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2008年05月13日(火)更新

雑誌も読者とともに歳をとる。

何も手近に読むものがないと、カナイが購読している何種かの「婦人雑誌」でも手に
とります。特にラグジュアリー系といわれる「F画報」や「K画報」などは、上質紙に
美しいカラーの誌面、内容もなかなか楽しい記事があり、オジサンのセンスが少し
は磨かれるような気がしないでもありません。

そんな中、今月6月号をもって「主婦の友」が、創刊から91年の歴史に幕を下ろし、
休刊となったようです。(通巻1176号)
昔、読んだことがあるような記憶もありますが、ライフスタイルの変化が、息の根を
止めたようです。

毎月のように色々な分野、特に生活文化関連の新しい雑誌が創刊されるよう
ですが、なかなか100号、200号と続く雑誌は少ないようで、中には5号あたりで
早くも休刊宣言、ギブアップするケースもあるようです。(廃刊でなく休刊とするのは
苦心してつけた“誌名”をキープしたい、あるいは他社に使わせないという意図だと
聞いたこともあります)

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10年ほど前、「K画報」(今年創刊50年)の通販ページに、「トートバッグにペットの
写真をプリントします」という企画が採用され、綿のバッグが有名な京都の
「I 帆布店」さん製だったこともあって結構売れました。
現在のようにデジカメもまだ普及していませんし、オンデマンドのプリンターも手軽な
ものはない時代、編集部から送られたきた読者のペットの写真をスキャンして、
トリミングや画像補整、名前を入れてカラーコピー転写をしました。

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この企画で通販の責任者である、ベテランの編集者Iさんと何度か打ち合わせに
市ヶ谷の本社でお会いしたことがありますが、あるとき主力の「K画報」を手にとり、
「横山さん、雑誌も読者とともに歳をとるんですよ」と言われたのが、とても印象に
残っています。

中心の購読者層の年齢が上がっていけば、雑誌の方も当然それに対応するような
企画・編集になる、すると若い層の支持を得られないので「別冊」とか「ミスK画報」
などを出すことになるんですよ、というようなお話でした。

日本のファッションのブランドなどにもそのような傾向があるかも知れません。
好きなブランドでも対象年齢層を動かさなければ、いずれ古いお客さまは来店しな
くなるでしょう。このあたりは当然マーケティングが進んでおり、さらに年齢が上がっ
た顧客を引き続いて自社の購買層として確保するため新ブランド開発や戦略を練る
わけですね。

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昔に比べ、本を読まない人が増えている、情報は勿論のことネット上でも本が読める
という時代。
かって「週刊女性」編集長から「K画報」の編集長に就任し、リニューアルを成功
させて60万部雑誌にしたといわれる名編集者「諸井薫」(故人)のような人が出現
したとしても、出版を元気な時代に戻すことはもう無理なのでしょうか。

およそ1世紀、最後まで残った老舗の婦人生活雑誌の休刊(廃刊?)は、時代の
変化、世代の交代を実感させる出来事に思えます。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
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