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2008年01月25日(金)更新

東京新聞「結いの心」を愛読しています。

Web版「東京新聞」に、「結いの心」という連載があって、楽しみに読んでいます。

長野県最北、お隣はもう新潟という日本有数の豪雪地帯、「栄村」からの発信で、
村長は高橋彦芳さん(79歳)、平成の大合併に異を唱え「小さくても輝く自治体
フォーラム」を企画して、2003年には全国の首長も集まったとあります。

『彼(村長)は、よくこんな問いかけをする。「百姓が丹精込めて作ったコメが茶わん
一杯16円ぐらい。汽車で売り子が回ってきてコーヒー一杯飲むと300円。本当の
価値は、どちらにあるか」効率が最優先、カネにならないものは切り捨てるーという
風潮をもたらしたグローバリズム。競争に明け暮れる世界で、モノの値段が決まって
いく。「そんなのわしら百姓が勝てるわけねぇだろ」』(引用終わり)

舌鋒するどく、山里の現実から今の日本という国を語りながら、どうしたら農業を
守ることができるかを、栄村でのいろいろな事例を述べながら、時には愉快に時
には切なく報告をして下さいます。

「結い」とは、村に住む住民全てが参加する無報酬の「共同作業」で、かって住民
の中にも青、壮年者が多かった時代は道を直したり、河川の清掃など奉仕作業
的性格が強いものだったようですが、今はそれに加えて「高齢者の一人暮らし」の
家の雪下ろしなど、命にかかわることまで、それも高齢化した村人で対処しなけれ
ばならなくなって、大変な時代になっていることが読み取れます。

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子供の頃、私の住む地域でも、家の前の小さい川に掛かっている橋を何年か毎に
町内の親父さんたちが、材料を持ち寄り、架け替えたり、補修をしていた記憶が
あり、作業が終わると一杯飲んで、父親は赤い顔でご機嫌で帰ってきました。

これを当地では「結い」といった記憶はありません。こういう「共同作業」を何と言っ
たのか忘れましたが、今でも休日に近郊の農村部の集落を車で通ると、住民が
それぞれ道具を手に、小河川の清掃や、花壇の手入れをされている地区を目に
します。もう長い間、このような作業に参加していないので、ゴルフ場へ行く時など
は、なにか申し訳ないような気持ちでいつも早々と通り過ぎてしまうのですが。

「結い」のことを「普請(ふしん)」という地域もある、とこのブログに書かれています
が、私の地方では「普請」というのは、「道普請」、「家の普請」を指していたように
思います。
職人だった父が「男には普請をさせよ、女には子を産ませよ、と昔から言うもんや」
などと、今から考えると問題発言になりかねない物言いをした記憶がありますが、
考えてみると、新しい家が建ち、子供が次々と生まれるということは、社会がどん
どん成長していく時代だったわけですね。

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今では精々、家内のガーデニングの手伝いぐらいしか土に触れることのない私が、
「お百姓さん」の中身を語ることは僭越ですが、「農業」こそ未来の「日本の産業」
として最も有望だと信じています。

「情報」とか「金融」とか、不確かなものに振り回されるより、戦後の「農業政策」の
失敗とは別に、「品種の改良」や「機械化」「バイオ」などの分野で蓄積されてきた
日本の「農業力」は、「公害防止技術」「環境維持技術」とともに、世界はもとより、
まず自国の食と安全保障に大きく貢献するのでは、と思うこの頃です。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/