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2008年07月02日(水)更新

水を考え、絵を考える。

瑞々しい=みずみずしい・・・・大好きな言葉。夏の雨、濡れた街路樹、虹、夏の
果物などなど。

石油の次の戦略物資は「水」ともいわれますが、日本は世界でも稀な水道水を直
に飲める国(他は米国のみとか)。年間の降雨量が豊富で、山岳部に降った水は
伏流水となって、中には100年もかかって除染され、ミネラルをたっぷり含み私達
の体に到達します。古来より「水神様」を祀ってきたのも頷けます。

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深山幽谷のみならず、里山の谷あいにも発生する霧、もやなど日本は水蒸気の
満ちる国でもあります。この水蒸気がおぼろげとか、かすみゆくとかの風景、遠景
を演出するのは、湿度の低いヨーロッパの平野部などと決定的に違うところ。
黒、闇をバックに描きあげてゆくレンブラントなどの泰西名画と絹本や和紙の白を
ベースに、遠景はうすれぼかされる大観などの日本画を比べればわかりやすい、
とも聞きました。(ヴィラデスト農園主の玉村豊男さんから)

乾燥地ではどこまでも堅固でクリアーに見える、水の国日本では水蒸気で遠くは
霞んでしまう、絵画の世界でも「水」は大きく関係しているのですね。
ともあれ、日本は水を大事にし、経済効率で木材を大量に輸入して彼の地の砂漠
化を助長することを止め、世界第2位の緑被率(国土に占める森林の割合が日本
は67%で1位はフインランドの69%、中国は14%と聞いたことがあります)有効な
活用を再度考えれば、未来は明るいと思います。

スイスは水力発電だけで余剰電力を隣国に売っているようですし、ドイツでは最近
半世紀も前の水車発電装置を再び動かし始めたところが数千箇所もあるといいま
す。水こそはクリーンなエネルギーの源泉でもあります。
           地球にとっても人間にとっても。

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ところで水と言えばここのところズッと気になっている水彩画が2点。

マダガスカルの風景(1) マダガスカルの風景(2) 

「SEVEN SEAS」というラグジュアリー誌の中綴じの表紙になっていて、画家は
牧野伊三夫さんという人。雑誌「暮らしの手帖」、サントリーの機関紙「WHISKY
VOICE」などの表紙や挿絵でも高名な方のようです。(Wikipediaから)

パッと見たときから魅せられて、こんな水彩が描けたらと、たびたび取り出して眺
めています。真っ白な紙にシンプルに楽しそうに線と色が交じり合って、白くて強い
日差しの中、マダガスカルの街と人の風景が素敵です。

O先生(私の水彩画の先生)にお見せすると、「うーん、すごいね。なかなかこうは
描けないなあ。ヘタウマに見えるかもしれないけど全然違うんだよね」とか。
・・・・線が生きていて確信に満ちている、遊びはあるが無駄が無いんだそうです。
道の遠さを思い知らされますが、こちらはアマチュアなので、そこは気楽に水と絵
の具がつくる世界も出たとこ勝負、思いがけない喜びと失敗の一喜一憂が楽しい
のです。

若い時代、生活をするということの重みを軽くジャンプして、好きな道をまっしぐら
に進んだ人をこの歳になってうらやましく思いますが、サラリーマンから見れば私も
そう見えるかも知れません。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2008年07月02日(水)更新

7月1日は「半夏生(はんげしょう)」。

「半夏生」とは、二十四節気だけでは農作業の基準が分かりづらかったため、更に
細かく分けた七十二節気から生まれた言葉で、夏至を3つに分けた最後の3分の1
の期間を指す、すなわち夏至から数えて11日目の7月2日頃から七夕頃までの
5日間が半夏生で、田植えの時期の目安とされている。(日本文化いろは事典より)
農家の出だった母はいつも「ハゲンショ」と言っていたような気がします。
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福井や金沢では1日からが「半夏生」。福井ではこの日“サバの丸焼き”を食べる
風習があります。発祥は奥越前の大野といわれていますが、江戸時代、田植えで
疲れた農民に栄養を取らせようと、藩主が推奨してから、と伝えられていますが、
大野市内の一軒の魚屋さんでもこの日1200本のサバを焼くといいますから、
全国版の「土用丑の日・うなぎ」の地方版ですね。生きのいい油の乗ったサバが
近くの海で豊富に採れることも背景にあるでしょう。

「恵方まき・まるかぶり寿司」のように、知恵のある人が現代に甦らせて、上手に
商売にしたという側面もあるかもしれませんが、最近元気の無い地方の「お店」に
とってはいいことだと思います。

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一方、金沢(加賀地方)はこの日から「氷室(ひむろ)饅頭」が売り出されますが、
これはとても有名。(この日、金沢のDデパートの地下の和菓子屋さんはどこも
行列でした)。

7月1日(旧暦6月1日)、この日は藩政時代に加賀藩から幕府へ「氷」を献上する
ため江戸の藩邸へ出発する日。冬の間に「氷室」と呼ばれる半地下室に氷をため
ておいた室(むろ)から、氷を取り出し、筵と笹の葉に何重にもくるんで江戸へ。

無事将軍に届くために、神社に饅頭を供えて祈願すると同時に、暑い夏を越す
体力を養い、無病息災を願う意味もあったようです。
金沢の人は1個くらいでなく、この日はいくつも食べるようです。

毎年小松の仕入先のO君が、名店の「氷室まんじゅう」をたくさん届けてくれ、社員
も楽しみにしています。ありがとう。
あらかた食べてしまい、「あっ、カメラ」と思ったときには残り1コだけでした。

半夏生サバと氷室まんじゅう

横山国男

【染型工房 横山工藝】
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