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2008年05月06日(火)更新

黒澤 明・クロサワアキラと戸田正寿さん。

この数年連休の初めに仙台へ旅行することが恒例になっていて、今年は仙台の
奥座敷といわれる秋保(あきう)温泉へ。

小松・仙台間は50分ほど、自宅からでも2時間ほどで仙台空港なのでとても便利
なのです。友人夫妻がどうしても現代和風建築の粋「茶寮宗園」へ案内したい、
とのことなのでこのような所へ泊まれるのは生涯一度あるかどうかわからないので
お供することに。

ただ、着いた日秋保カントリーでゴルフをした際、右ひざを傷めたようで、帰宅後の
連休後半はずっと自宅でカナイと花を植えたり、読書・TVの毎日でした。

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そんな中、昨日のBS2「クロサワ・アーカイブス特集」を、TVの前でカナイとコーヒー
なぞを飲みながら5時間、トイレに立つ間も惜しみながら、喰い入るように観ました。

30本の監督した映画のほとんどを観、黒澤本もかなり持っていますが、何度観て
も飽きませんね。
夜9時過ぎからの「野良犬」も観て、忘れているシーンもあり、またまた引き込まれて
画面に釘付け状態、至福の「クロサワ デー」でした。

評論家でもない私が、このようなブログで「黒澤 明」「黒澤作品」「映画芸術」など
について、まして自身の人生に深く食い込んでいるであろう「クロサワ アキラ」と
いう日本が生んだ偉大な「映像作家」についてチョロッと語るなど不遜とさえ思い
ますが。

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ジョン・フォードとジョン・ウエインが作り出した「詩情」と同じように、黒澤作品では
「三船敏郎」が全てであったように今でも頑固に思っています。フアッションは勿論
その風貌、バランスがよく強靭な肉体は今時のイケメンなど足元にも及びません。

三船の剣サバキ(七人の侍の菊千代と用心棒や椿三十郎でのタチマワリ)、ジョン
・ウエインがライフルをずーっと馬上疾走するインディアンを追いながら引き金を
弾く独特の呼吸など「この監督にしてこの俳優あり」(その逆も)と感激したものです。

大体黒澤映画といえば、巻頭豪快な筆文字で書かれたタイトルと音楽で完全に
シビれてしまいますよね。映像と音楽で作られる映画は「総合芸術」といわれ
ますが、デジタルで何でも可能のように見える21世紀、我々は黒澤明のような
作家に再び会えるのでしょうか。

ホームシアターまがいのものを作ったので、これから黒澤明の全作品を少しずつ
鑑賞することを楽しみにしています。

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ちょうど2年前の5月、世界で4ヶ所でしか公開されなかった(日本では福井だけ)
黒澤明の2000点におよぶ絵コンテ原画から200点を展示した「黒澤明アート展」
が開かれ、さらに画家としての驚嘆すべき才能に触れました。中にはゴッホ以上
では、と思われる作品まであり、何度も会場を行きつ戻りつしました。

この稀有な展覧会がなぜ福井で開かれたかといいますと、この展覧会のアート
ディレクター戸田正寿さんが福井県坂井市出身だったご縁です。

私がこれまでに最も心に残る「広告デザイン」に40年も前の「フォルクスワーゲン」
の“かぶとむし(ビートル)”の広告(ビートルが機能を追求した結果のデザインで
あることを訴求するために、このような変な形でも人類が初めて月に足跡を着けた、
として月面着陸船を引き合いに出した広告)と、80年代初頭のサントリーローヤル
ウイスキーの広告「ランボー」がありますが、この「ランボーシリーズ」が戸田さんの
作品であることがわかり、ここでもランボーと黒澤映画がつながったような気がした
ものです。

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いつかブログで「黒澤明アート展」について書きたい、と思っていましたが、その気
になったので思い出を次回に。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2008年04月26日(土)更新

「太鼓持(幇間)あらい」さんの至芸。

前回ブログの続きで最後にご紹介したいのは、「太鼓持ち」または「幇間(ほうかん)」
ともいわれる、我が福井が生んだ「太鼓持あらい」の荒井さん。

今や関西地方ではただ一人プロの太鼓持ちとして有名ですが、定席はこの天ぷら屋
さんの2階のお座敷。
永く愛好会が続いているようですが、私は定席で聞いた(見た)ことはありません。
それでもちょくちょくいろいろな席でお目にかかったことがあります。

ご本人が「ホームページ」で述べておられるように、言うなれば「男芸者」。
花柳界の盛んだった明治中期が全盛だったようですが、太平洋戦争後はあらゆる
文化が西欧の方を向いてしまっては、このような至芸は生き残るには厳しすぎる
時代でした。

太鼓持ちの芸や遊びは洗練された「客」がいて成り立つ一面もありますから、
「お座敷あそび」とは縁遠くなって、キャバレーやカラオケの流行する現代では
「太鼓持(幇間)」が絶滅に瀕しても不思議ではありません。

ルーツは800人もいたといわれる「秀吉の御伽衆(おとぎしゅう)」の中のいわば
道化師では、という説もあるそうですが、太鼓持ちが「太閤を持ち上げる」すなわち
ヨイショ役、ごますり役の意からと言われればナルホドとも思います。

あらいさんのプロのお座敷芸はなかなか楽しいものですが、時には強烈な「Y談」
も飛び出すので、気の弱い私などは女性が同席しているとドギマギしてしまいます。
しかし当人たちが大笑いしているのを見ると、こっちのほうがウブなんですね。

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「太鼓持ち」という仕事については「面白うてやがて悲しき・・」という連想から、実は
ただの「宴会盛り上げ業」だけでなく、その裏で苦界とは言わぬまでも「花柳界」で
毎日のように起こる「男と女にまつわるトラブル」の解決役として、表には出ない形
での始末も引き受けたのでは、とフッとそんなことも考えました。

古今東西、スマートな男女の別れなど少ないものではないでしょうか。修羅場あり、
ふんだくりあり、ときには刃傷沙汰まで、「太鼓持ち」は時には旦那サイドの依頼で、
またあるときは可哀想な女のために義侠心を発揮したかも、なんて考えるのも
ひまつぶしにはもってこいの題材ですね。

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あらいさん作「太鼓持あらいの三国北前音頭」を三味線の伴奏で、ご本人の指導
で天ぷら屋さんのカウンターのまわりをぐるぐると最後に踊りました。
最初は気恥ずかしかったのですが、そのうちノッてきて「エライヤッチャ、エライ・・」
の阿波踊りもこんな気分なんだ、と思ったところでお開きになりました。

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今や絶滅危惧種となりつつある「太鼓持ち(幇間)」について、興味のある方は
リンク先のHPをぜひご覧ください。日本語の他、英語版、フランス語版と共に、
あらいさんの満面の笑顔が迎えてくれます。

横山国男

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2008年04月23日(水)更新

「相撲甚句」と「木遣りくずし」それにヒット中「男の偲び酒」

友人のてんぷら屋さんを経営するT君が、お店を会場にして先夜ライブを開きまし
た。 3年前から本格的に「演歌」を猛勉強、今では作詞もやってシンガーソング
ライターというわけです。

当夜の聴衆はほとんどが中高年ばかり、知り合いのご夫婦の顔も多く見えます。
大半は天ぷらを食べに行って、T君から「席を用意しておきますから」と言われて
咄嗟に欠席の言い訳をおもいつかなかった(と思われる?)40名ほどの皆さん。

が、なかなかどうして高音部に独特のサビがあって、「うまいもんだなー」と思い
ました。途中、自作の歌詞を忘れて目の前にいた私が急いでプリントを渡した
のもご愛嬌。その「男の偲び酒」は当地有線でもリクエストが増えているそうです
から、そのうち「文化会館」でのステージを楽しみにしてますよ。

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「前回は12曲も持ち歌を歌って客からヒンシュクを買ったので」(T君本人の弁)
今回は他のプログラムも、ということだそうで、友情出演が3つ。

①「相撲甚句」 ②「三味線と小唄、端唄、俗曲など」 ③今や関西エリアに一人
しかいない(東京でも4人)といわれる「太鼓持(幇間)の芸」。

① 「相撲甚句」を聞くのはなんと半世紀ぶり。小学生のころ大相撲の地方巡業が
近くの公園であると、父が連れていってくれましたが、若い力士6~7人が土俵の
周囲に立って「相撲甚句」(甚句形式とは本来7775の歌詞)を唄いましたが、
あの独特の節回しと手拍子、「ハァー ドスコイ ドスコイ」は今も耳に残っています。

 デーモン小暮閣下は「相撲甚句」のCDまで出しているそうですが、「花づくし」
「山づくし」「出世かがみ」など有名な甚句がある中、「ご祝儀結婚」は歌詞が良く、
先日の当社専務子息の結婚披露宴などでこれを唄ったら、拙いスピーチ(汗)より
よほど拍手喝采だったかも。(歌詞を最後に掲載しておきます)

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② 相撲甚句も邦楽ですが、中高生の頃「民謡」にはまって、全国の正調民謡を
大御所「町田嘉章」さんの解説付「ソノシート(いわばビニール製レコード)」を擦り
切れるまで聞いた記憶があります。その中にはいくつかの甚句もありました。

邦楽といえば、ややお年を召されてはいましたが、美形の三味線のお師匠さんが、
長唄の名曲などをご披露のあと、「ではちょっとくだけてにぎやかに“木遣りくずし”
でも」と言われたので、「おおっ、出たぁ」と嬉しくなりました。

「木遣りくずし」は私が短いサラリーマン生活をおくった商社の横浜支店の「部歌」
だったのです。いつも宴会の始まりに部長の先導で全員で唄うとスイッチが入る
ような感じがしたものです。“部歌”みたいなものは今の時代だからこそいいかも
しれません

あのころは会社のエライサンになると、「3ゴ」といって「小唄・碁・ゴルフ」を嗜むの
が教養というか粋とされていました。  部長もベッピンのお師匠さんのところへ
せっせとお稽古に通われたのでしょう。「木遣りくずし」は俗曲といわれるジャンル
に入るようです。

土曜日は半ドン、袋にいれたゴルフのドライバー1本を片手に持ち(午後は日曜日
のゴルフに備えて練習だったのでしょうか)ニューヨーク帰りでパナマ帽を少し斜め
にかぶり、東横線の綱島あたりからおそいご出勤でしたが、カッコよかったし、なに
より昨今と違ってゆったりとした時代だったんですね。

昭和へタイムスリップしたような一夜でしたが、さらに森繁久弥、三木のり平の
抱腹絶倒コンビが東宝映画「社長シリーズ」などで見せた芸のルーツの一つは
これではないか、という「太鼓持(幇間)」については次回に。

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      相撲甚句 「ご祝儀結婚」 作者不詳

         (ハァー ドスコイ ドスコイ)
     ♪ハァーエー
         (ハァー ドスコイ ドスコイ)
     めでためでたの 若松さま ヨー
        (ハァー ドスコイ ドスコイ)
     ハァー 真砂高砂 御席は
       この度ご縁が ありまして
       00(新郎の姓)00(新婦の姓) ご両家が
       深い契りの ご婚礼
       松竹梅に 彩られ
       00君には 00さん(新郎新婦の名前)
       お若い二人が 結ばれて
       両家も千秋 万々歳
       福寿の宴(うたげ)は ご親族
       お友達やら 皆様の
       心からなる ご祝辞に
       鶴は千年 亀万年
       永い人生 末広の
       いついつまでもの 幸せを
       挙げて お祝い ヨーホホホイ
       ハァー 申します ヨー
           (ハァー ドスコイ ドスコイ)

横山国男

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2008年04月21日(月)更新

【明大生との毎週一問百答】好きなマンガ作品・影響を受けたマンガ

<質問>好きなマンガ作品、影響を受けたマンガがあったら教えてください。
                               (岡田光太郎さん)


自分をそれほど「マンガ好き」と思ったことはないのですが、それでも
「ビッグコミック オリジナル」などは読み始めて25年以上にもなるのでマンガ
フアンの一人かなとも思います。

それ以前は青年漫画誌の嚆矢といわれる「漫画アクション」のフアンで、中でも
小島剛夕の「子連れ狼」、長谷川法世の「博多っ子純情」などが大好きでした。
もっと昔でいえば文藝春秋から「漫画讀本」というオシャレな大人の漫画誌が
出ていたのですが、今は知る人も少ないでしょう。

「ビッグ」では、「浮浪雲」(ジョージ秋山)「黄昏流星群」(弘兼憲史)
「釣りバカ日誌」(やまさき十三・北見けんいち)などを飽きもせず読んでいますが、
こういう愛読作品からあらためて自分の性格を考えると「面白くて悲しい人間と
いうものへの興味」が尽きないということかも知れません。

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それにしても漫画家、コミック作家は「偉大」とすら思えるときがあります。先日も
ある総合雑誌でさいとうたかを氏と麻生太郎さんが対談していましたが、ゴルゴ13
氏の博識・見識に麻生さんがたびたび絶句、感心することしきりで、「あなた、総理
大臣やってよ」と言わんばかりでした。

「マンガばっかり読んどらんと勉強せえ」と親から言われた世代ですが、 文字だけ
の小説より「画」と「吹き出し」で生半可な文学作品を凌駕するコミックはいくらでも
あります。

先日TVで低迷する「少年漫画誌」を復活させる現場の映像を視て、編集者と作家
の死闘ともいえるせめぎあい(キャラクターの設定などについてですが)を経て、
それでも最後に編集長が「掴んだと思ったらスルッと逃げられるかも」と、新しい
百科事典ほどもある分厚い(なんと重量1.5キロの)新刊を前にして、ターゲットで
ある現代中学生読者の「掴み所の無さ」を述べていました。残酷でしかしもっとも
正直な読者層を相手にする辛さが出ていたように思いました。

しかしこのような深いマーケティングが、日下公人さんや麻生太郎さんが推奨して
やまない「日本のアニメ・マンガが世界に通用する文化・文芸ソフト」であることを
たらしめていることは間違いない、と実感したのでした。

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さて本題。
「土着感」が溢れているので海外向けではないと思いますが、私が唯一全巻
(53冊)そろえているマンガは「まんだら屋の良太」(畑中純)です。
1979年より10年間、300回にわたって「漫画サンデー」に連載されたそうです
が、「漫サン」を読んでいなかったので知りませんでした。
(’81年第10回漫画家協会賞受賞、その後NHK「銀河テレビ小説」にも)

’93年ごろ近所の古本屋で立ち読みし、あまりの面白さに全巻その場で買って
帰りましたが、カナイが「何買ってきたの?」と驚きながらパラパラとめくって見て
「うわー・・・」と放り投げました。エログロ漫画だと思ったようです。


単行本写真
<「まんだら屋の良太」単行本>

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作家村松友視さんはこう激賞しています。
『「まんだら屋の良太」の主人公である良太の、吹き出しの中のセリフを読んで
いると、畑中さんが並の文学好きでないことがわかります。というより畑中さん
自身が文学者であることが分かるといった方が当たっているだろうな。いま、こう
いう味わいの文学はすっかり影をひそめてますから、すべて愛読しています。
良太と月子の関係は、スケベを突き抜けた抽象的な男と女のロマンみたいで、
本当に不思議な世界だと思ってます。(中略)
九鬼谷温泉世界は、すさまじい文学空間といったイメージ。どうしてこんなに
多彩な人物を登場させることができるのか・・やっぱり畑中さんがすばらしい
文学者という証拠でしょう。(後略)』
【引用=楽天ブログー畑中純「まんだら屋の良太」ー「梁塵秘抄」または
“わしふぃーるど”から】

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中学・高校生の時代にはクラスや学年に必ず月子のような「頭が良くて美人で
スタイルのよい女子生徒」がいましたよね。
男子生徒はひそかに憧れ、実現性に乏しい夢想というか妄想を勝手に描いた
覚えのある人も多いはず。
今の若い人と少し違って女性を「神聖視」していた向きもあって、女性の方にも
そのような感情があって当然とはこの年になって分かったことなのですが。

悪ガキだけど時には大人顔負けの分別で事件を解決したりしながら、月子には
子供っぽいいたずらを繰り返す良太、プリプリ、ツンツンしながらそれでも良太が
他の女(の子)に興味を持つのは気になる幼馴染の月子姫とのスラプスティックで
ナンセンスなエロい人情噺・・・・「畑中ワールド」にドップリと共感してしまったのです。

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アシスタントを使わず、一人で大河ドラマなみの「まんだら屋の良太」を描き続けた
作者畑中純さんは自身が述べている計画どおりその後はこれもまた非凡な才能を
見せる「版画」の世界に傾倒しているようです。

「まんだら屋」でも時々秀逸な版画が出てきて、特に三好達治の「風の又三郎」の
版画などはこの人の才能に驚かされて更にフアンになったものですが、現在は
愛してやまない「宮沢賢治」作品がテーマのようで、共に作品のキーワードが
「土着」であることを考えれば納得のいくものです。

長岡輝子さんの朗読で「賢治作品」を愛聴している私には作者の版画シリーズも
またとても楽しみです。

版画
<版画ー畑中純。 宮沢賢治より 同上ブログから>


横山国男

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2008年04月17日(木)更新

当社で作った「加工指示書」を使ってもらう。

前回ブログで「指示書」無しに仕事をする危険性について書きましたが、当社では
お客様とお取引が始まる際に、お願いしていることが2つあります。
一つは「加工賃の支払いは現金(銀行振込み)で」二つ目は「当社が用意した
“加工指示書”を使用していただく」の2点です。

当社のお客さまの大半はリボンやテープ、タグ、Tシャツなどのカットソーへの
スクリーンプリント(印刷)をされる小型製版グループと服地、スポーツ衣料、傘、
産業資材など110C~150C幅46M(1反)の広幅織物へプリント加工される
大型のスクリーン捺染業者さんの2つに分かれますが、後者は事業規模も比較的
大きく「製版指示書」を必ずデザインとともに添付されてこられます。

前者のお客様のなかには、小規模でご家族中心でやられておられるところも多い
のですが、最初のころは皆さん商社や問屋さんの指示書をそのままコピーされて
もって来られたり、中にはチラシの裏に書いてこられるようなケース、ときには口頭
で依頼されて帰ってしまわれるお得意さまもありました。

当然「言った、言わない」「小さな色見本がついていたのに無くなっている」とか、
トラブルが起きるようになりましたので、当社が製版に必要とする「情報」のみを
書いていただく「製版指示書」を当社で用意し、お客さますべての社名ゴム印を作り
発注者欄に当社が捺してお渡しするシステムにしました。

年間数万円の印刷代がかかりますが、フオームが「統一」され、当社従業員にして
も劇的に作業がやりやすくなり、ミスも激減しました。
最初は面倒に思われたお客さまもおられたようですが、「お互いにスムースな作業
とミスを防ぐためにお願いします」と頭を下げ続けました。

スタートして30年近く、今ではすっかり定着していますが、お客さまの方でも
「指示書」(複写)の控えが「製版指示台帳」として残り、便利にお使いいただいて
いるようです。リピート加工でもすぐ元番号がわかりますし、改良点のメモなども
記入したり、サンプルを貼り付けたりされて今ではなくてはならないものになって
おられるようです。

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「製版指示書」(お客様フオーム)がある場合でも、当社では自社の「指示書」を
作成します。自社の作業標準に合わせるためでもありますが、作業者自身が再度
自分の手で自社用の「作業指示書」を書くことは「確認」すること、ほかの方法を
「提案」することなどにつながるからです。
スポット(継続的なお客様でない)の場合でも、印刷色の違う「作業指示書」を作成
しています。ともかく「指示書」のない仕事はしてはいけない、と決めています。

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最近ではデザインの版下原稿のほとんどは「デジタル入稿」となりましたが、それで
もこの方式を守って「指示書」は作っています。(お客さまからはFAXにて)

アルファベット1字の間違いで数千メートルのテープやリボンがダメになってしまう
世界ですから、緊張感も大事ですが、それ以前にミスを誘発しないシステムにする
ことがお互いの利益につながると考えてきました。

お客さまとの協働がなかったら、これまでに膨大なクレーム、不信感を招いていた
ことは容易に想像できます。年間数万円の印刷代など安いものです。

横山国男

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2008年04月14日(月)更新

「作業指示書」は勿論大事ですが。

「ほうれんそう」(報告・連絡・相談)の重要性はつとに言われることですが、今日も
新しい顧客との間でちょっとした問題が表面化しました。

お客さまの担当者が大変多忙の様子で、次々と変更の指図やこちらからの確認で
指示の出し直しなども見受けられたので、当社の担当者に「これは危ないよ。
最終の確定指示書をもらうまで外注先への加工指示は慎重に」と指示していました
が、納期との絡みもあり、やむなく一部先行したものが間違っていたことが判明し
ました。当社担当者の責任も勿論免れないところではあります。

幸い大事には至らないようですが、先日私からお客様の担当の方に、「こういう
仕事の進め方は大変危険です。お互い無駄な労力や出費につながりますので、
作業を指示書に準拠してやる」と決めましょう、「確定指示書の発行をぜひお
願いします。当社はそれまで作業に入りませんので」と文書を送った矢先の出来
事でした。

私(社長)には、当社担当者から「報告」があり、すぐ対処の仕方について「相談」
の上、指示をしましたが、「指示書」などの以前の問題として常日頃考えていること
があります。

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それはお客様との間で「完成形のイメージを共有している」ことの重要さです。
すなわち何度かの打ち合わせと最終的な指示書に示されたスペック(必要で
十分な的確な指示)によって、「どのようなものをイメージしているか」が互いに
分かっていれば、大半のミスは防ぐことができるように思います。

素材や色や寸法などに間違った指示が入っていれば、違和感があるものです。
モノを造る人は、大体一度自分の頭の中で「完成形」まで制作シュミレーションを
するもので、材料や工程・工数、その仕事のポイントや隠れた「落とし穴」まで
見えるものです。またそれがプロフェッショナルだと思います。

先行した外注先への発注も、注意深く観察すれば「違和感」を感じたはず、という
のが私の結論です。

横山国男

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2008年04月10日(木)更新

そのうち「末期高齢者医療制度」!?。

先日体協傘下の県ゴルフ協会「ジュニア育成委員会」部会の会議がありました。
会議の前に、委員有志でプレーをしましたが、私のパーティーは77歳のKさん、
72歳のOさん、それに私より若い50台のFさんとの4名。

中でもKさんは自治体職員を退職してからゴルフを始めてシングルになり、今でも
その実力には目を見張るものがあります。(昨年あと1打でエージシュートだったと
か。この1,2年が勝負だ、と話していましたが、十分可能性はあるでしょう)
外見も若々しく、背筋がピンと伸び、私も飛ばないほうではありませんが、一回り
下の私のドライバーショットをオーバーすることも度々。カートにもあまり乗らず悠然
と歩かれます。

「健康長寿の秘訣はゴルフですよ。それにこうやって口からでまかせ、オヤジ
ギャグを連発して相手をケムに巻いて楽しむのが私の流儀」なんだそうです。

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そのKさん、18ホールの間中、本日のオシャベリのテーマは4月から始まった
「後期高齢者医療制度」への憤懣。
「75歳からは“後期”だって。それじゃ85歳からなら“末期医療制度”とでも名づけ
るのかね。失礼だよ。いっそ“姥捨山医療制度”とでもしたらどうかね。」

あまりにシリアスな話題なので大笑いするわけにもいきません。とにかくKさんに
言わせると、「だまし討ちだね。1300万人の75歳以上の高齢者がなにも知らない
うちに決めちゃったんだから」「早よこの世からオサラバしなさい。若い人の5倍も
医療費がかかるんじゃ国がもたん、というのが本音やね」。

75歳以上の人の診療費は月6000円と限定されていて、これ以上かかる部分は
「個人負担」、負担できない人は必要な診療も受けられなくなる、ということらしい
のですが、Kさんは「日本国憲法を知らんのか、国には国民の健康を守る義務が
あるんやで」と、ますますボルテージが上がるのですが、難しい下りの4m程の
パットを苦も無く沈めて「ハイ、またパーね、アッハッハ」。(スコアは84、17番Hで
トリプルの7を叩いてこのスコアですから)

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もう一人のオールドマンOさんは「昨年は140日ゴルフをしました」とサラリと仰る
のでこれにもびっくり。
片方の目の視力は無いんだそうですが、「今年からロングパターにしてみたら調子
いいんですよ」・・この研究熱心さも大事だな、と思いました。スコアは83、いやはや
負けそうです。Fさんもシングルハンディキャッパーですが、二人にあおられたのか
危うく100を叩きそうなスコアになってしまい、苦笑していました。

Kさんいわく、「今度の選挙は覚悟しておけよ」だそうです。町議の経歴も長かった
だけにドスが利いていました。

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この週末は東名古屋GCでのCGA(中部ゴルフ連盟)の「ジュニア育成委員会」に
出席しますが、ここにもスーパーシニアがおられるので目を見張らされることで
しょう。医療費の抑制にゴルフが役立っているのは素晴らしいことです。

横山国男

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2008年04月07日(月)更新

コンパさんに街頭募金のコツを教わる。

6日の日曜日は桜が満開となる中で、県下19のロータリークラブ(RC)合同事業と
して「ポリオ撲滅キャンペーン」の募金活動を行いました。
私の所属する「福井西RC」が提唱クラブとなって、県下で500名近いロータリアンが
それぞれの地域で「のぼり」を立て、「チラシ」を配布して奉仕活動を実践しました。

キャンペーンポスター

「ポリオ」って何?という方がおられますが(私のような年長者に多い)、実は私も
RCに入るまで知りませんでした。「脊髄性小児まひ」のことで、それならご存知の人
が殆どでしょう。

ポリオ発症者

世界各国のRCが加盟する国際ロータリーが1985年から撲滅運動を展開。
80年代には130カ国で毎年35万人が発症したといわれていますが、現在では
ワクチン投与が進み、発症が確認できるのは4カ国。発症者は数十人から数百人
規模までに追い詰めましたが、それでも発症者がいるかぎり「撲滅」ではありません
し、西太平洋地域では再び増加の兆候があるといわれています。

このワクチンの費用を負担し続けてきたRCと投与のために世界各国へ出かけた
医師を中心としたロータリアンの貢献は偉大なもので、なかでも日本の活動には
特筆すべきものがあり、ロータリークラブの一員として誇りを感じるときでもあります。

経口投与するロータリアン(医師)

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提唱クラブということもあって、当クラブ会員の大半が福井市の西北部にある
ショッピングセンターの入り口3箇所に立ち、さらに会員子弟のボーイスカウトや
女子高生数名もボランティアとして参加してくれました。

さらに会員のどなたかが飲み会の席で依頼したのでしょう。顔見知りのコンパニオン
事務所の女性社長とスタッフも2名応援に加わってくれて、にぎやかになりました。
スタッフのひとり(昼は看護学校に通う学生さん)が、「私、よく街頭募金に出ます」
と言って、街頭募金のコツを話してくれました。

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『募金箱を持つ人の10mから15m前でチラシを渡します。チラシに目をやりながら
募金してあげたい、と思うと財布を取り出します。いきなり募金箱では財布の中まで
見られるような気がするんですよね。この助走距離があまり長いと、今度は方向を
変えてしまわれるんです』

『RCのように熟年の男性ばかりズラーッと立たれているとちょっと引いてしまいます。
会員の奥さんや、お孫さんなんかも参加したらソフトな雰囲気になり、いいんでは
ないでしょうか』

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とても参考になりました。来年は会長を引き受けねばならない身としては、今回の
募金活動から学ぶことが多くありました。
お花見に絶好の日和、午後のショッピングセンターはいつもより人出が少なく、
心配しましたが、それでも目標額をかなり上回ったようで、準備を進めてきた会長、
幹事、社会奉仕委員長さん、出席会員の皆さん(他クラブも)ご苦労様でした。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
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【オーダー よさこい屋】
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2008年04月04日(金)更新

「電子辞書」を買う。最初に「晩節を汚す」と入れて・・

みました。別に他意はなく、たまたま読んでいた週刊誌に、どこかの知事が発案し、
強力に推進した新銀行が多額の不良債権、欠損で行き詰まりかけていて、資本の
増強を議会にお願いしているが、このままでは知事自身の「晩節を汚す」ことに
なりかねない、とあったからです。「晩節」とは「晩年」「晩年の節操」などが表記
されますが、これに汚点がつくということでしょう。

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それにしても携帯電話はともかく「パソコン」「デジカメ」「携帯音楽プレーヤー」と
きて、「電子辞書」とくれば、戦前生まれの私などには情報機器の環境としては
十分すぎるくらいですが、残念なのはどれも「使い倒す」などという腕前には程遠い
ことです。
そこにあるのは「高度情報化社会」というドラゴンの尻尾に必死にしがみついて、
なんとか振り落とされないようケナゲに頑張っているオジサン、といった風景で
しょうか。

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それにしても、この「電子辞書」に搭載されているコンテンツの豊富さには圧倒され
てしまいます。膨大な国語・外国語(7カ国語・ネイティブ音声付)の辞書、辞典機能
は勿論、冠婚葬祭マナー、手紙・スピーチの文例集まで「知りたいことが、今すぐ
わかる。」というキャッチどおりのようですが、アナログ人間の私には一体この小さ
な手帳ほどの機器の中はどうなっているのか、と「アイポッド」同様、またまた
「魔法の小箱」に見えて仕方ありません。

横山国男

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2008年03月31日(月)更新

今日は大晦日・・決算書(月次、年次)の小さな工夫。

当社は3月決算ですので、今日は日常生活でいうなら大晦日にあたる決算日です。
社長は一年を通して経営を考えることが大事と言われますが、それとて毎月の
月次決算の集積です。

3年前、新しくお願いした会計士さんに、いくつか私からお願いをしました。
それまで27年間毎月立派なコンピュータ会計の分厚い資料を眺めてきましたが、
もとより財務や経理は素人なので、膨大な数字の意味するところをあまり理解でき
ていたとはいえません。

また、忙しさにかまけて毎月の「月次決算」が遅れ勝ちでした。新しい会計士さん
から「仮に半期(6ヶ月)すぎて、赤字が出ていることが判明しても、残り半期でそれ
を取り返すことが主目的になるのでは、これは計画的な経営とはいえません。
月次決算を出来るだけ早くやり、次月にこれを活かしていかなければなりません」
・・要するに傷は浅いうちに修復せよ、ということでしょう。

確かに当社のような業態(加工)では、月末や期末に突然大口のオイシイ仕事が
入ってくるなどということは少なく、また仮にそのようなことがあっても対処できま
せんから、毎月気をゆるめずに頑張る他ありません。

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そこで月次決算の「真水(本当の利益)」を知るため、特別な月に発生する経費を
各月に分割して引き当てることにしました。(消費税、地代、賞与、教育・研修費
など)私の場合はこれでずいぶん分かりやすくなりました。

さらに先日若くて気鋭の担当税理士さんとの打ち合わせで「社長はBS、PLのこの
数字をしっかり見ておくべき」という項目をいくつか絞って作表していただけませんか。
今後3年間はグラフ化もして推移もわかるようにして欲しい、とお願いしました。

早速、「試算表・財務データ分析のツボ」(当社版)が送られてきました。当社版と
いうのは私がつけたのですが、業種それぞれに利潤の上げ方に特殊性があり、
この辺が一般的な経営書ではカバーしきれていない、と私は考えていますので、
新税理士さんにはこの3年間で当社の業態・業務・資産構成などをほぼ掴んで
いただいたのではないかと思いましたのでお願いしたわけです。

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企業経営はつまるところ、「成長性」と「安全性」のバランスではないかと思って
います。
零細な企業にはますます厳しい環境を覚悟せざるを得ませんが、常に自社の
本当の姿を目をそらすことなく見つめていきたいと30期の決算日にあらためて
決心しました。

横山国男

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「知るは喜び、調べるは楽しみ、分かるは感動、学ぶは一生」とか。高齢者の仲間入りの年齢ですが、仕事でも趣味でもICT時代の恩恵に感謝しています。趣味・・本好き、水彩画、ゴルフ('05までJGA委員、現在中部ゴルフ連盟ジュニア育成委員ほか。エポック・・還暦のアルバトロス、'06...

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