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2006年10月26日(木)更新

【お題】会社を大きくすることについて

<明大生 高津明徳さん からのご質問>

会社を大きくする、ということにどれくらい魅力を感じていますか。
自社について、「これくらいまでにはしたい」という将来像がありましたら、
あわせて教えてください。


にお答えして。


首題のようなご質問があると、いつも頭に浮かぶのは
社長の器量」という言葉です。

会社の大きさをいう場合、売上とか、人員とか、設備
あるいはそれらの総称とかいろいろあるでしょうが、
昔から「社長の器以上には大きくはならない」と言われて
いることを結構気にしています。

言い換えれば、社長の「器量」以上に大きくした場合は
大概悲劇的結末を迎える、ということをいっているのだ
と解釈しているのですが。要するにコントロールできなく
なるということでしょうか。

もうひとつ、放っておくと会社というものは不必要に
大きくなるものだ、ということも聞いたことがあります。
そりやそうですね。収益も投資効率も無視してなんでも
扱えば売上をつくることは難しいことではないかも知れ
ませんから。


このご質問に関して、事務局の大西さんが仰られていた
ように、業種、業容で「大きい」という概念はそれぞれ
違うようです。

私の全く個人的な意見というか、希望ですが、大きいより
真珠のような光をもつ小さな会社」が夢です。
それだけの器量しか持ち合わせていない、ということでも
あります。

さて後継者はどう考えているでしょうか。

横山 国男

**************************************

はじめまして。
後継者です。

社長(父)よりお題をバトンされたようなので
こたえてみることにしました。


私は会社を大きくする目的が何かによる、と考えています。

重点をおくのは、

より多くの人の役にたつには?
お客様にもっとたくさん喜んでもらえるには?

ということです。

そのために必要なら、会社が大きくなろうと小さくなろうと、
どちらでもよいと思っています。


横山 奈保子

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2006年10月18日(水)更新

【お題】後継者を選ぶ基準とは

明治大学商学部 秋元さんのご質問に答えて。


他人であれ、わが子であれ、まず責任感の強い人、
その仕事が嫌いでないこと、いろいろ勉強し、工夫して
成果を出すことに喜びを感じるタイプ、などが思い浮か
びます。


中小零細企業において、経営の失敗は、従業員はもとより、
代表者自身の生活まで崩壊させることも多いものです。
それも分かった上で、自分の夢をこの会社の経営を通じて
実現したい、という「意欲」があれば合格でしょう。


企業が社会に存続していく、ということは究極人の間に
生きていくことであり、ICTともいわれるように
これからはますますコミニュケーション(C)能力が
重要になると考えています。


性別や年齢より、どのような時代であれ「人に好かれる
ように努力する」素朴な資質があれば、業種を問わず、
維持・発展は難しくないでしょう。

事業承継の時期に入っている私の考えです。



横山国男

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2006年10月04日(水)更新

【お題】経営者として最初に取り掛かったこと


当社の場合、事業承継の準備をしていますので、経営を
引き継ぐにあたり、まず何からという立場でお答えします。


1.創立以来の会計事務所の変更。

税務が中心となる「制度会計」から「経営会計」への転換が
必要と思ったことと、同世代の会計士、税理士と「数字をベース
に一緒に経営を考えるスタイル」がいいと考えました。


2.経理、簿記の基本習得。

芸術系を学んできた長女などには、「振替伝票」や「仕訳」
など経理、簿記の知識が不足しています。システムを有効に活用し
「自経化」をめざしていますが、基本の「起票」から家内が
指導しています。「決算書」や、キャッシュフローの重要性の
理解など経営者には最も大事な学習の一つと思います。


3.オフバランスシート。

B/SやP/Lなども重要な会計指標だとは思いますが、企業力は
数字だけで表せるものではないと考えています。数値化できない
長年の信用や、経営者の人柄、社員の潜在能力、企画・デザイン力など
「オフバランスシート」といわれる部分に磨きをかけて欲しい
と思っています。
その部分こそ将来に向かう大事な「経営資源」ではないか、と
話しています。



横山国男
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2006年09月30日(土)更新

【お題】経営者を志した瞬間

慶應義塾大学 吉井千晴さんの質問

「なぜ経営者を志したか、転機となるきっかけはあったのか」
にお答えします。


私の場合は最初から「経営者を志した」わけではなく、
自分のやりたいことを事業化するために「会社」を
創る、結果「経営者」(というより自営業者といった
方が近いと思いますが)になったと言えそうです。

勿論転機はありました。大手の商社を辞め、一転、町工場で
技術習得している内、「私ならこうする、こうしてみたい」
という事例が嵩じた結果です。


「会社を経営する」以上は、従業員や家族、株主に対する
責任があるのは当然ですが、自力ではどうすることも出来ない
「グローバル化」「フラット化」など、すさまじい産業構造
の転換・変化の時代でもあり、業種によっては限界もある
のではないでしょうか。


いろいろな希望や夢を実現するために起こした会社が、
いつか自分を苦しめるようになるのでは本末転倒です。
そうならないよう「変化の兆候」を探り、後継の育成も含め、
自社の対応力を上げることに努力する以外ないと思います。


それが無理という判断なら、足元の明るい内に清算し、
「再チャレンジ」するのも少しも恥ずかしいことでは
ないと思います。


最近周囲で「決断の遅れ」が招いたと思われる倒産などが
目につくようになり、一層その観を深くしています。

2006年09月14日(木)更新

不易流行

明大生との毎週一問百答

・・企業経営上、「変化(適応)すべきもの」と「変化すべき
でないと考えるもの」とは何?とのご質問に対して、


私は「変化」について、ご質問の2つの項目に加え、
「変化するもの」、「変化しないもの」というのがあり、むしろ
これが前段になっているのではないか、と日頃考えています。

即ち
A-「変化するもの」、「変化しないもの」
B-「変化させるべきもの」、「変化させてはならないもの」
です。

企業経営という点で、Aについては深い観察や、洞察が
必要で、そのためにはきっと多くの読書や思索する、といった
自己啓発も要求されるのではないでしょうか。

その結果としてBの解答が導きだされてくるのではないか、と
考えているのですが、いずれにしても膨大な玉石混交の経営
情報の海のなかで、取捨選択、未来予測も含めた的確な判断を
する資質と責任が経営者に求められることは間違いないと考え
ています。

難しいのは、変化が表面的なもので、実際は本質的なものは
変わっていない、とかその逆も当然あるわけで、ホリエモン
とか村上某氏とかは、このあたりの「読み違い」があったのかも
知れない、と考えたりもします。
即ち、あまりに「変化するもの」に気をとられ、「変化させては
ならないもの」をどこかで見失ったのではないか、と。

「変化」という言葉で連想するのは、松尾芭蕉の「不易流行」という
有名な言葉です。
一般的には「不易」は変わらないこと、「流行」とは変わるもの、
うつろうことの意として、私もその程度の理解しかないのですが、
本当は芭蕉の「自然観」を表した言葉で、この二つを単純に対立
したものと捉えるのではなく、深い意味があるようで、ご質問の
解答になるヒントが隠されているかもしれません。


「流され行く」のではなく、21世紀の新しい「不易」をご自身で
発見されるとよいですね。


横山 国男
http://yosakoiya.jp
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