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2010年09月21日(火)更新

(続)「書の魅力」・・芳名お手本帖が出てきて

昨日20日は、友人のMさんも出品している日本画展を観に行ってきました。
いよいよ美術の秋、公募展をはじめ種々の展覧会シーズンです。

会場入り口で「どうぞご芳名を・・」と促され、カナイの名前もあわせて
記帖しましたが、やはりお隣に達筆で署名があると気になるものです。

前号で「書の魅力」について書きましたが、そういえば毛筆での署名や
記帖となるとちょっと気おくれというか緊張します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここのところ断・捨・離(大掃除)を続けていますが、いろいろな物が
出てきて、写真などはそのたびに眺めたりしているのではかどりません。

もうかなり前に書家の吉川壽一さんからいただいた、「芳名お手本帖」も
出てきました(私バージョンです)。これでちゃんと練習すれば今頃は・・
とあらためて思ったのですが、本当にこの「お手本帖」は素晴らしい。

横山国男 芳名お手本帖
写真1 <横山国男 芳名お手本帖>

吉川さんによると、下記の6本の線が四千年の書の歴史から生まれたそうで
その説明は興味深いものです。

6本の線とは

写真 < 6本の線とは>

<説明> ・上記の6本の線は、約4000年の書の歴史から生まれてきま
した。1の甲骨文は骨や甲羅に刻された文字です。2の篆書は青銅器や石に
鋳造されたり、刻されたものです。3の隷書になると木や竹や帛に墨書され
たり、陶に焼かれた線なのです。墨・紙・硯・筆などの文房四宝が揃って
美的な要素から美しい文字に整えられてきたのです。
・より自由で、指や手や腕や頭が柔軟であった時から、だんだん理性の強い
楷書になっています。私たちが上達を目指すとき、それは楷書から始めるの
ではなく、筆の柔軟さ(開・閉)や指の先端の運動などを重視した、草書や
行書から習ってゆくことを薦めています。
・まず、筆を持ち、やわらかく、なんでも書いてみる姿勢が大切です。
楷書は、目習いをして構造を知ってから筆を執ってほしいのです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お手本はこうです。

・行書(上段)、草書(下段)の書き方
・行書(上段)の書き方 ・行書(上段)の書き方 ・行書(上段)の書き方 ・行書(上段)の書き方

・楷書
草書(下段)の書き方 草書(下段)の書き方 草書(下段)の書き方 草書(下段)の書き方



それで芳名などを書くときは

芳名 芳名 芳名


となるわけですが・・・。(他にも横書きなどお手本多数)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

平成2年2月2日、2並びの消印が押された色紙2枚も同じ紙袋の中に。
(下はカナイの名前の一字から 麗)

色紙

細字は、
 「うるはしみ吾が思ふ君はなでしこが花になぞえて見れど飽かぬかも」
(大伴家持)。前衛書家ですが、NHK大河「武蔵」の剛直な題字から
この流れるような美しい細字まで、「書家」ってすごいなと思います。

ともあれ私の“実用の書”は遠い。

(お気づきかも知れませんが、このブログの社名ロゴも吉川壽一書です)


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2010年09月17日(金)更新

「書」の魅力

記憶にも記録にも残る暑い夏でしたが、ようやく朝夕は秋の気配が少し
感じられるようになりました。

書家の吉川壽一さんには当社の顧問もしていただいていますが、彼から
くる書状やはがき、ファックス文書のほとんどは毛筆書き。スラスラと。

下はこの夏の初めの素敵な暑中見舞いです。
~~~と涼しい風が・・このような文字遊びも日本の「書」ならではの魅力。

暑中見舞い 書 吉川壽一
写真 <暑中見舞い 書 吉川壽一>

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

メールやワープロが多くなって、文字を書く機会が減っていますが、手紙・
はがきなどは太字の万年筆やボールペンなどでつとめて手書きしています。
さすがに毛筆とはいきません。

端正な文字、能筆・・悪くありませんが、一般人はむしろなんともいえない
その人なりの味のある文字を余白をうまく使って書けたら最高だと思います。
目指すは“へたうま”!。


下は魯山人の献立表とはがきです。(『別冊太陽』SPRING 1983から)
もちろん一般人ではありませんが、ワープロ文字には無いご本人の楽しさ
が伝わってきます。絵手紙が人気なのもわかります。


星岡茶寮のある夜の魯山人直筆の献立表(昭和44、5年頃か)   私の料理観 (自筆赤絵筒向付)ーはがき
写真左 星岡茶寮のある夜の魯山人直筆の献立表(昭和44、5年頃か)。
  右 私の料理観 (自筆赤絵筒向付)ーはがき



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2010年08月11日(水)更新

東京出張。「オルセー美術館ポスト印象派展」も覗く。

先週末は久米繊維さん他を訪問し、情報交換、今後の取り組みなどを
スタッフの皆さんとお話させてもらいました。

墨田区の新タワー「東京スカイツリー」もかなり工事が進捗してその威容
に圧倒されます。

この21世紀の建築技術、テクノロジーの粋のタワーのおひざ元には、
お相撲や葛飾北斎、数々の江戸の職人仕事がまだまだ健在で、とても面白
い地域として脚光を浴びることになるでしょう。
東京は輝きを失ってはいないなあ、とうらやましく思えます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日の土曜日、会期が残り少なくなった「オルセー美術館展2010-
ポスト印象派」を観るため、乃木坂の「新国立美術館」へ。

初めて見るこの美術館、どこかで見たようなと思ったら福井市美術館と
そっくり(スケールは違いますが)。
それもそのはず、設計は共に黒川紀章さん。

新国立美術館 新国立美術館
<新国立美術館と右は別館>

福井市美術館 福井市美術館
<福井市美術館 >

ガラスと曲線を多用した造形。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

オルセーの改修期間を利用して持ってきたポスト印象派の作品115点。
美術史上の「ポスト印象派」について不案内の私やカナイには、やはり
なじみのある作家・作品の前での時間が長くなります。

モネ(5点)、点描といえばスーラ(11点)、大好きなセザンヌ(8点)、
ゴッホが7点、ゴーギャン8点などいずれも観ごたえがありました。
なぜか魅かれるロートレックも3点あり、いい展覧会でした。

中でもゴッホの「アルルのゴッホの寝室」は、ゴッホの当時のおかれた複雑
な状況が見て取れ好きな作品ですが、実は複数制作され他の美術館や個人で
の収蔵があることも初めて知りました。

ゴッホ「アルルのゴッホの寝室」1889年
写真<ゴッホ「アルルのゴッホの寝室」1889年>

もう10年以上も前、オルセー美術館へ行ったことがありますが、そこで
見たのか全集でみたのかすら記憶があいまいになっている作品も多くて
情けないですが、特に今回強い印象だったのはアンリ・ルソーの「蛇使い
の女」(図録表紙)「戦争」の2点。

ルソー「蛇使いの女」1907年 ルソー「戦争」1894年頃
写真 <ルソー「蛇使いの女」1907年> <ルソー「戦争」1894年頃>

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私もそうですが、日本人は「印象派」が好きだと思います。
作品の写真はいずれも公式図録から。会期は8月16日まで


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2010年02月23日(火)更新

「鳥獣人物戯書」!?

大河ドラマ「武蔵」のタイトルや、「ヴァガボンド」などの数々のマンガのタイトルを
書してきた、SYO家吉川壽一(当社顧問)のタレントぶりにはいつも驚かされます
が、昨年の活動状況を報告した「壽一通信」を見て、あらためて彼の「書ワールド」
なるものの一端を見た気がしました。

前衛書家としても名を上げたわけですが、「水墨画」なども素晴らしいし、昨年3月
「京都国際マンガミュージアム」での展覧会は「まんがタイトルロゴと書の美 鳥獣
人物戯書」というもの。

「鳥獣人物戯画」なら、京都高山寺に伝わる、平安末期の世相を憂いつつ、時に
は微笑ましい風刺を、無名の僧侶たちが鳥獣に仮託して描いた絵巻物として
有名です。(作者が鳥羽僧正かどうかはそれを証する資料はないそう)

「戯画」でなく「戯書」だという。

壽一通信 VOL11より

「鳥獣人物戯画」でも、ウサギ、カエル、サルなどが擬人化して描かれているわけ
ですが、「戯書」では書家が描いたらこうなると。

活き活きした筆使い(線)に彼の才能があふれているように思います。

トートバッグ

こんなトラもチャッチャッと描いてしまうんですから。


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2009年10月13日(火)更新

炎の芸術・・「人間国宝  荒川豊蔵展」

三連休でしたが、いろいろしなければならないことを先送りしていたため、3日目
の12日(祭日)にようやく外出しました。

車で20分ほどの「福井県陶芸館」が11月23日まで開催している『人間国宝荒川
豊蔵展』を夫婦で覗いてきました。

陶芸館入口  重さ300キロ 越前焼の大壷

陶芸については深い知識がありませんが、大好きです。
ちょうど館内で、日展作家の司辻光男さんが“ろくろ”で越前焼のビアマグを整形
する実演中で興味深く拝見しました。

最後に親指で、クッとマグの腹を押すとえくぼができ、ここが飲むときにちょうど
親指がきて持ちやすい。そしてわずかに飲み口が手前に傾くことになるので
飲みやすくなるとのこと。
えくぼがもたらす効果で、親しみのある「越前焼のビアマグ」があっと言う間に
次々と並ぶ。

熟達のろくろ回し 見事に並んだビアマグを前に楽しい陶芸 の話を聞かせていただく

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

荒川豊蔵(1894~1985)は、「志野」をはじめとする桃山時代の美濃焼の再興
に取り組んだ昭和を代表する陶芸家です。

ピンクがかった肌色の「志野焼」の作品たちは、所どころに美しいオレンジの炎の
濃淡を映しながら鑑る人に感動を呼び起こします。
91歳までこの道ひとすじにというのは、ご苦労もあったでしょうが充実した生涯
だったろうと想像させられます。ほんとに芸術家は長生きされる方が多いですね。

全国の窯を訪ね、そこに滞在して作陶を行ったことでも知られていますが、ここ
“越前”(六大古窯の一つ。あとの5窯は瀬戸、丹波、備前、信楽、常滑)でも、
荒川豊蔵はいくつものおおらかで楽しい作品や絵を残しています。

越前焼には約1000年の歴史があり、肌あいは「備前」に似ていますが、縄文を
思わせるような素朴で原始的な強さがあり、備前はもっと垢ぬけした雰囲気を持
っているように私には思われます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

やはり「茶碗」の名品が多いのですが、そこで思いだすのは利休居士の次の言葉。

    『恥を捨て人に物問い習うべし 是ぞ上手の基なるべし 
  茶の湯とはただ湯をわかし茶をたてて 呑むばかりなることと知るべし
    茶はさびて心はあつくもてなせよ 道具は有り合わせとせよ』

 茶はわびさび、道具は有り合わせ、しかるに心はあつくもてなせ、という教え
でしょうか。 「茶の湯」の魅力は深いですね。

人間国宝荒川豊蔵展 チラシ 表 人間国宝荒川豊蔵展 チラシ 裏


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2008年09月26日(金)更新

荻須高徳コレクション展を観る。

地元デパートから「荻須高徳 秘蔵のコレクション展」の案内があったので、カナイ
と昼食をかねて観に。
油絵、水彩、リトグラフ、デッサンなど40点あまり、大好きな画家の一人なので、
とてもハッピーな時間を過ごしました。

 “金のかたつむり” 荻須記念美術館蔵  “ノワルムーチェの風車” 荻須記念美術館蔵

 荻須高徳(1901年愛知県稲沢市生れ~1986年パリで死去)は、東京美術
学校(現藝大)へ進み、師は藤島武二、同級生に小磯良平、渡仏後は佐伯祐三
の親友として彼の死にも立ち会ったようです。フォーブ(野獣派)のブラマンク、
ユトリロなどの影響を強く受け、後年は独自の画風を確立しましたが、画業活動の
ほとんどをパリで行い、1956年にはフランス政府からレジオン・ドヌール勲章を、
1986年(昭和61年)には、文化勲章も受章しました(没時追贈)。

上記した画家たちとその作風は、私の最も好むところですが、中でも荻須の描き
続けたパリやベニスの街角、お店など、建物や街頭の風景には強く惹かれ、趣味
の水彩画を描く時でも頭のどこかでチラチラします。

もう一つ、私の中の荻須高徳は、画家にありがちな奔放な感じがなく、いつも髪を
きちんと分け、仕立ての良いシャツとスーツを身に着けたネクタイ姿やツイードの
オーバーコート姿など、多くはパイプを口にして、とてもお洒落な人、日本人には
少ない大人の男、国際派という印象があります(白洲次郎などもその口ですね)。
長いパリでの生活が醸し出す雰囲気もあるのでしょうが、ちょっと日本人離れした
風貌と寡黙な印象で、そのクールな老ダンディーぶりには憧れてしまいます。

荻須高徳

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コレクションはリトグラフ(石版画)が大半なのですが、中にE.A.(作家保存版)の
サインのものが多いので、売り場の人に尋ねると、先年パリで亡くなられた夫人
の関係筋から出たものが多いとのこと、荻須が制作中に急死したため遺作の
リトグラフ制作は夫人が監督し、番号や署名判、アトリエ印も美代子夫人が押し
たものが多く含まれている、とのことでした。

15号の油彩が2点。パリの街角を描いたとてもいいもので、しばらく立ち止まって
じっくり見せてもらいましたが、お値段はともに3990万円。別世界の話なので
格別驚きもしませんが、クリスティーズなど海外のオークションなどではどれほど
の値がつくのだろうか、と一瞬下世話なことを考えてしまいました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この11月22日から12月14日まで、愛知県稲沢市にある「荻須記念美術館」で、
市制50周年・開館25周年を記念して、「荻須高徳展」が開かれるようです。
常設展示品、収蔵品の他に、遺族、所蔵家からも作品が寄せられるようですから、
ぜひ観にいきたいと今からワクワクしています。


横山国男

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2008年07月09日(水)更新

写真家・・土門拳の「風貌」。

何かを表現する仕事に憧れました。ました、というのはもうそのような時間は残って
いないし、第一表現する仕事、例えば画家とか音楽家とか映画監督とかの作品を
生み出すパワーみたいなものは常人の域をはるかに超えていますし、そうでなけ
れば人に感動など与えられるはずもありません。天与の才能は無論のことですが、
両方とも持ち得ないのであれば、プロの仕事を尊敬をもって見させていただくだけ
ということになります。

土門拳という写真家がいて、私達の若いころは木村伊兵衛とか入江泰吉、秋山
庄太郎などとともに大変な人気がありました。晩年脳梗塞から立ち直り、左手で
本業のカメラはもちろん、絵や書、骨董にも才長けた人だったようですが、後年
再び脳血栓に倒れ、11年間昏々と眠り続け、’90年、80歳でこの世を去りました。
出身地の山形県酒田市に全作品を集めた「土門拳記念館」があるそうなので、
いつかは訪れてみたい所の一つです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 黒澤明が仕事に入ると、当初の予算と製作日数は次々と膨れ上がり、延びて
会社(東宝)と常に悶着を起こしていたのと同様、土門拳も「日本工房」時代、その
後の独立以降も機材、フイルム、スタッフ経費などハンパではなかったようです。
現在のようにモノが溢れ、デジタルでどんなことでもできる時代ではありませんし、
特に戦前は良質なものは高価な輸入品に頼ることになります。しかしこのような
不自由と常に戦いながら自己の表現にこだわり続けた情熱こそ、後世にも残る
作品を生み出した原動力になっていたのも間違いないと思います。何不自由ない
というのは情熱、情動の敵かもしれません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

土門拳の作品集では「風貌」が好きです。中でも“電力の鬼”松永安佐衛門は素晴
らしいので、時々引っ張り出して眺めます。日本人の顔、明治人の風貌を感じさせ
てくれます。(本当の事業家になるには、4トウ・・闘病、倒産、投獄、放蕩の経験
なくしては事業家とは言えん、と言ったと伝えられ、美の追求者でもあった松永
安佐衛門翁その人に魅力を覚えるせいかも知れませんが。)
「風貌」松永安佐衛門ー1 「風貌」松永安佐衛門ー2

昭和57年小学館から発刊されたこの土門拳全集(全13巻)9ー「風貌」には次の
ような編集後記があり、考えさせられます。少し長くなりますがご紹介します。

『本巻の風貌(一)に登場する肖像は、もはや私たちの周囲では見られない顔、
と言うよりは殆ど存在しない顔ではないかと、改めて認識させられました。
明治、大正、昭和の日本文化を支え、リードしてきた先達の風貌に共通するのは、
「素朴」「柔和」「厳格」「孤独」が同居する「人間の顔」です。
不幸にして私たちは、このような巨像に接することはできません。この素晴らしい
顔が消失しつつあるのは、日本から、何か大切なものがなくなりつつあるのでは
ないかと、思うのは私ひとりの感傷でしょうか。
それにしても、「風貌」には様々なエピソードが生まれました。多分それは、土門
先生が、諸国武者修行に旅立つ、剣客の心境からきたものではないでしょうか。
一瞬の立会いの、刃と刃の切り結んだ火花の結晶が、「作品」と言えるのでしょう。
この「風貌」は、まぎれもなく日本肖像写真の傑作です。大変な努力があったにせ
よ、これほど傑出した被写体と多く出会えたことは、写真家冥利につきるでしょう。』
(G)

と、ここまで入力して、「ウーン、こういう文章を書けるというのもカッコいいなあ、
ブログも向上するかも。来世は編集者というのもありか」と思う軽薄な私がおり
ました。

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2008年03月19日(水)更新

「一心」・・盲目の貫主が書かれた我が座右の銘

色紙「一心」

この色紙「一心」は、会社の私の仕事部屋に30年架けてきました。
家宝とかその手のものには縁がありませんが、カナイの父より、創業の際に譲り
受けたものとして、最も大切にしてきました。

長い間にかなり黄ばんできましたので、先日懇意の「京表具師」のTさんに「お洗
濯」をしていただいたところ、きれいになって戻ってきました。
額も新しくして気分を「一新」しているところです。

書は大本山永平寺74世貫主佐藤泰舜禅師。昭和50年ごろに岳父が永平寺が
ある町の警察署長に就任した際、戴いたそうですが、この色紙を初めて見たとき、
そのなんとも言いがたい力強さ、迷いの無さに魅かれて、懇望して創業の記念に
譲り受けました。
(因みに今年1月5日、106歳で亡くなられた宮崎奕保(えきほ)貫主は第78世です。)

 実は佐藤貫主様は、目が不自由で視力がありませんでした。この書もお側に
おられる禅僧が、筆を持たれた貫主さまの手を置かれた色紙まで導き、そして
一気に書かれた、と面前した岳父より聞きました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一心・・・私は「一業専心」と肝に銘じることにして来ましたが、「一心不乱」、社員、
家族と「心を一つに」などとも読める、我が座右の銘でもあります。

盲目であられたが故でしょうか、澄み切った、一点の疑いのない素晴らしい書だと
感じるのですが、どう思われますか。

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2007年06月27日(水)更新

<人・モノ・私(2)-アンチックの革トランク>

西洋アンチックという場合、大体60~70年ほど経ったものなら、ということを聞いたことがあります。

トランク外観 トランク内部

写真の「革トランク」は、日本製で1930年代大阪のBABAMANというメーカーのラベルが内側に貼ってあります。
ものすごく堅牢な作りで、内張りの生地(綿布)も完璧、今でも使えますが、これが空港のターンテーブルから出てきたら、皆さんきっと驚くでしょう。

これは10数年前、小松市の知り合いの骨董屋さんで見かけて即買いました。ラベルやシールの残った「革トランク」を手に入れたいと念願していましたので、小躍りして言い値で買いました。

持ち主はM.T.さんという大阪市の技師だったことがタグに残された名刺でわかります。トランク自体にもしっかりしたイニシャルの刻印があり、誂えで作ったものかもしれません。

ラベルを仔細に見ると、1938年、39年ごろヨーロッパへ旅行して(おそらく仕事だと思われます。地下鉄の関係者であることが名刺の肩書きにあります)N.Y.K.(日本郵船)のKASIMAMARUで渡欧したこと、しかも1等のキャビンだったようです。
タグ ラベル・シール

ヨーロッパはナチスドイツの台頭で、戦雲色濃くなる時代、このカバンは持ち主とともに
ベルリン、ブラッセル、パリへ(ホテルのシールから)、そしてクイーン・エリザベス号やクイーン・メリー号を擁したイギリスの客船会社CUNARD LINEのラベルも貼ってありますから、ロンドンにも渡ったことでしょう。(ROYAL ALBERT DOCK LONDONのラベル)

いろいろ夢想は尽きず、楽しいものです。
あきれたカバン好きで、スーツケースだけでも大小7個ほど、その他ボストン、ブリーフケース、キャリーバッグ、ガーメントケース、などなど30個はくだらないと思いますが、
70年も経ているものはこれのみです。


横山国男

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2007年03月13日(火)更新

“魯山人の宇宙展”とダンディズム

日曜日に友人たちが、雪の心配のない滋賀でゴルフをやろう、と
いうことになり、仏像や寺、なだらかな丘陵地、曲がりくねった
街道の湖国「近江路」は、司馬遼太郎、白洲正子ならずともいつ
でも行きたい、走りたい所なので、即「OK」しました。

もう一つちょいと足を延ばして、京都のデパートで開催している
カワシマコレクション、紀尾井町の福田屋所蔵品が公開されると
いう「魯山人の宇宙展」も見たかったので前日から出かけることに
しました。

もうかなり前になりますが、東北新幹線「宇都宮」から、延々と
関東平野を陶芸好きの仲間とレンタカーで走り、「笠間」まで
「日動美術館」と北鎌倉から移設された魯山人の「春風萬里荘」を
観にいったことが思い出されます。

「魯山人」を知ったのは、魯山人が世話になり、またその焼き物
制作に大きな影響を与えたとされる、近くの「山代温泉」須田菁華
さんの店を家内と覗いたときからです。30年も前のことですが、
以来魯山人の作品が気になって仕方ありません。

生涯に、創ったり星岡窯で生産した膨大な焼き物は、一品制作、
床の間の置物とは違った「日用の器」が藝術にまで昇華された例
だと思いますが、類稀な絵や書に対する造詣と創作力、「食」に
対する貪欲な探究心などが相互に絡み合って「とんでもない」作品
の迫力、人間力を世に知らしめた昭和の芸術家の一人でしょう。

人物や作品などについて論評する知識も鑑識眼も持ち合わせて
いませんが、それより「大様な人柄」と言う点に大いなる魅力を
感じますし、作品そのものだと思います。

私には確たる「座右の銘」というものは無かったのですが、最近
ようやく「真善美」でイイカナと考えているところです。

それは「真」か、それは「善」か、それは「美」か、判断時の
フイルターというわけですが、私の小さなモノサシでは計れない、
とてつもなく大きな「真・善・美」を追い求めたのが芸術の魯山人
や山頭火であり、政財の吉田茂や白洲次郎などではないでしょうか。

「孤高」ともちょっと違う、もっと骨太で、対象・本質にぐいぐい
と迫り、「風評」など意に介さず、「美」や「プリンシプル」を
体現したこの「昭和の男たち」こそ、真の“ダンディズム”という
言い方がピッタリ似合うように思えるのです。

果たして「平成」からはどんな「本物の男」が出てくるのでしょうか。

パンフレット 春風萬里荘

左の展覧会図録から 春風萬里荘



横山国男
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http//www.echi-zen-art.co.jp/

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会社概要

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個人プロフィール

「知るは喜び、調べるは楽しみ、分かるは感動、学ぶは一生」とか。高齢者の仲間入りの年齢ですが、仕事でも趣味でもICT時代の恩恵に感謝しています。趣味・・本好き、水彩画、ゴルフ('05までJGA委員、現在中部ゴルフ連盟ジュニア育成委員ほか。エポック・・還暦のアルバトロス、'06...

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    節約の王道(日経プレミアシリーズ) 節約本にありがちな、 ある種のみすぼらしさが感じられない、 上品なというか、気品にあふれた本。 筆者のものの考え方が独特なので、 同意できない方も多数いらっしゃると思われる。 例えば、ゴルフ好き、煙草好き、鉄道模型....