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「プリント道」45年余。新たな自身の夢と後継者への手紙-(株)横山工藝社長 横山国男のブログ
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2008年03月26日(水)更新
異動の季節
メールをいただきました。
1年前、デザインセンターから異動され、福井県の代表的産業である、合繊織物
の振興企画として3年目を迎えた「全国YOSAKO衣デザインコンペINふくい」の
推進役を勤めていただき、当社もいろいろお世話になりました。
3年ほど前、デザインセンターが主催する「ワークショップ」に、半年ほど参加させ
ていただいて以来のお付き合いでしたので、今度の短期間での異動は、私個人
としても驚きであり、残念なのですが、何よりご本人がビックリされたようです。
『今度は、なんと農林!販売開拓課であります。食べ物の世界であります。来週
からです。』とあり、『不安ですが、ちょっと関心しています』と、デザイン職である
ご自身のとまどいも少し語りながら、全庁あげて、デザインの事業ができれば
いいですね、とユーモアも交えて抱負も。
若いうちの色々な経験は、きっと仕事の幅を広げてくれるはず。頑張ってください。
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このように、Fさんからは今までの受講生に、ときどきメールが送られてきて、
セミナーの案内や、デザインに関する短い、しかし鋭い分析などもあって、楽しみ
にしていましたが、今回の「異動の報告」の中にも、次のような示唆に富んだ引用
がありました。
「デザインが、デザインであるうちはデザインでない」(佐藤 卓)
「ニッカ・ピュアモルト」の商品開発、「ロッテ・クールミントガム」や「明治・おいしい
牛乳」などのパッケージデザインなどでも著名なグラフイックデザイナー佐藤卓氏
(作秋“情熱大陸”にも登場)の語録だそうですが、気になってプロフイール、その
仕事観をちょっと知りたくなりました。
では、佐藤卓氏の言う「デザインとは何か」について、またまた教えられることが
多かった話は、長くなるので次のブログで。
横山国男
【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
2008年01月29日(火)更新
バーキンが“バーキン”を踏んづけた。
xSMAP](フジテレビ系)、フランスの女優ジェーン・バーキンがゲストとして登場
した「ビストロSMAP」のコーナーです。
セーターにダボッとしたパンツで、靴はどう見てもかなり履きこんだコンバースの
バスケットシューズ、靴紐を長くしてふくらはぎにまで巻きつけ、「バレーシューズ
みたいでいいでしょ」と。パンツを捲り上げれば、なんとグレーのタイツ(今はレギ
ンスというのかな)を穿いていらっしゃる。ここしばらくの東京の寒さ対策かも知れ
ませんが、日本のオヤジから見れば、モモヒキといわれかねないいでたちです。
「ナイル殺人事件」「地中海殺人事件」「美しき諍い女」などで、印象的なこの英国
生まれのフランスの名女優さんも、今や60過ぎとあれば、カッコつけないのかも
知れませんが、それよりフランクでスタッフに協力的で、とても人柄の良さが滲み
出て、好感を持ちました。
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J・バーキンといえば、世界中の女性が憧れるエルメスのバッグ「バーキン」。
彼女と飛行機で隣り合わせたエルメスのデュマ前社長との出会いから、制作に至
った経緯も紹介し、持ち歩いている使い込んだ自分の「バーキン」の中身も、中居
クンが「見せて欲しい」と言うと、アッケラカンとテーブルの上にぶちまけて、驚きま
した。
和食を希望して、「おいしい、おいしい」を連発、出てくるものを次々と平らげる健啖
ぶり。勝負は木村拓哉・草薙剛のチームに軍配を上げましたが、ご褒美に持って
来させたのは、ブラウンとキャメル色の「バーキン」一個ずつ。
これには、さすがの木村、草薙の二人も興奮気味。
日本で買えば、先ごろまで一個80万円と聞いたことがあります。(今はユーロ高で
もっとするかも)。しかも一年待ちとか。
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サプライズは続きます。木村クンが「これ、男でも持てますよね」「ウイ、モチロン
デス」と、二つのバッグをやにわに床に置くと、コンバースを履いた足でガンガン
踏みつけ、口を引っ張り、パンパン叩きます。
会場騒然、木村クンも「あーっ、バーキンが、・・・」と口あんぐり。
「ドウ、コレデチョットイイカンジデショ」 木村クンの顔を撫でる仕草は、顔の脂を
つけなさい、手垢のついた感じもいいものよ、いろいろぶらさげて楽しみなさい、
すなわち「長く使って自分のバッグにするのよ」・・・参りました。
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この衝撃的な映像をご覧になった「ブランド命」の日本女性は、眞に幸運だったと
思います。
なぜなら、「ブランドとはなにか」を一発でJ・バーキンが説明してくれたように私に
は思えたからです。
最高級の皮革と高度の縫製、「ブランド」と尊称されるバッグが簡単にへたるもの
ではない、という実証よりも、どのようなモノでもそれは所詮モノであり、大切なの
はそれを使う人間なのよ、ブランド品を使いこなして、ブランドに負けない人間で
あってこそのブランドなのよ、と言ってくれている気がしました。
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長い間、食事や欲しいものを我慢し、憧れの「バーキン」を手に入れたい、と涙
ぐましい努力をするという話も聞きますが、私はケッコウそういうのは好きです。
昔からの日本人の「舶来品崇拝」「ブランド信仰」が、いいものとは何か、を学ぶ
のに大いに役立ってきたし、日本の高品質なもの作り、審美眼にも影響を与えて
きた結果、アジアでは一歩先んじているとも思います。
願わくば「ブランド」というものの本質を学ぶことによって、人と物の関係に思いを
致せば、さらに日本のモノつくりが磨かれる気がします。
横山国男
【染型工房 横山工藝】
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2007年10月06日(土)更新
こしの都1500年・・「大祭の衣装作り」
継体天皇は応神天皇五世皇孫で、お生まれは近江の国(滋賀県)高嶋ですが、
御母が越前国(福井)の坂中井の娘で振姫(ふりひめ)と称されました。
3歳の時、御父が亡くなられたので、御母に従い越前に戻り、福井の北に隣接
する現坂井市丸岡町でお育ちになり、その容姿は威風堂々として大変徳の高い
お方に成長された、との言い伝えがあります。
成人の後は、勧業、治山・治水に意を尽くされ、当地越前開闢の祖とあがめられ
ましたが、58歳の時、数度の要請により第26代天皇として、河内の国樟葉宮
(くすはのみや)に移られ、ご即位されました。
当社の近くの「足羽(阿須波)神社」(あすわ)の御神体として現在も祀られており
ます。
継体天皇石像(足羽神社HPより)
足羽山より三国を望み、現代でも
福井の平和と発展を見守っています。
在位25年、名帝の名をほしいままにしましたが、御年82歳で山城国にて崩御、
本年は即位1500年にあたるということで、福井をはじめこの春から各種記念行事、
イベントが関わりのある各地で目白押しとなりました。
なかでもこの5日から、越前市(旧武生市、今立町)を中心に7日まで、「こしの都
1500年大祭」と銘打たれたイベントは、「国連関係の国際映画祭」、大陸からの
技術の伝来と交流をテーマにした「こしの都浪漫回廊パレード」と称する、日本海
の河野から持ちこんだ古代船に匠の技で再現した献上品を積み込み、1500人が
練り歩くパレードなど、盛りだくさんの行事が地域住民や国連からの来賓も参加し
て開催されています。
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この夏、7月も中旬だったと思いますが、実行委員会のM委員長さんから、突然
「パレード、式典用の衣装を作ってほしいので、今から伺います」とお電話があり、
お見えになりました。
広げられた「デザイン画」は当地の服装専門学校の生徒さんが描かれたコンク
ール入賞作品ですが同席した娘が頭を抱えてしまいました。
決められた予算のなかでやるには曲線が多く縫製もハンパではありません。
それに前後にイベントのロゴやマーキングがフルカラーで入っており、とても
可能とは思えなかったのでしょう。
「いつまでに必要ですか」とお尋ねすると「9月20日までにお願いします」とのこと、
納期までに十分な日にちもありません。
それからの2ヶ月は大奮戦、あらゆる加工方法を駆使して、なんとか期日までに
お納めしましたが、翻ってみるとずいぶん勉強もさせてもらいました。
また一つ事例が増えて、娘は成長したことでしょう。
思いがけず、Tシャツも数デザイン作らせていただくことになりました。
子供の頃、この足羽山の頂上近くにある、継体天皇像のところでよく遊びました。
巨像ですが5頭身くらいで、なんとなくちょっと怖い顔に見えましたが、今は
この古代史にも関わる記念すべき「大祭」での衣装やTシャツを作らせていただ
いて、優しい面持ちに見えるのは現金なものです。
以下は作品です。この休み中にパレードも見に行こうと思っています。
横山国男
【染型工房 横山工藝】
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2007年08月19日(日)更新
助田茂蔵さんの「野の花」“謄写版絵”をTシャツに
いえば「なつかしいなあ、昔はテストも町内会のお知らせも文集も全部
これだった」とインクのにおいまで甦ってくるような気がしますね。
「おい、横山、ちょっと残って手伝ってくれ」と中学の担任にいわれて、
“ガリ版刷り”を手伝った記憶もありますし、(インクは服などにつくと
絶対落ちず閉口したものですが)、若い頃「謄写版印刷教室」へ通ったことも
思い出です。
余談ですが、印刷の方式は凸版(活版、木版など)、凹版(グラビアなど)
平版(オフセット、リトグラフなど)孔版(シルクスクリーン、ステンシル、
伊勢型紙など)の4種でしたが、最近これに版不要のデジタル印刷が加わり
ました。謄写印刷は孔版印刷の代表でしたから、私の仕事であるシルクスク
リーンとは原理が同じ親類でもあります。
蝋引きした美濃紙という和紙(原紙)をヤスリ板の上に置き、「鉄筆」という
金属のペンでガリガリと文字を書くと、蝋が取れた部分からインクが降りて
印刷できるという日本人が発明した「簡易印刷機」の嚆矢ともいえるものです。
昭和40年頃には輪転式の高速簡易印刷機(確か“デュプロ”という商品名
でした)、さらにはコピー機が急速に普及してあっという間に姿を消しまし
た。所有している今や骨董品ともいうべきこのレトロな印刷機がこれです。
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助田茂蔵さんは現在93歳、福井市と隣接する鯖江市で元気に今でも毎日制作
しておられます。
56歳にしてはじめて絵筆をとられ、その後お仕事のご縁からだと思いますが、
「謄写版絵」を研究され、「謄写版印刷でこんなことまで可能なのか」という
独自の世界を創造された大先輩です。
助田茂蔵さんの人とそのお仕事、家族で作られる素晴らしいご本については、
季刊「銀花」誌の編集者田中栞さんの「Web謄写印刷館」に詳しいので、
ぜひお読みください。(ここでは触れていませんが、別に「シルクスクリーン
印刷工房」をお持ちのご長男は“虹の画家”靉嘔(アイオウ)作品の刷り師
としても高名な方です。)
この素敵な助田翁のボタニカルアート「野の花」シリーズを久米繊維さんの
オーガニックコットンTシャツの上に、当社のオンデマンドインクジェット
プリンターを駆使して美しいプリントTシャツに仕上げたのが、助田さんと
交友がある「ハマジイ」こと当社専務の浜本です。(専務のブログに作品を
掲載していますが、感動ものです)
このお盆期間中、鯖江のおそばやさん「だいこん舎(や)」さんで展示
(販売も)されましたので、家内とおそばも楽しみに行ってきました。
そして驚いたのはオーガニックTとなんともいえない優しいマッチングを
魅せている「野の花Tシャツ」の美しさもさることながら、「だいこん舎」
さんの“大根おろしそば”の美味しさでした。
続きは明日に。
横山国男
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2007年07月02日(月)更新
<吉川壽一個展に久米繊維工業・当社もコラボする>
SICILIA―SYO杲杲(コウコウ)展」が、東京九段南の「イタリア文化会館」で
6月29日から始まりました。
前夜の28日には会場でパーティーがあり、久米秀幸常務や私も出席しました
が、供された「吉川壽一書ラベル」の直送シチリアワインはとても品の良い美味しい
ものでした。
今回は昨年の中東ドバイの沙漠での書制作、個展に続いて、先ごろイタリアの
文化財団から「世界の7人の芸術家」の一人としてシチリアに招かれたことが
機縁となり、有名な現地ワイナリー「PLANETA」社の「日本におけるイタリア
2007」の催事として、全面的なバックアップを得た経緯があると聞いています。
彼(小学校の同級生でもあり、当社のアドバイザーでもあるので、こう呼ば
せてもらいますが)は「SYO ARTIST」と自称しているとおり、「毎日書道」の
前衛書部門の重鎮でもあるのですが、昔から目は世界に向いていました。
ビジネスの世界にいる我々と違い、書道界で60歳代の半ばは、「いよいよこれ
から」ということかも知れませんが、それにしてもそのエネルギーには驚嘆す
べきものがあります。
大いに飲み、食べ、あちこちで夢を語り、福井と東京で書教室を開き、毎年の
ように海外でも制作し、その成果を「個展」で発表、頼まれ事は嫌な顔ひとつ
せず、あらゆることを見聞きし(宮沢賢治か?)、超多忙の中、ほとんど毎日
「開運ひと文字HAPPY!」というブログを書き続けて3年足らずで今や1000回を
超えるという、博覧強記の「スーパーカリグラフイスト」。
コミック「書きくけこ」(講談社)のモデルにもなるはずです。
その仕事の質と量にケタ違いのものを感じて、“同じ時間を生きてきたのに”、と
うなだれるほかありませんが、さらに近年はますますアクセルを踏み込んでいる
感じがするのには理由があるように私には思えます。
ひとつは、NHK大河ドラマ「武蔵」の題字と各回のタイトルロールを一年間書い
て全国にその名が知られるようになったこと、もうひとつは刎頚の友ともいうべき、
吉田福井新聞社長を失ったこと(高校時代の同級生で最大の支援者でしたが、
3年前急逝)です。吉田社長とは私もゴルフ仲間でしたが、「無念の死」が吉川
壽一の背中を常に押し続けているように見えます。
吉田耿介氏は吉川壽一を評して「彼は床の間芸術家ではない。(略)あえて
名づければ“書の冒険家”だ」と書いたことがあります。
今回の展覧会では、久米繊維さんの「日本のTシャツ“楽”」シリーズに、当社が
壽一書を「アナログ魂デジタル才(彩)」でプリントした実験的な作品も数多く
展覧されています。
7月15日まで。ぜひご高覧ください。
花鳥風月「楽」
*「楽」字に花鳥風月4文字が隠されています。
吉川壽一は「文字遊び」の名人でもあり、すぐれたグラフィックデザイナーでもあることを示していると思います。
横山国男
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