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2010年09月29日(水)更新

謡曲

「何とかしなければ」と夫婦で話していた、身辺のモノ、もの、物。
重い腰を上げるきっかけは「断・捨・離」を提案する本を読んだこともあり
ますが、幸運にも7月から帰省した次女の大車輪の手助けを得たこと。
おかげでほとんど片付きました。

誰もが仰るそうですが、「ウチってこんなに広かったっけ!」。
久しぶりにお風呂に入った気分とでも言うか、これで何かあっても迷惑を
かける度合いも少なくなったかな、と気分が軽くなったのも事実です。

考えてみると、戦後の物の無い時代に育ち、高度成長期を迎えて一気に物に
対する欲求が爆発。しかし親からは「物を粗末にしない」「もったいない」
を刷りこまれた世代です。溜まる、積み上がるのも当然。
田舎のこととて物理的スペースが多いのも原因の一つかも。

「収納場所を作る」や「収納術」を考えるのは、今は流行らないようです。
どうしても必要な物なのか? 買う前に何度も自問すると80%は要らない
という結論になる、と断捨離を提唱する人たちは言います。
だからまず買うな、増やすなと。これからもデフレは解消しないでしょうね。

「ホラ、考えないで捨てる!捨てる!」娘たちの叱咤が飛んだ猛暑の夏では
ありました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

だが、しかしです。
中には「別れ難い物や本など」も結婚40年近い夫婦にはあるのです。
人間、前ばかり見て生きていくわけでもない。娘たちからみれば過去の遺物、
ガラクタにしか見えないものでも、我々には残り少ないですが未来への力に
なり得る(と思いたい)物もあります。

もちろんいずれはそういうものも力を失うでしょうが、ここは家長の特権で
今回は「第一次断捨離」を宣言し、若干抵抗。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私の「紋付・袴」の衣装箱が出てきました。中に写真も。
日付は昭和62年11月15日。福井能楽堂で「土蜘蛛」のシテ。と裏に
書かれています。

「謡曲」(うたい)を習っていたころの写真で、右から3番目が私。
4番目が後見のTK先生。後ろは全てプロで「地謡」とミスした時の
プロンプター役でもあります。

「土蜘蛛」シテ 1987年 秋

下は翌年6月の発表会。「隅田川」と裏にあります。裃を着けているのは
曲によるものと思います。袴から手を出し、扇を下しているので私の謡の
場面です。

【写真の説明】

隣県は宝生流のメッカ加賀百万石。その影響で福井も宝生流の謡曲をやる
人が多いのですが、全国的にはメジャーは断トツで観世流。

たまたま福井県若狭のご出身、京都・観世流の能楽師TK師の奥様がカナイ
と同級生というご縁もあって私は福井教室で観世流を習いました。
早いもので、その頃「船弁慶」で初舞台を踏まれたご子息も、観世流能楽師
シテ方としてつい先年一本立ちされました。

20代のころから能をかなり観ていました。勢い余って「謡曲」を習うこと
になりましたが、仕事が忙しくなり4年ほどしか続きませんでした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

室町時代の話し言葉がそのまま生き続けていると言われている「能・謡曲」
ですが、今日まで生き続けているにはワケがあるはずです。
あの硬い板の間に座り、足のしびれを気にしながら650年前の世界に
ワープするというのは、思うに究極のアナログであり、デジタルの危うさ
を凌駕する気が今はします。

その頃、たびたびカナイと岡崎の「京都観世会館」へ行きましたが、いつか
またそういう日を、と写真を見てあらためて思いました。

大掃除(断捨離)のおかげです。


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2010年09月27日(月)更新

「最小不幸社会」か「国民総幸福社会」か。

「最小不幸社会」ってどういう社会のことなのか、耳慣れない言葉でよく
知らないのですが、対する言葉としては「国民総幸福社会」というのが
あるようです。

今年4月、「今こそ、日本を洗濯いたし申し候」というテーマで、第23回
全国経済同友会セミナーが高知市で開催され、企業経営のトップ900名余
が参加されたそうです。

基調講演はあの「国民総幸福」(GNH=Gross National Happiness)
指標で97%の国民が幸福だと思っているという、ブータンのジグミ・
ティンレイ・ブータン王国首相。(講演内容は『経済同友』・2010年6月号
に掲載されたのでお読みになった方もおられると思います)

(注)ブータン王国はヒマラヤ山脈東部に位置し、人口200万人程度の小国。
チベット仏教が国教となっている。首相は、1950年生まれ。米国ペンシル
ヴァニア州立大学修士で、デンマーク、スウェーデン、EU、スイスなどの
大使、さらに外相、内務・文化相を歴任。現在3度目の首相の座にある。
趣味はガーデニング、ゴルフ、トレッキング(山歩き)。

たまたま『安原和雄の仏教経済塾』というブログを読ませてもらって、
ティンレイ首相の講演内容に触れた部分、特に今自信喪失気味の日本人に
送られたエールに感じたものがあり、転載させていただきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「国民総幸福とは(2)」  (1)は略させていただきます。

ブータンでは大家族を社会の中で最も強い持続可能性のある経済的、社会
的、精神的なセーフティネット(安全網)として、重要な社会資本ととらえ
ている。福祉サービスは、豊かな国であっても、コストが高くつく。
 5年前に行われたブータンの国勢調査では、「そんなに幸福ではない」と
答えた人の割合は3%、「幸福だ」と答えた人は52%、「とても幸福だ」は
45%だった。ブータンではこれだけの幸福の度合いがある。

GNHのインデックスは主観的なデータに基づいており、幸福も主観的な考
えだから、どんな社会もこれを基にして統治することはできない、という
議論がある。しかし現実というものは基本的に主観的なものである。そして
国家の主たる義務は、国民が幸福を追求できるようにすることなのである。

日本が今回の経済危機で痛手を受けたとしたら、それはGDP中心の繁栄を
手にした結果ではないか。日本は、成功の頂点を極めたわけだが、これを
継続することはできない。日本人の知恵で、新しい経済、新しいやり方、
新しい暮らし方を探り、早急に挑戦していくという強い意志が必要である。

日本はあの壊滅的な被害を受けた世界大戦の灰から立ち上がった国である。
これほど強靭な回復力を見せた国民は世界にはない。そしてユニークな文化
を持っている。規律、勤勉、尊厳、誇り、不屈の精神、イノベーションの力
を持ち、世界から尊敬された国で、より持続的な価値を追求する能力がある
はずである。

日本こそ、ほかのどの豊かな国よりも真の幸福に向かって歩み、GNH社会を
作っていくのに最も適した国だと確信している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

これが人口200万の国の首相から、家族崩壊、ゆがめられた個人主義、身勝
手主義が横行している人口1億2千7百万の国への助言です。(安原和雄さん)

それでも、私は、ティンレイ首相を講演に招いた日本の経営者たちに希望を
感じていますが、願わくば日本の首相に「最小不幸社会」などではなく、
このようなお話を国民に向かって語ってもらいたいと思いました。



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2010年09月22日(水)更新

JET STREAM~秋の夜、 城達也のナレーションが懐かしい


遠い地平線が消えて
ふかぶかとした夜の闇に心を休める時
はるか雲海の上を音もなく流れ去る気流は
たゆみない宇宙の営みを告げています
満天の星をいただくはてしない光の海を
ゆたかに流れゆく風に心を開けば
きらめく星座の物語も聞こえてくる
夜の静寂の、何と饒舌なことでしょうか
光と影の境に消えていったはるかな地平線も
瞼に浮かんでまいります
日本航空があなたにお送りする音楽の定期便 
ジェットストリーム
皆様の夜間飛行のお伴をいたしますパイロットは・・・
私・・城 達也です

(♪~~~~~~~~~~~~~~~~~~~)

夜間飛行のジェット機の翼に点滅するランプは
遠ざかるにつれ次第に星のまたたきと区別がつかなくなります
お送りしております、この音楽が
美しく、あなたの夢に、溶け込んでいきますように

Jet Stream




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

懐かしいですね!。

元気だった美しいジャンボの姿と城さんの声をお聞きになりたい方は・・



1- Mr. Lonely 演奏:Franck Pourcel
2- Theme From A Summer Place 演奏:Percy Faith and His Orchestra
3- La Reine De Saba 演奏:Raymond Lefevre
4- Nocturne 演奏:Paul Mauriat


***



この散文詩を書かれたのは、堀内茂男さんという人だそうです。
曲と曲の間にも短いナレーションが流れますが、とても素敵です。たとえば

  『ゴンドラの船べりをたたく水の音が、心なしかうつろに聞こえる。
   建物の影の船溜りで客待ちをしている船頭さんたちに、ベニスの
   秋が忍び寄っている・・・』   

あのころヨーロッパに憧れました。   (城達也‘95年2月25日没)

 
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2010年09月21日(火)更新

(続)「書の魅力」・・芳名お手本帖が出てきて

昨日20日は、友人のMさんも出品している日本画展を観に行ってきました。
いよいよ美術の秋、公募展をはじめ種々の展覧会シーズンです。

会場入り口で「どうぞご芳名を・・」と促され、カナイの名前もあわせて
記帖しましたが、やはりお隣に達筆で署名があると気になるものです。

前号で「書の魅力」について書きましたが、そういえば毛筆での署名や
記帖となるとちょっと気おくれというか緊張します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここのところ断・捨・離(大掃除)を続けていますが、いろいろな物が
出てきて、写真などはそのたびに眺めたりしているのではかどりません。

もうかなり前に書家の吉川壽一さんからいただいた、「芳名お手本帖」も
出てきました(私バージョンです)。これでちゃんと練習すれば今頃は・・
とあらためて思ったのですが、本当にこの「お手本帖」は素晴らしい。

横山国男 芳名お手本帖
写真1 <横山国男 芳名お手本帖>

吉川さんによると、下記の6本の線が四千年の書の歴史から生まれたそうで
その説明は興味深いものです。

6本の線とは

写真 < 6本の線とは>

<説明> ・上記の6本の線は、約4000年の書の歴史から生まれてきま
した。1の甲骨文は骨や甲羅に刻された文字です。2の篆書は青銅器や石に
鋳造されたり、刻されたものです。3の隷書になると木や竹や帛に墨書され
たり、陶に焼かれた線なのです。墨・紙・硯・筆などの文房四宝が揃って
美的な要素から美しい文字に整えられてきたのです。
・より自由で、指や手や腕や頭が柔軟であった時から、だんだん理性の強い
楷書になっています。私たちが上達を目指すとき、それは楷書から始めるの
ではなく、筆の柔軟さ(開・閉)や指の先端の運動などを重視した、草書や
行書から習ってゆくことを薦めています。
・まず、筆を持ち、やわらかく、なんでも書いてみる姿勢が大切です。
楷書は、目習いをして構造を知ってから筆を執ってほしいのです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お手本はこうです。

・行書(上段)、草書(下段)の書き方
・行書(上段)の書き方 ・行書(上段)の書き方 ・行書(上段)の書き方 ・行書(上段)の書き方

・楷書
草書(下段)の書き方 草書(下段)の書き方 草書(下段)の書き方 草書(下段)の書き方



それで芳名などを書くときは

芳名 芳名 芳名


となるわけですが・・・。(他にも横書きなどお手本多数)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

平成2年2月2日、2並びの消印が押された色紙2枚も同じ紙袋の中に。
(下はカナイの名前の一字から 麗)

色紙

細字は、
 「うるはしみ吾が思ふ君はなでしこが花になぞえて見れど飽かぬかも」
(大伴家持)。前衛書家ですが、NHK大河「武蔵」の剛直な題字から
この流れるような美しい細字まで、「書家」ってすごいなと思います。

ともあれ私の“実用の書”は遠い。

(お気づきかも知れませんが、このブログの社名ロゴも吉川壽一書です)


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2010年09月17日(金)更新

「書」の魅力

記憶にも記録にも残る暑い夏でしたが、ようやく朝夕は秋の気配が少し
感じられるようになりました。

書家の吉川壽一さんには当社の顧問もしていただいていますが、彼から
くる書状やはがき、ファックス文書のほとんどは毛筆書き。スラスラと。

下はこの夏の初めの素敵な暑中見舞いです。
~~~と涼しい風が・・このような文字遊びも日本の「書」ならではの魅力。

暑中見舞い 書 吉川壽一
写真 <暑中見舞い 書 吉川壽一>

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

メールやワープロが多くなって、文字を書く機会が減っていますが、手紙・
はがきなどは太字の万年筆やボールペンなどでつとめて手書きしています。
さすがに毛筆とはいきません。

端正な文字、能筆・・悪くありませんが、一般人はむしろなんともいえない
その人なりの味のある文字を余白をうまく使って書けたら最高だと思います。
目指すは“へたうま”!。


下は魯山人の献立表とはがきです。(『別冊太陽』SPRING 1983から)
もちろん一般人ではありませんが、ワープロ文字には無いご本人の楽しさ
が伝わってきます。絵手紙が人気なのもわかります。


星岡茶寮のある夜の魯山人直筆の献立表(昭和44、5年頃か)   私の料理観 (自筆赤絵筒向付)ーはがき
写真左 星岡茶寮のある夜の魯山人直筆の献立表(昭和44、5年頃か)。
  右 私の料理観 (自筆赤絵筒向付)ーはがき



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