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2007年01月22日(月)更新

子どもたちと邦楽

この週の日曜日に「福井県立音楽堂」小ホールでの催し
「新春を彩る長唄の世界」を聴きに参りました。

唄、三味線、それに前列下段の笛、太鼓の囃子方が黒紋付で
緋毛氈の上に並んだ華やかなステージは、見た目にも「雛人形」
を思い起こさせる「日本の美」でもあります。

勿論演奏と唄がはじまると、能の地謡が始まった時のような
独特の軽い震えが沸き起こって、モーツアルトもいいですが、
これこそ日本人なればこその感興ではないでしょうか。

杵屋一門のご出演で、特に人間国宝杵屋喜三郎さんのどっしり
したそれでいて85歳とはとても思えない艶のあるのびやかな
お声はあまり長唄を聴く機会のない私にもとても感動的でした。


前半が終わったところで「長唄ワークショップ」と称して
高校生一人、中学生3人(男子はひとり)がステージに上がり、
八代目杵屋弥吉さんの軽妙な司会と指導・解説で「三味線」の
ワークショップがありました。

子どもたちもこの3ヶ月ほど練習したそうですが、三味線の音の
作り方などがとてもよくわかり、子どもたちの演奏も形になって
いて、会場からも「ほおー、すごい」などの声もあがり、大拍手
です。

会場の合唱とともに「さくら」を演奏した後、最後に杵屋弥吉さん
が子どもたちに「ぜひ三味線をつづけてください。バイオリンや
ピアノを習う子どもたちは世界中に沢山いますが、三味線は日本
独特のもの、将来海外へ留学などする機会があれば演奏してあげると
とても喜ばれるんですよ」と話していました。


今年のロータリークラブの新年会は私が担当だったので、従来の
料亭での酒宴はやめて、例会場に小さなステージを設えてもらい、
金屏風を背に「小唄」(花菱流)と「琴」(生田流)のめでたい
曲を聴いていただきました。(会員の夫人や娘さんに友情出演して
頂いたので経費の節減にも役立ったのですが、それより演奏の場を
提供したことをとても喜んでくださったのが意外でした)

会員からは「正月らしくとてもよかった」と結構企画にお褒めを
いただきましたが、子どもたちだけでなく大人も邦楽を楽しむ機会
が少なくなっています。
東宝映画の「社長シリーズ」でもおなじみですが、昔は会社で少し
偉くなると「3ゴ」といって、囲碁・小唄・ゴルフを嗜むべし、と
されていたようですね。

学校でも近年「邦楽」が復活しているようですが、指導者がおられ
るのかよく知りません。
私の中学生時代は「茶道」「華道」「筝曲」などの部がありましたが
今はどうなんでしょうか。

ともあれ、元旦には京都で新春大蔵流狂言「福の神」で茂山千作さん
の「ワアッハッハ」の大音声を頭から浴び、昨日は杵屋喜三郎さんの
長唄と二人の人間国宝の至芸を堪能できたことは幸せでした。


横山国男
http://www.ysoakoiya.jp/
http://www.echi-zen-art.co.jp/