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2008年05月12日(月)更新

「就職氷河期っ子」の叛乱・・待ってました。

先日、14年勤めた地元銀行を円満退社、外資系生保へ転職し、ライフプラン、
経営コンサルなどにも頑張りたいという挨拶状(決意状かな)を送ってくれたのは、
入行時、当社の取引支店へ配属されて以来の友人(と思っています)で将来を
すごく楽しみにしてきたYさん。

 W大の法学部を卒業、大手航空会社のパイロットの最終選考で、厳しい「眼」の
テストで望みをかなえられなかったと聞きましたが、郷里の銀行へ就職。
時代は平成不況の真っ只中、当時を「就職氷河期」とも称するようです。

娘の高校の先輩で、生徒会活動なども一緒にやったそうで、最初から親密になり
夜遅くまで飲みながら仕事のこと、趣味のことなど親子のような年齢差にもかかわ
らず、“話を合わせてくれました”。
実はこの資質が成功の第一歩だと私は考えていますので、今回の選択はとても
よかった、心配しなくても君は必ず成功するよ、と言ってあげたい気持ちです。

優秀なYさんはその後銀行が現在最も注力していると思われる「企業再建の
プロジェクト」担当となり、かなり勉強をされたことも今後大きく活かされていくこと
でしょう。「中小企業診断士」や「ファイナンシャルプランニング技能士」の資格も、
お客様との話に「利酒師」の資格も大いに役立つんじゃないですか。

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ところで私が常日頃不思議なのは、なぜ大企業、中企業などが「新卒」に拘るのか
です。七・五・三ともいわれるように、大卒の三割は入社三年以内に転職、転社し
てしまう現代、採用に伴う費用、OJT、先輩社員の少なからぬ指導や、新人に
ありがちな失敗の尻拭いまで企業にとって損失は大きいはずです。

優秀な人材であっても、就職時の景気に左右されて希望する会社へ入れないこと
は勿論、その後の人生にまで影響し、中にはすっかりやる気を失くし、転職をくり
返したあげく、フリーターをやっている団塊ジュニアもいるようですが、少子化の国
にとっても団塊世代の大量退職の企業にとっても重大な損失だと思わずにはいら
れません。

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「真の雇用の流動化」とは何をいうのでしょうか。僅か半世紀の間に先進し、成熟し、
高齢化し、もう目の前には真似てきた“モデル”が無い日本。
「中小企業・零細企業の経営者の多くが“立ち竦んでいる”」というのが実態では
ないでしょうか。ならば30代半ばの彼らの力を活かせばいいのでは、とも考える
のです。

自分たちのせいではない「就職氷河期っ子」のみなさん、頑張って一人でも逞しく
こんな閉塞した日本の現状を突き破ってください。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2008年05月08日(木)更新

素晴らしかった「黒沢明アート展」(2006)。

前回ブログで2年前に当時日本では福井でのみ開催された、巨匠黒沢明監督の
絵コンテ展「黒沢明アート展」が感動ものだったことを書きました。

このブログを書くため展覧会場(福井県立美術館)で買った「図録」と「T-シャツ」を
探しましたが、どうしても見つかりません。そのうち「あれ!?こんなところに」と
なるのは最近は日常茶飯事なのであまり気にしないことにしてますが。

T-シャツの図柄は「床几に腰かけた武将の甲冑姿」で、おそらく信玄の影武者を
プリントしたものですが、この絵は久米繊維さんのギャラリーの壁にもかかって
いました。

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160点余りの絵コンテ(原画)は主にスケッチブックなどに描かれたものですが、墨、
水彩、アクリル、油絵と手法はいろいろ、ササッと描いたものもあれば、かなり時間
をかけて描かれたものもあります。そのほかに日本の代表的画像メーカーがインク
ジェットの最先端技術を駆使して2.5mx4mほどのフルカラー出力の拡大画が
精緻な解像度で30点近く展覧され、これもまた素晴らしいものでした。

このあとイタリアなど海外3ヶ所で展示されたようですから、原画はもちろん、日本
のデジタル印刷の高い技術にも驚嘆したことでしょう。

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前回ゴッホを凌駕するなどと書いたのは大袈裟ではありません。「ゴッホの自画像」
に似た「農夫」の絵は、きれいな赤と反対色(補色)の鮮やかなグリーンを輪郭の
要所に使い、ゴッホの絵には無い強烈な印象を受けましたし、「夢」の絵コンテ
では、街の上を飛んでゆく黒沢少年(と思われる)の幻想的な飛行体、俯瞰する
街並とのありそうでしかし現実にはない時空を感じさせて、今でも鮮やかに思い
起こすことができます。

深い哀しみを宿す眼光の武将、戦乱の中の女たち、軍馬と美しい旗指物、山、川、
炎上する城、槍衾、ハリネズミのようになった落ち武者など、もう百花繚乱手当た
り次第に沸き起こるイメージを絵にしたようにも見えるのですが、結局、稀代の
映画作家黒沢明監督の頭の中には、一本の映画の何万カットというシーンが全て
撮影前に出来上がっていて、そのイマジネーションで俳優を動かし、道具や光に
こだわり続けた完璧主義者のように私には思えます。

もちろん三船敏郎をはじめ、志村喬、宮口精二、加藤大介、藤原鎌足、千秋実など
“顔”ではなく素晴らしい「日本人の風貌(かお)」を持った名優たちも黒沢明監督の
絵コンテを作り上げる際の重要なモチーフだったに違いありません。

「影武者」の信玄公のコンテなどはどう見ても勝新太郎であり、この映画は勝信玄
が頓挫した段階で単なる「絵巻物」に変わったような気がします。双方にとって不幸
なことでした。仲代達也は「用心棒」が当たり役だったと思います。

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もし、黒沢明自身が「本当は画家になりたかった」と語っているように、黒沢明画伯
が実現していたら、あの強烈で類稀な色彩感覚と深い精神性は、ゴッホというより
ルオーに近いのではないか、と2年経った今でもそんな楽しいことも想像させて
くれる、私にとっては思い出に残る素晴らしい展覧会でした。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
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2008年05月06日(火)更新

黒澤 明・クロサワアキラと戸田正寿さん。

この数年連休の初めに仙台へ旅行することが恒例になっていて、今年は仙台の
奥座敷といわれる秋保(あきう)温泉へ。

小松・仙台間は50分ほど、自宅からでも2時間ほどで仙台空港なのでとても便利
なのです。友人夫妻がどうしても現代和風建築の粋「茶寮宗園」へ案内したい、
とのことなのでこのような所へ泊まれるのは生涯一度あるかどうかわからないので
お供することに。

ただ、着いた日秋保カントリーでゴルフをした際、右ひざを傷めたようで、帰宅後の
連休後半はずっと自宅でカナイと花を植えたり、読書・TVの毎日でした。

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そんな中、昨日のBS2「クロサワ・アーカイブス特集」を、TVの前でカナイとコーヒー
なぞを飲みながら5時間、トイレに立つ間も惜しみながら、喰い入るように観ました。

30本の監督した映画のほとんどを観、黒澤本もかなり持っていますが、何度観て
も飽きませんね。
夜9時過ぎからの「野良犬」も観て、忘れているシーンもあり、またまた引き込まれて
画面に釘付け状態、至福の「クロサワ デー」でした。

評論家でもない私が、このようなブログで「黒澤 明」「黒澤作品」「映画芸術」など
について、まして自身の人生に深く食い込んでいるであろう「クロサワ アキラ」と
いう日本が生んだ偉大な「映像作家」についてチョロッと語るなど不遜とさえ思い
ますが。

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ジョン・フォードとジョン・ウエインが作り出した「詩情」と同じように、黒澤作品では
「三船敏郎」が全てであったように今でも頑固に思っています。フアッションは勿論
その風貌、バランスがよく強靭な肉体は今時のイケメンなど足元にも及びません。

三船の剣サバキ(七人の侍の菊千代と用心棒や椿三十郎でのタチマワリ)、ジョン
・ウエインがライフルをずーっと馬上疾走するインディアンを追いながら引き金を
弾く独特の呼吸など「この監督にしてこの俳優あり」(その逆も)と感激したものです。

大体黒澤映画といえば、巻頭豪快な筆文字で書かれたタイトルと音楽で完全に
シビれてしまいますよね。映像と音楽で作られる映画は「総合芸術」といわれ
ますが、デジタルで何でも可能のように見える21世紀、我々は黒澤明のような
作家に再び会えるのでしょうか。

ホームシアターまがいのものを作ったので、これから黒澤明の全作品を少しずつ
鑑賞することを楽しみにしています。

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ちょうど2年前の5月、世界で4ヶ所でしか公開されなかった(日本では福井だけ)
黒澤明の2000点におよぶ絵コンテ原画から200点を展示した「黒澤明アート展」
が開かれ、さらに画家としての驚嘆すべき才能に触れました。中にはゴッホ以上
では、と思われる作品まであり、何度も会場を行きつ戻りつしました。

この稀有な展覧会がなぜ福井で開かれたかといいますと、この展覧会のアート
ディレクター戸田正寿さんが福井県坂井市出身だったご縁です。

私がこれまでに最も心に残る「広告デザイン」に40年も前の「フォルクスワーゲン」
の“かぶとむし(ビートル)”の広告(ビートルが機能を追求した結果のデザインで
あることを訴求するために、このような変な形でも人類が初めて月に足跡を着けた、
として月面着陸船を引き合いに出した広告)と、80年代初頭のサントリーローヤル
ウイスキーの広告「ランボー」がありますが、この「ランボーシリーズ」が戸田さんの
作品であることがわかり、ここでもランボーと黒澤映画がつながったような気がした
ものです。

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いつかブログで「黒澤明アート展」について書きたい、と思っていましたが、その気
になったので思い出を次回に。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
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