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「プリント道」45年余。新たな自身の夢と後継者への手紙-(株)横山工藝社長 横山国男のブログ
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2007年07月04日(水)更新
「年金問題」と「言志四録」
家を新築しても、ライフスタイルまで急に変えられるものではありませんから、立派なガレージにチョコンと小型車と軽自動車が納まっていたりするのを見ると、妙に納得するものがありますが、それにしても「年金問題」でさらに公務員の働きぶり、職業倫理への批判が強くなったように思います。
昔、公務員を揶揄して「休まず、遅れず、働かず」などと言われましたが、その上こう不祥事が続くと、時節柄世間の目はいっそう厳しくなっても仕方ありません。
例によって日本のマスコミは、社会保険庁などに集中砲火を浴びせていますが、かっての担当者も含め、ブログなどで反論する人はいないのでしょうか。
現職はともかく,退職者からでも「公務員側からの真っ当な話」も聞きたいものです。
・・・・・・・・・・・・・・・
神渡良平著『佐藤一斎「言志四録」を読む』(致知出版社)を読んでいますが、この年齢になるまで佐藤一斎をよく知らなかったことを恥じるというか、惜しいことをした、という思いです。
巻頭に近いところで「言志四録」を血とも肉ともなるまで自分のものとした西郷隆盛の話がでてきますが、隆盛の遺訓集「西郷南州遺訓」に素晴らしい言説がありますので引用させていただきます。
「廟堂に立ちて大政を為すは天道を行うものなれば、いささかとも私を挟みてはすまぬものなり。いかにも心を公平に操り、正道を踏み、広く賢人を選挙し、よくその職に任える人をあげて政柄を執らしむるは、すなわち天意なり。それゆえ真に賢人と認める以上はただちにわが職を譲るほどならではかなわぬものぞ」
(政府にあって国の政をするということは、天地自然の道を行うことであるから、たとえわずかであっても私心を差し挟んではならない。どんなことがあっても心を公平に保ち、正しい道を踏み行い、広く賢明な人を選び、その職務に忠実に耐えることができる人に政権を執らせることこそ、天意にかなうものである。だから本当に賢明で適任だと認める人がいたら、すぐにでも自分の職を譲るくらいでなくてはいけない・・著者意訳)
今月は参議院選挙ですね。 また役人の心構えについては、
「万民の上に位する者、己を慎み、品行を正しくし、驕奢を戒め、節倹をつとめ、職事に勤労して人民の標準となり、下民その勤労を気の毒に思うようならでは、政令は行われがたし」
(多くの国民の上に立つ者は、いつも自分の心を慎み、身の行いを正しくし、驕りや贅沢を戒め、無駄を省き、慎ましくすることに努め、仕事に励んで人々の手本となり、一般国民がその仕事ぶりや生活を気の毒に思うくらいにならなければ、政府の命令は行われにくいものである・・著者意訳)
西郷さんは本当にそう思い、実行したとありますが、経営者にとっても教えられることが多々あります。
なにもかも否定した戦後教育、今、維新の兆しすらないこの国、残念に思っている人も多いはずです。昔、元服の年頃にはこのような素養を持った日本人も少なからずいたことを思うと、あらためて「教え育む」ことの大事さを考えさせられる本です。
打ち続く不祥事・・先生だけでなく一般公務員にも倫理観、初心を忘れぬよう、免許更新制が必要な時代かも知れません。
横山国男
【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
2007年04月04日(水)更新
経営者にカリスマ性は必要か
<質問>
経営者には、やはりカリスマ性が必要だと思われますか。もし必要ならば、
それを培う方法はありますか。それとも、カリスマ性とはそもそも先天的な
ものなのでしょうか。
(東京大学教養学部3年 小川明浩さん)
カリスマ性がある、または強い人とは本来、特異性、神秘性、非人間性
などの強い人を言ったようですが(ナポレオンやヒトラー)、最近では
カリスマ美容師、カリスマモデル、カリスマ主婦などもう少し明るく
軽い感じで用いられていますね。
経営者ではホリエモンなども、社の内外でそういう印象で見られていた
時期があったように思います。
後継者にはよくそういう話をしますが、「社員を“何で”引っ張っていく
のか」・・尊敬、畏怖、大きな優しさ(仏心)、社会性、儲ける才能(勘
の良さ)、情報の取捨選択の的確性、有言実行力、業務の深い知識などなど
「さすが、社長」と思わせるモノはいくつか必要でしょう。
こういうものを強く社員が意識するとき、経営者に「カリスマ性」を感じる
かも知れません。
それらの殆どは、学習や深い思索から身につくものとも考えられますから、
「先天的」とばかりは言えないと思います。
私の場合、「カリスマ」とは「翁」と名のつく人というイメージがあります。
「福沢諭吉翁」、東京電力の「松永安左衛門翁」、ナショナルの「松下幸之
助翁」といった人たちです。
そういえば最近「翁」と呼ばれる人がいないですね。
打ち続く「政・経・官・学界」の不祥事とも関係があるような気がします。
横山国男
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2007年03月31日(土)更新
久米さんは私の“灯台”
先日、10年ぶりに「くめさん」の久米繊維工業本社を訪問
させていただきました。
この間、久米社長・ご兄弟とは当社を含め、各所で何度か
お会いしておりますので、「久しぶり」という感じはない
のですが、錦糸町駅から久米繊維さんまでの風景は全く
変わってしまい、大通りの右手にあった「昭和」を感じさ
せた「大時計」の精工舎工場は高層ビルとモールに変わって
おり、強いビル風も吹いておりました。
ちょっと浦島太郎のような気分です。
久米社長、スタッフの皆さんといろいろな打ち合わせのあと、
近くで「お昼」を頂く事になって、肩を並べて歩いていた
博康専務さんが、「この辺も最近はスーツ族がやたら多くなり
ました。以前はジャンパー姿の人も多かったんですが」という
話や、看板に「本所」という文字を見たりすると、あの
関東大震災で有名になった“本所被服廠”とか、駅名に“糸”
がついているせいか、このあたりが繊維や服と関係が深かった
街だったことを自然に思い起こさせます。
久米繊維さんもその名のとおり、この地域に多くある糸偏企業の
一社だったのでしょうが、反対側の高層ビルを除けば、界隈では
以前から高いビルで、屋上の[KUME][Jentle]のサインも堂々と
していて先代からの経営の立派さが想起されます。
久米社長と私のお付き合いのきっかけは10年ほど前に受賞された、
「日経インターネットアワード」です。
ある日「日経産業新聞」の一面に“アワード受賞”三社の記事が
載り、二社は誰でも知っている大企業でしたが、「久米繊維工業」
という全く知らない企業の名前が、私には特に「光を放って」いる
ように見えました。「繊維」という困難な業界に身をおく者には
何か「灯台」が見えた気がしたのです。
ITという言葉すらまだ一般的でない、特に地方ではインターネット
の黎明期といってもよい頃だったと思います。
私はすぐ久米信行社長に会いにいくことにしました。
(私の生涯で“自ら出合いを求める”“そのために行動する”
という点で、最も大きなエポックだったと思います。後継者に
どうしても伝えたいことの一つです)
受賞理由や経歴を読んで、「久米信行さんという人は、きっと
これからの時代をリードするキーマンのお一人」という確信の
ようなものを感じた記憶があります。
今回訪問して素敵なギャラリー併設の事務所に案内していただき
ましたが、前はカラフルな二階の事務所で「くめさん」は今と
同じように、ニコニコ、丁寧な応対で福井から出てきた二回りも
上の「おじさん」に熱くインターネットの将来を語り、膨大な
「Tシャツコレクションルーム」も案内してくださいました。
あれから10年、途中稀代の書家と言ってもよい、級友の「吉川
壽一」も加わって、“日本のTシャツ”を作りたい、という共通の
夢を持たせていただく関係が続くことになりました。
ともすれば危ういITの世界で、「メール道」「ブログ道」などで
日本人が忘れてはならない“道”で血を通わせよう、ご本業の
「Tシャツ」で社会貢献もできる、健全な「プロシューマー」を
生み出そう、という信念はますます強くなっておられるな、と
感じた今回の訪問でした。
いくつかの「楽しい」“共創”のお話もあって、明日からの4月が
明るい新年度になりそうです。
今後とも後継者ともどもよろしくご指導ください。
横山国男
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2007年03月23日(金)更新
明大生との一問百答への回答
<質問>
自分が、もし現在の会社で一社員の立場だったとしたら、
社長を支えるためにどんなことが必要で、どんなことが
出来ると考えますか?
※社長ご自身がどんなフォローを望んでいらっしゃるかを
お聞きしたく思います
(東洋大学経営学部3年 渡辺麻貴さん)
「社長を支える」「支えて欲しい」という意識は、商社の社員で
あった時代は勿論、社長と呼ばれる現在でもあまりありません。
それより社長を含む「組織(会社・仲間)を支える」という意識を
持ってもらえたら、とは思います。
結局、社長というものは、組織(会社)への忠誠心や参加意識、
創意工夫を強く持った社員がいて、業績が良ければ、「支えて
もらっている」という意識、感謝の念は自然に生まれます。
あえてお答えするなら「人」という字のように、社長も社員も
お互い「支えあう」といった意識・感覚が小規模な事業所では
特に大切なことのように思えます。
横山国男
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2007年02月28日(水)更新
【お題】就職について-明大商学部生の質問について考える
<質問>
就職について前向きになれません。なぜなら、就職してサラリーマンとして
働くことは社会の中の「歯車になること」になるとしか思えず、嫌悪を感じるからです。
この考え方はおかしいでしょうか? 何かアドバイスをお願いします。
(明治大学商学部生)
就職=サラリーマン=歯車・・・嫌悪 というわけですね?
戦前は20%しかいなかったといわれるサラリーマン、今は70%
以上だそうで、就職とは「就社」を意味し、社会人ではなく「会社人」
とも揶揄される現代日本です。
社会学のことは分かりませんが、20%が70%になったら「何に
価値をおくか」が変質して当然ですし、現在問題とされている「教育」
や「階層」「ニート」などとも関連があるような気がします。
世の中が「バブル」に向かって突き進む頃、東京の朝の通勤電車に
乗り合わせた私は、満員の社内で右を見ても左を見ても例外なく
日本最大の「経済紙」朝刊を小さく折りたたんで熱心に読んでいる
サラリーマンの姿を見てチョット異様な感じがしたものです。
長男は親の仕事を引き継ぐことが当然とされた時代からみれば、
何を職業に選んでもよい現代なのですから、サラリーマンしか選択肢
がないとは思えません。
また「産む機械」はともかく、社会を機械に例えれば大小いろいろな
「歯車」がそれぞれの役割(使命)をはたしてこそ健全な国や地域が
生成される、と考えたいと思います。
世界的な奉仕団体である「ロータリークラブ」では特に四大奉仕を
掲げています。不真面目ロータリアンの私が言うのも可笑しいですが、
その2番目は「各自の職業に誇りと自信を持つように努め、品位ある
営業を行い、それを通じ人々に奉仕しましょう」(職業奉仕・要約文)
となっています。
自らの仕事を熱心に行うこと、それ自体が社会への奉仕ともなっている、
ということでしょうか。
ロータリークラブの徽章(マーク)は「歯車」をデザインしたもの
ですが、今回のご質問と不思議な符合も感じます。
就職も含めて人生そのものに前向きになってくださることを期待します。
横山国男
http://www.yosakoiya.jp/
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