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2010年12月01日(水)更新

「クリスマスギフトコレクション」

今日から12月。街にはバブルの頃のような高揚した雰囲気はもうありませ
んが、それでも先月末あたりからクリスマスを意識したイルミネーションや
音楽が流れていて「あ~、歳末なんだ」と。

今年の猛暑の夏、今では数少ない国産の“傘”を製造、独自販売されている
「福井洋傘」さんから、大手百貨店のクリスマスギフトコレクション用に
特別な「子供傘」(限定100本)を作りたい、ついてはデジタルプリント
で、プリント傘地を制作してほしい、との依頼がありました。

福井洋傘さんは、先代社長からのお付き合いですが、日本製の高級洋傘、
和傘(蛇の目や番傘ではありません。洋傘仕立てです)で、つとに有名です。
数年前、ヨーロッパの美しいレースが10mほど手に入ったので、これで
日傘を7,8本ほど作って百貨店に出したところ、たしか一本6万円ほどだっ
たと聞きましたが、あっという間に完売したとか。

20万円という傘も作りましたよ、と先日も聞いて驚きました。
洋服や着物、バッグなどしめて100万以上のオシャレにビニール傘はない
でしょうから納得しますが・・。
一振りすると、雨滴がさっと切れる特殊撥水加工品「ヌレンザ」は、トヨタ
のレクサスにも装備されて話題となりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2代目社長の依頼で出来上がったコレクションが、先日よりそごう・西武
さんのカタログ「ロイヤル・プラチナ倶楽部」の“クリスマスギフトコレク
ション”として、グッチ、ルイ・ヴィトンのバッグや宝石のショーメ、時計
のフランク・ミューラーなどの海外一流ブランドに並んで掲載されています。

福井洋傘


福井洋傘

左上と右下がプリントで当社がデジタルデータを制作、傘の縫製は独特の
やり方をしますのでノウハウが必要なのです。
あとの大人用2点は他社制作の紋織で、同色の無地とのコンビは、上品さが
あってとてもよいものに仕上がっています。
グラスファイバー製の骨で12間張り、ハンドル(持ち手)も特別に制作さ
れたものです。

各色限定50本。子供用は@27,300円、大人用は@33,600円となって
います。

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***
今、日本では、人口とほぼ同じ年間1億3千万本の傘が毎年売られています
が(そのうちの50~60%がビニール傘)、日本製はなんと1%(160万
本くらい)という統計があります。

当社は30年余の歴史の中で、前半15年ほどは日本でも有数の傘地プリント
用の染型=「スクリーン型」を数多く製版していました。
婦人・紳士用は勿論、ディズニーやハローキティ、どらえもんなどのキャラ
クターの子供傘など、当社はそれで飯を食っていたといっても言い過ぎでは
ないほどでした。

それが、あっと言う間、10年もかからず全て中国へ移転してしまいました。
着物や下駄なども少なくなりましたが、傘は日常使う必需品です。
このように短期間に国内生産が絶滅した産品もあまり例がないのではと思い
ます。

思えば生き残ってきたのが不思議なくらいですが、サバイバルの記はまた
別の機会に。 2010年もあと残り僅かになりました。


株式会社横山工藝 横山国男

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2010年10月13日(水)更新

原点

昭和40年代の中ごろ、私は勤務していた商社を退職し、その2年程前
に同じ会社を退職して信州で染工場の経営を始めていた、横浜支店時代の
先輩のもとへ入社しました。ものづくりの夢断ち難いものがあったからです。

工房は絹や麻素材の広幅生地に、手描き染と私が担当したプリントの部門
があり、従業員のほとんどが武蔵野美大の通信教育をうけている学生が
中心でした。スクーリングがある夏季は一カ月ほど休業する、というのん
びりしたもの。 今から思えばいい時代だったとも言えます。

その頃の中・高年女性の服は、町の洋装店で作るもので、特にデパートの
ない地方では繁華街に多くの洋装店があり、生地を選び、服飾雑誌などを
参考にしながら縫製していた時代です。

東京や繊維の町大阪には、生地問屋・商社があり、私達の作った素人くさい
オリジナル・逸品モノでも、京都室町の有力な問屋さんに支持されて、忙し
い活気と希望に満ちた数年間を送ることができました。

数シーズン、雑誌「ミセス」の初夏の巻頭カラーグラビア、プリントの洋服
の生地として掲載されたものもあり、モデルは、ミセス専属だった若きころ
の稲葉賀恵(ヨシエイナバ)さんが多かったことも思い出です。

あれから40年もの歳月が流れましたが、その間、既製服(プレタポルテ)
が、素材、色、柄、サイズとも豊富になり、インポートものも含め、デパ
ートやブチックの全盛時代を迎えます。
今ではオーダーで洋服を作る(オートクチュール)という女性はほとんど
いないのでしょう、その手の洋装店はほとんど姿を消しています。

そして現在は、カジュアル化とファストファッションが主流ですが、あの
頃の服に比べれば随分チープになったな、とも思いますし、それと同時に
世界が称賛した日本人のマナーやエチケットも失われていったような気が
します。 服、服装というのは大事です。

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自分でデザインし、型をつくり、プリント作業までしていたころの作品と
いうか小布が出てきてなつかしい。
(もうその頃のものはほとんどサンプルすら残っていません)

広幅プリント服地の端切れ。 素材はインドシルク
写真<広幅プリント服地の端切れ。 素材はインドシルク>

私の原点のような気がして力づけられます。


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2010年06月16日(水)更新

旗、フラッグ、フラフ

「旗」はずいぶん昔からいろいろな国、地域、組織や団体で使われてきま
した。何らかの目印ないしシンボルとして掲示されるものです。

この写真は、アメリカの国旗=星条旗(The Stars and The Stripes)の
かなり古いもの。 色の違う布を縫い合わせて作ったものですが、建国の
意思と息吹、苦難すら感じます。

The Stars and The Stripes
写真 The Stars and The Stripes

当社では、よさこいのチーム旗をたくさん作らせていただいています。
よさこいの本家、高知では「フラフ」というようですが、語源は分かりま
せん。フラッグからきているのでしょうか。

デジタルによるデザイン・染色で、お客様が描かれたA-3サイズのスケッチ
やデータから、どのようなご要望も実現しております。
小さい手旗のようなものから、下の写真のように人が振れる限界のサイズ
まで、また素材は軽く丈夫なポリエステルで特殊強化縫製、雨にぬれても
重くならないよう、撥水(はっすい)加工を施したフルカラーの「大旗」
です。
(このようなサイズの旗でも、お客さまがデザインデータをおつくりいた
だける場合は、約2週間でお届けできます)

よさこいチーム「桜流王(ALL-1)」様(広島県)
写真 よさこいチーム「桜流王(ALL-1)」様(広島県)

先日のワールドカップ、スタンドでは岡田監督の顔のイラスト(写真?)
の大きな旗が目立っていました。ブルー系のモノトーンで目をひきました。

当社では、スタンドを埋め尽くすような巨大サイズの旗などもお引き受け
できます。(参考写真)
社旗、団旗、応援旗、タピスリーなんでもご相談ください。もちろん必要
ならデザインも作成させていただきます。

スタジアム用ビッグフラッグ
写真 スタジアム用ビッグフラッグ

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2010年01月21日(木)更新

25万人の入場者(予想)「東京国際キルトフェスティバル」

この15日から23日まで、東京ドームで開催されている「東京国際キルトフェスティ
バル
」を見学するため、週明けに上京。

会期中におよそ25万人の入場者が予想されるという「布と針と糸の祭典」と銘打
たれた催しで、今年で9回目ではないかと思います。いつもはNHKBSでの放映を
見ているのですが、新規ビジネスとの関連もあって見学してきました。

東京国際キルトフェスティバル 東京国際キルトフェスティバル

17日(日)のBSでの2時間にわたる中継で、会場の混雑ぶりは見てとれましたが、
入場した18日(月)もかなりの人。そのほとんどが中、高年のご婦人。

会場は中央に展示スペース、米国のアレンタウン美術館(キルトを中心に7千点
のテキスタイルを収集)の特別展示、それに周囲を作品や材料販売のショップが
100店近く取り囲むという、ドーム球場グラウンドほぼ一杯の規模。

キルトづくり、手芸愛好家などのみなさんで、全国各地から、特に教室のグループ
見学者が多いように思われました。それにしても不況と言われる昨今、この
パワーというか、熱いものには圧倒されます。男性は見たところ100人に2人か
3人といったところ。

東京国際キルトフェスティバル パンフレット 東京国際キルトフェスティバル「日本キルト大賞」作品集


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キルト(Quilt)とは、表地と裏地の間に薄い綿(わた)を入れ、重ねた状態で指し
縫い(キルティング)したもの。日本では、多色の布を縫い合わせたパッチワーク
キルトが主流。(Wikipedia)

世界各地にいろいろな技法が存在するのですが、よく知られているのはアメリカン
キルト、ハワイアンキルト。アメリカンの方は当然ヨーロピアンキルトから派生した
ものです。

日本のキルトが世界でどのような位置にあるのか詳しく知りませんが、作品を見る
と日本古来の裂布、伝統衣装生地、着物、アイヌのアツシ、藍染などの膨大な染
と織の技術、遺産を誇る国ですから、そのレベルは仕事の精緻さと相まってかなり
のものです。

まだキルト手芸が一般的になって30年ほどではないかと思考しますが、コンテスト
部門はパッチワークキルトの領域を抜け出て、絵画にならぶ芸術作品ともいえる
ものが多くて驚きます。

東京国際キルトフェスティバル「日本キルト大賞」 東京国際キルトフェスティバル「準日本キルト大賞」

東京国際キルトフェスティバル「ハンドメイキング賞」 東京国際キルトフェスティバル「トラディショナルキルト部門」

いずれもTVで紹介された作品ですが、左下の「ハンドメイキング賞」受賞作品は
制作に2年あまりかかったと作者が話されていました。すべて一針、一針ご自身
が手で指していかれたわけですが、気の遠くなるようなお仕事であり、同時に受賞
するにはデザイン(特にコンポジションと配色)も重要な評価となります。すごい!。

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上に掲載した写真(購入した図録より)のような、アートの領域に入る作品とは
別に、一般的には「余り布」「不要になった着物、昔の木綿の野良着」「風呂敷」
「手ぬぐい」「洋服」そのほか何でも材料になるという、「もったいない」を具現化し
たような、エコそのもののような実用を兼ねた趣味で、素晴らしいことです。

大体、古布でも何枚か重ねて縫うと丈夫になり(雑巾がそうですが)、それを美しく、
あるいは身の回りの愛すべきものに変身させるという発想は日本人には昔から
備わっていた美徳の一つですから、膨大なキルト愛好家がいても不思議ではあり
ません。

若い人も「巣籠り」といわれる最近の状況で、ますますキルトフアンが増えるので
はないでしょうか。

当社では入手が難しくなっている古布やビンテージの布地の復刻、オリジナルの
プリント生地を1mから制作できる「デジタルオンデマンドプリントシステム」を導入、
未発表柄2000点を含む数万に及ぶプリント柄の資料をベースに新サイト
 「オーダーぷりんと屋」を2月初めに立ち上げるべく準備中です。

お会いしたかった作家のSさんにも超混雑の中、ごあいさつと当社のPRが出来、
出張の目的も果たせました。

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<ご用とお急ぎでない方へ>

アメリカンキルトについて、ご興味のある方はアメリカ映画「キルトに綴る愛」
(1995)をご覧になるととても参考になります。初々しいウィノナ・ライダー主演、
懐かしやエレン・バーンスタイン、アン・バンクロフト、ジーン・シモンズなど大御所
が脇をかためるハートウォームな映画です。

結婚間近の孫に贈る「キルト」を、数名の人生経験豊富なオバアサンたちが集ま
って毎日おしゃべりしながら針を動かすシーンは、コミニュティの原型を思い起こ
させてくれます。(DVD入手可能)





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2010年01月15日(金)更新

悲しき「鶴丸」

帰国のため空港に到着、手続きを終えて「日航機」に搭乗し席に座ると、なにか
もう日本に着いたようなホットした気分になったものです。

心のどこかで「緊張」「身構え」ていた自分・・客室乗務員(CA)のにこやかな応対
に癒されました。ここしばらくのJALの話題は、そんな私にとっては悲しい気分に
させられます。

先日、朝のワイドショウでチラッと見ただけなんですが、キャスターが『話題の
「沈まぬ太陽」という映画、あれは日航がモデルと言われてますが、あの内容は
本当なんですか?』と質問すると、かって社員だったというコメンテーター氏が
『 まあ、8割ぐらいは・・』と答えていました。

続いて『子会社・関連会社など傘下の企業は300社にも及び、利益が出ている
のは1社のみ』とか。・・本当なら信じられません。よく今まで続いてきたなーと。

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かっての日航のシンボル(ロゴマーク)は「鶴丸」。日本を代表する鳥「丹頂鶴」を
図案化した秀逸なデザイン。「家紋」を連想させる日本人の美意識が感じられて
大好きでした。 動物をモチーフにした企業のシンボルマークとしては最も優れた
ものの一つと思います。

かってのJALのシンボルマーク“鶴丸”

2002年のJAL/JAS統合で、今の「The Arc of the Sun (太陽のアーク)」に
変わりましたが、およそ半世紀の命を終え、全ての尾翼から“鶴丸”が消えた
のは2008年5月。 そういえばかなり最近まで羽田などで見かけました。

「親方“鶴丸”」とばかりにむしられ続けた悲しき“鶴”。
でも今回の日航の破たんは、そっくりそのまま「親方日の丸」の我が国の行く末を
暗示しているようにも思えるのですが・・。

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再生JALが苦難を乗り越え、力強く離陸していく姿を見たいものです。
下のカレンダーの写真のように。

JALカレンダー:2010年1月から写真の部分


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