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2007年03月16日(金)更新

“フラット化”の究極は一物一価

今朝の地方紙に「中国の需要急増で外材(木材)が高騰し、
県産木材に追い風」というローカルニュースが掲載されて
います。

中国の経済発展が消費の増大とともに、多様化、高級化をも
招いているので、先日「ゴルフ場を葡萄畑に」という拙ブログ
を書きましたが、このままいくと金属泥棒の他にもいろいろな
ところに形を変えて影響が出てくることでしょう。

穀物にしても、穀物のまま食すのではなく、「牛肉」がうまい
となれば、膨大な「飼料」としての穀物が何倍も必要になり、
ガソリンやプラスティックなどの原料としての「石油」も、
世界の「アパレル工場」として低価格を武器に大いに稼いだ
豊富な外貨(ドル)でドンドン買うということでしょうから、
国際的に食料や資源の需給バランスが大きく変化することは、
私でも容易に想像がつきます。


つい最近、当社の「よさこい衣装」を縫製して頂いていた
「縫製工場」(ほとんど中国へ移転し、わずかに残っている
工場ですが)から、中国から戻ってきている大手アパレルの
仕事が増えてきて、申し訳ないが手がかかって、数量の小さい
当社の仕事はお断りしたい、価格は中国との比較をすぐ言われ
るので厳しいのですが、従業員もいるし通年の仕事なので、と。

シーズンを前にして青くなりましたが、幸い伝手を頼りいろいろな
「縫製ができる人」を紹介していただいて事なきを得ていますが、
年齢層の高い人たちなので将来の対応を考えておく必要があります。


当社も中国への産業移転の「波」をかぶった業種ですが、この
10年の繊維、染色、縫製産業などの疲弊ぶりをみていると、もう
仕事が戻ってきてもやれる状態ではありません。
一昨日も“信用情報”に長い歴史のある京都の染工場倒産の
ニュースが出ていました。

別な言い方をすれば、これからは中国やそれに続く国からどんな
価格、納期、品質を提示されても「要る」のなら受容しなくては
ならないということです。我々は生産手段を失ってしまい、
主導権はアチラにあるのですから。

地滑り的な「中国への進出、工場移転」を見ながら、早晩そうい
うことになると予想しておりましたので、海外進出できないなら
「どうしたら日本で生き残れるか」をここ数年のテーマとして考
えてきました。。
同様な業態の経営者の皆さんも同じではないでしょうか。


国境やイデオロギーという堤防が決壊し、生産工場だけでなく有り
余る投資資金やサービスまでも「最適地」を求めてダイナミックに
流動する世界の経済。
いずれ“一物一価”が実現するまで、高い所は低くなり、低いところは
高くなって「フラット化」していくのでしょう。


横山国男
http://www.yosakoiya.jp/
http://www.echi-zen-art.co.jp/

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