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2007年07月16日(月)更新

倒産した会社社長(知人)にバッタリ合いました。

先日、好天の中、用事のある市役所に向かってビルの角を曲がると、
向こうから大きな書類カバンのようなものを提げてこちらに歩いて
来られるのはまぎれもないA社長さん。

昨年、大きな負債を抱えて行き詰ってしまい、それほどお付き合いの
ある方ではないのですが、温厚で話題も豊富、A社長のご友人が経営
する千葉の立派なゴルフ場へお供したこともあります。

私が先に気づきましたが、一瞬「たじろいだ」ような感じがあったのは
どんな風に言葉をかけるか、迷ったからです。

「やあ、横山さん、元気?」と明るく先に言われてしまいましたので、
こちらも「お久しぶりですねェ、Aさんこそお元気そうで」となんだか
つられてというか、ホッとしてというか、どちらにしても何事もなかった
ような雰囲気のまま、しばらく立ち話をしました。

丁度、法的な整理が済み、事業を引き継ぐ会社も現れてホッとされていた
のかもしれません。中国などへの地すべり的な産業移転の代表業種とも
いえるお仕事でしたから、時々「A社長さん、どうされているだろう」と
思い出すこともあったのです。

短い間でしたが、私の仕事のことなどもお尋ねになり、またご自身の計画や
インターネットの話題まで、「刀折れ、矢尽きた」「いっぺんに年老いた」等
の感じはあまりなく、本当に嬉しく思いました。

もちろん、債権者への責任を感じておられないはずがありません。また苦悩
の夜も数え切れないほどあったはずです。
しかしあらゆる手立てを講じても歴史の流れに勝てない局面もあるのではない
でしょうか。

事業の失敗から、ヌケガラのようになったり、まして自死を選ぶなどという
ことがあってはなりません。
「事業に命を懸ける」というのは「そのくらいの決意で」という分には賛成で
すが、「ビジネスはビジネス」とあらためて自分に言い聞かせました。

別れたあと「Aさん、頑張ってくださいね」というような気持ちで振り返り
ました。人通りの少ない午後の繁華街でしたが、でもやはりちょっとお体は
小さくなられたような気がしました。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
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