株式会社横山工藝 代表取締役 横山 国男 の日記 | 経営者会報 (社長ブログ)
「プリント道」45年余。新たな自身の夢と後継者への手紙-(株)横山工藝社長 横山国男のブログ
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写真の花は「アイビーゼラニューム」。 わが社の玄関先にあります。
この春まだ寒さが残る頃、よく行く花屋さんの温室の片隅に八角形をした大き目
の植木鉢があり(高さ40cくらい)、古色に見える素焼きの表面が気に入って
「これいくら?」と女主人に尋ねました。植わっているショボイ細かい葉っぱは
力なく、枯れかかっていましたので全く興味はありませんでした。
考えていたより安かったのですが、それならもう一声と強欲心が頭をもたげ、心とは
裏腹に「高いなァ、もうちょっとまけて」と言ってしまうのですから、品格とかいうもの
がありません。(結局まけてもらえませんでしたが)
「この葉っぱは何?」と聞きますと「ああ、アイビーですよ、5月ごろ一杯花が咲いて
きれいですよ」とのこと。
帰ってから、枯れた小さな葉っぱを取り除き、肥料の入った土を少し混ぜ込んで
いると、泥だらけの小さな「カード」が出てきました。
説明によると、「生育が非常に旺盛で、次々と花が上がる」「分枝がよく、株を覆う
ように花が咲く」「大柄な花立ちで、下葉の枯れ込みも少なく、豪華な草姿になる、
贈答などに最適」とあります。「ほう」と思いましたが、鉢が気に入って買ったので
そのうち何かに植え替えてやろうと考えていました。
連休のあと、たった一輪だけ先駆けのように花が咲き、可憐な色と形で「おや?」
と思わせましたが、20日もすぎたある朝、一斉にといってよいほど満開になりま
した。
来社される人の中には、「表の花、きれいですね。名前はなんというんですか?」
とお聞きになります。「アイビーゼラニュームです。ヨーロッパの方で交配育種され
た栄養系ゼラニュームの一種のようです」などと、説明カードに書いてあったことを
得意そうにお話しますが、実はこんなにきれいに咲くとは思っていなかったんです。
鉢にしか興味がなかったなんて、今は花に申し訳ない気がしているこのごろです。
横山国男
【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
2008年06月03日(火)更新
感動した謄写版絵師・故助田茂蔵さんの法要記念品
昨年の夏、拙ブログでご紹介した最後の「謄写版アーチスト」とも言うべき、助田
茂蔵さんが過日93歳で亡くなられました。
まだこの春まで、植物細密画(ボタニカルアート)の写生を続けられておられたよう
ですが、素朴な設備・手法ながら、戦後とくに簡易印刷としてどこでも使われた
謄写版印刷をアートの領域にまで持ち上げた稀代の職人(絵師・彫師・刷り師)
でもありました。 私の仕事であるシルクスクリーン(染型)、ステンシルの原形とも
いえます。
残念ながら、お目にかかる機会がありませんでしたが、茂蔵さんの作品を昨夏
インクジェットプリントでTシャツ(オーガニックコットン)にする企画を,ご子息の
篤郎さんに提案し、地方紙にも取り上げられて大変喜ばれる結果になったことを
嬉しく思っています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
先日、篤郎さんから、満中陰法要記念の品(花の色紙)と、ご挨拶状(ともに謄写
印刷です)をいただきましたが、故茂蔵翁の死を目前にした「いのち」の不思議さ
について書かれた短い文章に感動しました。
薄墨で印刷された定型のご挨拶状をいただくことも多いのですが、美しい色紙と
ともにご紹介したいと思いました。ご冥福をお祈りします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『 謹啓 父・茂蔵の葬儀に際し、ご丁重な御香資を賜り厚く御礼申し上げます。
六月一日、故茂蔵の忌明け法要をすませることができました。
思えば、病床の父をお見舞い下さる方々やお世話下さる看護師さん達に、父は
ただ「ありがとう ありがとう」の毎日でした。と同時に、絶食の毎日でもありました。
そんな中で、父が私達に残してくれた短い文章があります。それを記させていた
だき挨拶とさせていただきます。
私は今までお食事を頂くことは、生活の中でも、いちばん楽しく
幸せな時間だと思って来ました。
病気になって、食事を頂くごとに、それは今までに味わったことが
ない苦痛発生の原因になることもあるという体験をしてみると、
何が善で、何が悪か、自分で解ったような顔をして、かんたんに
決めていた愚かさに気がつきました。
いのちは苦痛の中にも生きています 苦しみをとりのぞく必要の
ない世界を悠々と生きています。 不思議です。
法名は「釈 相應」で、生前に自分でつけたものです。ありがとうございました。
平成二十年六月一日
助田 篤郎 』
合掌
横山国男
【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
茂蔵さんが過日93歳で亡くなられました。
まだこの春まで、植物細密画(ボタニカルアート)の写生を続けられておられたよう
ですが、素朴な設備・手法ながら、戦後とくに簡易印刷としてどこでも使われた
謄写版印刷をアートの領域にまで持ち上げた稀代の職人(絵師・彫師・刷り師)
でもありました。 私の仕事であるシルクスクリーン(染型)、ステンシルの原形とも
いえます。
残念ながら、お目にかかる機会がありませんでしたが、茂蔵さんの作品を昨夏
インクジェットプリントでTシャツ(オーガニックコットン)にする企画を,ご子息の
篤郎さんに提案し、地方紙にも取り上げられて大変喜ばれる結果になったことを
嬉しく思っています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
先日、篤郎さんから、満中陰法要記念の品(花の色紙)と、ご挨拶状(ともに謄写
印刷です)をいただきましたが、故茂蔵翁の死を目前にした「いのち」の不思議さ
について書かれた短い文章に感動しました。
薄墨で印刷された定型のご挨拶状をいただくことも多いのですが、美しい色紙と
ともにご紹介したいと思いました。ご冥福をお祈りします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『 謹啓 父・茂蔵の葬儀に際し、ご丁重な御香資を賜り厚く御礼申し上げます。
六月一日、故茂蔵の忌明け法要をすませることができました。
思えば、病床の父をお見舞い下さる方々やお世話下さる看護師さん達に、父は
ただ「ありがとう ありがとう」の毎日でした。と同時に、絶食の毎日でもありました。
そんな中で、父が私達に残してくれた短い文章があります。それを記させていた
だき挨拶とさせていただきます。
私は今までお食事を頂くことは、生活の中でも、いちばん楽しく
幸せな時間だと思って来ました。
病気になって、食事を頂くごとに、それは今までに味わったことが
ない苦痛発生の原因になることもあるという体験をしてみると、
何が善で、何が悪か、自分で解ったような顔をして、かんたんに
決めていた愚かさに気がつきました。
いのちは苦痛の中にも生きています 苦しみをとりのぞく必要の
ない世界を悠々と生きています。 不思議です。
法名は「釈 相應」で、生前に自分でつけたものです。ありがとうございました。
平成二十年六月一日
助田 篤郎 』
合掌
横山国男
【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
2008年06月02日(月)更新
アイビーゼラニューム
写真の花は「アイビーゼラニューム」。 わが社の玄関先にあります。
この春まだ寒さが残る頃、よく行く花屋さんの温室の片隅に八角形をした大き目
の植木鉢があり(高さ40cくらい)、古色に見える素焼きの表面が気に入って
「これいくら?」と女主人に尋ねました。植わっているショボイ細かい葉っぱは
力なく、枯れかかっていましたので全く興味はありませんでした。
考えていたより安かったのですが、それならもう一声と強欲心が頭をもたげ、心とは
裏腹に「高いなァ、もうちょっとまけて」と言ってしまうのですから、品格とかいうもの
がありません。(結局まけてもらえませんでしたが)
「この葉っぱは何?」と聞きますと「ああ、アイビーですよ、5月ごろ一杯花が咲いて
きれいですよ」とのこと。
帰ってから、枯れた小さな葉っぱを取り除き、肥料の入った土を少し混ぜ込んで
いると、泥だらけの小さな「カード」が出てきました。
説明によると、「生育が非常に旺盛で、次々と花が上がる」「分枝がよく、株を覆う
ように花が咲く」「大柄な花立ちで、下葉の枯れ込みも少なく、豪華な草姿になる、
贈答などに最適」とあります。「ほう」と思いましたが、鉢が気に入って買ったので
そのうち何かに植え替えてやろうと考えていました。
連休のあと、たった一輪だけ先駆けのように花が咲き、可憐な色と形で「おや?」
と思わせましたが、20日もすぎたある朝、一斉にといってよいほど満開になりま
した。
来社される人の中には、「表の花、きれいですね。名前はなんというんですか?」
とお聞きになります。「アイビーゼラニュームです。ヨーロッパの方で交配育種され
た栄養系ゼラニュームの一種のようです」などと、説明カードに書いてあったことを
得意そうにお話しますが、実はこんなにきれいに咲くとは思っていなかったんです。
鉢にしか興味がなかったなんて、今は花に申し訳ない気がしているこのごろです。
横山国男
【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
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