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2007年05月24日(木)更新

一問百答・・身ぐるみはがされる恐怖

<質問>
中小企業を経営するお立場のみなさまに質問です。大企業にいたのでは絶対にできない経験、
身につかない能力というものがありましたら、教えてください。

(明治大学商学部 今村隼さん)




大企業のサラリーマンの経験も少しありますが、小企業の社長にとって何が一番
サラリーマンと違うかというと、「会社と運命共同体であることを24時間強く意識して
いる」ことでしょうか。

社員や家族への責任感もありますが、特に今日のような経営環境では経営を続け
ていく、会社を存続させていくということはなかなか大変なプレッシャーです。
ダメということになったら、ほとんどの場合すべてを失うことになります。
(社長は第一の”連帯保証人”ですから)

○ これは大企業にいたのでは”絶対にできないスリリングな経験”でしょう。


誤解をおそれずに言うと私は「事業とか会社を命がけでやってはいけない」と思って
います。
社員や愛する家族、なにより自分の一度しかない人生に大きな犠牲を強いるほど
「価値」のあるものでしょうか。
まして倒産が原因の経営者の自殺などは本当に無くならないものか、と強く思い
ます。


・・・とは言うもののそういう状況に否応なく追い込まれることもあるのが中小企業、

同情を禁じ得ませんが、なんとか必死でそういうことにならないように頑張るわけ
です。

○ その結果”身につくこと、能力”がいくつかありますが、長くなりますので私が
大事だと思っていることの一つ、

「会社は赤字では潰れない、キャッシュフローが止まったとき潰れる」です。
人間でいうと「血液」の流れが止まるということでしょうか。もっとも何年も実質赤字

続きではキャッシュフローもへったくれもありませんが。

         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今村さんへ

今回のご質問を頂いたとき、私の頭の中にはむしろ反対の「大企業にいたので
経験できたこと、身についたこと」が浮かんだのです。


私が独立開業した最初の顧客は当地の「上場企業」だったのですが、人を介して
取引のお願い(発注)に訪問したとき、「事業計画書」(設備、人員の将来計画、
資金調達、技術のPR,取引先のメリットなど)を持参したことです。

このような文書は商社勤務時代にさんざん書かされ、ビジネス文書や稟議書、
与信管理そのほか大企業での決済の仕組みを知っていたからです。
コトはスムースに運びました。

もうひとつ「総務・経理」もしばらくさせてもらいましたが、中でも「約束手形」に
ついてその利便性からくる「危険性」について多くのことを学びました。
そのことが30年間支払いに手形を使わず、また1枚も「不渡り手形」を経験せずに
来れたことにつながっていると思います。(銀行の担当者は一様に驚かれます)


その時代、私は将来起業することになるとは考えていなかったと思いますが、
今村さんにもしそのようなご計画があるのなら、大企業でのご経験は人脈や交友、
人間観も含め、大変役に立つケースもあるということを私の経験から申し添えます。

ご健闘をお祈りします。


横山国男

【オーダーよさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/

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