株式会社横山工藝 代表取締役 横山 国男 の日記 | 経営者会報 (社長ブログ)
「プリント道」45年余。新たな自身の夢と後継者への手紙-(株)横山工藝社長 横山国男のブログ
素晴らしかった「黒沢明アート展」(2006)。
前回ブログで2年前に当時日本では福井でのみ開催された、巨匠黒沢明監督の
絵コンテ展「黒沢明アート展」が感動ものだったことを書きました。
このブログを書くため展覧会場(福井県立美術館)で買った「図録」と「T-シャツ」を
探しましたが、どうしても見つかりません。そのうち「あれ!?こんなところに」と
なるのは最近は日常茶飯事なのであまり気にしないことにしてますが。
T-シャツの図柄は「床几に腰かけた武将の甲冑姿」で、おそらく信玄の影武者を
プリントしたものですが、この絵は久米繊維さんのギャラリーの壁にもかかって
いました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
160点余りの絵コンテ(原画)は主にスケッチブックなどに描かれたものですが、墨、
水彩、アクリル、油絵と手法はいろいろ、ササッと描いたものもあれば、かなり時間
をかけて描かれたものもあります。そのほかに日本の代表的画像メーカーがインク
ジェットの最先端技術を駆使して2.5mx4mほどのフルカラー出力の拡大画が
精緻な解像度で30点近く展覧され、これもまた素晴らしいものでした。
このあとイタリアなど海外3ヶ所で展示されたようですから、原画はもちろん、日本
のデジタル印刷の高い技術にも驚嘆したことでしょう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
前回ゴッホを凌駕するなどと書いたのは大袈裟ではありません。「ゴッホの自画像」
に似た「農夫」の絵は、きれいな赤と反対色(補色)の鮮やかなグリーンを輪郭の
要所に使い、ゴッホの絵には無い強烈な印象を受けましたし、「夢」の絵コンテ
では、街の上を飛んでゆく黒沢少年(と思われる)の幻想的な飛行体、俯瞰する
街並とのありそうでしかし現実にはない時空を感じさせて、今でも鮮やかに思い
起こすことができます。
深い哀しみを宿す眼光の武将、戦乱の中の女たち、軍馬と美しい旗指物、山、川、
炎上する城、槍衾、ハリネズミのようになった落ち武者など、もう百花繚乱手当た
り次第に沸き起こるイメージを絵にしたようにも見えるのですが、結局、稀代の
映画作家黒沢明監督の頭の中には、一本の映画の何万カットというシーンが全て
撮影前に出来上がっていて、そのイマジネーションで俳優を動かし、道具や光に
こだわり続けた完璧主義者のように私には思えます。
もちろん三船敏郎をはじめ、志村喬、宮口精二、加藤大介、藤原鎌足、千秋実など
“顔”ではなく素晴らしい「日本人の風貌(かお)」を持った名優たちも黒沢明監督の
絵コンテを作り上げる際の重要なモチーフだったに違いありません。
「影武者」の信玄公のコンテなどはどう見ても勝新太郎であり、この映画は勝信玄
が頓挫した段階で単なる「絵巻物」に変わったような気がします。双方にとって不幸
なことでした。仲代達也は「用心棒」が当たり役だったと思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もし、黒沢明自身が「本当は画家になりたかった」と語っているように、黒沢明画伯
が実現していたら、あの強烈で類稀な色彩感覚と深い精神性は、ゴッホというより
ルオーに近いのではないか、と2年経った今でもそんな楽しいことも想像させて
くれる、私にとっては思い出に残る素晴らしい展覧会でした。
横山国男
【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
絵コンテ展「黒沢明アート展」が感動ものだったことを書きました。
このブログを書くため展覧会場(福井県立美術館)で買った「図録」と「T-シャツ」を
探しましたが、どうしても見つかりません。そのうち「あれ!?こんなところに」と
なるのは最近は日常茶飯事なのであまり気にしないことにしてますが。
T-シャツの図柄は「床几に腰かけた武将の甲冑姿」で、おそらく信玄の影武者を
プリントしたものですが、この絵は久米繊維さんのギャラリーの壁にもかかって
いました。
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160点余りの絵コンテ(原画)は主にスケッチブックなどに描かれたものですが、墨、
水彩、アクリル、油絵と手法はいろいろ、ササッと描いたものもあれば、かなり時間
をかけて描かれたものもあります。そのほかに日本の代表的画像メーカーがインク
ジェットの最先端技術を駆使して2.5mx4mほどのフルカラー出力の拡大画が
精緻な解像度で30点近く展覧され、これもまた素晴らしいものでした。
このあとイタリアなど海外3ヶ所で展示されたようですから、原画はもちろん、日本
のデジタル印刷の高い技術にも驚嘆したことでしょう。
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前回ゴッホを凌駕するなどと書いたのは大袈裟ではありません。「ゴッホの自画像」
に似た「農夫」の絵は、きれいな赤と反対色(補色)の鮮やかなグリーンを輪郭の
要所に使い、ゴッホの絵には無い強烈な印象を受けましたし、「夢」の絵コンテ
では、街の上を飛んでゆく黒沢少年(と思われる)の幻想的な飛行体、俯瞰する
街並とのありそうでしかし現実にはない時空を感じさせて、今でも鮮やかに思い
起こすことができます。
深い哀しみを宿す眼光の武将、戦乱の中の女たち、軍馬と美しい旗指物、山、川、
炎上する城、槍衾、ハリネズミのようになった落ち武者など、もう百花繚乱手当た
り次第に沸き起こるイメージを絵にしたようにも見えるのですが、結局、稀代の
映画作家黒沢明監督の頭の中には、一本の映画の何万カットというシーンが全て
撮影前に出来上がっていて、そのイマジネーションで俳優を動かし、道具や光に
こだわり続けた完璧主義者のように私には思えます。
もちろん三船敏郎をはじめ、志村喬、宮口精二、加藤大介、藤原鎌足、千秋実など
“顔”ではなく素晴らしい「日本人の風貌(かお)」を持った名優たちも黒沢明監督の
絵コンテを作り上げる際の重要なモチーフだったに違いありません。
「影武者」の信玄公のコンテなどはどう見ても勝新太郎であり、この映画は勝信玄
が頓挫した段階で単なる「絵巻物」に変わったような気がします。双方にとって不幸
なことでした。仲代達也は「用心棒」が当たり役だったと思います。
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もし、黒沢明自身が「本当は画家になりたかった」と語っているように、黒沢明画伯
が実現していたら、あの強烈で類稀な色彩感覚と深い精神性は、ゴッホというより
ルオーに近いのではないか、と2年経った今でもそんな楽しいことも想像させて
くれる、私にとっては思い出に残る素晴らしい展覧会でした。
横山国男
【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
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