大きくする 標準 小さくする

2009年10月07日(水)更新

「ユニクロ栄えて国滅ぶ」という記事について考える

先日「ユニクロ」がパリに出店したというニュースは、業界紙だけでなく一般紙にも
大きく取り上げられたのでお読みになった方も多いと思います。
もちろん、パリだけでなく、すでにロンドンやニューヨーク、上海にも進出していま
すし、今後世界の大都市に続々オープンさせる、とファーストリテイリングの柳井
社長さんは宣言されておられます。

とりわけパリ店については、「階級社会のヨーロッパ先進国では“いいものは高い、
安いものは悪い”という既成観念があるが、ユニクロがこれを打破したい」という
ような意味のご発言を会見で述べられていたように思います。

すなわち「“安いけれど良い。安いことが悪いを意味しない”。充分受け入れられる
はず、欧米もそういう時代になってきている」と持論をおっしゃったのだと私は解釈
しています。

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10月号の「文藝春秋」に、「ユニクロ栄えて国滅ぶ」~安売り競争は社会を壊す
恐るべき罠だ~とのリードのあるエコノミスト浜矩子さんの文章を興味深く読み
ました。

ユニクロについては文末で少し触れられているだけでタイトルの割には落胆しま
したが、私の考えとは少し違う結論だと思いました。

私の仕事もたどっていけば、「ユニクロ」さんのような猛烈なSPA形態の進化で
海外への繊維産業・技術の移転が加速し、結果国内生産の減少、衰退の影響を
受けた企業・・当社もその一つでもあります。

しかし「安い」というのは何と比較していうのでしょうか。実際は「安いのではなく、
これまで国内産品が高すぎたのではないのか」とも考えるのです。
(過剰なサービスや品質、包装、日本人の生産性の低さもつとに言われていますし)

ともあれ「980円ジーンズ」で利益を上げられない企業は退場です。非情なもの
ですが、「ユニクロ」だって血の出るような努力と「世界を視野に入れた生産・販売」
を構築してきた結果ですから、これが今後の「世界標準」になってしまうわけで、
うらみ節を言わず、嘆くひまがあったら自社をどうもっていくのか考えつづけるしか
ありません。日本の若い人も海外で「ユニクロ」のような企業での働く場を求める
べき時代がきたのでしょう。

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このことと関連するのでしょうが、先日来日本の大手合繊メーカー各社が、原糸の
製造はもちろん、世界一を支えてきたコア技術も含めて、中国、ベトナム、タイなど
へ雪崩を打って工場を移転するというニュースも衝撃的でした。

アパレルなどで言う「川上・川中・川下」とは少し違いますが、繊維産業の方では
「川上」とは化合繊製造、紡績、及び素材流通を言います。
「川中」は織布、ニット、染色及び中間製品流通で、「川下」は縫製、製品流通です。
繊維産業は極めて多段階の業種があるので、これを川の流れにたとえているの
です。

この一番先の「川上」が日本から消失しようとしています。源流が無くなるのです。
当然想像されることは「川中」、「川下」がこのままでいられるわけがありません。

当社は「川中」で使用する「染型」を長く造ってきた業種ですが、10年ほど前から
長期低落傾向になり、「川下」でのビジネスを模索してきました。
この間インターネットと出会い、必死で新しいマーケットを探してきました。

もはや日本では「産業」とは呼べない方向に向かいつつあるのかも知れない繊維、
その中で「価格競争に巻き込まれない」で小企業を活かし続けるのは並大抵では
ないと思います。

時間と手間を惜しまず、「個客」に向けたモノづくり、「感性企業」「知識デザイン
企業」を目指さなければ生き残れないと思い、最近テキスタイル用のインクジェ
ットプリントも設置し、従来のTシャツなどのカットソーデジタルプリントシステムと
組み合わせて対応に幅を持たせました。

新規顧客の開拓ではさらにネットでの研究を進めていく心算です。


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2009年04月08日(水)更新

なりふりかまわず

カーディーラーで役員をやっている親友がフラッと会社にやってきました。
「このご時世だから会社に一日中いるのもなんだか落ち着かない」とのこと。

「で、クルマの販売30%ダウンとか本当なの?」と私。
「ホントすごいよ。なんかセールスの連中も慣れっこになってきたのか最近は
最初の危機感すら薄れてきたみたい。慣れるって怖いわ」。

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彼は総務・経理担当なので質問しました。
「でも、3月末は意外に倒産情報も新聞に出てないし、静かだったようだけど」と
言うと、
「こんな話もあるよ。銀行も3月末決算だから、融資先には必要最小限の資金を
出して不渡りを回避させ、期末での倒産だけはとりあえず避けた、とかね」。

「そう言えば先日銀行から手形・小切手帳の値上げのお願いってのが来て、それ
が50%UPとあったのでビックリした。何でも値下げしている時代にどういうこと?
って思ったよ。 もっとも手形は使わないから通知はすぐ捨てちゃったけど」と私。

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昔から見ると、「振り込み」などはパソコンを使って客である私たちがそれも費用を
負担してやるようになったし、決済資金なども前々日用意せよ、とかいろんな点で
顧客サービスとは反対の方向へいっているように思うのは私だけでしょうか。

そのうち銀行へ行くと「自動ドア」の電気代をとられるようになるかも知れない、と
友人と苦笑しました。他に「有料化」できるものはないかと鵜の目鷹の目の専門の
スタッフまでいるとの冗談ともつかない噂もありますが、それだけ銀行といえども
厳しい時代に直面しているということでしょうか。

ともあれ、大きな企業がそこまでしているのですから、我々も経費の節減などに
もっと真剣に取り組まなければ、と友人が帰ったあと考えてしまいました。


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2007年12月06日(木)更新

あなたは“囲い込まれたい”か。

ニュージーランドへ移住したい、という理由で大手生保の営業部長職とオサラバ
してしまったKさん(45歳)、2年ほどの短いおつきあいでしたがナイスガイでした。

そのKさんが大阪で「起業家志望者対象のセミナー」を受講した内容がなかなか
面白かったので、ということでメールをくれました。
講師名が書いてないので、ブログに書くのもどうか、と躊躇しましたが、さわりの
部分だけ、ということと、本当の「顧客本位」とはどういうことか「膝を打つ思い」が
しましたので、ご紹介します。(セミナーの宣伝ということでお許しを)

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○ 顧客争奪戦を繰り広げる中で、よく“囲い込み”という言葉が使われる。でも
これって、売り手の論理でしかない。顧客の立場で考えてみなさい。貴方が客の
立場だったら、果たして“囲い込まれたい”か?。 
選択肢が数ある中で、選ばれる企業にしていくことを考えるべき。

○“アフターサービス”という言葉。これは、売り手と買い手の思惑の違いを如実
に表している。≪例≫ノートパソコン→買ったばかりの状態は単なる鉄の板。
使ってから価値が出る。しかし売り手にとって“売る”という行為(ゴール)が完了
したら、それ以後は“アフター”になっている。・・・これってスタートじゃないの?

○“リピーター”では、まだ弱い。究極は“生涯顧客”の創造にある。そこにおいて、
低廉価格を柱にするのは無理がある。なぜなら・・・・・

まだまだ続きますが、あとはお金を払ってセミナーを受講してください。

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確かに「囲い込み」の意味が分かったときは、「失礼なッ、牧場の羊じゃないんだ
から」と思いましたし、古い家電製品を使っていて事故に遭われる(特に高齢者や
買い替えができない所得の少ない人が多くなります)報道を見るに付け、そこには
メーカーの想像力の欠如があり、「売ってからがスタート」と考えれば「サービス
とは何か」を、価格競争を含め、もう一度本質に戻って考えるべき時が来ている
と思います。

「購買心理」や「顧客視点」など、種々のマーケティングに関する研究が進んでいる
ように見えても、「ハッ」とさせられることは日々沢山あるものですね。


横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
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http://www.yosakoiya.jp/