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2007年12月11日(火)更新

銀杏(ギンナン)

名古屋に住む家内の友人から、今年も沢山の立派な銀杏(ギンナン)が送ら
れてきましたので、炙るために古い道具も持ち出してきました。


銀杏と炙り器

ものの本によると、「ギンナンは日本全土で生産されているが、特に愛知
県稲沢市が生産量日本一」とあります。名古屋の友人宅もお屋敷の中に
大きな銀杏(イチョウ)の木があるそうで、外皮をとる専用の「洗い機」
もあり、お祖母ちゃんがこの時期せっせときれいなギンナン作りをされる
とか。

子供のころ、ろくなおやつなどの無かった時代は、ギンナンも貴重品。
ただ、時々足の甲に「デキモノ」ができるような体質だった私に、母は
「毒やであんまり食べたらあかん」と注意された思い出があります。

実際に「ギンナン食中毒」というのも、戦後すぐに子供によくあったよう
で、その原因となる成分も今ではよく知られています。

外側の硬い殻の合い口を金槌などで軽く「ポン」と叩いて、すこし開口
させ、(あらかじめ少し割っておかないと、火で炙ると爆発し、肝心の実
まで粉砕してしまうからですが)写真のような「炙り篭」にいれて、七輪
や火鉢(今ならガスコンロ)の上で中のギンナンを時々揺らしながら炙ります。

先日おすそ分けした「鮨屋」の女将さんが、「割らずに茶封筒に入れて、
電子レンジで3分ほどチンすれば簡単よ」というので、やってみましたが、
爆裂してしまいました。もう一度秘訣を聞かねば。

熱いギンナンは独特のちょっとした苦味で、季節と共に郷愁を感じさせ
ますが、今は「茶碗蒸し」の必須アイテムとしてしか若い人は知らない
かもしれません。

なおイチョウの木には「雌雄」があり、ギンナンが実をつけるのは雌の
方、広葉樹ではなく、針葉樹の仲間であることも今回初めて知りました。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2007年12月11日(火)更新

(お)歳暮・・腹の足しになるものか、心の足しになるものか。

私の座右の書の一冊に草柳大蔵著「日本人のお行儀」という本があります。
10年ほど前の本ですが、書かれていることと実態はますます離れていくようで、
かく言う私も思い返してみると、無知なるが故の所業が数々あり、「無かった時
間」にして欲しいと思うことも多いのですが。

歳暮の時期ですが、この本に「贈り物で器量が知れる」という一章があり、
『・・「中元」も「歳暮」も季節をあらわす言葉であるから「御」をつけるのはおかしい
のである。日常会話の中だって、「お秋になりました」とか「今年のお冬は暖かい
ですね」とはいわないであろう。「中元御礼」とか「歳暮御挨拶」と書くべき。・・』と
あります。
しかし、今では百貨店の熨斗も「お中元」「御歳暮」が殆どになっています。

贈り物にはいくつかのタブー(禁忌)があることなども書いてあり、思い出して、
思わず「ヒヤリ」としますが、そういうことを一応知識として知っていたとして、
『・・さて何を贈るかという話になるが、いま日本の家庭はたいていのものが間に
合っているということを念頭においてみる。』として、

『文明とは腹の足しになるもの、文化とは心の足しになるもの』という梅棹忠夫
(文化人類学者)の名言に従うのもいいのではないか。と提言しておられます。
その贈り物の例も挙げておられますが、現代の贈り物は“物”を超えた“遊び”も
大切、とも。

・・・・・・・・・・・・・

いろいろ勉強になるわけですが、贈り物の話に加え、私はかねてから「文明と
文化」について、きちんと整理できていない自分をもどかしく思っていましたので、
この梅棹教授の説明には大いに納得しました。

ユーラシア大陸の東端の島国に咲いた花は、ひょっとすると後世の歴史家から
「日本文明」と呼ばれる可能性もあったかも知れませんが、心の足しになるものを
摂らず、腹の足しになるものばかり、それも飽食を続ければ、自ずと結末は明ら
かなようにも自戒をこめて思うこの頃です。

横山国男

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