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2008年04月26日(土)更新

「太鼓持(幇間)あらい」さんの至芸。

前回ブログの続きで最後にご紹介したいのは、「太鼓持ち」または「幇間(ほうかん)」
ともいわれる、我が福井が生んだ「太鼓持あらい」の荒井さん。

今や関西地方ではただ一人プロの太鼓持ちとして有名ですが、定席はこの天ぷら屋
さんの2階のお座敷。
永く愛好会が続いているようですが、私は定席で聞いた(見た)ことはありません。
それでもちょくちょくいろいろな席でお目にかかったことがあります。

ご本人が「ホームページ」で述べておられるように、言うなれば「男芸者」。
花柳界の盛んだった明治中期が全盛だったようですが、太平洋戦争後はあらゆる
文化が西欧の方を向いてしまっては、このような至芸は生き残るには厳しすぎる
時代でした。

太鼓持ちの芸や遊びは洗練された「客」がいて成り立つ一面もありますから、
「お座敷あそび」とは縁遠くなって、キャバレーやカラオケの流行する現代では
「太鼓持(幇間)」が絶滅に瀕しても不思議ではありません。

ルーツは800人もいたといわれる「秀吉の御伽衆(おとぎしゅう)」の中のいわば
道化師では、という説もあるそうですが、太鼓持ちが「太閤を持ち上げる」すなわち
ヨイショ役、ごますり役の意からと言われればナルホドとも思います。

あらいさんのプロのお座敷芸はなかなか楽しいものですが、時には強烈な「Y談」
も飛び出すので、気の弱い私などは女性が同席しているとドギマギしてしまいます。
しかし当人たちが大笑いしているのを見ると、こっちのほうがウブなんですね。

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「太鼓持ち」という仕事については「面白うてやがて悲しき・・」という連想から、実は
ただの「宴会盛り上げ業」だけでなく、その裏で苦界とは言わぬまでも「花柳界」で
毎日のように起こる「男と女にまつわるトラブル」の解決役として、表には出ない形
での始末も引き受けたのでは、とフッとそんなことも考えました。

古今東西、スマートな男女の別れなど少ないものではないでしょうか。修羅場あり、
ふんだくりあり、ときには刃傷沙汰まで、「太鼓持ち」は時には旦那サイドの依頼で、
またあるときは可哀想な女のために義侠心を発揮したかも、なんて考えるのも
ひまつぶしにはもってこいの題材ですね。

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あらいさん作「太鼓持あらいの三国北前音頭」を三味線の伴奏で、ご本人の指導
で天ぷら屋さんのカウンターのまわりをぐるぐると最後に踊りました。
最初は気恥ずかしかったのですが、そのうちノッてきて「エライヤッチャ、エライ・・」
の阿波踊りもこんな気分なんだ、と思ったところでお開きになりました。

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今や絶滅危惧種となりつつある「太鼓持ち(幇間)」について、興味のある方は
リンク先のHPをぜひご覧ください。日本語の他、英語版、フランス語版と共に、
あらいさんの満面の笑顔が迎えてくれます。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
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