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2009年03月12日(木)更新

滝沢直己氏(元イッセイミヤケデザイナー)との懇談会

昨日(11日)は、(財)ふくい産業支援センター・デザイン振興部の招請で、
福井の繊維企業7社が、(株)NAOKI TAKIZAWA DESIGNの滝沢直己氏と
現在のアパレル業界、服作りにおけるデザイナーの地位や意識の変化、福井
産地についての考察など幅広いお話と、最新サンプルの求評・意見交換など
があり、大いに勉強させて頂けた2時間でした。

滝沢さんは、’82年に「三宅デザイン事務所」に入られ、’08年に上記の会社を
設立されました。
私もお会いしたことがあるテキスタイル制作の皆川魔鬼子さんらとともに、
ISSEI MIYAKEを支えてこられた方です。
婦人アパレル以外にユニフォームにおける新しい概念の提示、美術館のカーテン
デザインなどでは’07年にフランス文化省より芸術文化シュバリエ勲章なども授与
されておられる日本を代表するデザイナーのお一人です。

滝沢直己氏

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出席されている企業は「織物・ニット製造業」の方がほとんど。うち2社の社長さん
は織物についてはすごいプロ。 昔からの顔なじみです。
いつも「素晴らしい合繊織物」を見せていただくので尊敬していますが、滝沢さんの
お話で印象に残った点は以下のとうり。

「福井の合繊織物は日本一、いや世界一といってもよいと思います。しかし上手に
これを料理しているのはほとんど海外の有名ブランドなんですね」。
「日本は国内に海外ブランドものを含め高級なものが売れる都市がいくつもある。
しかしたとえばフランスでもパリやリヨン、そのほかの国でもごく少数の都市しか
そういうものが売れる階層を持たない」。
「日本のアパレルは今まで階層とは無縁で上質のモノを求める消費者群があり、
国内マーケット志向で十分やってこれた。しかし、ここへきてその中心であるデパ
ートの販売力も急速に落ちてきている」。
したがって「アパレルにもデザイナーにも手詰まり感が強くなってきている」など。

また、今女性(一部の男性にも?)は、服など身体の「外側」への関心が薄くなって
きたようだ。「内側」へ、たとえば美容やヨガなどの「内面(精神)と連関したボディー」
への関心が高まってきているのではないか。ファッションもそういう方向でのものづ
くりが求められていくのは自然だと思う・・・などのご意見は分かる気がしました。

当社は、私と娘が出席しましたが、なんと女性は娘だけ。不況業種の代表のように
言われ、長い間縮小に次ぐ縮小を続けてきた繊維業界、しかし今残っている企業
はそれだけの存在理由のあるところ、ただ皆さん高齢化しています。
もっと若いそして特に女性がこういう席を占めて欲しいものです。(私も早晩ひっこ
むべきですね)

クエストリの櫻田社長が言われるように「作り上手の伝え下手」というのが日本の
地場産業の課題だと思うからですが、特に繊維・ファッションの企画・製造現場に
もっと多くの感度の高い女性が進出すれば中国恐れるに足らず、と思います。
前出の皆川魔鬼子さんなどは機屋(はたや)に泊まり込みで糸・織物と格闘した、
と聞きました。そして世界に発表してきたのです。

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私たちは今最も情熱を注いでいる「和紙織物」について、意見をお聞きしました。
「一枚の布」と「人」との間に生まれるもの、その空間にある「氣」は人に何をもたら
すのか、だとすればもっと「衣」は体にも心にも「ゆったり」したものであるべきでは
ないのか、というようなちょっとまとまらない話をしました。
滝沢さんは「合繊の福井」とはまた違う繊維の話が出てビックリされたようですが、
色々楽しいアドバイスが聞けてとても有意義でした。

*滝沢さんは、今日3月12日 「日本のデザインとものづくり」と題して、当地で
 開かれるデザインオープンセミナーのために来福されたものです。

皆川魔鬼子テキスタイルデザイン集 1988 講談社

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
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