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2008年06月29日(日)更新

画家とその老母のように・・死ぬまで家で暮らせたら。

光陰矢のごとし・・早いもので今年も半分が過ぎてしまいました。
最近は時々老後の自分あるいは夫婦の暮らし方を想像してみることがあります。

母は82歳のとき脳卒中で倒れ、そのまま3日ほどで亡くなったので、施設の
お世話になることはなかったのですが、父は5年ほどの間、デイケア、短期入所の
あと、特養施設に入れていただき、96歳でこの世を去りました。

父が死んだのは10年ほど前ですが、その当時介護施設では私達が驚くような
十分なケアが行われていて、食事、おやつ、リクリエーションなどの催事まで、明治
生まれの職人で真面目な仏教徒の父は「ありがたい、ありがたい」が口癖でした。

しかし、施設からの帰りの車の中での私達夫婦の会話はいつも「我々が介護を
受ける時代までこんなこと続くわけがないだろうな」といったものでした。
近未来がどのようなものになるか、まだはっきりした形は見えていませんでしたが、
最も確実だったのは、日本は人口が減少するということ、特に生産人口が減り、
非生産者、高齢者が増大すれば、内需は不振になり、税収は伸びないまま国の
借金をこれ以上増やせないとすれば、医療や福祉のサービスは低下せざるを得
ない。この面では予想したとおりに事態は進行しているといってよいでしょう。

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かなり前、TVだったと思いますが、場面はヨーロッパ(ポルトガルだったかな)の
ある初老の画家の家というかアトリエ。(以下も記憶は一部正確ではありません)

画家は仕事をしています。(大きなイーゼルを立てて花か何かの絵を描いている)
アトリエは古いですが、かなり広い部屋です。
ガウンを着た老女がおぼつかない足取りで、杖をつきながら絵に歩み寄り、微笑
みながら画家(息子)に何事か話しかけ、そのあと小鳥にえさを与えているような
シーンがありました。
その大きな部屋には老母と画家のベッドもあります。キッチンやトイレも近く、別の
コーナーには食事のためのテーブルもあったような気がします。

息子は仕事をしながら、高齢の母親の世話もしているのです。別に特別という
感じではなく、当たり前の暮らしをしているといったこの「何気なさ」「親子の静かな
会話」などに深く感動しました。

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脳梗塞で下半身不随になったとはいえ、介護に疲れた多忙な私達は公的な施設
へ父を預けました。しかし十分なケアを受けられたことを喜んでいるかに見えた
父にも寂しさはきっとあったに違いない、と今は思うのです。

どのような老後が待っているのか、想像してもつかめませんが、最近私達夫婦の
おぼろげな近未来想定図は、画家とその老母のような暮らしができたら、と考えは
一致しているようです。どちらが先にお世話になるとしても。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2008年06月25日(水)更新

団扇(うちわ)。

季節感がだんだん薄れていくこの頃ですが、夏を感じさせるものに「団扇(うちわ)」
があります。

夏来る。
<吉川壽一書 “吹く風”>

子供の頃、母親が作る「五目すし」の桶の横で、うちわで煽いで冷ます手伝いを
したり、七輪の炭火おこしに使ったりしましたが、それは頑丈な作りの柿シブを
塗った大き目のベンガラ色の「しぶうちわ」。

そういえば昭和30年ごろは、近所の酒屋さんとか、呉服屋さんがサービスで盛ん
にうちわを配布したように思います。女優さんの浴衣姿が絵柄になっていたものも
記憶にあります。(年末のカレンダーも同様のものですね)
手で煽ぐやわらかい風は、冷房もない時代のひとときの「涼」を感じさせてくれる
優れた日用品であり、日常の中にある「美」の一つでもありました。

今でも工芸品として美しいうちわもまだ作られていますし、販促用にプラスティック
骨のウチワも最近では増えてきたようです。
先日、「応援旗」を作らせてもらった、市内の子供バドミントンチームの責任者の方
から、子供達で応援のウチワを作りたいので、旗のデザインデータをお借りできま
せんか、という依頼があり、データを送って差し上げました。
昨今は、用紙にインクジェットで出力し、両面から貼り合わせれば、簡単に楽しく
マイウチワができてしまいます。

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うちわの歴史は古代の中国や、エジプトまでさかのぼるようですが、日本では古墳
時代に木製でその原型を見ることが出来、大型で「あおぐ」というより、宗教的な
儀式の意味がつよい「祓う・はらう」ためのものであったようです。

百花繚乱の江戸時代には、日常生活道具として、オシャレの小道具として、洗練
されたものになっていくとともに、「団扇産地」も形成されていき、現在でも京都、
丸亀、岐阜などが有名のようです。

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京都の舞妓・芸妓さんが「夏の踊り」のあと、名の入ったうちわをごひいき筋に
配ったものがよく料理屋さんなどに架けられています。
席について、涼やかな冷酒を一口、ほっとして見上げると、すだれをバックに白地
に墨書きですっきりと優美なデザインの名入りうちわが数本かかっていて、
「夏だなー」と思います。
とても風情があって、賀茂川沿いの「床」とともに、暑い京の夏を一瞬忘れさせて
くれます。

  涼み舟 団扇の端を ぬらしけり  子規


横山国男

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2008年06月23日(月)更新

400回にもなるコンペのお世話をした一年。

「人のお世話をさせていただく」というのは、なかなか貴重な経験です。
それが仕事であるホテルマンや介護職の人たちであっても、きっと「ご苦労さま、
ありがとう」の声にとても元気付けられるであろうことを、今更ながら実感します。
気遣いの一声を大事にしたいと思います。

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県下(といっても北半分くらいですが)のロータリアンのゴルフ同好会「はぐるま会」
(ロータリーのマークが歯車を図案化していることから)のお世話を一年間させて
いただいて、昨日22日(日)の例会が最終回でした。(冬季を除き9回開催)。
ナント昭和39年がスタート、45年間400回にもなろうかというクラブ1,2番の
伝統あるコンペです。

「ご苦労さん」「お世話になりました」などなどお声をかけていただいて、みなさん
それぞれ獲得した賞品を手にニコニコ家路につかれます。
 昨日は梅雨に入り、ぐずついた天気でしたが、幸い雨も降らず、9回とも好天に
恵まれたことは幸せでした。屋外での行事では何より天候が気になるのは、何事
によらず、会長、幹事、世話役を引き受けられたことのある人ならどなたでも覚え
があるでしょう。

皆さんが帰られたあと、ゴルフ場との清算を済ませ、ひとりゆっくり風呂に浸かり
ながら、ようやくホッとしたというのが正直な思いでした。

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昨年の5月ごろ、「次は福井西RCが当番クラブです」と申し送りがあり、当クラブ
はもともと参加者が少ないので返上しては、という意見もあったようですが、会長、
幹事もゴルファーで、大変だから、は理由にならない「バックアップしますから、
横山さん世話人代表をお願いします」ということになりました。

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前任のクラブで事務局を担当された会員会社の女性社員から、ご親切に資料を
ディスクと一緒に頂いたのですが、あらためてこれは大変だな、という予感。

まず、7月から始まる新年度の会員の募集を早急に各クラブへ通知、同時に年会
費を開設した口座に振り込んでもらう、名簿の作成、FAX番号、生年月日の確認、
7月に入ってからでも時々入会申し込み書が未着のまま、会費が振り込まれたり、
事務は予想通り結構煩雑なものとなりました。

さらに私にとって問題だったのは、50名を超える会員に毎月「例会出欠案内」、
全員の出欠確認後、組み合わせを作り、賞品を手配し、「スタート表」を送付を
するのですが、一々FAXのナンバーキーを押してはいられません。
パソコンで文章を作り、登録者へ一斉送信しないと仕事になりませんので、娘に
相談するとケンモホロロ「夏はよさこいの衣装作りで猫の手も借りたいのに。お父
さん、いい機会だから自分でやったら」。

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この調子だと、何でも聞くと迷惑そうなので、近くのパソコン教室へいくことにしまし
た。K君という若いいい先生に恵まれてなんとかスタート。何度同じことを聞いても
嫌がらず、(ま、商売ではありますが)「ほう、ブラインドタッチですね。入力も速い
ですね」と元気付けてくれます。昔、船積み書類を作っていたので英文タイプが
必要でしたが、何十年経っても指が覚えているんですね。

ファクシミリもこれを機に、新しくしました。物入りでしたが、カラーコピー機能その他
は本業の仕事にも大いに役立つので決心しましたが・・・・・(涙)
そして、コンペ当日は1時間ほど前にゴルフ場へ行って受付をつくる、前日までに
お願いしておいた「賞品」がきちんと届いているかチェック、当日会費の徴収、先頭
組でプレーを終え、すぐ懇親会場に行き、表彰、賞品授与の準備、全てが終わり、
ゴルフ場への支払いを済ませてお風呂に入るという具合。

やれやれ今月も無事終わったか、とホッとする間もなく賞品代の振込み、記帳と
続き、予算どおりに進行しているか、賞品喜んでもらえたかな、なんて考えている
うち、早くも次回の案内書送付が迫っている、といった一年間でした。

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もちろん会長・幹事をはじめクラブの数名の会員もお手伝いしていただいたので、
なんとかやりきることができたのですが、昔は100名くらいの登録があり、パソコン
もない時代、大変だっただろうな、と想像します。

おかげでメールやブログだけでなく、ワードとエクセルを少し使えるようになったの
は、この歳で収穫でした。
社長は自分でやらなくても誰かにやらせれば済んでしまうことも多いですから。

しかし、使う機会がなければ、きっと忘れてしまうでしょうね。

特別賞を手に喜ぶIさん。

横山国男

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2008年06月20日(金)更新

ターシャ・テューダー逝く。

アメリカの絵本画家・人形作家・園芸家などで知られ、多くの人に愛されたターシャ
・テューダーさんが92歳で18日(日本時間)亡くなられたことをシカゴに住む次女
からのメールで知りました。

「やっぱり」というのが最初の印象だったのは、娘達が今年一杯で帰国しそうなの
でこの夏一度来ないか、どこか行きたい所ある?と言われて「ターシャの家」に行
ってみたい、あの庭を見てみたい、と我々夫婦の希望を伝えました。

このプランはターシャの住むヴァーモント州南部,それも小さな町のはずれまでか
なり遠いこと、訪問者が多いので制限しており、ネットで申し込んでみたが、とても
順番がまわってきそうにないことなどを知らされてあきらめることにしました。

が、その時ターシャの歳を考えると、おそらく生きているターシャにはもう会えない
だろうと思いました。・・「やっぱり」。

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ターシャ・テューダーを昔から知っていたわけではありません。 多くの日本人の
フアンと同様、私達もNHKでこの数年何度か放送された番組で、たった一人で
一日の大半を大きな庭の手入れやヤギの乳搾り、とれた果実でのジャム作り、
パンを焼きパイをつくり、糸を紡ぎ、愛犬メギー(コーギー犬)とアヒル、ニワトリなど
とともに美しいヴァーモントの自然と四季の中で、絵本を描きながら昔ながらの
スタイルをかたくなに守って暮らすこの一人の老女の生活を憧れの目で見てきま
した。(本に出てくるキッチンや庭、紡糸の道具類などには目頭が熱くなります)。

ターシャの本。

このような暮らし方はそれほど大昔のことではありません。ターシャのように何でも
自作できる人は少ないですが、厳格ではなくなったとはいえアーミッシュのように、
電気も車も使わず文明の利器とできるだけ距離をおいて、必要なものは村の誰か
が、コミュニテイーで使うものは皆で(結・ゆい)作る生活を続けているアメリカの人
たちもまだいます。

ターシャやアーミッシュの目には、同じアメリカで起きた文明の象徴の高層ビルが
溶け落ちた「9.11」などはどう映ったでしょうか。

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子供の頃、裏山に廃材で「小屋」を作って遊んでいた私は、高校生のころソロー
(ヘンリー・ディヴィッド・ソロー)の「ウォールデン=森の生活」を読んでアウトドアー
やキャンプに興味を持つようになりました。(ソロー=1817年~1862年、マサチ
ューセッツ州コンコード市生まれ、作家・思想家・詩人・博物学者)

後年、家族で信州清里の「もえぎの村」(出来たばかりでしたが)を訪れ、「ホテル
ハットウォールデン」に泊まり、ソローの「コッド岬」から名を借りた店「ケープ・コッド」
でリース(花輪)の美しさにみとれました。(30年近く経って色は少し褪せましたが、
今も我が家にいくつも壁にかかっています)。小学生だった娘達も夜は車で近くの
山の上から、ホテルのお兄さんが懐中電灯のビームで指してくれた星座の説明が
忘れられない思い出と言います。

そのソローはターシャが子供の頃、ターシャの家に集まるグラハム・ベル(電話の
発明者)やマーク・トゥエイン(作家)、アインシュタインなどの文化人のひとりだった
そうですが、ターシャは社交界が苦手だったようです。

9歳のとき両親が離婚、15歳で念願だった農業生活に入り、ひとりで家を建て、
80年近く自給自足の生活をおくり、そのライフスタイルと作品は多くのファンを生
みましたが、彼女はそういう外部の評価やエコブームとは別に、たんたんと毎日、
毎季、毎年同じやるべきことを繰り返した本物の「生活者」だったように思います。

この夏は彼女の生まれ故郷ボストンにも足をのばし、このアメリカ開拓時代の
面影が色濃く残る街を逍遥してターシャを偲ぶことができたら、と思っています。

横山国男

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2008年06月17日(火)更新

ボーンゴルファー タイガー・ウッズ。

今朝(17日)、第108回「全米オープンゴルフ」が終わりました。今日の18ホール
プレーオフを入れると実に5日間、私も今回の会場サンディエゴ近郊のトーリー
パインズG.Cがアメリカンタイプではなく、シーサイドのリンクスタイプなので景色
が美しく、毎日早起きして風景も楽しみました。

早くも全米オープン史上歴史に残る名勝負だった、との声が高いのは、ひざの手
術後の痛みに耐え、文字通り手負いの「虎」となったタイガー・ウッズの度重なる
ここぞという時の奇跡的なショットとパット。しっかりと我が目で見て、同時代に生き
た喜びすら感じさせてくれるというもの。

中でも最終日18番でのバーディーでプレーオフに持ち込んだ5mほどの難しい
下りのパット、今日プレーオフでも1打リードされた18番で又もやバーディーで追
いつき、遂にサドンデス1ホール目、親友ロコ・メディエートを降しました。

昨日最終日のスタートホールでいきなりドライバーを大きく左に曲げ、瞬間顔を
しかめて歯を食いしばり、左ひざに手を当てたとき、今日は途中棄権だと誰もが
思ったに違いありません。しかし何度も崖っぷちから這い上がり、優勝カップを
手にしたタイガーウッズは、もうというかさらに伝説への道を歩きはじめた生まれ
ながらのゴルファー、ボーンゴルファーに相違ありません。プロですからゴルフは
彼の文字通り「天職」なんですね。

日本ではゴルフは金持ちの遊びとか、ニギリと称する賭博、最近では防衛省の
高官の接待疑惑などロクな印象がありませんが、今回の全米オープンを見れば
素晴らしいアスリートたちがその持てる技術と知力の限りを使って、自然と対峙
しながら頂点を極めようとする姿に誰もが感動を覚えるはずです。

私は人生で「ゴルフに出会えて良かった」と思う一人です。

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4,5年前「タイガー・ウッズ」の裸を見たいと言って、カナイに笑われました。
30歳を過ぎた今、彼は中年の雰囲気が少しでてきてしまいましたが、そのころは
ウエアーの外から見ても実に素晴らしい肉体を想像させました。

人間の体、男の体として申し分のないバランス、加えて時に見せる悲哀を感じさせ
る潤んだ大きな目、そして真っ白な歯と褐色の肌のコントラスト。
いつも落ち着いた品のあるウエアーをまとい、フエアウエイを歩く姿には「人間が
歩く」というのはこういう形なんだ、とすら思いました。

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伊集院静さんが「週刊現代」でしたか連載していた「スポーツの美神」というページ
にニューヨーク・ヤンキースのデレク・ジータ(遊撃手)の守備につく写真があり、
その美しさに感動してスクラップしましたが、ジータもウッズと同じ父親は黒人、
母は白人、ウッズの母親はタイ人です。

このような血のミックスが行われる時、時に素晴らしいバランスの肉体が生まれる
ような気がします。
 本当はこのように人種の差別無く、地球上に仲良く美しく暮らすべきという神の
配剤かも知れないと、思いは飛躍します。

横山国男

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2008年06月12日(木)更新

スピード社の水着の謎。

スピード社製の水着が話題になっています。ほとんどの方は何が起きているのか
についてご存知だと思いますが、今年2月以降の世界新記録37のうち35までが
スピード社のレーザー・レーサー着用、日本選手もびっくりしているようです。

ところで一体何が違うのか、繊維加工などの業界にいるものとして、この分野でも
日本のハイテクが断然優位と思っていましたから、ミズノ、アシックス、デサントの
オフシャルサプライヤー3社もショックでしょうが、大変興味がありますので、当社
の顧客で「繊維の表面加工」にも技術があるH社常務に聞いてみました。

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中でも昨年まで長年スピード社と結んでいたライセンス契約を解約したミズノの
苦衷は察して余りありますが、今年から契約したゴールドウインもまさかこんなこと
になるとは予想していなかったに違いありません。(株価上昇だそうですが)

ハイテクの水着はいずれのメーカーも水との相性や人体メカニズムの研究を重ね
て素材は勿論、縫製のやり方まで極限まで追求しているはずですが、面白いのは
ミズノは水になじむ素材で抵抗を減らし、動きやすさのために縫製のパーツも
増やした、対するレーザーレーサーは水をはじく(撥水)加工と、超音波を利用して
縫い目のない無縫製を取り入れていること。

さらにK常務の話では、レーザーレーサーは魚の鱗のメカニズム研究と浮力を
得るのにも独特のノウハウがあるのではないか(きわめて薄いフイルムを布地と
合体させる、いわゆる膜加工?)、また着用するのに20分ほどかかるそうで体の
凹凸をできるだけ減らし、流線型を作り出すようにしているのではないか、など
興味深い話を聞かせてくれました。

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日本の繊維加工の技術の高さは世界一といってよいはずです。旅客機の重量
軽減に突出した性能をもつ「炭素繊維」などは鉄の10分の1の重量で必要な
強度を確保できるといいますし、合繊など人造繊維分野では人工血管や様々な
風合いを持つ糸、織物が次々と今も開発されています。

しかし今回の五輪を前にした「水着騒動」は、自他共に認めていた日本の独壇場
がまた一つ揺らいだような、繊維業界にマグニチュード8くらいの衝撃を与えた
ものとして記憶されると思います。

横山国男

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2008年06月11日(水)更新

薄れ行く「時の記念日」・・「金は時なり」。

昨10日は「時の記念日」でしたが、一昨日このブログに時計の話題を書いたのに
記念日のことはすっかり忘れていたのです。
考えてみればそれで時計の催事があったんですね。

なぜ気がつかなかったのだろう、と思い10日の地方紙をくまなく見直しましたが、
やはり「時の記念日」に関する記事はまったくありませんでした。
例年見たと思う「時計店」の一覧広告もありません。
今や「時の記念日」は祭日でもないので、忘れられつつあるのでしょうか。

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時の記念日は1920年(大正9年)に制定され、欧米人並みに時間を尊重する
意識を国民にもってもらうことを目的に、生活改善同盟(!)が選定したそうです。
6月10日というのは、「日本書紀」天智天皇の条、水時計創設の記からとった
ものだそうですが、「時間の大切さをかみしめる日」と意義付けられている、と
あります。(セイコーホールデイングス(株)の記事より)

またカシオのインターネット調査によると、一日24時間では足りないと考えている
のは世界で日本人が一番で、あと8時間くらい欲しいそうです。
なにかセカセカしている割には能率が上がっていないのではと思いますが、それも
ちゃんと数字に出ています。
各国の1時間の価値は、日本9200円、アメリカ39000円、ドイツ43000円、
中国9700円と、中国よりも低いのです。
よく日本人の労働生産性が問題視されますが、我々は時間をもっと大切に扱う
心構えが必要かもしれません。

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どのような境遇に生まれようとも、時間は人間に平等に与えられているもの。
「時は金(カネ)なり」と言いますが、金(キン)にまでするのは一人ひとりの勉強と
工夫次第。
「ブログBusinessMedia誠」連載“山口揚平の時事日報”(’07.04.17)にこんな
記述があり、膝を打ちました。後継者や若い人に読んで欲しいと思いました。
(私には間に合いそうにもありませんので)

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<前段略>
「今後必要になるのはタイムイズマネー?マネーイズタイム?」(山口揚平)

ところで日本人は、借金が嫌いである。多くの人がお金を借りるのではなく、お金を
貯めてから、何か事を起こそうとする。よく言えば堅実と言えるが、裏を返せば
「お金をコントロール」する力に長けていないという見方もできる。
 私は、お金は、社会への貢献の結果であるとともに、将来の可能性そのものだ
と思う。日本人はこれまでお金の話題を避けてきたが、そろそろお金を肯定的に
捉えるのはどうだろうか。

 お金には生き金と死に金があるはずだ。「消費」のために借金をするのは、愚の
骨頂だが、将来への投資のためにお金を使うスキルと勇気を養う必要がある。
資本主義の世界では明確なビジョンと、可能性の高いプランさえあればお金を
調達することが可能だ。お金がないから何かができない、と考える必要はない。

 そう考えると、これからの私達若者に必要なことは、時間を切り売りしてお金を
得る「時は金なり」の発想ではなく、「金は時なり」と考え、お金をコントロールしな
がら、大きな将来ビジョンを達成してゆくスキルではないだろうか。(引用終わり)

横山国男

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2008年06月09日(月)更新

2億円!の腕時計。

先週末は所用があって京都のD百貨店へ。

全店「割引セール」の最中でしたが、公務員のボーナスもまだでしょうし、このところ
全国の百貨店の売り上げは、対前年比マイナスが続いていますから、心なしか
静かな感じ、消費に元気がないようにも見えました。

夕刻、カナイが地下の食品売り場へ行くといいますが、このごろはすぐ疲れて、
とても付き合う気持ちになれず、中吊り広告で盛んにPRしている「世界の時計
フエスティバル」の催事会場を覗いてみることにしました。

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これだけのブランド(40あまり)が集まると、さすがに「世界の・・・」をつけても納得
ですが、価格は数十万円代は少なく、数百万円から千万単位のものも結構あって
はなっから目の保養、よい仕事を見せてもらういい機会くらいのつもりでしたから、
値段にはビックリもしません。

しかし一番奥まったショウケースの上に、さらに2点だけ別のケースに収まっている
2つの腕時計は、000,000、・・・とタグのお値段の0を数えているとナント2億
ウン千万円。もう一つも一億円以上。さすがに驚きました。

「フランク・ミュラー」の究極の機械式時計で、宝石は使っていますが、宝飾時計
ではありません。「拝見サセテイタダキマシタ」というのが正直な感想でした。
時間があれば手にとって見たい、「持ち重り」も味わいたかったのですが、ともかく
人類が作った最も小さい機械の中で最も高価なものかも知れません。

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勿論国産の高い評価の時計もありました。おなじみの「グランドセイコー」それに
カシオの「Gショックシリーズ」、今回シチズンがマンを持して発売した「カンパノラ」の
ミニッツリピーターとパーペチュアル。30万円前後の価格ですが、これがもし完全
機械式だとゆうに2千万はする、という日本の時計技術の粋を集めたものらしい
です。(クオーツ等を使っているから安く出来るというわけ?)。

同じシチズンなら「経営者会報」の裏表紙にここのところずっと広告が出ている
「ザ・シチズン」(21万円)が「上質」を感じさせて精度、デザインとも私には好感が
もてます。

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時計のメカ(心臓部)ともいえる「ムーブメント」にクオーツ(水晶発振子)を使って、
一時は世界を制覇する勢いだった「日本の時計メーカー」は、量産とコストダウン
の繰り返しの中(最後は1個100円とも)途上国のコピー製品にまで組み込まれて
苦境に追込まれました。一方崖っぷちに立たされたスイスのメーカーは機械式と
意匠にこだわることで息を吹き返しました。日本の産業の未来を暗示する好例で
すね。(私も友人から5000円で譲り受けた「中国製ヴァシュロン・コンスタンタン」
を持っています。嵌めはしないのですが、あまりにもよくできていて、“日中産業
戦争の敗戦記念品”として机の上にあります)

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大概の男なら「車と時計」には興味があるでしょう。時間もよくわからない女性向
「宝飾時計」や「宝石」などにはピクリとも反応しないのは、要するに「メカ」がない
から。
少年時代にラジオや目覚まし時計を分解してしまった経験者も多いはずです。

私も時計好きなほうで、10個ばかりありますが、どちらかといえばメカよりデザイン
の面白いもの、服装との連想(TPO)から買うので値段の高いものはあまりありま
せん。
熱心にショウケースを覗きこんで、あるいは販売員と話し込んでいる老若男女の
お金持ちお客さんたちを横目に会場を後にしました。
比較的安い方のものでも、とても手が出る値段でないことは勿論ですが、機械式
は面倒な方だし「時計マニア」でなくてよかった、と思いました。
こういうのを負け惜しみと言うんですかね。

横山国男

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2008年06月06日(金)更新

上級(高級)と上質の違い。

最近「上質」という言葉が目に付くようになったと思うのですが、私だけでしょうか。
モノのない時代、あるいはある程度ものが行き渡る過程では、「高級」という言葉
の持つ響きがステイタスや夢を感じさせました。

このところ高級品マーケットやブランド品に異変が起きている、販売の落ち込みが
続いており、ユーロ高もあるのか、一部のブランド品が日本マーケットで値下げを
し始めたというのは過去の不景気の場面でもあまり例がないとのこと。
しかし、一方では高価な「客船クルーズ」などは販売と同時に完売らしいので、
いよいよ「モノからココロへ」の動きが顕著になってきたのかも知れません。

また「高級車」「高級旅館」などの「高級」もあまり使われすぎれば、「高級」の条件
の一つ「希少性」が希薄になるのは当然です。
そこへ「上質なライフスタイルへの提案」などと言われると、なにかありそうな感じを
受けてしまいます。
そこで「高級(上級)」って何?「上質」とは?ということになるのですが。

こんなことを考えていて「ああ、これかも」と高級(上級)と上質の違いに思い至った
一つの例は「船場吉兆」さんの話題。
 昨年末不祥事が明るみに出て、「民事再生」がボディーブローのように利いて、
フラフラになったところへ、先日の「お料理使いまわし」や「残り物利用」などの
アッパーカットでついにダウン。廃業に追い込まれてしまったのですが、「高級
料亭」だったけれど、「上質料亭」ではなかった、ということではないでしょうか。
特に経営者の経営理念の「貧しさ」を感じさせられたように思います。

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こういうところでの「お食事」などとは無縁だった人の中には「ザマーミロ」と言う人
もいるようですが、それは「上質」ではありません。
廃業の記者会見で女将が「のれんにあぐらをかいていました」と涙ながらに語って
いましたが、年はとっても女性ですから「あぐら」などはこれは「上品」ではありませ
んし、毎回「涙」を武器に使うのも上質ではないですね。

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ある雑誌でエッセイストの沢樹 舞さんが、経験と知性を重ねて輝きだす「上質を
愉しむ人生」と題して、そもそも「上質」とは何だろうか、華やかなファッションモデル
から一転、物書きとして、またソムリエとして新たな人生を求めてフランスのボルドー
のシャトーに住み込んで畑仕事に明け暮れたという生活から、

『思いがけず、ひとは上質の意味を知ることがある。あの旅の経験こそが、自分
自身に計り知れない自信と勇気を与えてくれた。「上質」を求めるとき、物を選ぶ
目だけでなく、生き方さえも変えてしまうのだ。そんな人生もまた上質なのだと思う』
と書かれています。

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わが敬愛するゴルフマナー研究家鈴木康之さんも、「週刊ゴルフダイジェスト」に
もう5年間、250回以上もエッセイ「AZAMIの教え」を書き続けておられます。
副題は “上級より上質。ゴルフマナー修得講座”です。

思いがけず、船場吉兆さんのケースは「上級(高級)と上質」の意味を考えさせて
くれました。

横山国男

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2008年06月05日(木)更新

倒産しても死んだらあかん!

年をとると朝早く目が覚めます。一昨日でしたか、早朝4時過ぎに目が覚めて、
TV(NHK総合)のスイッチを入れると、表題のショッキングなタイトルで相原和幸
さんと言う方がお話し中でした。

ご自身も会社を倒産させた経験者だそうで、(出資を受けていた会社が経営危機
に陥った瞬間、突然取引銀行が相原さんの会社の当座もクローズしてしまった
とか。すごいことをやるもんですね。)今はNPOを立ち上げて、この経験から企業
再生、悩んでいる経営者への助言をライフワークにされているようです。

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年間3万人を超える自殺者、それも再び増える傾向にあるようですが、この中には
経営に行き詰った中小・零細企業の経営者が多く含まれていると言われています。
相原さんは「倒産しても死んだらあかん」と題して、次のようなことを話されましたが、
真面目な人、努力家であればあるほど過重な責任感に押し潰され、「早く楽になり
たい」と思う気持ちも痛いほど分かるのです。

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<相原語録>
○ 「見栄は捨てよ、誇りは捨てるな」
   毅然とした態度で。そして礼節を失わないこと。
○ 「気力回復の材料を見つけなさい」
   自分よりさらに苦しい人もいる。つらい気持ちを癒してくれる、小さなことでも
   よいからモノ・コトを見つけなさい。(花でもメダカからでも命の尊さを教わる
   ことができる、と言う風に私は受け取りました)
○ 「倒産はオレのせいじゃない、と思うこと」
   但しそれは自分の心の中で。(グローバル化やフラット化の中で頑張ったんだ)
○ 「法を守り、法に守られること」
   法に沿った解決を。(自身の混乱が収拾を難しくするのではないでしょうか)
○ 「償いの気持ちを忘れずに」
   債権者への弁済ということだけにとどまらず、これからはハンディを乗り越え、
   社会に貢献するぞ、という広くて強い心を持つこと。

走り書きでメモしましたので、相原さんの真意を十分伝えられていないかも知れま
せんが、大略そんなお話だったと思います。
また、ITが挫折を生む場合もあるが、話者自身のようにNPOなどでITを利用して
立ち直るきっかけを得ることもできる、とも。

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零細な企業の倒産は、経営者から全てを奪います。家・屋敷・信用はもちろん、
経済的後ろ盾を失くしたと考える子供達も離れていきます。頼みの妻も「なぐさ
め、励ましてくれる人」ばかりではありません。(偏見かも知れませんが、女性は
こんな場合でも本当に強い人が多いように思います。昨日までの何不自由の
ない暮らしでも、状況が変われば人が変わってしまったような亭主をおいて、
さっさとパートにでも出る強さがあるように思います。リアリスト(笑)なんでしょう
が、それはそれで救われますし、翻って男は本当は弱虫だと自分自身思います。)

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想像してみます。 債権者から逃れ、小さなアパートを見つけて、あれからの一人
暮らしももう2ヶ月。踏み切りの前でズボンのポケットに手を入れれば、硬貨が
二つ手に触るだけ・・・・・・・・・“オレはもう終わりだ”。

商売やビジネスがうまくいっているときの「男」は強いものです。なんでも出来る
ような気になります。しかし暗転したとき、「この人は強いな」と思った人にはこの
30年で二人ほどしか会ったことがありません。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
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会社概要

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個人プロフィール

「知るは喜び、調べるは楽しみ、分かるは感動、学ぶは一生」とか。高齢者の仲間入りの年齢ですが、仕事でも趣味でもICT時代の恩恵に感謝しています。趣味・・本好き、水彩画、ゴルフ('05までJGA委員、現在中部ゴルフ連盟ジュニア育成委員ほか。エポック・・還暦のアルバトロス、'06...

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