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2007年11月09日(金)更新

知らなかった「赤福」のもう一つの顔。

「賞味期限の捏造、売れ残りの再利用などとんでもない」「いや、だれもお腹が痛く
なったとは聞かない」・・・ここのところ食品業界に次々に起きている問題で例に
よってマスコミのバッシングから擁護するお父さんの応援まで日本中大騒ぎです。

いずれ「耐震偽装」の問題に懲りて、建築基準法が現場を無視して厳格化され、
「建築確認申請」の処理が進まず、このままでは中小工務店などの倒産が一気
に増えるのでは、と懸念される事態が食品業界にも及ぶかも知れません。

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偶然ですが、「1993年M&T総合センター情報【各地の話題】」というインターネット
の記事にぶつかりました。

 あの「赤福」が、国道の付け替えで疲弊した伊勢神宮の門前町「おはらい町」の
町並み整備に平成元年からの5年間に伊勢市に総額5億円を寄付、さらに赤福
が音頭をとって、食事や買い物をしてもらうために魅力的な一角をその中心部に
作ろうということになり、中核施設「おかげ横丁」の構想を実現したと。

すごいのは診断してもらった建築家の清家清氏から、「伊勢造り」で町並みを統一
するなら、赤福の4階建てのビルが一番美観を壊していると指摘され、潔く本社ビ
ルを取り壊すことに決め、この跡地に目玉ゾーンを造ったことです。

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『赤福がおかげ横丁の事業に注ぎ込んだ経費は総額100億円以上。実に当時
の年商に匹敵する額である。プロジェクトが持ち上がった時、会社の財務を担当
していた平居氏は、7年間で借金を返済する計画を立て、社内に説明した。この
まま手をこまねいていては、おはらい町にある本店も衰退するばかりだという
危機感が全社的にあり、開発自体には特に反対の声は上がらなかったが、巨額
の借金を背負い込むことには危惧が強く、スタッフは綿密な計画を立てることを
迫られた。』(同サイトから引用)

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地権者60人一人ひとりに対する不動産業者を介さない、自社だけでの買収活動
を展開し、成功したのは率先して自社ビル解体、跡地提供の英断があったれば
こそでしょう。

目論見どおり、官民一体となって年間600万人の参拝観光客を、再生した「おは
らい町」「おかげ横丁」に回遊させることに成功、廃業寸前の各お店も息を吹き
返し、赤福の借金も平成12年には完済したようですが、全国各地のシャッター
通りの起死回生になかなか妙手がないといわれる現代、なんともすごい話ですね。

それにしても「無期限の営業禁止処分」とは。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2007年10月22日(月)更新

義家弘介・山谷えり子さんを聴く。

 20日(土)は、県下19ロータリークラブ(RC)のロータリアンが年に一度、一堂に
会する「I.M.(インターシティミーティング)」で、県最北の「三国RC」の主催でした。
400名余のロータリアンを集めて話し合われたテーマは「新世代と語ろう」、地域の
7中学から生徒代表35名を招き、先生、保護者20名ほどのためにオブザーバ席
も用意されていました。

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基調講演「教育再生に向けて」は山谷えり子さん、中学生とともにいろいろな悩み
を話し合う「討論会」のコーディネーターに義家弘介氏。共に今は参議院議員です
が、「教育改革・再生」に並々ならぬ情熱をお持ちと知ってはいましたが、予想通り
2時間30分が短く感ぜられる内容でした。

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 山谷さんは多感な中学生まで福井で生活した思い出、故山谷親平氏(父・新聞
記者)の衆議院選挙落選から生活が暗転、逃げるように東京へ出発した夜の
福井駅で見送りにきた先生から「福井を忘れたらあかんざ(忘れてはいけない)」
と言われたことなどを導入部に、『今、中学生でも北海道がどこにあるかを知らな
い子が50%以上、私(山谷)たちの中学生のとき必須英単語は600、今は100
なんです』。
話題になった小学算数の円周率の小数点以下切捨てなどの話なども盛り込みな
がら、「真のゆとり教育とは」をもう一度考えてほしい、地域、親子がもっと学校と
深く関わることができるように、土曜日の多面的な空き教室利用に一校500万円の
予算をつけたプログラムなど、百家争鳴の教育再生論者と議員への説得に奔走
しているというお話には、正直昨今の政治家への失望を反省させてもらいました。

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義家弘介氏についてはちょっとタレントさん的な印象を持っていましたが、会場の
中学生からの相談や質問に「即答」する、そしてそのブレない熱い語り口に感心し
ました。失礼ながら「ただものではない」という風に思ったのと同時に、フォーラム
が終了と同時に壇上からパッと飛び降り、次々と参加の中学生と握手し、励まして
いく、中学生も嬉々として「キャー」と言いながら嬉しそうなシーンを見た時、パフォ
ーマンスなどという安っぽさや、今までの政治家の「集票行為」などというのとは
全く違うものを感じさせられたことを白状します。
この国に使命感を持った若い政治家が多くなることを本当に期待します。

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会員の減少に悩む「社会奉仕団体=ロータリークラブ」、私自身もモチベーション
が最近低くなるときがあります。
「政治には一切関与しない」を標榜するRCですが、(義家氏へのアプローチは昨
年のことで氏が参議院へ出馬するという話が全く無かった時点での依頼とのこと)
それでも今回のような「フォーラム」が行われるたびに、新しい力を注入されるよう
な気がしますし、教えられることが多いなあ、と思います。

ただ、主催者より何度も「報道関係者」の退去がアナウンスされるので、当初は
「?」違和感を持ちましたが、「教育改革・再生」に挑むお二人の周辺には、必ずし
も順風だけが吹いているわけではないことにも気付かせられました。


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2007年03月08日(木)更新

「園芸福祉」と「園芸療法」

雪のなかった冬でしたが、昨日はめずらしく10センチほどの
積雪、スノータイヤを交換してしまった人は大慌てでした。
でも春はもうそこまで、花の季節も間近い3月初旬の北陸です。


友人のMさんは長年ご夫婦で花屋さんを経営してきました。
最近息子さん夫婦が郊外のショッピングセンター近くに大きな
お店を開店されたのを機に、老後は「園芸福祉」の仕事に力を
入れていきたい、と話してくれました。

先日そのMさんの紹介で「園芸福祉士」の方が、ロータリー
クラブで30分間「卓話」をして下さいました。

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幅広い年代の人が、「花や野菜を育てる」という活動を通じて、
楽しみや喜びを共有するというのが「園芸活動」、それを体感
できる場所や空間を作り上げるのに「初級園芸福祉士」という
資格があって、今や43の都道府県で2000名が「NPO法人日本
園芸福祉普及協会」の講座を受講しているとのこと。
(福井県ではまだ7名しか有資格者がいないのだそうですが、Mさん
も勉強中のお一人とか。)

さらに森を散歩する時の爽快な気分、植物が育っていくのを見る喜び、
自分で作った野菜を見ながら隣の人とオシャベリをする、“芋煮会”
などはその典型らしいのですが、「癒し効果やコミニュケーション
効果」をうつ病患者の治療や、身体障害者、精神障害者のリハビリ
などの治療に活用する「園芸療法」も確立しつつあるそうです。

医療法人「和佐の里」(和歌山県)の“園芸療法”の取り組みなど
もご紹介され、園芸はこれからの社会の中で、リクリエーションと
しても、治療としても、さまざまな分野で活用されていくことに
なるでしょう、と講師は結ばれました。

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いただいた資料を読むと、「園芸療法」は18世紀ころヨーロッパで
始まったそうですが、我が国には1990年代に紹介されたとあり、
あまり知られていないのも不思議ではありません。

米国には「アメリカ園芸療法協会」があり、Mさんの話ではベトナム
戦争で肉体や精神が傷ついた帰還兵の療法としても知られており、その
ための特殊な園芸用器具なども開発されているとのこと。

そういえばトム・クルーズの主演した映画で、ベトナムから下半身不随
の身で帰還した若い兵士の“人間の尊厳が壊れていく”戦争の悲惨さが
よく出ていた秀作がありましたが、「園芸療法」がこのようなケース
にも有効なんだな、と思いました。

翻って荒廃する我が国の学校や街、頻々と発生する「金属類」の盗難、
「園芸福祉」のような活動は特に高齢者にでも出来る社会貢献ですから、
全国に広まって、植えた人も見る人も“ハッピー”な気分になる日本に
したいものです。

パンフレット表紙

横山国男
http://www.yosakoiya.jp/
http://www.echi-zen-art.co.jp/

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