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ターシャ・テューダー逝く。

投稿日時:2008/06/20(金) 06:29rss

アメリカの絵本画家・人形作家・園芸家などで知られ、多くの人に愛されたターシャ
・テューダーさんが92歳で18日(日本時間)亡くなられたことをシカゴに住む次女
からのメールで知りました。

「やっぱり」というのが最初の印象だったのは、娘達が今年一杯で帰国しそうなの
でこの夏一度来ないか、どこか行きたい所ある?と言われて「ターシャの家」に行
ってみたい、あの庭を見てみたい、と我々夫婦の希望を伝えました。

このプランはターシャの住むヴァーモント州南部,それも小さな町のはずれまでか
なり遠いこと、訪問者が多いので制限しており、ネットで申し込んでみたが、とても
順番がまわってきそうにないことなどを知らされてあきらめることにしました。

が、その時ターシャの歳を考えると、おそらく生きているターシャにはもう会えない
だろうと思いました。・・「やっぱり」。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ターシャ・テューダーを昔から知っていたわけではありません。 多くの日本人の
フアンと同様、私達もNHKでこの数年何度か放送された番組で、たった一人で
一日の大半を大きな庭の手入れやヤギの乳搾り、とれた果実でのジャム作り、
パンを焼きパイをつくり、糸を紡ぎ、愛犬メギー(コーギー犬)とアヒル、ニワトリなど
とともに美しいヴァーモントの自然と四季の中で、絵本を描きながら昔ながらの
スタイルをかたくなに守って暮らすこの一人の老女の生活を憧れの目で見てきま
した。(本に出てくるキッチンや庭、紡糸の道具類などには目頭が熱くなります)。

ターシャの本。

このような暮らし方はそれほど大昔のことではありません。ターシャのように何でも
自作できる人は少ないですが、厳格ではなくなったとはいえアーミッシュのように、
電気も車も使わず文明の利器とできるだけ距離をおいて、必要なものは村の誰か
が、コミュニテイーで使うものは皆で(結・ゆい)作る生活を続けているアメリカの人
たちもまだいます。

ターシャやアーミッシュの目には、同じアメリカで起きた文明の象徴の高層ビルが
溶け落ちた「9.11」などはどう映ったでしょうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

子供の頃、裏山に廃材で「小屋」を作って遊んでいた私は、高校生のころソロー
(ヘンリー・ディヴィッド・ソロー)の「ウォールデン=森の生活」を読んでアウトドアー
やキャンプに興味を持つようになりました。(ソロー=1817年~1862年、マサチ
ューセッツ州コンコード市生まれ、作家・思想家・詩人・博物学者)

後年、家族で信州清里の「もえぎの村」(出来たばかりでしたが)を訪れ、「ホテル
ハットウォールデン」に泊まり、ソローの「コッド岬」から名を借りた店「ケープ・コッド」
でリース(花輪)の美しさにみとれました。(30年近く経って色は少し褪せましたが、
今も我が家にいくつも壁にかかっています)。小学生だった娘達も夜は車で近くの
山の上から、ホテルのお兄さんが懐中電灯のビームで指してくれた星座の説明が
忘れられない思い出と言います。

そのソローはターシャが子供の頃、ターシャの家に集まるグラハム・ベル(電話の
発明者)やマーク・トゥエイン(作家)、アインシュタインなどの文化人のひとりだった
そうですが、ターシャは社交界が苦手だったようです。

9歳のとき両親が離婚、15歳で念願だった農業生活に入り、ひとりで家を建て、
80年近く自給自足の生活をおくり、そのライフスタイルと作品は多くのファンを生
みましたが、彼女はそういう外部の評価やエコブームとは別に、たんたんと毎日、
毎季、毎年同じやるべきことを繰り返した本物の「生活者」だったように思います。

この夏は彼女の生まれ故郷ボストンにも足をのばし、このアメリカ開拓時代の
面影が色濃く残る街を逍遥してターシャを偲ぶことができたら、と思っています。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
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