めするしだいです。


横山国男

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2008年10月14日(火)更新

足羽三山(あすわさんざん)文化協議会

人口27万ほどの福井市。 真ん中を北と南に分けて、足羽川(あすわがわ)が
流れています。4年前には記録的集中豪雨で市内で堤防決壊、当社も僅かです
が、床上浸水しました。

坂もあまりないこの町の西寄りに、いずれも標高100mにも満たない、足羽三山
(足羽、八幡、兎越)の三つの山がポッカリと浮くようにあります。

三つの山は、点在しているわけではなく、一つの山といってもよいのですが、
谷で隔てられているので、それぞれに名前がついたのでしょう。

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古代から人が住んだこの小さな三山周辺には、多くの遺跡や文化財もあります。
また学術的にも珍しいシダ類やギフ蝶などの植生を持つことでも知られています。

市民、とりわけ私のような足羽山の下に生まれ、今日までのほとんどをこの山を
友として暮らしてきた者にとっては、単なる「小さな山」以上の存在です。

生まれ育ったところの原風景というものは、誰にとっても格別の意味を持つよう
で、「ふるさと」とか「里山」という言葉にも独特の温かい語感がありますね。

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原子(げんし)光生さんは、40年前、八幡山の麓に「時雨窯」を開いた陶芸家。
今では85歳ともなられ、足を悪くされたので特養施設におられるそう。
時雨窯の存続と足羽三山の文化を考える主旨で、「足羽三山文化協議会」が
このほど設立されました。

第1回の設立記念講演会が、市が移築・整備した“かやぶき”の古民家、(昔の
 生活用具も収集)「おさごえ民家園」の一軒、なかでも大きな「旧城地家」の座敷
で開かれました。
 (「兎越」は“おさごえ”。“うさごえ”とも読みます。)

「おさごえ民家園」 行燈の灯りでご講義

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「足羽三山文協」の事務局長は、原子さんの御子息、斎藤成也さん。
斎藤さんは51歳、今は三島市にお住いだそうですが、名刺をいただいてビックリ。
国立遺伝学研究所、総合研究大学院大学生命科学研究科、東京大学大学院
理学系研究科生命科学の、いずれも教授とあります。

87歳の南部さんに比べれば、まだまだお若いので、将来わが町から二人目の
ノーベル賞受賞者に、などとフッと想像してしまいました。

足羽三山で思いっきり遊んだ子供のころの話などをトツトツと語って自己紹介を
された後、記念講演に招いた高校時代の同級生、花園大学教授の佐々木 閑
さん(仏教学・三国町出身)をご紹介されました。

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 【仏教の現在】と題された、楽しいお話を90分。
「釈迦」の周辺から、大乗・小乗仏教の成り立ち、仏教伝来、オウムとはどういう
宗教か、までユーモアたっぷりのやさしい仏教のご講義でした。

 30名ほどの聴講者の大半が高齢の方ばかりでしたが、日曜日の午後、こういう
静かな時間を持てたのは、とても裕福な思いがしました。


横山国男

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2008年10月12日(日)更新

これもまやかしだった?「企業価値」という言葉。

昨夜(11日)、夜8時からのNHKスペシャル「緊急生放送・国谷裕子アメリカ発
世界金融危機の深層に迫る」を見ました。

抑制の利いた内容で、サブプライムとか証券化など、もう一つよくわからない私
にも「何が起きたのか、これからどうなるのか」・・・頭がすっきりしました。

それにしても「クローズアップ現代」でおなじみの国谷さんというキャスターは素晴
らしいですね。 「クロ現」を2日ほど休んで、急きょNYへも取材に飛んだとか。
この人を目指すような女性が多くなれば、日本の未来も明るいと思います。

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ところで頭がすっきりしたといえばもう一つ。
「企業価値」という言葉について、読ませてもらっているブログ「世に倦む日日」
さんが、最新号で下記のようにバッサリやってくれて、胸のすく思いがしました。

<引用始め>
『この1週間の株の下落で東証の時価総額は2割消えたと報じられている。
企業価値とは1週間で2割も消滅するものなのか。工場が災害に遭ったわけでも
なく、経営者が死んだわけでもなく、同じ製品を同じ従業員が製造して販売して、
売上も同じ水準を維持しながら、1週間で2割も企業価値が下落するのは何故
なのか。その企業価値とは一体何なのだ。(中略)

1970年代には「企業価値」などという怪しげな概念はなく、そのような言葉を
企業の目的として言う経営者もいなかった。経営者たちは、よい製品を作って
社会に貢献するために企業を経営していた。本田宗一郎も松下幸之助も井深大
も。 「企業価値」なる範疇が「金融工学」と同じく全くのまやかしの範疇であった
真実が世界同時株安によって証明された。
「企業価値を高める」ための経営はなくなる。企業にとっての株式は自己目的で
はなく、単に資金調達の手段でしかなくなる。        <引用終わり>

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上場などとは無縁の零細企業経営者の私にとって、あえて「企業価値」という言葉
を使うなら、BS/PL(数字)に表出しない、社長やスタッフのキャラクターや企画力、
企業も良き社会の一員であるべきとする経営理念、のれんや信用などのいわば
企業文化力、オフバランスシートこそ本来の「企業価値」ではないかと、常日頃考
えているのですが。


横山国男

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2008年10月10日(金)更新

母校(高校)からノーベル賞受賞者が出ると

福井市の名誉市民である南部陽一郎さんが、ノーベル物理学賞を受賞された
ニュースは、他の地方都市同様、ちょっと疲弊感の漂う昨今のわが町に明るい
話題をもたらしました。地元紙も連日関連記事を載せています。

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1901年から始まったノーベル賞は、2007年までに777名の個人、20の組織
に与えられています。
うち日本人の受賞は今年の4名を入れて、物理学賞7名、化学賞5名、生理学・
医学賞1名、文学賞2名、平和賞1名の16名です。(経済学賞は0)。
ただし南部さんは米国国籍をとられています。
 (また87歳の南部さんは最高齢受賞者のお一人です)。

米国国籍といえば、国別ではやはりアメリカがすごく、300名を超えていますから、
超大国(だった?)の面目躍如、世界中の優秀な学者にすぐれた研究の環境を
提供してきた成果と言えるのではないかと思います。(この項Wikipedia参考)

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ところで、南部さんは旧制福井中学(藩校明道館=現県立藤島高校)の卒業生。
うちの小4の孫が「お母さんが卒業した学校だって言ってた」と、先日話してくれた
のは、きっとその話題が出たのでしょう。
私の卒業した工業高校も私が入学した年から分離しましたが、2,3年生はこの
学校の工業科に通っていましたので、校史に含まれています。

確かに、全国数千の高校の中で、16名しかいないノーベル賞受賞者の卒業生が
いるのは誇らしいことに違いありません。昔なら“提灯行列”ものかも。
県内有数の進学校ですが、娘は美大へいった変わり種。補修も受けられず、金沢
の画塾へ一人通っていたことが昨日のことのように思い出されます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昨日、二人の孫(9才と5才)に手紙を書きました。それは今年の夏休みに二人を
連れ、カナイと4人、シカゴ・ボストンを在米の次女夫婦とともに旅したことについて
です。

南部さんはシカゴ大学、下村さんはボストン大学のそれぞれ名誉教授。
偶然ですが「お前たちが行った所で研究をしている偉い先生だよ。勉強しなきゃ」
と冗談半分にハッパをかける文章を書いて「話してやって」と娘に渡しました。

夏休み中のMITやハーバードのキャンパスにも行きました。
何もわからないでしょう。「古いね、きれいだけど」くらいです。
でもそれでいいのです。世界は広い、勉強している人がたくさんいるんだ、と
どこか頭の片隅に残ってくれれば・・が私の目的でしたから。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それにしても、学問とか研究とかのモチベーションになっているのは「夢」とか
「ロマン」なんだなあ、とあらためて思いました。
南部さんはインタビューで、何度も、少年時代福井の野山を駆け回ったことを話さ
れているのも印象的でした。

「好き」がキーワード。
文化勲章を受章した福井出身の白川静さん(文字学)のエピソードに
 「あ、そろそろ昼飯食いに行かなきゃ」と思って窓の外を見ると、真っ暗だった、
なんて話も心に残っています。

邱永漢さん(Qさん)も言ってました。「一日に30回も時計を見るようじゃ、
 今の仕事で成功はおぼつかない」と。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ところで、我が家の未来のノーベル賞候補2名はどうしているかな、と覗くと、
「ヨシッ、コイツーゥ、イケ~ッ、ヤッタ~~」と、30分だけ許されているDS(ゲーム)
に身も心も奪われている真っ最中。

・・・これじゃ「ノーベル賞」どころか「脳減る症」になりかねないナ。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
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「知るは喜び、調べるは楽しみ、分かるは感動、学ぶは一生」とか。高齢者の仲間入りの年齢ですが、仕事でも趣味でもICT時代の恩恵に感謝しています。趣味・・本好き、水彩画、ゴルフ('05までJGA委員、現在中部ゴルフ連盟ジュニア育成委員ほか。エポック・・還暦のアルバトロス、'06...

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