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2006年11月04日(土)更新

職業は自分でこしらえるもの

豊田自動織機の創業者豊田佐吉翁は
「仕事は自分で見つけるもの、
職業は自分でこしらえるべきもの。
その心がけさえあれば、仕事、職業は無限にある」
と言われたそうです。

発明や発見の動機になるものが、親の労苦をなんとかしてあげたい、
民衆の苦難をなんとか解決してあげたい、ということがスタートで
やがて大きな事業に発展したものも少なくありません。


大事なことは佐吉翁が言われる「心がけ」ということでしょう。
現在の日本では、親の労苦や民衆の苦難などが見えにくく
なっているとは思いますが、仕事や職業はすでにあるものと
思い込み、いかに自分の条件に合ったものを捜すか、という
ある種贅沢なゆるい思考が多くのフリーターや無職者を
生み出しているような気もします。



産業の未発達の国へゆけば、食うためにあらゆる仕事を
工夫して考え出します。私たちの場合、多くは観光客として
訪れるのでその一部しか目にしませんが、それでも「へー、
これで金を稼いでいるのか」と驚いたり、感心することも多くあります。


昔、東南アジアのある国で、現地で仕事をしている友人と
ゴルフをしたことがあります。
クラブハウス(といっても小屋のようなものですが)前に
2,30人いる子どもたちの中から、友人とゴルフ場の支配人と
思しき男性がなにやら話しをし、4人の子どもがこちらへ嬉しそうに
走ってきました。今日のキャデイというわけです。


「僕は二人も要らないよ」と私がいうと、現地に長い友人が、
「いや、いつも二人は使う、三人使うこともある。一人日本円で
400円ぐらいだし、これで今日のあの子の家はハッピーだから」
どうやら不公平にならないよう誰を選ぶか支配人と相談していたようです。

当時でもボールは一個400円ぐらいしましたが、「池ポチャ」などして
騒いでいる我々の横で、キャデイ君はじっとボールの入った地点を
見ているようです。あとで池に入って探し出すのでしょう。
それをロストボールとして支配人に買ってもらうのかも知れません。

ゲームが終わって、ハウスで食事をし、外へ出るとさっきの
四人がキャデイバッグの傍で遊びながら待っています。
友人が「フイーは最後にしかやらないから、ちゃんとバッグの
留守番もしているよ」

帰路の車の中で池ポチャもOBも何かいいことをしたように
思ったことを覚えています。

横山国男
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