大きくする 標準 小さくする
前ページ 次ページ

2008年12月29日(月)更新

Made on a Mac = マック製のカレンダー。

クリスマスに長女夫婦からプレゼントされたのが、今夏の孫連れアメリカ旅行の
写真をカレンダーにしてくれた「アメリカの旅 カレンダー」。

Mac のオリジナルマイカレンダー

これがなかなかカッコいいもので、聞けば写真のデータをアメリカ(イリノイ州とか)
のMacのラボに送って作ってもらうサービスを利用したものだそうです。
これはオリジナルものを海外にむけて販売する企画のヒントにもなります。

送料を含めて30ドルくらいらしいのですが、なにより上質感があり、さすがMac。
日本でも大手のフイルムメーカーがやっているそうですが、紙もうすく、デザインも
いまいちとのこと。 これなら来年一年楽しめます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今年の7月末10日間ほど、シカゴに住む次女に会うため夫婦で北米へ。
考えた末10才と6才の二人の孫(長女の男の子)も連れて行くことにしました。
 
私はシカゴ、ボストンの美術館なども観ることができ、念願がかないましたが、
孫たちには「世界は広い、顔や肌の色は違うけどみんな勉強やスポーツ、仕事に
一生懸命なんだな」と幼心に感じてくれたらそれで十分と思いました。

その直後、このような経済の大混乱が起きるとは予想だにしませんでしたが。

それでも何年か後、機会があったら中国か、シンガポールをまた見せてやりたい。
今や世界人口の4~5人に一人は中国人か華僑と呼ばれる人たち。この小さい
島国で日本語という言語のみ話す高齢化日本は世界人口の60分の1です。
移民も受け入れず、さりとて外へも出ず、という選択は難しいように思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

カレンダーは各国語版があるそうで、ちゃんと曜日も日本語です。愛犬・愛猫の
「ペットカレンダー」を作るのも楽しいかもしれません。

“2009年8月”はボストンの有名なシーフードレストランで写したビッグロブスター。

ボイルした大海老

巨大で頑丈な甲殻が「アメ車」を連想させるのがちょっと悲しいですが・・・。
よその国の心配をしている場合ではないでしょうが、私たちの年代には憧れの国
だったアメリカにはガンバッテほしいものです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

☆ 来年のカレンダーの話を書いたところで今年のブログはオシマイにしようと
  思います。つたない文章におつきあいいただいてありがとうございました。
  佳き新年をお迎えください。


横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2008年11月03日(月)更新

山車の大きな人形の衣装・・苦労しておられたんですね。

先日、猿回し芸「太郎さんと次郎君」の衣装を作らせてもらったことをブログにも
書かせてもらいました。

この模様が2週にわたってTV放送されたためでしょう、その後、何件かのお問い
合わせなどがあり、素直に喜んでいます。

そのうちの一つに、当社でも想像していなかった依頼があり、お話を聞いて当社
の技術と提案力が生かされる、お役に立てる恰好の案件がありました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

来年のお祭りの企画なので、詳細は控えますが、当地でも歴史のある、有名な
お祭りです。

大きな(5~6m)武者人形などのつくりものを乗せた「曳き山車」が、毎年8基も
出て、3日間、県内外からたくさんの観光客を集めます。

「山車」は、毎年地区やグループの人たちの知恵をしぼったものになります。
巨大な人形を「来年は何にするか」は、もうほとんど決定しているそうです。

週末、ある「山車」の勧進役、デザイン担当、衣装制作担当の方々が「テレビを
みたのですが・・」と当社を訪ねてこられました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お話によりますと、
「人形作りはともかく、毎年、衣装特に染めや織りの“織物・生地”を探すのが
もう大変なんです。無地のものはまだよいのですが、柄物になるとそんな大きな
柄やデザインのものはほとんどありません。「ふとん」や「帯」の生地の中から
探すのですが、生地幅がせまかったり、必要な長さが手に入らなかったり・・」。

私の回答は、
「全くご心配いりませんよ。どんな柄のどんな大きさのものでも、フルカラーで
お作りします。それも150cの広幅の生地、素材はいろいろありますが、発色が
きれいで、お祭りが雨でもシャンとしているのはポリエステルがいいでしょう。
価格もリーズナブルですから」。

その他、数量も少量でもよいこと、素材感や十二単衣のような複雑な見た目も、
グラフイックスで本物のように見せることができることなど、たくさんの資料と合わ
せてお見せしたところ、躍りあがらんばかりに喜ばれたのです。

何より感激されたのは、「拡大図柄」でプリントできるということです。
たとえば腰元などがよく着ている「矢羽根」の柄がありますが、人が着る着物の
柄としてはせいぜい一つの矢羽根は10c程度の大きさでしょうが、5mもある
人形となると30c~40cの大きさが必要になります。

判官の裃(かみしも)の背中の「紋」だって15cくらいにはなるでしょう。

そんな生地は存在しませんから、衣装担当さんは大変なご苦労があったようです。
「すぐ、ミーティングを開いて図案を持ってきます。本の切り抜きとか、クレヨンで
描いたものでもいいでしょうか?」

「いいですよ、でもデータで作ってきていただいたほうが安くできますね」。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

よほど喜んでくださったのでしょう。当社の玄関を出られてからも「よかった、よか
ったこれで安心やね、ナントカカントカ」とにぎやかにおしゃべりしながら車へ。
こちらも嬉しくなりました。「そうか、考えてみたらそれは大変だったろうな」とも
思いました。

モチーフの小さい「小紋柄」や久留米絣、紅型、レース模様、リバティー柄など、
和洋を問わない「お人形」のために、柄のサイズを縮小した服地を作ることは
すでに企画に上がっていますが、「大きな人形」は気が付きませんでした。
旗などは30c四方の小さいものから、20mx30mの巨大なものまでお作りして
いるというのに。

足元で困っておられた方がいたんですね。PRができていないということかな。


横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2008年07月16日(水)更新

どこ吹く風。

以前から欲しかった写真集「桂離宮・修学院離宮」(京都新聞創刊125周年記念
出版)が、アマゾンから届いたのでワクワクしながら拾い読みしていると、書家の
吉川壽一君が飄々と現れました。(今や高名な書家ですが、小学校以来60年
近い親友なので“君”で許してもらいます。当社のアドバイザリースタッフです。)

「京都の門川新市長と会ってきた」とのこと。この2月に桝本前市長を僅差で破り、
初当選しましたが、二代続けての市教委出身市長とか。
「京都創生」がコンセプト。和服姿で執務室におられたそうですが、その一端なの
でしょうか。それとも公務でお茶席などがひかえておられたのかも知れません。

ただ桝本市政の12年間で94人の職員が逮捕された(京都新聞)そうで、市民か
らの信頼回復は容易ではなさそうです。
地方の教育委員会といえば、大分県が大混乱の真っ最中、中には夫婦で関与し、
悪くすると免職となり、数千万円の退職金がパーになるかも知れませんから、
割の合わない話です。

私は公務員とか先生になりたい、という気持ちに一度もなったことがありませんが、
官庁とは関係ない好きな“モノを作る仕事”に就けて本当に幸せだとあらためて思
います。
ただ自身の出世や子供の幸福を考えない人は少ないと思いますので、切羽詰れ
ば私もヒョットしてそれに近いことをしたかも知れませんから、賄賂社会と噂される
中国を笑う資格はありません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

吉川君の市長との会話で「市長から“風”という字を書いてもらえませんか、と言わ
れたんやけど、偶然この秋東京で個展をやるテーマを“風”にしようかと考えていた
ところなんでビックリした」とのこと。

言われてみると「風」っていいですね。文字もデザインとして面白い。
空気が動くのが風ですが、台風、暴風はともかく、新風、涼風、さわやかな風など
人の心を軽くさせます。

今、東京の高校の「よさこいチーム」から、長半纏の注文が来ていて、試作品が
私の前に架けられています。背中に大きく赤地に金でプリントを依頼されたのが、
「風神雷神図」。風神が大きな袋を腰に抱えて大風を送っている図をリデザインし
ました。神というより鬼に見えますが、愛嬌があって迫力ありますね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ところで流行語になった「K・Y」・・場の空気が読めないという意で結構使われて
いるようですが、語意が似ている「どこ吹く風」というのもあります。

食品の表示や産地偽装、今回の大分県の教職員のワイロ問題、社会保険庁の
不始末などなどこれだけ世間で話題になり、指弾を浴びているのに「どこ吹く風」と
思っている人たちがいるように見えるのには暗澹とした気持ちにさせられます。
感性が錆付いているんでしょうか。

「見て見ぬふり」と「どこ吹く風」の連鎖、今の日本には経済だけでなく、社会全体
に「逆風」が吹き始めているように思います。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2008年06月25日(水)更新

団扇(うちわ)。

季節感がだんだん薄れていくこの頃ですが、夏を感じさせるものに「団扇(うちわ)」
があります。

夏来る。
<吉川壽一書 “吹く風”>

子供の頃、母親が作る「五目すし」の桶の横で、うちわで煽いで冷ます手伝いを
したり、七輪の炭火おこしに使ったりしましたが、それは頑丈な作りの柿シブを
塗った大き目のベンガラ色の「しぶうちわ」。

そういえば昭和30年ごろは、近所の酒屋さんとか、呉服屋さんがサービスで盛ん
にうちわを配布したように思います。女優さんの浴衣姿が絵柄になっていたものも
記憶にあります。(年末のカレンダーも同様のものですね)
手で煽ぐやわらかい風は、冷房もない時代のひとときの「涼」を感じさせてくれる
優れた日用品であり、日常の中にある「美」の一つでもありました。

今でも工芸品として美しいうちわもまだ作られていますし、販促用にプラスティック
骨のウチワも最近では増えてきたようです。
先日、「応援旗」を作らせてもらった、市内の子供バドミントンチームの責任者の方
から、子供達で応援のウチワを作りたいので、旗のデザインデータをお借りできま
せんか、という依頼があり、データを送って差し上げました。
昨今は、用紙にインクジェットで出力し、両面から貼り合わせれば、簡単に楽しく
マイウチワができてしまいます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

うちわの歴史は古代の中国や、エジプトまでさかのぼるようですが、日本では古墳
時代に木製でその原型を見ることが出来、大型で「あおぐ」というより、宗教的な
儀式の意味がつよい「祓う・はらう」ためのものであったようです。

百花繚乱の江戸時代には、日常生活道具として、オシャレの小道具として、洗練
されたものになっていくとともに、「団扇産地」も形成されていき、現在でも京都、
丸亀、岐阜などが有名のようです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

京都の舞妓・芸妓さんが「夏の踊り」のあと、名の入ったうちわをごひいき筋に
配ったものがよく料理屋さんなどに架けられています。
席について、涼やかな冷酒を一口、ほっとして見上げると、すだれをバックに白地
に墨書きですっきりと優美なデザインの名入りうちわが数本かかっていて、
「夏だなー」と思います。
とても風情があって、賀茂川沿いの「床」とともに、暑い京の夏を一瞬忘れさせて
くれます。

  涼み舟 団扇の端を ぬらしけり  子規


横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2008年03月28日(金)更新

佐藤卓さん(グラフイックデザイナー)から学ぶ。

前回ブログの続きとして、

「そもそもデザインするってどういうことなんだ?」・・グラフイックデザイナー佐藤卓
氏のプロフィール、持論を情熱大陸のウェブサイトから覗いて見ました。

佐藤さんは51歳、東京藝術大学大学院終了後、電通に入られましたが、僅か3年
で独立。私たちの身の回りにあるあらゆるもののデザインを手がける傍ら、その
仕事は店舗デザイン、新商品の開発、はてはテレビ番組の制作など多岐にわたっ
ていて、今や日本を代表するグラフイックデザイナーの一人、と紹介されています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「デザイン」というと、ともすれば表面的な形や色に気をとられがちな私たちに、
明快な例を挙げて、持論の一端を述べられているのが、同サイト「情熱語録」に
収録されていますので、引用させていただきます。

『郵便局のマークはデザインの名作ですからね。本当に最低限の要素しかそこに
ないんですよ。それ以下でも多分わかんないかもしれないし、それ以上だと、今度
は街の雑踏の中に埋もれてしまう。』

『感性ってだれにでもあるんですよ。感性のない人なんていないんですよ。それを
「クリエーティブは感性の仕事だ」なんて言われたときに、「えっ!?」と思ったんで
すね。だって、どんな人だって生活の中でいろんな工夫をしたり、道を歩いてたって、
どこの道を歩こうか、あっちへ寄って、こっちへ寄ってと考えているわけですよね。
だから、クリエーターは感性の仕事ですという言い方は昔からよくされるんだけども、
すごく嫌いで、そんなことを売り物にするなって思っていたんですね。僕は、ですよ。』

(理髪店のサインポールについて)
『理髪業ということを知らせるためだけに何でこんなものが生まれたのか。誰も
疑問に思わないほど生活に根付いているのが、特別にデザインという意識を持っ
てないものばかりですよね。そういうデザインにかかわれたら本望ですけどね。』
(引用終わり)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【デザインがデザインであるうちはデザインでない】 (佐藤 卓)

あらためて「グッドデザイン」とは何かを教えていただいた気がします。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
«前へ 次へ»