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2007年09月25日(火)更新

値ごろ感

モノやサービスの値段について、最近は混乱してしまう事例がたくさんあります。
「100円ショップ」などへ行くと、なぜこのようなものを100円で売ることが可能なのか、多少ともまだこの日本で「モノ作り」に関する仕事をしている身としては「不可解」なのですが、立派に店舗が続いているところをみると、十分に採算がとれているということなのでしょう。

一方サービスについて、例えば銀行の「振込み手数料」などは、逆の意味で「不可解」を禁じえません。「物流」ではありませんし、これだけ世界的にネットワークが進
んでいる中、いわばコンピュータを利用した数字の付替えだけで210円から840円、当社では韓国のデザイン会社へ毎月2~30万のアートワーク料の支払いがありますが、なんと5000円前後の「送金手数料」を銀行に支払います。

当社へ来られる行員の方に、皮肉まじりにこのお話をすると、どこでもこういう話があるとみえて、反論はされません。色々な施策で銀行の利益が回復していますが、
このような「手数料収入」が具体的な金額として決算書には記載されず、見えにくく
なっているのも釈然としません。

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10月1日から「日本郵政公社」が民営化の緒につき、「JP日本郵政グループ」とし
てスタートします。

当社の近くの「町の郵便局」へよく行きますが、近所のおばあちゃんが窓口で年金や貯金、保険のいろいろな相談があるのでしょう、懇切丁寧に、大きな声で分かるように何度も窓口のお姉さんが説明している光景にぶつかります。(先日も同じ説明をしてあげたのに嫌がらず・・)勿論世間話の相手にもなっています。

また、かたわらのきれいな待合室では顔見知りのおばあちゃん同志がにぎやかにおしゃべりを楽しんでいます。近くの幼稚園の園児の作品や、ご近所さんの「絵手紙」も壁に貼られていて、喫茶店などとは無縁の高齢者のサロンなんですね。

私も知らなかったのですが、10月1日から郵便局の窓口を利用する「通常払い込み」は、従来の3万円までの150円が330円に、「電信現金払い」は1万円までの送金手数料が今までは180円だったのに630円になるそうです。

公共料金の払い込み手数料などにいたっては、今まで一律30円だったものが、なんと8倍の240円になるそうですから、「改革」とか「郵政民営化」とはこういうことだったのか、それにしてもマスコミがこのような”事件”を事前に報じた気配がないことにはあきれます。このようなことになることを知っていたら、刺客とかチルドレンとかを面白がっていたはずがありません。

公務員改革、小さな政府どれもこれからの日本には必要でしょう。でも郵政省は
旧国鉄などとは違って累積赤字が1円だってあったわけではありません。もう少し段階的な政策がなかったのでしょうか。

全国でおよそ1000箇所の「町や村の郵便局」が消滅するとも言われています。
「おばあちゃんたちの楽しみの場所」がまたひとつ無くなり、都会へ行っている孫へのわずかの「お小遣い」を送るのにも悲しい思いをさせることになるわけです。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
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http://www.yosakoiya.jp/