大きくする 標準 小さくする

2008年09月05日(金)更新

職としての農、生活としての農。

工業化が進むと農村から都市へ人が移動し、この現象がグローバルに起きれば
「食糧」問題が起きるのは当然と思えます。日本がその好例だと思いますが、さり
とて中国をはじめ途上国の人たちも「もっと豊かになりたい」と同様な行動をとる事
を非難はできません。

私の祖父母は私が子供の頃、どちらも農家(小作と言ってよいでしょう。豆腐屋や
桶職人なども兼業していましたから)だったので、美しい里山の景色とともに、思い
出が一杯あるせいか農業・農家に親しみがあります。

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前回「適職」と「天職」について書きましたが、農業について考えさせられる「記事」
と「本」に出会いました。

<記事>
「経営者会報9月号」ー“目指すは農家の自立と事業化。その先に日本の農業の
未来は拓けます”と題した(株)ナチュラルアート社長鈴木誠氏(42歳)への取材。

慶応大を卒業し、旧東洋信託銀行で順風満帆のビジネスマン人生を歩んでいた
鈴木さんに、畑違いのジャンル、しかも農業を起業する道を選ばせたものは何だ
ったのか、という記事ですが、詳細は読んでいただくほかはありません。

農作物・畜産物の生産・加工・販売まで手がけ、直営農場は10か所、提携農家
1000軒、自社食材を使用したレストラン経営も運営して、5年で年商100億に
達しているそうですから、私の持論「農業こそ有望産業」を実現されていて、拍手
したい気持ちになります。

長くは書けませんので、私がこのベンチャーが成功したキーワードと思うのは2つ。
一つは「社名」の“アート”にあると思います。(農業とは無縁のワードと思われて
きたのではないでしょうか)。 もう一つは社長が話されていますが『たとえば大根。
米粒よりも小さな種を蒔くと、その4か月後には立派に育っていた。自分で引っこ
抜いたとき、強烈な感動を覚えたんですね』。という情動です。

経営者会報 9月号表紙

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<本> やまずめぐる =町田武士著(ソニーマガジンズ)

9月2日号久米信行さん発行のメルマガ「縁尋奇妙」に“里山を襲ったスポンサー
経営破綻の悲劇”と題して、久米さん家族の心のふるさとでもあり、和綿Tシャツ、
「しあわせのコットンボール」事業等で私も関心を寄せていた「渡良瀬エコビレッジ」
(主宰者 町田武士さん)が、事業を応援してくださっていた不動産会社が倒産
して先行きをちょっと心配している、ついては心ある一般の人の応援も求めている、
というようなお話が書いてありました。

「貧者の一灯」をとも考えていますが、前から気になっていた町田さんの著書を
この際読んでみたいと思ってamazonへ。(ユーズドしかなく、購入のボタンを押し
 ましたが、届いた本の定価を見るとなんと3倍で買ってしまいました。新刊在庫
がないため、もとの定価を私が知らなかったのですが、それだけ良書であるとも
言えるのでしょう。ただこの差額が支援にまわるわけでないのが残念)。

まだ読みかけたばかりですが、第一章からとてもいいお話で感動します。

『私は農業人というよりは「百姓」という言葉が好きだ。百姓には、百の姓(かばね)
を持つという意味があり、つまり、百の生き方であり、百の仕事ができるということ
なのだ。そこには、身のまわりのことをすべてまかなうことができる知恵を、尊ぶ
気持ちが込められている気がする』
『いまは農についても、「生産者」と「消費者」という言葉で語られるが、つくる側と
食べる側をくっきり分けているようで、私はこの言葉が好きになれない。それは
消費者という言葉が、都市に住み、お金を稼げば、食べ物は消費するだけでいいと
いうようなニュアンスを含んでいるように思えるからだ。もう少し生産の現場に近づく
ことで、さまざまな問題や食環境の大切さが見えてくるような気がする』・・・・・。

「やまずめぐる」町田武士著 ソニーマガジンズ @1600円

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前回の拙ブログでいうと、鈴木社長は「適職」を得てまっしぐらに驀進中、町田さん
は農業を「天職」として、第一章小題「本当に気持ちいい暮らし」を実現されている
どちらも羨ましい人生を手中にされているように私には思えます。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
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