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2006年12月14日(木)更新

【お題】コンサルタントは役に立つか

<明治大学商学部 布施彰子さん からのご質問>


いわゆる「経営コンサルタント」は、何らかの役に立ちますか。
たとえば、コンサルタントがどんな知識を持ち、
どんなフォローをしてくれると、御社の経営に
貢献できますでしょうか。



にお答えして。



「経営コンサルタント」とは、つまるところ「利益の出し方」
について個々の事業会社の特性を理解した上で、今の問題点、
このままいくと将来想起される問題点について、社長に「計数
の意味を教える」ことではないか、と思います。

小企業の場合、良くも悪くも「社長のパーソナリティ」が経営
に色濃く反映しますから、平たくいえば「どういう社長さん」か
といった「理解」から始まるのではないでしょうか。

若いコンサルタントであれば、この複雑化した「業種・業態の収益
構造」についてシンプルにアドバイスできなくても当然でしょうし、
また社長というものは「自分がこの仕事について一番知っている」
という自負があるものです。

私の経験では、27年間自社のB/S,P/Lを眺めてきましたが、業績が
低迷してきてもどこをどうすればよいのか分からず、非常に不安
に襲われた時期があります。

会社が病気にかかっているわけですから、原因を知り、適切な
療法を「一緒に考えていただける相談相手」が必要です。場合に
よっては今までとは違う会計事務所や人を探さねばなりません。

また後継者にとっても良き指導者であって欲しいとも思い、新たに
御願いしましたが、どうでしょうか。

もつれた糸をほぐし、自社の業態に合った「重要会計指標」を
抜き出し、ベクトルを合わせるといった作業をこの2年ほど共に
やってきて、ようやく明かりが見えてきたところで「税務中心の
制度会計でなく、経営会計を標榜する税理士さん」に感謝しています。

しかし懇意のコンサルタントや会計士、税理士であっても、という
よりだからこそ冷徹な問題点指摘を御願いし、弱点の克服に努力する
よう自戒していきたいと思います。


ご勉学に励まれることをお祈りします。


横山国男

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こんにちは。
後継者です。


当社がはじまってよりお願いしていた会計士事務所
をやめ、現在の会計士事務所にお願いして2期目を
終わろうとしています。

今担当としてわが社にきている税理士さんは、私と
同年代(30歳前半)で、明るい方です。そして、今の
やり方は経営コンサルティングの分野に入るのだろう
と思っています。

私自身は3年ほど前から経理について勉強をはじめるまで
会計も経営も未知な世界であり、当然ながら不安もありました。

しかし会計士事務所で勉強をはじめて(セミナーや個人指導
に通いましたので)最初に感じたのは、家計も会社の経理も
同じだ、ということでした。


まず赤字にしない方法=月次をきちんと行なうということ
がいかに大事かを教えられました。現在、月次できちんと自分
が数字を把握できるようになって、どれほど物事かクリア
になるのか、また、数字にオシリをたたかれたり、数字に勇気
づけられるというのも大きな発見でした。


また、まだ全体を見るには知識のない私に、税理士さんは
どこをどう見ておけば大丈夫なのか、どこが重要なのか、
を指導してくれています。また、会計士事務所全体としては
経営者のメンタル面でのサポートも信条としていることが
特にセミナー等をうけなくともきちんと伝わってきて、それも
よい結果につながっていると思います。


私は勉強もかねているところですが、会計、経営面の
相談を信頼してできる税理士さん=経営コンサルティング
の存在は、私たち後継者夫婦にとって、色々な問題に
たちむかうきっかけや勇気をくれる、ありがたい存在に
なりつつあります。



横山奈保子
http://www.ysoakoiya.jp/
http://www.echi-zen-art.co.jp/



2006年12月10日(日)更新

京の年中行事―吉例顔見世を観る

幸運にも師走の京の風物詩といわれる「南座の顔見世興行」を
観る機会を頂き、週末夫婦で参りました。

去年から続いている十八代中村勘三郎の襲名披露の掉尾を
飾る興行でもあり、人気役者の勘九郎の雰囲気も手伝って
「南座」も今年は一層華やいだ感じがあるようです。

まねき

「中村勘三郎」のまねきが上がるのは20年ぶりとか。
そういえば以前に「顔見世」を観たことがあって、10年ほど
経つような気がしていましたが、家内がそのときのプログラム
を持っていて「當る辰歳」とあるのは19年前の辰年である
ことがわかり、「えーっ、そんなに経つのか」と思わず
“光陰矢の如し”を実感してしまいました。

パンフ2冊

しかしそれはちっぽけな人間の話。上のパンフを見ても20年間
体裁が変わっていないのにあらためて驚きますが、変化の烈しい
時代に在って「京都」が持っているものにますます多くの人が
惹きつけられるのもよくわかります。

1603年、四條河原で“出雲の阿国”が歌舞伎踊りをして以来
4百年、七座の内ただひとつ発祥の地に生き続ける「南座」は
洛中屈指の名所でもありますが、19年前は座席が狭く、身を
縮めて長時間の観劇に耐えた記憶があります。

それも今は平成の大改装で内部はすっかりラグジュアリーに。
天井の照明なども「和モダン」といった趣です。

内部座席


南座天井

新勘三郎の演目(夜の部)は美しい舞踊劇「京鹿子娘道成寺」。
歌舞伎にうとい私でも、あの絢爛豪華な衣装、喜怒哀楽の目の
演技、そして鍛え抜かれた末の柔らかな身体の使い方の素晴らしさ
には興奮して見とれてしまいます。

のけ反ったまま微動だにしない所作のところでは、思わず傍らの
家内に「イナバウアーやね」と言って笑われました。

イナバウアーなどといいましたが、このような自由闊達な物言い
が許されるのも歌舞伎のよいところ。
「口上」でも居並ぶ役者さんが、勘九郎時代の「やんちゃ」を
おもしろおかしく延べられ「・・よろしく御願い申し上げ奉り
まする」などと平伏して、観客をドッと笑わせておりました。
お客とのコミュニケーションの妙が4百年歌舞伎を続けさせて
きたのでしょう。

対して私の大好きな「能楽」は「抑制、そぎ落としの美」。
衣装以外は徹底的に簡略化の極致で、これはこれで見る人、
聴く人の想像力を豊かにさせるもの。
幕間に「狂言」が演じられることも多いので、歌舞伎のように
一杯飲みながらにぎやかに「お弁当」などということもあり
ません。哲学的でいかにも武家の芸能です。

どちらも素晴らしい日本の伝統芸能、特急なら1時間あまりの
「京都」に近い福井に住んでいる幸せを感じるときです。



横山国男
http://www.yosakoiya.jp/
http://www.echi-zen-art.co.jp/