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2008年12月24日(水)更新

クリスマスイブの東京から帰って。

今日は朝一番の飛行機で東京へ。さきほど(9時頃)帰宅しました。
来年始動する企画の概要を決めるための打ち合わせに、企画デザインを担当
する長女も同行しました。

青山のI商事本社を久し振りに訪れましたが、セキュリティが格段に厳重になって
いて、受付で渡されたパスポートを各所でチェッカーにあてながら、目的のフロアー
へ。着いた部屋でもインターホンで担当者に連絡し、ロックを外してもらわないと
入れない仕組みです。 窮屈な世の中になったな、と思わずにはいられません。

もう一社は、京葉線葛西の事業所をお訪ねしました。ここはストレートに事務所に
入って行き、「やあ、やあ、お久しぶりです」。 すぐ応接間に通されましたが、
なにかホッとします。 どこでもこんな風にやれた昔がなつかしい。

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そう言えば今日は12月24日、「クリスマスイブ」だったんですね。
「だったんですね」と言うほど街にそんな雰囲気が感じられなかったのです。
クリスマスの音楽も例年ほどは聞こえません。それにしても一気に暗くなった
感じがします。

羽田空港にはきれいな大きいツリーがいくつか見受けられましたが、この時期は
いつもならJALの機内にもクリスマスのリースなどが以前は飾り付けられていた
ようにも思いますが、それもなく、全く普段通りの風景。搭乗率は50%くらい。

ただ帰りの便で、機内へ入ろうとすると客室乗務員が、「操縦室をご覧ください」
と言うので、ブリッジの窓から機首の方をのぞくと、パイロットがサンタクロースの
扮装をして操縦席からこちらに手を振っていました。

『高度1万メートル・・満天の星空の中。トナカイの引くそりのサンタと、行きちがう
ジャンボのパイロットサンタが手を振りあうシーン』なんて、柄にもなく、暗い窓外
を見ながらロマンチックな空想をしてみましたが、すぐ短い眠りに。

小松について飛行機からブリッジへ出るところでも、その扮装で立っておられて
「ありがとうございました」と挨拶する姿はユーモラスで、ちょっと心が和みました。

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欧米の人のような宗教的な意味合いはもともと薄い日本のクリスマスですから、
今までが商業主義に踊らされていたといえばそれまでですが、やはり年末の
風景として定着していましたから、こう一気に影をひそめたようになるのもどこか
さみしいものです。

帰宅するとテレビのニュースが、今年は家でクリスマスイブをすごす家庭が多い、
とその風景を流していました。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2008年12月22日(月)更新

『七つの社会的罪』・・・マハトマ・ガンジーの箴言。

「インド独立の父」と尊称される、マハトマ・ガンジー(1869~1948)について
多くを知りません。小・中学校の教科書などで「偉い人だったんだな」と思った記憶
があるくらいです。

暗殺され、荼毘にふされたラージガートというところに、ガンジーの碑文があるそ
うで、書かれている「七つの社会的罪」は、真理は永遠なのだと思わされます。

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『七つの社会的罪』

         1.理念なき政治
         2.労働なき富
         3.良心なき快楽
         4.人格なき学識
         5.道徳なき商売
         6.人間性なき科学
         7.献身なき信仰

というものだそうです。
【マハトマ・ガンディー】 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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現在の世界的な経済の混乱や、日本では数々の不祥事が今年も続きました。
1、2、5などは特にあてはまるような気がします。

厳しい時代でも、心して経営したいと考えさせられます。


横山国男

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2008年12月20日(土)更新

元気を出したいが。

ブログネタに困るということはあまりありませんが、暗い話はつとめて書かない
ようにと日頃は思っています。
しかし、ノーテンキな話題はこれだけ周囲の雰囲気が変わると書きづらいもの。

昨日、来社した仕入れ先の営業担当者から「とうとうY旅館もギブアップですね」と
民事再生中の山中温泉の名旅館が破産・営業停止の道を選んだことを聞かされ
ました。

開湯800年、源泉かけ流し、能舞台まで持つ北陸有数の正統的旅館でした。
この冬一度行ってみたいとネットで予約状況をチェックしていた矢先なので、落胆
しました。

いずれここも最近はやりのビジネスモデルを持つチェーンに買い取られ、年中
同一料金、大広間の畳はめくられてフローリングに変えられ、バイキング料理の
テーブルの周囲には家族づれが群れをなす、という風景が頭をよぎります。

この旅館もそうですが、芦原、片山津、山代、山中ほか多くの温泉旅館、ホテルが
近くにありますので、知りあいもそれなりにいます。

先日、銀行のエライ人が「債務償還年数80年というところもあります。孫の代でも
終わるかどうか」という話を力なくされていましたが、暗澹とした気持になります。

温泉の文化も今や絶大なピンチです。

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そこで働いていた人にとっても生活の方途を失うことになりますが、最近矢継ぎ早
に発表される、自動車や電機関連の派遣労働者、期間工の「雇い止め」のニュース。

以前ブログに書いたことがありますが、数年前、経営不振に陥った日本有数の
自動車メーカーの立て直しに、外国人の社長を迎え入れた際、思い切ったリストラ
が行われました。

このとき感じたのは、従業員というのはコインの裏表のようなもので、会社では
生産やサービスに従事して給与をもらいますが、帰宅すれば一生活者、消費者
です。当然自社製品の忠実な顧客でもあるわけですが、クビを切られた、という
事実はその後どのような思いと行動につながるのでしょうか。

3000人の解雇は、3000人の消費者、顧客を失うことだけで済むとは思えません。

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あるブログに
『企業の業績は数字で判断されるが、数字が企業を動かすわけではない。
人の心、誠意が動かすのだ』とあります。

「○月○日で契約終了です。寮は3日で空けてください」

こんな言葉を何の感情もなしに、ねぎらいの言葉もなく事務的に伝えられるなら、
日本も終わりと思うのは私だけでしょうか。

せめて、3か月とかの期間を置くのが大企業、人間のやることではないでしょうか。
そんな費用はたかが知れているはず。 この時期、株主だって同意します。

未来の顧客を、子、孫の代まで敵にまわそうとしているとしか思えません。

横山国男

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2008年12月17日(水)更新

「廃用性委縮」・・・カラオケの効用。

姉の一人が晩年のある日、声が出ないのに気づいて病院へ行くと、医師から
「声を出さないからですよ」と言われたという。

二人の娘も結婚して外に、ご亭主にも先立たれて一人暮らし、おまけにあまり外へ
出ない物静かな性格が災いして、声を出さない日々が続いたせいでしょう。

これを聞いて「廃用性委縮」という言葉を思い出し、それから好きなものの5番目位
の「カラオケ」にちょくちょく友人夫婦たちと出かけるようになりました。

懇意な友人から今年頂いた年賀状に小さな文字で「○○全国カラオケ大会で3位に
入りました」とあってビックリ。長いつきあいなのに全然知らなかった、お人柄だな
と感心しましたが、先日いつものカラオケ店に引っ張り出して拝聴。さすがでした。

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体も頭も使わなければ退化する、ベストセラー作家で医師の渡辺淳一さんが、
週刊誌で面白おかしく「廃用性委縮」について書かれていて、それでこの医学用語
を知りましたが、“恋愛小説家”ならではの話題でした。

「廃用性委縮」でもっとも有名なのはアルツハイマーに関してのもののようです。

アルツハイマー型認知症とアルツハイマー病は違うのだそうで、アルツハイマー
病はアルツハイマー型認知症の1~2%しかなく、脳内のシミや委縮で認知症に
なる病気。
「アルツハイマー型認知症」は、脳を使わないことで起きる廃用性委縮で、認知症
の90%近くを占めるそうです。

ということは、脳を使うという個人の努力でかなり防げる、ということのようです。

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子供の自立、会社の退職、愛する家族の死などで、生きる意欲が低下したりする
ことがきっかけになることも多いそうです。

子供はいつまでも自立しないし、自営業者で退職も自分次第、カナイもなんとか
やっています。
が、何よりこのミゾユウの経済危機で、連日頭の中は考えることでいっぱい。
脳の「廃用性委縮」の心配はなさそうなんですが、それにしても「モノ忘れ」が多い
のが気になるこの頃ではあります。

横山国男

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2008年12月15日(月)更新

「結婚するとき、私は女房を食べて・・・

「結婚するとき、私は女房を食べてしまいたいほど可愛いと思った。
今考えると、あのとき食べておけばよかった」 (アーサー・ゴッドフリー)

この格言(?)というか、ジョークにはカナイと大笑いしました。
ことほどさように、年月が経つと「こんなはずでは・・」と。
自分の努力不足には思い至らないのが「凡夫のあさましさ」でしょうか。
こんな気の利いた「パーティージョーク」なら、どっとウケるに違いありません。

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早くも今年もあと半月です。しかしお正月を楽しみに待つ、というような歳でもないし
第一、街や家庭にもそんな風景は年々うすれてきています。

週末土曜日は、今年最後のゴルフ。20度近い暖かいいい日に恵まれて友人夫婦
3組と、全員日頃お世話になっている元ドクターをお誘いして楽しくプレー。

そのあとは、忘年会のようなもので、メンバーのお一人推奨の和食店へ。
古い町の「蔵」が集まっているところを、今はやりの「町おこし」で、土蔵や座敷蔵を
今風に改装して飲食店などに変身。お料理もよく雰囲気も結構でした。

日曜日は、メンバーが全く変わったものの、偶然3夫婦にプラス1名で我が家で
洒落て言えば「ホームパーティー」。
遅くまで飲んで食べて大騒ぎしましたが、皆さんをお送りしたあと、薪ストーブの
火を落としながら、この景気、来年は厳しい冬にならないといいけど、とちょっと
気持ちが沈みます。

「バブル」も経験し、「失われた10年」も乗り越えてきた、いわば戦友のような
50代後半から60代なかばの友人たち。
それぞれの「夫婦」の歩みがあるんでしょう。そしてこれからも。

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「寒い晩だな」
「寒い晩ですね」
妻のなぐさめとは、まさにかくの如きものなり。 (斎藤緑雨)

10年後、こんな感じの夫婦でいられたら、と思います。

横山国男

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2008年12月12日(金)更新

縄文のグッドデザイン

「今どきの若いモンは・・・」というフレーズは縄文時代からある、という笑い話が
あります。
たまたま探し物をしていて、(財)福井県文化振興事業団発行の「福井の文化」
(平成14年3月発行第38号)という小冊子に「縄文とは何か」という記事があり、
そのまま引き込まれるように読んでしまいました。

福井県の南部、若狭地方の旧三方町に、国内屈指の縄文遺跡「鳥浜貝塚」が
あり、「三方町縄文博物館」が置かれています。

鳥浜貝塚発掘現場 三方町縄文博物館の外観

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まず縄文時代が、一万五千年くらい前から、約八千~一万年続いたということを
あらためて知りました。西暦はまだ2000年、その5倍もの長さです。

毛皮などを身にまとい、槍を持って山野を渉猟する、土器を「野焼き」という手法
で焼成し、まあ、飾りといえば「縄目」をつけるくらい、そんな文化を想像していま
したが、トンデモナイ思い違い、無知でした。

鳥浜貝塚は海抜0メートル以下で、常に新鮮な水が浸透したため、土偶や土器
はもちろん、木製品、落ち葉、蝶など普通なら腐ってしまうものが原型を保った
まま出土する、一万年以上を経た「タイムカプセル」だったのです。

ただ、鮮やかな紅葉は空気にふれた瞬間から黒ずみ、ある調査員は『鮮明な
 青色の昆虫の羽や、黄金色に輝く羽の生き生きした美しさ、それが粘土層の
なかから顔を出し、すぐに変色していく瞬間など「時間よ止まれ」と叫びたくなる』
と述べています。

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ワイングラスのような木杯、桜の樹皮を巻いた弓、漆を塗ったお盆様のものまで
出土、それらはいずれも博物館に展示されているようですが、ビックリしたのは
丹(に)で赤く彩色されているという抹茶茶碗のような土器です。

鳥浜貝塚出土の丹彩土器 この造形は本当にモダンで、表面につけ
 た模様も縄目ではなく、矢じりか貝殻で
 彫りを施してあり、その意匠もすばらし
 いと思います。(拡大してご覧ください)

 どっしりしたやさしいカーブを見ると、
 これで「一服」いただいて、茶碗の底を
 のぞけば縄文人の会話が聞こえてくるよ
 うなそんな気がします。 

茶人が欲しがる、あるいは「うつし」を作ってみたくなるほどの器とも言えそうです。
これだけの「グッドデザイン」ができる高度な文化をもっていたことに驚かされます。

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いろいろな出土品から、縄文人が自然を大切にし、自然と共生しようとする思い
が強かったのでは、という考察もなされています。

『かって一万年続いた文化があり、この時代が終わって時間は急速に早まり、
今この地球は滅びようとしている。地球の滅亡を少しでも先へのばそうとするなら、
一万年持ちつづけた縄文人の思想に何かを学ぶことが必要ではないか』
と、館長の玉井常光さんは結んでおられます。

(写真は同誌から転載させていただきました)


横山国男

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2008年12月10日(水)更新

「京都漱石の會」

昨12月9日は夏目漱石の命日でした。(1916年没 享年49歳)。

漱石については作品もあまり読んでいないのですが、明治34年留学先のロンドン
での日記に次のような一節があることを知り、ぐっときました。

「往来にて向こうから背の低き妙なきたなき奴が来たと思えば
                       我が姿の鏡にうつりしなり」 

異郷の地で日本人であることを厭というほど思い知らされる、食費をギリギリまで
つめて本を買い、そして夜は下宿にて真剣に日本の前途を考え続けた漱石。
精神的限界まで追い込まれながらも、帰国してあれだけの文学における業績を
残した人。・・・魅かれます。

昨年の初秋「江戸東京博物館」で開催された「文豪夏目漱石・・そのこころとまな
ざし」展を観ました。その時の感想などは当時ブログにも書かせてもらいましたが、
もし漱石が生きていたら今の日本をどう思うでしょうか。

漱石についてのムック本ともいえる内容豊富な図録

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今年の5月若葉のころ、「京都漱石の會」と差出人の名のある大きな封書を頂き
ました。
代表 丹治伊津子(さん)とあります。「?」と思いながら内容物を見て納得しました。
私のブログをご覧になったそうで、立ち上げたばかりの「会」にお入りになり
ませんか、というお誘いでした。

丹治さんは、裏千家のご高弟でもあられますが、私より少し年長の方と思われる
のに、数年前から「椿わびすけの家」というブログを縦横無人(デジカメもパシパシ)
の内容で発行されておられ、お若い感性で尊敬してしまいます。

別館「夏目漱石の部屋」というページでは、漱石のお孫さん松岡陽子マックレイン
さん(1924年お生まれ、現オレゴン大学名誉教授)とのご交遊や、あちこちでの
生き生きした、本当にモダンで快活な日常が綴られていて、私ごときが失礼です
が、教養あふれる素敵な日本女性を目の当たりに見る思いがします。

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会報「虞美人草」創刊記念号 写真は、同封されていた会報誌「虞美人草」の創刊号ですが、
 創刊に寄せてお祝いの言葉を寄せられている錚々たる諸先生
 の顔ぶれを拝見すると、いくら「入会の資格を問いません」
 とあっても正直ちょっとひるんでしまいます。

 たとえば「漱石と私」と題して、人間環境大学名誉教授の
 井尻益郎先生のお寄せになった原稿は、内容もさることながら
 文頭でのごあいさつがとても美しい文章で感動しました。
 ご紹介したいと思います。

『このたびは、丹治伊津子先生の馨しい御事業「京都漱石の會」発会、まことに
おめでとうございます。謹んでお祝辞を申し上げます。
大切の会報に一文を寄せるよう、思いがけぬお勧めを頂きました。生来文学音痴
の身、あまりに不相応で随分躊躇いたして参りました。
しかし、重ねてのご要請を賜り、分際を弁えませず尊い会報を雑文で汚しますこと
を何卒お許し下さいませ。』

「謙虚」とはどういうことかをこの美しい日本語で思い知らされる気がいたします。

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この秋にはご丁重にも第2回のご案内もいただきました。
京都嵯峨小倉山の名邸「渡辺家別邸」が会場で、大変魅力的でしたが、はずせぬ
所用と重なり出席はできませんでした。

それより、少しずつでも「夏目漱石全集」を読み進み、皆様のお話が多少なりとも
わかるようにすることの方が先決、と思うこのごろです。

漱石夫妻 愛のかたち (朝日新書)松岡陽子マックレイン著

横山国男

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2008年12月08日(月)更新

菊池寛賞受賞―かこさとしさん(絵本作家)

第56回菊池寛賞(日本文学振興会主催)の受賞者は、宮尾登美子さん、安野光
雅さん、それに絵本作家のかこさとしさん(82)の3人でした。

宮尾、安野両氏は著名ですし、特に安野さんの絵本などは子供が小さいころ、
何冊か買ってやった記憶があります。その長い画業での作品数は膨大で、美しい
水彩画や装幀でもおなじみでした。

宮尾さんでは映画「鬼龍院花子の生涯」がすごく印象に残っています。
いまは亡き夏目雅子。生きていたら岸恵子とならぶ国際的女優として大成されて
いたはず。
大河ドラマ「篤姫」の原作も、宮尾さんの「篤姫の生涯」からですね。

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かこさとしさんのことは不勉強で知りませんでした。他のお二方でなく、かこさんが
地方紙に写真入りで大きく取り上げられているのは、かこさんが福井県武生市
(現在越前市)生まれで、8歳まで住んでおられたそうで、そのご縁ということも
あるでしょう。

作品には第1作の「だむのおじさんたち」から、「だるまちゃんとてんぐちゃん」、
「からすのパンやさん」など500点以上もあるということです。

絵本作家ですから、たとえ8歳までであっても、故郷の美しい山や川の印象が、
きっとその絵に描き込まれたに違いありません。

受賞の喜びを語られたかこさんの言葉に、あらためて子どもって大したもんだなあ、
と思う言辞がありましたので、その言葉をお借りします。

かこさんは
「子どもは自己中心的とか言われるが、超法規的な“みそっかす”ルールを発揮
して小さな子の面倒をみるなど、道徳教育の教科書を地でいくようなことをやって
のける。それは生きるという発奮、望みを抱いて毎日を送り、周りからいろいろ
摂取し、糧にしているからだと気がつくのに50年もかかった」。

【超法規的みそっかすルール】というのがいいですね。このルールこそが「イジメ」
をこれほどまでに社会問題化させないルールだったはずなんですが。

かこさんのお仕事が高く評価されたのには清々しい気持ちになりました。

横山国男

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2008年12月05日(金)更新

悲喜こもごもだった“タイ国際空港占拠”

昨日は、地元新聞社の会議室で、「福井県ゴルフ協会ジュニア育成委員会」が
あり、本年の行事報告や課題などを話し合いました。

石川遼クンの大活躍もあり、年々小学生低学年のゴルフ教室参加者が増えて
いるのは結構なことなのですが、安全面や保護者のマナーなど検討すべき課題
も多くあります。高校生プロが1億円を稼ぐ・・・・これからどんな影響が出てくるの
でしょうか。

会議が終わり、友人の委員長Yさんとエレベーターで一緒に。
「いやー参った。タイで足止めされてさ、出張の用事も終わったし、何もすることが
ないので、8日連続でゴルフしたけど、さすがに飽きたわ」。

そりゃそうでしょう。私も嫌いではないですが、若い時ならいざしらず、3日も続い
たら、あとは市内で骨董めぐりか、名所旧跡へでも行くと思います。
(ただ、いつ乗れるかわからないので、常にスタンバイしていたのかも知れません)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ほほえみの国」=タイのバンコク・スワンナプーム国際空港は、完成して間もない
昨年1月に降りましたが、その巨大さに驚きました。関空などは規模からいえば
ローカル空港とさえ思えるほど。

しかし、空港を出れば、まだまだ民家も立派ではないし、道路も未整備のところも
多いので、発展はこれからだな、という印象でした。
これは、今年1月、恐怖の鳥インフルエンザ渦中のジャカルタへ行った感想と同じ、
東南アジアの各国に共通ですね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1日(月)の夜7時のNHKニュースを見ていたら、タイの軍用基地からやっと帰国
できたという、関空での取材で、インタビューにこれも友人のNYさんの顔が。

化粧品販売会社の社長ですが、成績優秀者をご褒美にタイへ連れていったので
はないか、と思いますが、「疲れました。ほんとに正確な情報がなく、右往左往しま
した」と苦笑しながら答えていました。

一時は1万人近い日本人が足止めされていましたが、2日ほど前から空港再開に
なりましたから混乱は収拾されつつあるようです。
ただネットのニュースを見ていましたら、あまりの対応の悪さ、情報不足に乗客の
方だったか、(現地在住の方?)が支援をかって出た、とありました。

高齢者の夫婦で、ツアーでもなく(添乗なし)、言葉も話せず、重いスーツケースを
引きずりながら、今夜のホテルをどうしたら、なんて本当に心細い思いをされた
人たちもいたことでしょう。お金だって十分でない人もいたと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ただ、このニュースには少し違和感を感じました。
そのようなボランティアの助けを待つまでもなく、タイには大使館や領事館などの
在外公館も多いはずですし、必要なら近隣の国からも応援に駆けつけて、日本人
旅行客にきちんと情報を伝え、安心させてほしかったように思いました。

実際は、行われたのかも知れません。そうだとしたら、相変わらず日本のマスコミ
は片手落ちだなあ、と思います。そういう報道には接しませんでしたから。

「ほほえみの国」=外国の評判を落とす作戦で、反政府勢力PADは目的を達した
ようですが、「いい加減にしてほしいと」いうのが各国の旅行者の感想でしょう。

ただ、これがドンパチ(銃撃戦)での反政府攻撃(軍事クーデター)などだったら
日本人旅行者はとても生きた心地はしなかったでしょう。 
滞在が延びるくらいは仕方ないですかね。

横山国男

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2008年12月03日(水)更新

「プロジェクトX」のDVD。

プロジェクトX DVD (NHK)  NHKの人気番組だった、「プロジェクトX」。
  終了して早くも数年経つようですが、どうしても
  見たい一本があり、先日DVDを購入しました。

  「桂離宮 職人魂ここにあり ~空前の修復作戦~」
  (平成15年9月2日放送分)です。

仕事には直接関係ありませんが、昔から建築に興味があります。

戦前、政治信条でヨーロッパに居づらくなった著名な建築家ブルーノ・タウトが、
日本の建築学界の招きで来日し、そのまま亡命してしまいました。
国際港だった敦賀に上陸したその翌日、憧れていた京都の「桂離宮」を訪れ、
「死ぬほど美しい」と言ったことは有名です。

あの優美な屋根の曲線、対して北山杉の柱、白壁の直線で構成される純木造の
離宮は、今から400年も前の庭園を含めた日本建築の「粋」として、外国からの
賓客も必ず訪れますね。
一度はゆっくり拝観したいものですが、まだ実現せずにいます。
(参観は宮内庁京都事務所へはがきで申し込む)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「プロジェクトX」のDVDは、この桂離宮が、老朽化し崩壊の危機にさらされている
ことがわかり、京都中の名工たちを結集して、一万もの木材を解体・修理・完全
再組立ての過程を追ったものです。天井裏に積もった400年近い「ほこり」まで
回収、これはあとで大変役に立つことになりました。

こういうモノを見ていると胸がドキドキするのは、つくづく私には父とおなじ職人の
血が流れているんだな、と。生まれ変わったらこういうプロジェクトに参加できたら
どんなに幸せだろうと思います。

昭和51年、6年の歳月をかけて、見事に再生されるわけですが、印象的だった
のは、工事の元請けで大阪に本社のあるゼネコンO組の若き「ビル屋」Mさん。
高卒で入社、20代でビル建設の現場監督はこの人の優秀さを物語りますが、
この世紀の難工事の責任者に34歳で抜擢されるのです。(選んだ会社も偉いと
 思いますが)

和風建築を全く知らない彼は、ある晩一夜にして白髪になってしまうというほどの
プレッシャーに耐え、気難しい「名人・名工たち」を指揮して工事を完遂します。
仕事への責任感は自分への「挑戦」でもあったのでしょう。

当時のお顔も「仁王」というニックネームに似ず、意志の強そうな面立ちの男前で
したが、30年後の平成15年、この番組に登場された際のお顔がまた素晴らしい。
この大きな仕事を成し遂げた自信が、さらに次の仕事を成功に導くという人生を
送られたのでは、と想像しました。
失礼ながら、久し振りに見る優しさと自信にあふれた素敵な日本の「男」でした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

NHK「プロジェクトX」を毎回見ていたわけではありません。ドキュメンタリーでも
なく、どちらかといえば「物語仕立て」で、あの独特のナレーションもちょっと好み
ではありませんでした。(中島みゆきの主題歌はグー!でしたが)

しかし、戦後日本の復興、高度成長、世界に冠たる先進の技術や手仕事など、
それを支えた多くの無名の技術者や名人・名工たちに光をあてた優れた番組
だったと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

DVDを観た直後、この「プロジェクトX」を制作統括したI氏が、つまらない犯罪で
逮捕されたという報道が流れ、NHKのニュースでも「お詫び」がありました。

Mさんのように生きることができなかったのには、どのようなわけがあったのだろ
うか、とちょっと暗澹とした気持になりました。

桂離宮 森 蘊著 1955年(修理前) 東都文化出版 桂離宮 修学院離宮 2004年(修復後) 京都新聞出版センター

横山国男

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個人プロフィール

「知るは喜び、調べるは楽しみ、分かるは感動、学ぶは一生」とか。高齢者の仲間入りの年齢ですが、仕事でも趣味でもICT時代の恩恵に感謝しています。趣味・・本好き、水彩画、ゴルフ('05までJGA委員、現在中部ゴルフ連盟ジュニア育成委員ほか。エポック・・還暦のアルバトロス、'06...

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  • 「節約の王道」林望・著 | 我が道を行く、気品にあふれた節約本 from 23:30の雑記帳
    節約の王道(日経プレミアシリーズ) 節約本にありがちな、 ある種のみすぼらしさが感じられない、 上品なというか、気品にあふれた本。 筆者のものの考え方が独特なので、 同意できない方も多数いらっしゃると思われる。 例えば、ゴルフ好き、煙草好き、鉄道模型....