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2008年07月16日(水)更新

どこ吹く風。

以前から欲しかった写真集「桂離宮・修学院離宮」(京都新聞創刊125周年記念
出版)が、アマゾンから届いたのでワクワクしながら拾い読みしていると、書家の
吉川壽一君が飄々と現れました。(今や高名な書家ですが、小学校以来60年
近い親友なので“君”で許してもらいます。当社のアドバイザリースタッフです。)

「京都の門川新市長と会ってきた」とのこと。この2月に桝本前市長を僅差で破り、
初当選しましたが、二代続けての市教委出身市長とか。
「京都創生」がコンセプト。和服姿で執務室におられたそうですが、その一端なの
でしょうか。それとも公務でお茶席などがひかえておられたのかも知れません。

ただ桝本市政の12年間で94人の職員が逮捕された(京都新聞)そうで、市民か
らの信頼回復は容易ではなさそうです。
地方の教育委員会といえば、大分県が大混乱の真っ最中、中には夫婦で関与し、
悪くすると免職となり、数千万円の退職金がパーになるかも知れませんから、
割の合わない話です。

私は公務員とか先生になりたい、という気持ちに一度もなったことがありませんが、
官庁とは関係ない好きな“モノを作る仕事”に就けて本当に幸せだとあらためて思
います。
ただ自身の出世や子供の幸福を考えない人は少ないと思いますので、切羽詰れ
ば私もヒョットしてそれに近いことをしたかも知れませんから、賄賂社会と噂される
中国を笑う資格はありません。

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吉川君の市長との会話で「市長から“風”という字を書いてもらえませんか、と言わ
れたんやけど、偶然この秋東京で個展をやるテーマを“風”にしようかと考えていた
ところなんでビックリした」とのこと。

言われてみると「風」っていいですね。文字もデザインとして面白い。
空気が動くのが風ですが、台風、暴風はともかく、新風、涼風、さわやかな風など
人の心を軽くさせます。

今、東京の高校の「よさこいチーム」から、長半纏の注文が来ていて、試作品が
私の前に架けられています。背中に大きく赤地に金でプリントを依頼されたのが、
「風神雷神図」。風神が大きな袋を腰に抱えて大風を送っている図をリデザインし
ました。神というより鬼に見えますが、愛嬌があって迫力ありますね。

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ところで流行語になった「K・Y」・・場の空気が読めないという意で結構使われて
いるようですが、語意が似ている「どこ吹く風」というのもあります。

食品の表示や産地偽装、今回の大分県の教職員のワイロ問題、社会保険庁の
不始末などなどこれだけ世間で話題になり、指弾を浴びているのに「どこ吹く風」と
思っている人たちがいるように見えるのには暗澹とした気持ちにさせられます。
感性が錆付いているんでしょうか。

「見て見ぬふり」と「どこ吹く風」の連鎖、今の日本には経済だけでなく、社会全体
に「逆風」が吹き始めているように思います。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/