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2009年03月07日(土)更新

波乱晩嬢

博報堂のシンクタンク「生活総研」の上席研究員、山本貴代さんは「女性視点の
心理・消費分析」とか「富裕層の意識と実態」などを研究テーマとされ、レポートの
題名に「富裕四族」、「女の豪快消費」、「OLついつい消費」、ご著書には「黒リッチ
ってなんですか?」「平成モザイク消費」など、主にこの年代層の女性をターゲット
と考えている企業、サプライヤーには読んでおいて損はない情報や分析が多いと
思います。

聞きなれない「晩嬢」もそのレポートにでてきます。30~40代の独身女性で、主に
自宅通勤なので可処分所得も高く、仕事バリバリ、私生活面でも健康・若さの維持
に敏感、教養を高める、チャリティなど身の丈にあった社会貢献にも意欲的と
いった元気な女性像が浮かびます。
アラサーとかアラフォーなども、単なる年代層を示すだけでなくて本来このような
意味も含めて造語されたのではないでしょうか。

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 「晩嬢」ってC&W(カントリー&ウエスタン)の楽器“バンジョー”を連想させる
せいか、晩の字がついてる割には暗くないですね。
それから「嬢」なんですが、「お嬢さん」「令嬢」とか、なかなか華やいだ文字に感じ
てこれもイイカンジ。

「嬢」といえば
1944年のアメリカ映画「毒薬と老嬢」。監督はハートウオームな作品が多い名匠
フランク・キャプラですが、原題は「Arsenic and Old Lace」となっています。
Arsenicはヒ素、Old Laceはどうやら古いレースのついた服(を着た老婦人)の
意味のようです。
私は長い間、「老嬢」はオールドミスというのかと思ってましたが、これは和製英語
かも知れませんし、最近あまり言わないところをみると差別用語なんでしょうか。

二人の老嬢姉妹(リリアン・ギッシュとベティ・デイヴィス)の毎年夏の岬での別荘
生活の日常を描いた秀作「八月の鯨」(1987・米国映画)で、久し振りに男性を
夕食に招くシーンがあり心に残りました。
盲目のちょっと意地悪な妹ベティにさとられないよう、つつましやかなリリアンが
長い髪を結いなおし、アクセサリーを選び、お化粧する場面です。
老嬢のそれでも女の部分、可愛さと情念のようなものを感じさせられました。

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さて、「晩嬢」の行く手にはなにが待ち構えているのでしょうか。
50代、60代それから・・・・。
なかには「結婚はしたくないが、子供は欲しい」なんてアンケートの回答も見られま
した。たしかに経済社会の混乱も起きていますし、いつまでも親が生きているわけ
でもありません。

でも行く末が「波乱晩嬢」ではかわいそうな気もするのです。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
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http://www.yosakoiya.jp/
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