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2009年01月12日(月)更新

「学問」と「勉強」の違い・・成人式に思う。

昨日11日(日)に成人式をした地域もあったようです。私などにはもう半世紀近く
前の遠い出来事。

郷土福井の幕末の傑物、橋本左内がなんと15歳で記した「啓発録」という決意文
があり、成人式が話題になるとき、時々引き合いに出されます。
昨夜、初めて読んでみました。(ネットにあります) 言われているように昔の人は
15歳でも大人だったなあ、という感想ですが、「若きサナイの悩み」も垣間見えて
微笑ましい部分もありました。

生家は藩医だったようですから、本などもたくさん読める環境にあり、時代は幕藩
体制が揺らいで、勤皇の志士なども越前(藩主=松平春嶽)に盛んに出入りした
時季ですから、少年左内も政治に強くかかわりたい、そのためには猛烈に勉学に
励まなければ、と思ったに違いありません。

固く心に誓ったことは、
1.稚心を去る。(何ごとによらず、子供っぽさを離れない内は発展しない)
2.振気。(気を奮い立たせる)
3.立志。(目的を定め、一生を無駄にするな)
4.勉学。(常に学問を専務とし、自己の心胆を練る)
5.朋友を択ぶ。(自分を成長させてくれる友を得る)
の5つで、( )内は私の一部意訳ですが、15歳にして立派なものです。

全体に「君に忠、親に孝」が強烈に流れていますから、戦後教育でGHQが認める
はずがありません。戦後民主主義教育の第一波の私など読んでいなくても不思議
ではないわけです。

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ところで、「勉学」という言葉がでてきますが、「学問」と「勉強」とは違う、とフアンだ
った美貌の哲学者、故池田晶子さんがエピソードを書いている部分があります。
(考える日々=P50)
父も兄も東大卒だったけれど、自分とはなんの関係もないと思っている。とはいえ
身近で見ていて、明らかにこれは違うな、と気づいた。・・・・として、

『父親は旧制高校最後の世代にあたり、その流れで東大(帝大ていうんですか)、
に行った人である。対して、三つ違いの兄の方は、苛烈な受験戦争を勝ち抜いて
東大に入った人である。やはりこれはなんらか違うことのようだ。両者を見ていて、
私は思った。言ってみれば、父親は「学問」が好きなのだが、兄は「勉強」が好きな
のである。この二つは、以て非なるものである。・・・・」(後略)

苛烈な受験戦争を勝ち抜いて東大に入り、その後、政・官・財の中枢で日本を引っ
張ってきた人たちにも新しい価値観が必要とされる時代になったのかも知れません。

新成人の人たちには「啓発録」も一度読んでみてはいかがかと。

横山国男

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