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2008年02月02日(土)更新

「石倉三郎の料理事始め」を買う。

「週刊ポスト」の巻末連載で好評の、石倉三郎の料理ページが、本になりました。
(石倉三郎の料理事始めー小学館・本体1143円)
よく売れているようで、料理に目覚めたオトーサンも、結構買っているのでは、と
思われます。(なかなか実践せず、豪華な料理本ばかり増えている人も?)

かくいう私もその口なのですが、早速作ってみたのは、「カレー焼きめし」(P50)。
味の決め手となるベーコンをいいものを買ってしまったのは失敗。
カリカリにならず、これは薄い廉価のものの方がよかったのですが、高いやつが
美味しいだろう、とストレートに考えるのが「男の料理人気取り」の浅知恵。

まあ、それでも家内は「なかなかおいしいわよ」と言って、元気づけてくれましたが、
下の孫は、一口食べて「カライ!」と言って姿を消しました。小3の上の子は
「ジージ、ごちそうさま、おいしかったよ」と。
「ヨシヨシ、次はお前の好きなカレー作ってやるぞ」と答えましたが、我が家では、
彼は「世渡り上手」という評価がもっぱらなのを後で気づきました。

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もともと独身の時は、料理らしきこともやっていましたし、第一こういう作業は好きな
方。 要するに「おもしろい」のです。
芸能人が料理をして、タレントに食べさせ、得点を競うTV番組がありますが、なか
には玄人はだしの人もいれば、「オイオイ、そんなに塩をぶちこんだら食べられな
いよ、とか、それ生じゃ具合悪いだろうが、下拵えしておかないと」という頓珍漢も
いてなかなか面白いのですが。

要は仕事にも通じるのですが、「完成形」をイメージできるか、という一点にかかって
いる、のではと思います。もちろん形だけのことでなく、「味」が肝心。
だいたい味覚というのは、3歳までに何を食べたかで決まる、という説もあるようで
すが、それなら男どもが愛してやまない「おふくろの味」も納得できます。
女性は適応力が高いので、美味しいものであれば国籍、食材を問わないのでは。
私の年代の男性で、「生野菜サラダ」がなくては、という人はあまりいません。

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「パスタ料理」はよく作り、おおむね好評なので「極めてやろう」と密かに考えていま
すが、家内とちょくちょく行く、昼時の「イタ飯屋」には男性が少なく、老若(女)女
ばかり。 私と同年代の男などほとんどお目にかかりません。
なんとなく場違いな感じがする時もあり、ついスミッコの席に座ってしまいます。

折からの「中国からの輸入食品」の問題、外飯を少なくするには「偽装シェフ」の方
がまだましというもの。
昨夜読んだブログに「鮭とイクラのパスタ」という、外国に住む人のうまいもの記事
がありました。「ペペロンチーノ」ベースに、鮭とイクラをトッピングして「親子パスタ」
はどうだ、と思いつきました。
イクラが塩漬けなら、パスタの茹で汁に入れる「岩塩」は少なめに、くらいのことは
チャンと考えております。

横山国男

2007年05月29日(火)更新

彫刻入門

このところ新年度の県立美術館の社会人講座「彫刻ー基礎講座」に毎週
土曜日通っております。
若い人もいますが、中高年の方が多く、男女は半々、私が一番高齢のよう
です。「洋画」「日本画」どの講座もそんな感じで、「学び」好き日本人、特に
元気な初老の人たちが多いことを実感します。

4月から6月まで10回、延べ40時間ほどですが、もうすでに旅行で2回ほど
休んでしまいましたので、私より先生(芸大出の学校にお勤めの女性の講師)
のほうが私が挫折するのではと心配そうで、なにかと助言をしてくださいます。

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春になるとなにかやってみたくなるものです。水彩画が好きで、昨年は敬愛
する玉村豊男さんの一日教室に入れたので、軽井沢くんだりまで5時間も
車を運転して今や超人気スポット「ヴィラデスト」農園のアトリエで、玉村さん
の手元もじっくり見せていただけたのは感激でした。

その時の私の「植物細密画」(ボタニカルアート)は憧れの「玉さん」に会えた
ことで満足したせいでしょうか、どうにも冴えない出来で終わりました。

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「彫刻基礎講座」はモデルさんを中央に3~4回までは鉛筆かコンテでデッサ
ン、人物の頭部や首、それを支える肩それぞれが球体や円筒、躯体などで
構成されているという「立体」をつかむ勉強。
小さくても鼻や口、眼窩、髪の毛などもおろそかにはできません。
最初はどうしても「似顔絵」のような平面になってしまい、苦労します。

うまく描けなくてもとりあえず次へ進まなくては。

1 デッサン


講座は午後からですが、先週末は遅れているので、朝の10時ごろから誰も
いない教室で前の週作っておいた細木を棕櫚縄で巻いた支柱となる「芯棒」
に粘土付けを見よう見まねでやりました。

子供の頃の「泥遊び」を思い出す粘土の感触はなかなかいいものですが、
その内このままいくと「若い女性の頭像」はずいぶんデカいものになるぞ、と
不安が。

大きくて”稚拙”な「女性像」はイタダケマセン。せめて大きさぐらいは抵抗の
ないものにしないと、と考えているところへ先生が見えました。

「そうですね、やはり芯木を切った方がいいでしょう」ということで粘土を一度
全部とることに。「こりやますます他の人より遅れるな」とあせります。

「横山さん、石や木彫は削り取ったらおしまいですが、粘土はどんどんつけ
て、どんどん削ってみて。しっかり面でとらえてみて。ちょっといいですか」と
木片で作ったヘラのようなものでグイグイと削ったり、盛り上げたりすると
途端に「うーん、さすが」と思わせるプロの所業。


で、先週の終りの時点がこれです。

彫刻1 彫刻2


自分で言うのもなんですが、初めてにしてはなかなかイイ線いってるんじゃ
ないかと。
ロダンやザッキン、平櫛田中とはいかぬまでも、もし彫刻家を志していたら
・・・などとアホな夢想が許されるのが「素人ゲージツ家気取り」に許される
特権なのです。

悪い予感がします。この像を撫でまわしているうち、最後はなんともつまらぬ
見る人になんの感興もおこさせない「白い塊」に仕上がるのではないか、と。



最終の2回は「石膏取り」をして美術館での作品展もあるようなので、今から
”気合の入った”友人・知人への案内状のデザインまで考えている今日この
頃です。


横山国男
【オーダーよさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/

2007年01月30日(火)更新

旦那と職人

日本人はそれほどお金持ちでなくても、日常的に「質の高いもの、
丁寧につくられたもの」を身の回りに置く、あるいは身につける
という国民性がつい最近まであったように思います。
「日本人のブランドもの好き」とも関係があるかも知れません。


かっては「目利きの問屋の旦那」が「誇り高いちょっと偏屈な職人」を
気長に見守り、いい仕事をさせるといったシステムも機能していたはず。
とは言うものの、旦那はこれはあのお客さんに、という「買い手」も
チャンと頭に入っていて、したたかな商人(あきんど)ぶりですが、
それでも時には在庫になってしまうものもそれなりにあったでしょう。

昭和43年ごろ、私は絹や麻などの高級な素材を使った婦人服地の手織物、
ジャカード、プリントものなどを扱う小さな問屋を、一緒に商社をやめた
先輩とやっていましたが、あるとき富士吉田市の名門機屋(はたや)であり
問屋さんでもある会社を訪れる機会がありました。


事務所を兼ねた邸宅のバックヤードには、蔵や倉庫がいくつもあり、膨大な
在庫ですが、素晴らしい織物ばかりでした。
中にはデッドストックと思しきものもかなりありましたが、
「旦那(社長)」は鷹揚なものであり、今考えるとこれこそ日本の「問屋」
の「力」、「モノつくり」そのものだったと思います。

今は名の通った「アパレル」でも、「価格」と「納期」だけ指定して、
ほとんどが企画から商社に○投げ、商社もさらに下請けの零細な事務所に
投げて、そこのスタッフが必死で中国と日本の間を飛び回るという構図が
一般的になっているようです。

毎年、「ファッション・服装」を学んで卒業してくる若い人(数万人)も、
今の日本では就職先も少なく、活かされないまま他の仕事に就いていきます。

富士吉田の「問屋」さんは廃業したと聞きましたが、あの鮮やかな服地の
数々は今でも強く印象に残っていて、その後の私のモノつくりやモノを見る
目に少なからず影響を与えたと思っています。


横山国男
http://www.yosakoiya.jp/
http://www.echi-zen-art.co.jp/

2007年01月22日(月)更新

子どもたちと邦楽

この週の日曜日に「福井県立音楽堂」小ホールでの催し
「新春を彩る長唄の世界」を聴きに参りました。

唄、三味線、それに前列下段の笛、太鼓の囃子方が黒紋付で
緋毛氈の上に並んだ華やかなステージは、見た目にも「雛人形」
を思い起こさせる「日本の美」でもあります。

勿論演奏と唄がはじまると、能の地謡が始まった時のような
独特の軽い震えが沸き起こって、モーツアルトもいいですが、
これこそ日本人なればこその感興ではないでしょうか。

杵屋一門のご出演で、特に人間国宝杵屋喜三郎さんのどっしり
したそれでいて85歳とはとても思えない艶のあるのびやかな
お声はあまり長唄を聴く機会のない私にもとても感動的でした。


前半が終わったところで「長唄ワークショップ」と称して
高校生一人、中学生3人(男子はひとり)がステージに上がり、
八代目杵屋弥吉さんの軽妙な司会と指導・解説で「三味線」の
ワークショップがありました。

子どもたちもこの3ヶ月ほど練習したそうですが、三味線の音の
作り方などがとてもよくわかり、子どもたちの演奏も形になって
いて、会場からも「ほおー、すごい」などの声もあがり、大拍手
です。

会場の合唱とともに「さくら」を演奏した後、最後に杵屋弥吉さん
が子どもたちに「ぜひ三味線をつづけてください。バイオリンや
ピアノを習う子どもたちは世界中に沢山いますが、三味線は日本
独特のもの、将来海外へ留学などする機会があれば演奏してあげると
とても喜ばれるんですよ」と話していました。


今年のロータリークラブの新年会は私が担当だったので、従来の
料亭での酒宴はやめて、例会場に小さなステージを設えてもらい、
金屏風を背に「小唄」(花菱流)と「琴」(生田流)のめでたい
曲を聴いていただきました。(会員の夫人や娘さんに友情出演して
頂いたので経費の節減にも役立ったのですが、それより演奏の場を
提供したことをとても喜んでくださったのが意外でした)

会員からは「正月らしくとてもよかった」と結構企画にお褒めを
いただきましたが、子どもたちだけでなく大人も邦楽を楽しむ機会
が少なくなっています。
東宝映画の「社長シリーズ」でもおなじみですが、昔は会社で少し
偉くなると「3ゴ」といって、囲碁・小唄・ゴルフを嗜むべし、と
されていたようですね。

学校でも近年「邦楽」が復活しているようですが、指導者がおられ
るのかよく知りません。
私の中学生時代は「茶道」「華道」「筝曲」などの部がありましたが
今はどうなんでしょうか。

ともあれ、元旦には京都で新春大蔵流狂言「福の神」で茂山千作さん
の「ワアッハッハ」の大音声を頭から浴び、昨日は杵屋喜三郎さんの
長唄と二人の人間国宝の至芸を堪能できたことは幸せでした。


横山国男
http://www.ysoakoiya.jp/
http://www.echi-zen-art.co.jp/


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