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2010年07月31日(土)更新

『断捨離』(その2)何でも捨てればよいのか?

前号で耳慣れぬ言葉として「断捨離」についていろいろ教えられることが
多かったことを書きました。

・・『モノは、入口でストップの「断」 いらないモノは、捨てるの「捨」
モノから離れて、片づけから自由になるの「離」。
難しかった行法哲学が、日常の暮らしの中に落ちていきました。
収納に焦点をあてるのではなく、モノに焦点をあてるのでもなく、自分と
モノとの関係に焦点をあてるのが断捨離だと気付いたのです。
(やましたひでこ著 『ようこそ断捨離へ』「序の章」P-19より)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

全くその通りだと思いますが、この2冊の本が示しているのは、すぐれて
個人の生活、住まいと自分の関係をもっとご機嫌なものにするために書かれ
ていることがほとんどだということです。

もちろん仕事、職場でも整理、整頓・・など5Sの大切さはいうまでもあり
ませんが、“自分とモノとの関係に焦点をあてるのが断捨離”というなら、
当社などの仕事では、古い資料が役にたつケースはかなり多いですし、顧客
との打ち合わせなどで「イメージの摺り合わせ、共有」ではモノが仲立ち
することも少なくありません。

若い人は「古いモノは捨てろ」「邪魔!」と言わんばかりですが、ではモノ
に頼らず、顧客の頭の中にあるイメージを的確に描いてみせる表現力と広範
な知識を持っていますか、と言いたいのです。

もう一つ、モノを通して人間関係が成立し、その後少なからずビジネスに
結び付いた例もあります。

例えば、自分にふさわしくない高額なものはありませんが、書や絵画、
工藝品、書籍などは実際に購入することで作者と一段と近くなるきっかけ
ができ、生涯のお付き合いが生まれたり、当社の仕事を思いだして下さって
ご用命をいただくこともあります。単に見ただけでは深いお付き合いには
ならないでしょう。お互い様です。作者も生活しているのですから。

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~一層求められる「アナログ感覚」~

「佐藤可士和のクリエイティブシンキング」(日本経済新聞出版社刊)の
ブックレビュー(週刊ポスト最新号)で、佐藤さんは次のように述べてい
ます。

『例えば農業に関して何か知りたいという時に、僕らはネットを調べて
わかったような気になる。でも実際はネットの文面を読んだだけで
“読んだ”と“わかった”は違うということにもみんな薄々気づいているん
ですよ。だったら30分でも畑に出て芋の一本も掘った方が情報量は莫大で
そういうリアルな実体験や手触りを伴った「わかる」や<アナログ感覚>
が、今後一層求められていくと思います』

週末は家族で貸農園へ行く、というのが佐藤さんの目下の趣味のようで、
そこからの言葉だと思いますが、進化する情報端末で「事足れり」と考え
ているなら「モノづくり」はできないし、これから優位に立つことも出来
ないと思います。

自分の目で見る、自分の手で持ってみる・・そういうアナログ実体験の
ない人にモノは作れないし、作っても人を共感させることは出来ないでし
ょう。

そもそも買わなければ(断)捨てる(捨)も、もちろん(離)もありませ
ん。(しかし企業経営者としては不景気は困る。自分は買わないけれど、
他人には買って欲しい・・というワケですネ)

ともあれ、私の場合ですが、モノから学んだこと、モノを通して多くの人と
も知り合い、それが少なからず経営に役だってきたこともあったと思ってい
ます。

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2010年07月27日(火)更新

『断捨離』~モノ・コト・ヒト、そして心の片づけ術(その1)

断捨離=“だんしゃり”と読むんだそうで、皆さん結構ご存知らしいんで
すが、この言葉、私は先日初めて知りました。

クラター(がらくた)コンサルタントと称する著者やましたひでこさんの
『新・片づけ術ー断捨離』『ようこそ断捨離へ』を読んでみました。
(新・片づけ術・・は昨年12月の初版から半年で15刷のベストセラー。
世の中、いかに片づけに悩んでいる人が多いかの証明?)

新・片づけ術「断捨離」やましたひでこ (著)  ようこそ断捨離へ モノ・コト・ヒト、そして心の片づけ術 やましたひでこ (著)
写真 『新・片づけ術 断捨離』 『ようこそ断捨離へ』

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きっかけは先日朝のTVのワイドショウで出てきた話題「断捨離」。

おもしろかったのは、床の上に衣類が山積みになってる映像を見ながら、
男性のキャスターが、「このようになかなか片づけられない悩みをお持ち
のお宅も多いですよね」と話し始めて、しばらくすると「・・・・・」と
なり、「あれ?これ僕の部屋だ!!」と、顔を真っ赤にして「誰?だれが
ここ撮ったの?いやー参ったなあ」と大慌て。そりゃー許可したのは奥さん
に違いありません。「TVでかっこいいこと言ってますけど、ホントに片づ
けられないんですよ」という奥さんの怒りが、“公開処刑”という形にな
ったに違いありません。
キャスターのあの大慌てぶり→ご帰宅後二人はどうなったでしょうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

著者は一時流行した「収納」「収納術」では問題は解決しないと言います。
本の帯にあるように「つかわないモノは手放す! ためらっている自分に
踏ん切りをつける!」。・・ウーン、その通りなんですけれど。

長年の間に本や衣類、趣味の道具など結構モノがたまり、しかもなかなか
整理しにくくなってくると、人が主役かモノが主役かわからない=人の目
よりも「これは何か間違っているんじゃないか?」と自問自答するように
なります。

でもそれぞれに「愛着」や「思い出」もあるし。(著者は、それは愛着では
なく執着ではありませんか、と。・・そう言われればそうかも)

著者は「全て心の問題」と、そこを明快に「断」じ、納得させてくれます。

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内容豊富ですが、サワリから。
『断捨離とは、不要・不適・不快なモノとの関係を、文字通り、断ち・捨て
・離れ、引き算の解決方法によって停滞を取り除き、住まいの、暮らしの、
身体の、気持ちの、人生の、新陳代謝を促進する・・・』

あるいは『モノの片づけを通して自分を知り、心の混沌を整理して人生を
快適にする行動技術』であり、『家のガラクタを片づけることで、心の
ガラクタをも整理して、人生をご機嫌へと入れ替える方法~そのためには
「断」=入ってくる要らないモノを断つ。「捨」=家にはびこるガラクタ
を捨てる。

そして「断」と「捨」を繰り返した結果訪れる状態を、「離」=モノへの
執着から離れ、ゆとりある“自在”の空間にある私』へと導くのが断捨離
なのです。と。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 やましたひでこさんは、大学在学中にヨガ道場で、心の執着を手放す
「断行・捨行・離行」に出会い、これを片づけ術として誰もが実践できる
ようにした、と紹介にあります。東京出身ですが、結婚を機に今は私の近く
石川県小松市にお住まいということでさらに親しみが。

北陸地方の方言「むたむた(取り散らかしたもの、ガラクタ)」・・実感
があっていい言葉だとやましたさんは笑う・・を断捨離することは、時間
の軸を今に戻し、重要軸を自分に据えていくこと。
それは今の自分にふさわしいというモノ選びにつながるはず、とおっしゃる。
そして、モノから始める、コト、ヒト、全て、自分との関係の
 問い直しをしてはどうか
、と。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

有り余るモノに埋没しかかっている日本人。一方で日本からの援助物資の
ネームがついたままの学童体操着を嬉しそうに着ている最貧国の子供たち。
(本文から)

この2冊の本は、単なる「収納術」や「片づけ術」のノウハウ本にとどまら
ず、モノを手放せばそれだけスペースが広くなると同時に心が軽くなり、
ご機嫌な日々を手にすることが可能になりますよ、というのがテーマのよう
です。

「断捨離」・・このあともいろいろ考えてみたいと思います。

当分ダンシャリストの
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2010年07月21日(水)更新

「型にはめる」ことの是非

『幼い頃から、「型」にはまった人間になるなと教え込まれて育った。
物事にとらわれない、自由な発想で人生を切り開けと、そう言われ続けて
きた。戦後民主主義の旗の下、いわゆる団塊の世代は、何よりも「型」に
はまったことは悪であると、叩きこまれたのである。
だがそういう教育を施された人間が成人し、職に就き、結婚し、家庭を
持って子供をもうけ、育て上げて見たものは、無節操で自分勝手な若い
世代の、無残な姿であった。
コンビニの前で無様に座りこむ若者たち。公衆の面前でのあからさまな
愛情表現。若い女性たちの、人目をはばからぬ電車内での化粧。
親が子を殺し、子が親をあやめる凄惨な事件の頻発。
これらは何を意味するのか。

確かな規範を持たずに国を動かしてきた大人たちの、自信のなさと、無節
操、安易な金儲け主義、間違った個人主義。そしてそれらの元にある教育の
荒廃。これらの連鎖によって、かかる事態は引き起こされたと断言できる。
要するに我々は失敗したのである。 』

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いやー、なかなか手厳しいことをおっしゃるのは『男の作法』(こう書房)
の著者、馬場啓一さん。“はじめに・・人生には型がある。人生の型を
覚えよ”と題した前書きの冒頭部分を引用させてもらいました。

著者自身1948年生まれの団塊世代なので、40項目にわたる服装、酒、
人間関係の深耕、ビジネスマナー、読書や趣味、女性との付き合い方まで
硬軟取り混ぜて「男の作法」を説かれていますが、いわば団塊世代の忸怩
たる思いを、『我々がもっとしっかりしていたら、という悔恨が、本書を
 書かせたのだ。』という前書き最後の一文に凝縮しています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私は著者より6歳も年上なので、いわゆる団塊世代ではありませんが、
その世代とともに仕事をしてきたし、近い感覚も持っていると思います。
カナイはモロ団塊世代です。

確かにどのような教育を受けてきたか、というのは10年、20年後に
現れるものでしょう。もちろん学校教育だけでなく家庭、社会からのもの
も含めてですが。

団塊ジュニアについて「我々とは違うなあ」と思うことはしばしばありま
すが、「我々は失敗したか」という点になると正直よくわかりません。

「今時の若い者は・・」というフレーズは縄文時代からあった、という
笑い話もあるくらいですから。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「型」については、古典、伝統芸能を学ぶものには常々「守・波・離」
(しゅはり)として大切なものとされています。

受け継がれたものを守り、現代に合わなくなったものを捨て去り、新しく、
独自の工夫を加え、そして今までの「型」を越える。

当社は以前は「型屋(染型屋)」と呼称されていました。「型」は得意
なんですが、通常の仕事や生活で「型にはめる」是非については・・・
よく考えてみたい「案件」ですナ。


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2010年07月16日(金)更新

「全英オープン」始まる。

ゴルフの「第139回全英オープン」が始まりました。
今年は150周年だそうですが、途中2度の大戦などで開催されない年も
あり、139回目ということです。

文字通り“ENGLISH OPEN”だったわけですが、最古のゴルフ
競技であり、世界中から名選手が参加するようになって「THE OPEN」が
通称となりました。

ゴルフ好きの方は、日本から9人も出場しているし、中でも今や世界で
名実ともに人気選手となりつつある石川遼選手を見たくて深夜までご覧に
なっていた方も多いでしょう。私もその一人です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今年は「ゴルフの聖地」といわれる「セントアンドリュース オールド
コース」での28回目の開催。スコットランドエジンバラから車で1時間
ほどの歴史ある大学など学園都市で、北海が目の前です。

2004年、奈良の女子プロで、日本人としては唯一「ヨーロッパ女子ツ
アー」を転戦した経歴を持つ、Sプロの案内で、このオールドコース他を
プレー、観光などもしました。

8月初旬、かなり緯度が北ですので、日によっては肌寒く、またよく言われ
るように一日のうちでも天候の変化が激しい所ですが、幸い滞在中はとても
好天に恵まれました。

「セントアンドリュースオールドコース」・・一度は行ってプレーしてみた
い、とよく聞きますし、私も憧れていた一人でしたが、その印象を一口で言
えば、海岸沿いの壮大な“原っぱ”です。スタートの1番ホールとホーム
ホールである18番のフェアウエイが一緒になっていて、整備もされている
のでTVで見てもきれいですが、あとは本当に起伏の少ない、樹木もない
コースを外すとあるのは草むらと藪(ブッシュ)。

地元の郵便局に勤めているという青年が、キャディとしてバッグを担いで
くれましたが、子供の頃からここで遊びながらゴルフをしているので、私の
ボールが大きく曲がっても、ちゃんとそこへ連れていってくれます。
聞けばハンディ3という腕前なので、世界中からやってくるヘボゴルファー
たちの珍プレーぶりは、仲間内の格好の話題になっているに違いありません。

夜10時頃、ようやく薄暗くなるスコットランドの夏。18番ホールの真横
にある、有名な200年以上も経つというホテル「ルサックス」のラウンジ
の椅子で、シングルモルトをやりながら世界各地からやってきた老若男女の
「ゴルフ狂」たちが上がってくるのを眺めるのはなかなかオツなものです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

エジンバラでセントアンドリュースよりももっと古いゴルフクラブの跡を
訪ねたり、ゆるやかな草地がどこまでも続く田舎の古いレストランで
ビックリするような美味しいワインとともに楽しんだ英国らしからぬおい
しい食事は、同行した人たちにもとても満足だったようです。

個人的には、よく言われるようにスコットランドにはイングランドとは全く
違う文化があり、別の国のように思いました。

「静謐」という言葉があてはまる冷気と精霊が漂うような英国の北部地方。
もう一度機会があれば夫婦でいってみたいと思います。

11番ホール、ストラスバンカーからナイスショット 早朝の2番グリーン。このアンジュレーションこそがリンクスの特徴
選とアンドリュース湾から見る朝陽 18番グリーンとロイヤル&エンシェントゴルフクラブ
長年、撮影のため訪問すること50回以上。
オールドコースのメンバーでもある知友秋山真邦氏(写真家)の作品(ポストカード)


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2010年07月13日(火)更新

「音楽の泉」(NHKラジオ)

私と音楽の出会いで思いだされるのは、昭和30年代、中学生の頃のNHK
ラジオ「音楽の泉」と公会堂での生演奏「労音」です。

「音楽の泉」は、今でも続いているようですが、日曜の朝、初代堀内敬三
さんの解説で、その声と語り口は、50年も経っているのに今でもはっきり
覚えています。2代目の村田武雄さんは30年近く担当されたようですが、
かすかに記憶があります。もう私は社会人となり、テレビを見る方が多く
なったので印象がうすいのだろうと思われます。

生演奏鑑賞の方は、当時「労音」(勤労者音楽協議会)が活発で、服飾学院
へ行っていた姉に頼んで時々チケットを買ってもらっていました。
資料を見ると、'60年代半ばの最盛期には、全国に192もの地域組織が
存在し、60万人もの会員がいたようですが、その後急速に衰退した、と
あります。

その理由は中・高生だった私には分かるはずもありませんが、家庭で手軽
にレコードプレーヤーで音楽(クラシックやポピュラー)が楽しめるよう
になったこと、「労音」がやや政治的な色彩を帯びていたからでは、と
勝手に想像しています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

現在から振り返ると、質的にも量的にもきわめて素朴なものだったと思い
ますが、多感な年齢の少年には「音楽の泉」も、市の公会堂で聴く「労音」
のコンサートもみずみずしい「文化」そのものだったような気がします。

大した音質でもないラジオから、堀内敬三さんの解説でモーツアルトや
バッハ、ベートーベンなどなど軽い興奮の中、夢中で聴いていました。
公会堂では、オペラ「蝶々夫人」や数々のクラシックコンサート、ダーク・
ダックスなどのポピュラーまで、プログラムが懐かしく思い出されます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

先日、ワインの「オーパスワン」他、カリフォルニアワインを楽しむ、と
いう催しがありました。友人たちと出かけたのですが、「オーパスワン」
とは、クラシックで"作品番号1”という意味だということが、パンフで
わかりました。
そういえば、堀内さんの声で楽曲名の後に「オーパス○○」と言っていた
なあ、と思いだした次第。

同様にモーツアルトの曲には、必ず「ケッヘル○番」という、番号を言い
ますが、これはケッヘルという人が、モーツアルトの作品を時系列的に
配列した番号で世界共通の認識番号とのこと。

その後、別の研究者により、作品の成立時期が見直されたことや、新しく
発見された作品が出てケッヘル番号は何度か訂正されてきたそうですが、
覚えにくいことから現在でも「初版の番号(第6版の番号)」が使われる
ことが多いそうです。

ケッヘル番号から楽曲名を言えるほどのクラシック通ではありませんが、
モーツアルトのフルート曲などは、50年経っても、朝聴いたりすると
気分爽快、いい一日になるような気分になります。



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2010年07月09日(金)更新

涼しい句

桜ばし=夏の箸置きマット
写真 <桜ばし=夏の箸置きマット>

時々伺う近くのビジネスホテル内にある和風レストラン「桜ばし」。
この季節、アジサイの絵とともに夏の「箸置きマット」に書かれた句は、

         しばらくは滝にこもるや夏の初

以前にご紹介した春の桜の句と同様、芭蕉の句。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「夏の初」をどう読むのか支配人にお尋ねすると「げのはじめ」と読み、
 「夏(げ)」は「夏行(げぎょう)」のことで、陰暦4月16日から
90日間水垢離などをする僧侶の行のことを言うとのこと。

そういえば、ついこの間「半夏生(はんげしょう)」だった。夏を“げ”と
読むんですね。半夏生とは夏至(これも“げ”!)から数えて11日目、
今年は7月2日で、金沢では半夏生の日に必ず食すという名物「氷室饅頭」
を、いつものように仕入れ先のOさんからたくさんいただいた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この滝は日光東照宮の近くにあり、滝の岸壁にくぼんだ空間があり、滝水
の落下が裏から見れるので「裏見の滝」として当時は華厳の滝よりずっと
有名だったとか。

「裏見の滝」を見物しながら、まるでその夏行に入ったような気分になっ
た。そういえば、もうそろそろ夏行の始まる季節だなあ、と芭蕉が詠んだ
のである、と「奥の細道」の解説にありました。

落下する滝水を裏から見るというのは、なかなか涼しい光景に思えます。
どこか外国の瀑布にスケールの大きなものがあったように覚えています。


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2010年07月07日(水)更新

七夕伝説

七夕の<説話>
こと座の1等星ベガは、中国・日本の七夕伝説では織姫星として機織りが
上手で天帝の娘。夏彦星(牽牛星)は、わし座のアルタイルで働き者。
天帝は二人の結婚を認め、めでたく夫婦となったが、夫婦生活が楽しく、
織姫は機を織らなくなり、夏彦は牛を追わなくなった。このため天帝は
怒って、二人を天の川を隔てて引き離したが、年に一度7月7日だけ会う
ことを許し・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今日7月7日は七夕(たなばた)。この拙ブログも総訪問者数7万を超え
て、なんとなく7に縁のある心持がしています。読んで頂いて恐縮してい
ますし感謝申し上げます。できれば700回くらいまで頑張って続けられ
たら・・と思っていますが。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

七夕の<風習>
全国的には、短冊に願い事を書き、葉竹に飾ることが一般的に行われてい
る。短冊などを笹に飾る風習は、夏越の大祓に設置される茅の輪の両脇の
笹竹に因んで江戸時代から始まったもので・・・

<説話>も<風習>もWikipediaから引用しました。なんという便利で
すごい世の中になったものかと思います。
「知る喜び」「調べる楽しみ」が尽きません。ブログを書くのにも助けて
もらっています。
そして人類の知恵は、iPadに3DTV、コンピュータの環境はクラウドへと
留まることを知りません。

後世、私達の生きた時代も「織姫と彦星」のようなロマンティックな伝説
を残すことができるといいのですが。

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2010年07月05日(月)更新

「身土不二」・・石塚左玄の“漢方の食養生法”

石塚左玄は江戸時代末期に福井市で生まれ、「食育」を日本で最も早く
提唱した医師です。

昨日の福井新聞に、石塚左玄の功績を研究している地元の岩佐勢市さんと
いう方が『食育の祖 石塚左玄物語』(A5版 89ページ 580円 
正食出版刊)を出版されたという記事が掲載されていました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 医師石塚左玄についてご存じの方は少ないのではないかと思います。
かく言う地元の私も名前を聞いたことがあるくらいでしたが、つい先日、
東洋医学・漢方のM先生(大阪)のところへカナイと治療を受けに行った際、
待合室に「漢方の食養生法」という20頁ほどの小冊子があり、そこに
「石塚左玄翁」の食育に関することが詳しく書かれてあるのを読んだ直後の
新聞記事でしたから少し驚きました。

冊子の後半に『食医 石塚左玄先生』と題して、左玄は日本人は五つの原理
に基づいた食べ方をしなければならないと述べている、とあります。

その五つの原理とは、1.食物至上論 2.陰陽調和論 3.穀物動物論
4.一物全体食論 5.身土不二論 です。

全てをご紹介できませんが、最後の「身土不二論」というのは、その土地、
その季節のものを食べよという教えです。

身体とそのおかれている風土とが、一体となること。その土地、その地方
に先祖代々伝わってきた伝統的食生活には、それぞれ意味があり、またその
土地に行ったらその土地の食生活を学ぶべきであると。

今や食生活における季節感というものは薄れ、自然のリズムを無視した姿
がそこにあります。人類は高度な文明を築く程に進歩したが、自然との調和
に関しては後退の一途をたどっている、というようなお話がM先生の解説を
まじえて書かれています。

ただM先生は、「明治時代と違いますから。あまりストイックに考えても
逆にストレスになりますよ」と笑っておられました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

これとよく似た話を、建築家で心友のS君が昔からよくしてくれました。

「家」も、その土地で生育した木で建て、壁や瓦にはその土地の土を使う
のがそこで暮らす人間に最も適している・・これも「身土不二」でしょう。
密閉につながるサッシや新建材がアトピーなどの障害を生むことと無関係
ではないと言われています。今の時代にはなかなか難しいことですが。

要するに、人はあまり「風土」を無視して生活すると病気になったりする、
ということでしょう。

さらに言えば、医学を東洋、西洋と区別するのではなく、どちらもその良い
点を「医療を受ける人」のために活かすべきであり、もちろん病院や医師の
ために医療が存在するわけではありません。

最近は、鍼灸や漢方の「身体全体を見渡して“整える”」という考え方、
その前の「命は食にあり」「病は口にあり」など、現代栄養学とは違う
日本人に合った“食養”を説く左玄や益軒のような古人の食生活に関する
研究も大いに参考にする必要があると考えるようになりました。


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2010年07月01日(木)更新

新「外国人技能実習制度」がスタート

今日7月1日から、改正入国管理法が施行され、これまでの外国人研修・
技能実習制度に変わって「外国人技能実習制度」がスタートします。

以下は今日の繊研新聞の記事です。

『制度改正は、長時間残業や不払い賃金などをめぐってトラブルが多発し、
批判が高まったことを受けて行われた。「国際貢献・技術移転」という
制度の建前を堅持、新たに在留資格「技能実習」を新設し、縫製業に多い
団体管理型受け入れの場合、2ヶ月間の座学研修期間を義務付ける一方、
それ以降は雇用契約を結び、実習生は労働基準法や最低賃金法など労働
関係法令の適用を受ける。また3年間を通じて受入れ団体の「責任」も
明記。不正行為を行った際の罰則も強化された。』(以下略)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一昨日、ここ3年ほど衣装の縫製をお願いしてきた、S縫製のA社長が廃業
の挨拶に来られました。私と同年で、ともに「ものづくり」に人生の大半を
かけてきた、いわば同志のような人。

4~5年ほど前から、大手アパレルからの受注が減り、ロットも小口化、
設備・人員を縮小し、他産地と同様、実習生という名の中国人の縫製工を
中心に切りまわしてきたのですが、苦境は深まるばかり。

個人的なつぎ込みも限界なので、昨年末から廃業の決意を固めたとのこと
です。
その決断の理由の一つに、新しい「外国人技能実習制度」も関係している
ように聞こえました。

簡単にいえば、繁閑の激しい受注を乗り切るため、実習生も望んで長時間
の残業に応じてくれたこれまでのようにはいかなくなった、ということで
しょう。

また、実習生の資質が以前に比べて低下しているようだ、とも。
中国でも繊維産業などでは人手不足となりつつあり、優秀な工員は新産業
の方に就業する傾向が強いようです。
そのため、技能を教えるのに非常に時間・手間をとられ、生産性が上がら
ない、クレームが多くなったという悩みも話されました。

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かって縫製が一大地場産業だった地域でも、社長の月給が5万円(あとは
年金で)、奥さんは無給で、中国からの“実習生”だのみでなんとか続け
てきたというケースもあると聞きましたが、もう無理ではないかと思います。

縫製を引き受けてくれるところがないと、当社の業務も続けられませんから
パターン(型紙)の自社制作など、考えられる対応を早急にやっていかねば
なりません。

逆に考えれば、このものづくりのシステムを国内できちんと守る、あるいは
再構築できたら、勝機はあるとも言えます。

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A社長も頑張ったんですね。儲けるとか何とかより、ひたすら自分が納得
できる「ものづくり」をしたい・・それが一番の報酬と考えてきたのでしょ
うが、グローバル化、フラット化が許してくれなかった。

エコポイントや地上デジタル化対応などで、一時の活況を呈しているかに
見える自動車や家電も「需要の先食い」という見方もあるようです。
縫製産業と同じ道をたどらないとは誰も言えないのでは、とA社長を見送り
ながら思いました。


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