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2008年12月22日(月)更新

『七つの社会的罪』・・・マハトマ・ガンジーの箴言。

「インド独立の父」と尊称される、マハトマ・ガンジー(1869~1948)について
多くを知りません。小・中学校の教科書などで「偉い人だったんだな」と思った記憶
があるくらいです。

暗殺され、荼毘にふされたラージガートというところに、ガンジーの碑文があるそ
うで、書かれている「七つの社会的罪」は、真理は永遠なのだと思わされます。

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『七つの社会的罪』

         1.理念なき政治
         2.労働なき富
         3.良心なき快楽
         4.人格なき学識
         5.道徳なき商売
         6.人間性なき科学
         7.献身なき信仰

というものだそうです。
【マハトマ・ガンディー】 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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現在の世界的な経済の混乱や、日本では数々の不祥事が今年も続きました。
1、2、5などは特にあてはまるような気がします。

厳しい時代でも、心して経営したいと考えさせられます。


横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2008年12月20日(土)更新

元気を出したいが。

ブログネタに困るということはあまりありませんが、暗い話はつとめて書かない
ようにと日頃は思っています。
しかし、ノーテンキな話題はこれだけ周囲の雰囲気が変わると書きづらいもの。

昨日、来社した仕入れ先の営業担当者から「とうとうY旅館もギブアップですね」と
民事再生中の山中温泉の名旅館が破産・営業停止の道を選んだことを聞かされ
ました。

開湯800年、源泉かけ流し、能舞台まで持つ北陸有数の正統的旅館でした。
この冬一度行ってみたいとネットで予約状況をチェックしていた矢先なので、落胆
しました。

いずれここも最近はやりのビジネスモデルを持つチェーンに買い取られ、年中
同一料金、大広間の畳はめくられてフローリングに変えられ、バイキング料理の
テーブルの周囲には家族づれが群れをなす、という風景が頭をよぎります。

この旅館もそうですが、芦原、片山津、山代、山中ほか多くの温泉旅館、ホテルが
近くにありますので、知りあいもそれなりにいます。

先日、銀行のエライ人が「債務償還年数80年というところもあります。孫の代でも
終わるかどうか」という話を力なくされていましたが、暗澹とした気持になります。

温泉の文化も今や絶大なピンチです。

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そこで働いていた人にとっても生活の方途を失うことになりますが、最近矢継ぎ早
に発表される、自動車や電機関連の派遣労働者、期間工の「雇い止め」のニュース。

以前ブログに書いたことがありますが、数年前、経営不振に陥った日本有数の
自動車メーカーの立て直しに、外国人の社長を迎え入れた際、思い切ったリストラ
が行われました。

このとき感じたのは、従業員というのはコインの裏表のようなもので、会社では
生産やサービスに従事して給与をもらいますが、帰宅すれば一生活者、消費者
です。当然自社製品の忠実な顧客でもあるわけですが、クビを切られた、という
事実はその後どのような思いと行動につながるのでしょうか。

3000人の解雇は、3000人の消費者、顧客を失うことだけで済むとは思えません。

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あるブログに
『企業の業績は数字で判断されるが、数字が企業を動かすわけではない。
人の心、誠意が動かすのだ』とあります。

「○月○日で契約終了です。寮は3日で空けてください」

こんな言葉を何の感情もなしに、ねぎらいの言葉もなく事務的に伝えられるなら、
日本も終わりと思うのは私だけでしょうか。

せめて、3か月とかの期間を置くのが大企業、人間のやることではないでしょうか。
そんな費用はたかが知れているはず。 この時期、株主だって同意します。

未来の顧客を、子、孫の代まで敵にまわそうとしているとしか思えません。

横山国男

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2008年09月05日(金)更新

職としての農、生活としての農。

工業化が進むと農村から都市へ人が移動し、この現象がグローバルに起きれば
「食糧」問題が起きるのは当然と思えます。日本がその好例だと思いますが、さり
とて中国をはじめ途上国の人たちも「もっと豊かになりたい」と同様な行動をとる事
を非難はできません。

私の祖父母は私が子供の頃、どちらも農家(小作と言ってよいでしょう。豆腐屋や
桶職人なども兼業していましたから)だったので、美しい里山の景色とともに、思い
出が一杯あるせいか農業・農家に親しみがあります。

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前回「適職」と「天職」について書きましたが、農業について考えさせられる「記事」
と「本」に出会いました。

<記事>
「経営者会報9月号」ー“目指すは農家の自立と事業化。その先に日本の農業の
未来は拓けます”と題した(株)ナチュラルアート社長鈴木誠氏(42歳)への取材。

慶応大を卒業し、旧東洋信託銀行で順風満帆のビジネスマン人生を歩んでいた
鈴木さんに、畑違いのジャンル、しかも農業を起業する道を選ばせたものは何だ
ったのか、という記事ですが、詳細は読んでいただくほかはありません。

農作物・畜産物の生産・加工・販売まで手がけ、直営農場は10か所、提携農家
1000軒、自社食材を使用したレストラン経営も運営して、5年で年商100億に
達しているそうですから、私の持論「農業こそ有望産業」を実現されていて、拍手
したい気持ちになります。

長くは書けませんので、私がこのベンチャーが成功したキーワードと思うのは2つ。
一つは「社名」の“アート”にあると思います。(農業とは無縁のワードと思われて
きたのではないでしょうか)。 もう一つは社長が話されていますが『たとえば大根。
米粒よりも小さな種を蒔くと、その4か月後には立派に育っていた。自分で引っこ
抜いたとき、強烈な感動を覚えたんですね』。という情動です。

経営者会報 9月号表紙

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<本> やまずめぐる =町田武士著(ソニーマガジンズ)

9月2日号久米信行さん発行のメルマガ「縁尋奇妙」に“里山を襲ったスポンサー
経営破綻の悲劇”と題して、久米さん家族の心のふるさとでもあり、和綿Tシャツ、
「しあわせのコットンボール」事業等で私も関心を寄せていた「渡良瀬エコビレッジ」
(主宰者 町田武士さん)が、事業を応援してくださっていた不動産会社が倒産
して先行きをちょっと心配している、ついては心ある一般の人の応援も求めている、
というようなお話が書いてありました。

「貧者の一灯」をとも考えていますが、前から気になっていた町田さんの著書を
この際読んでみたいと思ってamazonへ。(ユーズドしかなく、購入のボタンを押し
 ましたが、届いた本の定価を見るとなんと3倍で買ってしまいました。新刊在庫
がないため、もとの定価を私が知らなかったのですが、それだけ良書であるとも
言えるのでしょう。ただこの差額が支援にまわるわけでないのが残念)。

まだ読みかけたばかりですが、第一章からとてもいいお話で感動します。

『私は農業人というよりは「百姓」という言葉が好きだ。百姓には、百の姓(かばね)
を持つという意味があり、つまり、百の生き方であり、百の仕事ができるということ
なのだ。そこには、身のまわりのことをすべてまかなうことができる知恵を、尊ぶ
気持ちが込められている気がする』
『いまは農についても、「生産者」と「消費者」という言葉で語られるが、つくる側と
食べる側をくっきり分けているようで、私はこの言葉が好きになれない。それは
消費者という言葉が、都市に住み、お金を稼げば、食べ物は消費するだけでいいと
いうようなニュアンスを含んでいるように思えるからだ。もう少し生産の現場に近づく
ことで、さまざまな問題や食環境の大切さが見えてくるような気がする』・・・・・。

「やまずめぐる」町田武士著 ソニーマガジンズ @1600円

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前回の拙ブログでいうと、鈴木社長は「適職」を得てまっしぐらに驀進中、町田さん
は農業を「天職」として、第一章小題「本当に気持ちいい暮らし」を実現されている
どちらも羨ましい人生を手中にされているように私には思えます。

横山国男

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2008年09月03日(水)更新

適職必ずしも天職ならず。

職業というものについて書かれたあるブログのコメント欄に「楽しい仕事はあっても
“楽”な仕事はない」と投稿された文言があり、一瞬なるほどと思いかけましたが、
そうとも言えないんじゃないか、としばらく考えました。

「楽」の反対は「ツライ・苦しい」ということとして考えると、大体楽しい仕事をしている
時は、長時間身体や頭を使っても嫌になったり疲れないものですし、疲れたと
しても快いものであったりします。
逆に言えば、楽でない仕事を楽しいものにできないかを考えることこそ人生の要諦、
成功の秘訣と言えるかも知れません。

そういう観点から、長年の「自分の職業(仕事)」が、自分にとってまず「楽しい仕事」
であるならこんなに幸せなことはありません。自身や家族の生活のために好きでも
ない仕事を定年まで勤め上げたという人も世の中には多くおられることでしょう。

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それと何か通じるような気がするのは、「適職は天職か」ということです。

敬愛している邱永漢さんの超人気ブログ「ハイハイQさんデス」にTOMOKOさんと
いう方の「10才若く見られたかったらーHow to 自分磨き」というコラムがあり、
(とても面白かったのですが、昨日2日が最終回となってしまいました)その139回
に「適職と天職」と題した一文があります。

ここでTOMOKOさんは、江原啓之さんがある著書の中で「適職と天職」について
書かれているのを読んで目からウロコが落ちたと延べられています。

『江原さんによると「適職」とは自分に適していて、しかも生活していけるだけの収入
があるもの、「天職」とは自分が本当にやりたいこと、なのだそうです。(中略)
「適職」と「天職」は一致していなくてよいのだ。考えてみれば、どんな仕事だって
自分を100%生かしていると断言できる人は何人くらいいるのでしょうか?
組織の中にいて自分のやりたい仕事をやるにはいろいろな制約がありますし、
フリーランスで仕事をしていても自分のやりたい仕事だけ選べるのは、よほどその
世界で成功している一握りの人で、普通の人は生活のために多少いやな仕事でも
引き受けざるを得ないことがあるのではないでしょうか?
幸せな人生には「適職」と「天職」の両方が必要なのです。』(引用終わり)

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さて、私の場合ですが、社会に出て40年あまり、職場も変わりましたが、ほぼ一貫
して繊維のデザインに関わる仕事をしてきて(学校もそうですが)、「適職」だった
ように思います。
それでもあとどのくらいやれるか分かりませんが、これからはもう一つの「天職」に
向かっていくことをほぼ決めています。

それは・・・「コッ恥ずかしい」ので公開できません。

横山国男

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2008年07月03日(木)更新

『神様、この会社が社会のお役に立たないのであれば、

どうぞつぶしてください』・・ダスキンの創業者である鈴木清一氏は、創業時こう祈
ったそうだが、本来あるべき創業の精神とはこのようなものだろう。「はじめに心
ありき」なのだ。(後略)

この文章は、谷口正和さんの新著「日本へ回帰する時代」(繊研新聞社1800円)
の“創業へ。そもそも何のために始めたのか”に、はじめに「心」あり、と小題を
つけて書かれているものです。

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谷口さんは1942年京都生まれ(私と同年)、武蔵野美大を出て現在マーケティング
 コンサルタントとしてご活躍中ですが、3年ほど前、福井県産業支援センターが
企画した「デザインワークショップ」に参加し、講義を拝聴して深い共感をおぼえ、
ご著書の殆どを読ませていただきました。当社は谷口さんの持論を実践、実現
しようとしているといっても過言ではありません。

要は「量産・量販・低価格競争に未来はない。経済活動とその所産である「文明」
ではなく、これからは精神活動とその所産である「文化」を経済・経営の柱に据え、
そこへ回帰していく。すでにその兆候は表れている」という主旨で、私も同感です。

もう一つ「直感」の時代に入ってきた、として、
「特に女性リードの時代においては、ますます直感的判断が重視されるようになる
だろう。いかに政治家や企業家が、とうとうと理論を述べても、テレビの前の女性
たちは直感的に嘘か本当かを見抜いている。「3秒」もあれば十分なのだ。
それは言葉としてのロジックを聞いているのではなく、見た目や表情といった視覚
的要素を見ているからだ。聞いているのではない、見ているのである。言葉は嘘を
つけるが、表情は嘘をつけない。とても動物的ではないだろうか。(後略)

この意見は、賢い消費者が増えているのだ、お客様第一と口では言いながら、
結局は作り手、売り手側の論理が透けて見えるようでは成功しませんよ、という事
だと思います。

著者の意図とは少し論旨が外れるかも知れませんが、恰好のサンプルがあります。
一連の「食品偽装問題」などで、次々とTVカメラの前に立たされた「社長さん」の姿
です。中には「何で?」という表情の経営者もおられましたが、そういう人たちは、
本書でも紹介されている松下幸之助翁の次の言葉、即ち「経営者としての王道」
を踏み外したのではないか、と自戒をこめて思うこの頃です。

『経営というものは、天地自然の理にしたがい、世間大衆の声を聞き、社内の衆知
を集めて、なすべきことを行っていけば、必ず成功するものである』。

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話は冒頭に戻りますが、鈴木清一さんのような「祈りの経営」を実践されておられる
静謐な経営者も内外にきっと多くおられるのでしょうね。 私には程遠いことですが。

横山国男

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