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2008年11月09日(日)更新

「越前ガニ」と「沙漠化」について考える。

霜月11月も明日は10日。今朝も大して寒くありません。今年は今日までのところ
特に温かいようで気になります。

誰もが知るようになった「越前ガニ」。その解禁日は今年は11月6日でした。
福井県の沖合から解禁日の朝戻ってきた蟹漁船、揚げられたズワイ蟹の初セリ
の風景などは、毎年TVニュースですっかりおなじみになりましたが、どうも近年の
画面は違ってきたように思います。

背景に、冷たい雨風やみぞれ混じりの天気、暗い色の海がありません。
あと半世紀もすると、このあたりの年間平均気温が「那覇」と同じになる、という
「温暖化」の予測すらあります。

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かと言って日本が「砂漠化」するとも考えにくいですね。周囲を海に囲まれている、
そのおかげで多雨である、「緑被率」は世界第二位、などが思い浮かびます。

長年冷害などで苦しんだ東北や北海道でも「米」の収穫がさらに容易になるでし
ょうから、飢餓も考えにくい。バイオや品種改良の技術も世界のトップクラスです。

携帯やIT環境その他の「日本独自規格」が進んで(遅れて?)ガラパゴス化する
という意見もあるようですが、大きなハワイ・・パラダイス化するかも知れません。

とかく悲観的な方に傾きがちな(世界有数の自殺大国でもあるので)日本。
1500兆円も個人金融資産があるんだそうですから(誰も見たことはないけど)
「恐慌」になっても国家倒産はしない、とゆるく考えて暮らすのはどうでしょうか。

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しかし、世界各地で起きている「砂漠化」・・・水が少ないという意味で「沙漠化」、
の問題は少し調べてみると、「月の砂漠」のようなロマンチックな風景には程遠
いものがあります。

砂漠化の原因はいろいろ複合していますが、やはり「人間」が原因となっている
大きなものとして一例をあげると人口爆発があります。

資料によると、例えばアフリカのスーダンでは20世紀に入ってから人口が6倍。
井戸ポンプが普及したのが原因だそうです。水が使えるようになり、家畜を増や
すことが容易になりました。

しかし、増えた家畜は緑を食べ尽くす、人は乏しくなった木々を根こそぎ取って
調理や家を造る泥レンガを焼くのに使う、井戸はさらに深く掘られ、地下水は
涸れ、木も枯れていくという悪循環が始まります。

美しかったオアシスも、次々と文字通り「沙漠化」していったのです。

農業の機械化も過剰耕作、農地の酷使につながり、土地をやせ細らせ、雨が
降れば土壌流出、表土は流れて砂漠化します。

しかしこの問題の難しいところは、その地に住む人々にとって「必要不可欠」、
「生存のための営み」そのものだということです。

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今日の新聞に「エネルギーの自給を目指して注目されている」岩手県葛巻町の
話題が載っています。標高400m人口8000人のこの町は、今や風力発電、
太陽光、酪農の町なので家畜糞、森林資源から出る間伐材などのバイオ技術も
総動員して、今や町内消費エネルギーの70%をまかなうそうです。
各種団体の視察や観光客も増えて昨年は約50万人が訪れたのもプラス。

先日、環境NPO法人の代表を務める、親友の建築家が持ってきた「太陽熱利用
調理器(コンロ)」で実験をして見せてくれました。
薄いステンレスの鏡板が四方に開く簡単な構造のものでしたが、大して強くもない
秋の日差しでも30分もかからずに、中くらいの鍋のお湯が沸きました。

感激した私が「すごいな、これをアフリカに送ったら、あの強烈な太陽だから10分
もかからんな。砂漠化防止に役立つよな、安く出来そうだし」。

「もうやってるよ。だけど鏡板は盗まれるし、上の方の人間がこれを法外な値段
で横流しするから、本当に必要な人に渡らないんだ」・・彼の返事です。

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新しいエネルギーの開発に「自然資源を活用して日本一のエネルギー基地に育
てよう」と人口8千人の小さな町が町民あげて取り組む日本。
自治体からお達しがあれば、ゴミの分別、リサイクルに文句をいいながらもきちん
と従う大半の日本人。

対して、
55カ国もあるとは知りませんでしたが、その大半が沙漠化に苦しむアフリカ。
どのような援助が有効なのでしょうか。教育にも人口制限を含む医療分野にも
多くの人的、物的援助が長い年月送られ続けてきたと思うのですが。


横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2008年11月06日(木)更新

合州国でない合衆国

「合州国」(がっしゅうこく)と書いても間違いではないんだそうですが、ユナイテッド
ステーツを「合衆国」と訳したのは名訳だと思います。
王国や公国、一番多いのは共和国のような気がしますが、「合衆国」というのは
アメリカだけです。

アメリカ合衆国第44代大統領は黒人で初めてのバラク・オバマ氏。以前ブログに
書きましたが、長い選挙戦を戦うのは大変ですが、しかしこの期間に候補者は
厳しく鍛えられて、大統領にふさわしい人物に「成る」という一面もあるように思い
ます。

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オバマ新大統領の国民や世界に向けたメッセージ、決意の表明はリンカーンや
ケネディと並ぶ素晴らしいものだと思いますが、それにしてもあらためて「言葉」
の持つ力、政治における「言葉」の重要性を認識させられます。

イラク戦争や世界金融危機、社会問題などに対して「私達はできる!」「チェンジ」
を掲げて当選しましたが、考えてみればそのどれもがアメリカ自身が原因となって
きた、引き起こしたとも言えるのではないでしょうか。

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私の年代では子供のころからアメリカは憧れの国でした。
太陽がサンサンと溢れる「アメリカンドリーム」の国でした。しかし長じて少しは
モノが見えるようになれば、自国はもちろん、どの国家も固有の問題を多く抱えて
いることが分かります。

今夏、短い旅行でしたが、最もアメリカの典型的な大都市といわれる「シカゴ」と、
建国時の面影を色濃く残す小都市「ボストン」の二つの都市を訪れました。
その気になって観察してみれば、現代アメリカの持つ様々な問題の一端も見えた
ように思いました。

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折しもサブプライム問題に端を発したアメリカの経済、モノつくりを止めてしまった
アメリカ最後の象徴とも言えるGMの危機、社会不安が増しているからでしょう
 か、「銃」の販売が異常に増えているそうです。

この背景に「アメリカ史上初めての黒人大統領誕生」という素晴らしい選択を
必ずしも喜んでいる人ばかりではない、と冷静に考えてみると、むしろ苦難は
始まったばかりなのかも知れません。

まずは4年の任期を無事に、そして本当の「改革」を進めてもらうことを、アメリカ
と関係の深い日本、それも片田舎の小さな企業の社長でも祈らずにはいられな
い、と今朝は思いました。


横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
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2008年11月03日(月)更新

山車の大きな人形の衣装・・苦労しておられたんですね。

先日、猿回し芸「太郎さんと次郎君」の衣装を作らせてもらったことをブログにも
書かせてもらいました。

この模様が2週にわたってTV放送されたためでしょう、その後、何件かのお問い
合わせなどがあり、素直に喜んでいます。

そのうちの一つに、当社でも想像していなかった依頼があり、お話を聞いて当社
の技術と提案力が生かされる、お役に立てる恰好の案件がありました。

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来年のお祭りの企画なので、詳細は控えますが、当地でも歴史のある、有名な
お祭りです。

大きな(5~6m)武者人形などのつくりものを乗せた「曳き山車」が、毎年8基も
出て、3日間、県内外からたくさんの観光客を集めます。

「山車」は、毎年地区やグループの人たちの知恵をしぼったものになります。
巨大な人形を「来年は何にするか」は、もうほとんど決定しているそうです。

週末、ある「山車」の勧進役、デザイン担当、衣装制作担当の方々が「テレビを
みたのですが・・」と当社を訪ねてこられました。

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お話によりますと、
「人形作りはともかく、毎年、衣装特に染めや織りの“織物・生地”を探すのが
もう大変なんです。無地のものはまだよいのですが、柄物になるとそんな大きな
柄やデザインのものはほとんどありません。「ふとん」や「帯」の生地の中から
探すのですが、生地幅がせまかったり、必要な長さが手に入らなかったり・・」。

私の回答は、
「全くご心配いりませんよ。どんな柄のどんな大きさのものでも、フルカラーで
お作りします。それも150cの広幅の生地、素材はいろいろありますが、発色が
きれいで、お祭りが雨でもシャンとしているのはポリエステルがいいでしょう。
価格もリーズナブルですから」。

その他、数量も少量でもよいこと、素材感や十二単衣のような複雑な見た目も、
グラフイックスで本物のように見せることができることなど、たくさんの資料と合わ
せてお見せしたところ、躍りあがらんばかりに喜ばれたのです。

何より感激されたのは、「拡大図柄」でプリントできるということです。
たとえば腰元などがよく着ている「矢羽根」の柄がありますが、人が着る着物の
柄としてはせいぜい一つの矢羽根は10c程度の大きさでしょうが、5mもある
人形となると30c~40cの大きさが必要になります。

判官の裃(かみしも)の背中の「紋」だって15cくらいにはなるでしょう。

そんな生地は存在しませんから、衣装担当さんは大変なご苦労があったようです。
「すぐ、ミーティングを開いて図案を持ってきます。本の切り抜きとか、クレヨンで
描いたものでもいいでしょうか?」

「いいですよ、でもデータで作ってきていただいたほうが安くできますね」。

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よほど喜んでくださったのでしょう。当社の玄関を出られてからも「よかった、よか
ったこれで安心やね、ナントカカントカ」とにぎやかにおしゃべりしながら車へ。
こちらも嬉しくなりました。「そうか、考えてみたらそれは大変だったろうな」とも
思いました。

モチーフの小さい「小紋柄」や久留米絣、紅型、レース模様、リバティー柄など、
和洋を問わない「お人形」のために、柄のサイズを縮小した服地を作ることは
すでに企画に上がっていますが、「大きな人形」は気が付きませんでした。
旗などは30c四方の小さいものから、20mx30mの巨大なものまでお作りして
いるというのに。

足元で困っておられた方がいたんですね。PRができていないということかな。


横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
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会社概要

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個人プロフィール

「知るは喜び、調べるは楽しみ、分かるは感動、学ぶは一生」とか。高齢者の仲間入りの年齢ですが、仕事でも趣味でもICT時代の恩恵に感謝しています。趣味・・本好き、水彩画、ゴルフ('05までJGA委員、現在中部ゴルフ連盟ジュニア育成委員ほか。エポック・・還暦のアルバトロス、'06...

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