株式会社横山工藝 代表取締役 横山 国男 の日記 | 経営者会報 (社長ブログ)
「プリント道」45年余。新たな自身の夢と後継者への手紙-(株)横山工藝社長 横山国男のブログ
【明大生との毎週一問百答】好きなマンガ作品・影響を受けたマンガ
<質問>好きなマンガ作品、影響を受けたマンガがあったら教えてください。
(岡田光太郎さん)
自分をそれほど「マンガ好き」と思ったことはないのですが、それでも
「ビッグコミック オリジナル」などは読み始めて25年以上にもなるのでマンガ
フアンの一人かなとも思います。
それ以前は青年漫画誌の嚆矢といわれる「漫画アクション」のフアンで、中でも
小島剛夕の「子連れ狼」、長谷川法世の「博多っ子純情」などが大好きでした。
もっと昔でいえば文藝春秋から「漫画讀本」というオシャレな大人の漫画誌が
出ていたのですが、今は知る人も少ないでしょう。
「ビッグ」では、「浮浪雲」(ジョージ秋山)「黄昏流星群」(弘兼憲史)
「釣りバカ日誌」(やまさき十三・北見けんいち)などを飽きもせず読んでいますが、
こういう愛読作品からあらためて自分の性格を考えると「面白くて悲しい人間と
いうものへの興味」が尽きないということかも知れません。
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それにしても漫画家、コミック作家は「偉大」とすら思えるときがあります。先日も
ある総合雑誌でさいとうたかを氏と麻生太郎さんが対談していましたが、ゴルゴ13
氏の博識・見識に麻生さんがたびたび絶句、感心することしきりで、「あなた、総理
大臣やってよ」と言わんばかりでした。
「マンガばっかり読んどらんと勉強せえ」と親から言われた世代ですが、 文字だけ
の小説より「画」と「吹き出し」で生半可な文学作品を凌駕するコミックはいくらでも
あります。
先日TVで低迷する「少年漫画誌」を復活させる現場の映像を視て、編集者と作家
の死闘ともいえるせめぎあい(キャラクターの設定などについてですが)を経て、
それでも最後に編集長が「掴んだと思ったらスルッと逃げられるかも」と、新しい
百科事典ほどもある分厚い(なんと重量1.5キロの)新刊を前にして、ターゲットで
ある現代中学生読者の「掴み所の無さ」を述べていました。残酷でしかしもっとも
正直な読者層を相手にする辛さが出ていたように思いました。
しかしこのような深いマーケティングが、日下公人さんや麻生太郎さんが推奨して
やまない「日本のアニメ・マンガが世界に通用する文化・文芸ソフト」であることを
たらしめていることは間違いない、と実感したのでした。
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さて本題。
「土着感」が溢れているので海外向けではないと思いますが、私が唯一全巻
(53冊)そろえているマンガは「まんだら屋の良太」(畑中純)です。
1979年より10年間、300回にわたって「漫画サンデー」に連載されたそうです
が、「漫サン」を読んでいなかったので知りませんでした。
(’81年第10回漫画家協会賞受賞、その後NHK「銀河テレビ小説」にも)
’93年ごろ近所の古本屋で立ち読みし、あまりの面白さに全巻その場で買って
帰りましたが、カナイが「何買ってきたの?」と驚きながらパラパラとめくって見て
「うわー・・・」と放り投げました。エログロ漫画だと思ったようです。
<「まんだら屋の良太」単行本>
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作家村松友視さんはこう激賞しています。
『「まんだら屋の良太」の主人公である良太の、吹き出しの中のセリフを読んで
いると、畑中さんが並の文学好きでないことがわかります。というより畑中さん
自身が文学者であることが分かるといった方が当たっているだろうな。いま、こう
いう味わいの文学はすっかり影をひそめてますから、すべて愛読しています。
良太と月子の関係は、スケベを突き抜けた抽象的な男と女のロマンみたいで、
本当に不思議な世界だと思ってます。(中略)
九鬼谷温泉世界は、すさまじい文学空間といったイメージ。どうしてこんなに
多彩な人物を登場させることができるのか・・やっぱり畑中さんがすばらしい
文学者という証拠でしょう。(後略)』
【引用=楽天ブログー畑中純「まんだら屋の良太」ー「梁塵秘抄」または
“わしふぃーるど”から】
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中学・高校生の時代にはクラスや学年に必ず月子のような「頭が良くて美人で
スタイルのよい女子生徒」がいましたよね。
男子生徒はひそかに憧れ、実現性に乏しい夢想というか妄想を勝手に描いた
覚えのある人も多いはず。
今の若い人と少し違って女性を「神聖視」していた向きもあって、女性の方にも
そのような感情があって当然とはこの年になって分かったことなのですが。
悪ガキだけど時には大人顔負けの分別で事件を解決したりしながら、月子には
子供っぽいいたずらを繰り返す良太、プリプリ、ツンツンしながらそれでも良太が
他の女(の子)に興味を持つのは気になる幼馴染の月子姫とのスラプスティックで
ナンセンスなエロい人情噺・・・・「畑中ワールド」にドップリと共感してしまったのです。
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アシスタントを使わず、一人で大河ドラマなみの「まんだら屋の良太」を描き続けた
作者畑中純さんは自身が述べている計画どおりその後はこれもまた非凡な才能を
見せる「版画」の世界に傾倒しているようです。
「まんだら屋」でも時々秀逸な版画が出てきて、特に三好達治の「風の又三郎」の
版画などはこの人の才能に驚かされて更にフアンになったものですが、現在は
愛してやまない「宮沢賢治」作品がテーマのようで、共に作品のキーワードが
「土着」であることを考えれば納得のいくものです。
長岡輝子さんの朗読で「賢治作品」を愛聴している私には作者の版画シリーズも
またとても楽しみです。
<版画ー畑中純。 宮沢賢治より 同上ブログから>
横山国男
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