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2009年09月25日(金)更新

「田中本家伝来の婚礼衣裳」

連休に上信越へ行きましたので、一度見てみたいと思っていた長野県須坂市の
「田中本家」の収蔵館を観てきました。

田中家は享保19年(1734)の初代に始まり、現在の11代まで連綿と続く須坂の
豪商ですが、数多くの生活用品、衣装などが見事に保存されていて、特に私は
仕事柄「染織」に興味がありますので楽しみにしていましたが、その内「婚礼衣裳」
のデザイン、手仕事の見事さには特に圧倒されました。 

図録にある、元東京国立博物館染織室長・山辺知行氏の解説の一部と、写真を
転載してご紹介したいと思います。

田中本家伝来の婚礼衣裳

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<抜粋>
『・・打掛は幕藩時代には高級武家の女性のシンボルともいうべき礼装用の表衣
(うわぎ)であったのだから、一般には表立って用いることが出来なかったのは勿
論であったが、その点、田中家のような地方でも指折りの財力と家格を具えた
素封家=表向きは封土もなく封録も受けていない。でも諸侯と等しい、もしくは
それを凌ぐ財力のある家柄=で、藩主への御用金調達等によって士分の扱いを
受けて居た家であるから、このような上流武家階級の服飾がそのまま取り入れら
れることに何の抵抗もなかったことと思われる。・・』

『・・そしてこれ等は何れも当時の最高級品であるが、其処には金に飽かして、
その優越性を誇示しようといった過剰なきらびやかさもなく、むしろ全体に控えめ
で余裕のある品の好さが感じられる。これは田中家に代々受け継がれて来た、
「外」に対する自分の立場を顧みて「分を守る」という高い教養精神の現われで
あったと思う。・・』

松竹梅鶴亀模様打掛(三枚重ね)  黒龍紋地桐鳳凰模様打掛
紫鼠羽二重地染分け桜に貝合縫取模様振袖 花嫁花婿婚礼衣裳 白緞子地雲立涌菊鳳凰模様打掛 青緞子地松竹梅鶴模様打掛
白羽二重地羽衣に楽器模様打掛 黒縮緬地松竹梅四季の花模様振袖 黒縮緬地若松模様留袖(二枚重ね) 櫛、簪、笄、根付け、手絡

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夏は高温多湿の我が国、冬は豪雪地帯でもある須坂で300年近い時を経ても、
このようにそれぞれが新品のように保存されてきたのは「モノを大切にする」と
いう精神と、遮光及び吸湿・放湿の天然のメカニズムを持つ土蔵、そして和紙、
桐の収納箱など「保管に適した材料」の智恵とが組み合わさった結果でもあると
思います。

あらためて、日本の文化と先人の知恵、工藝技術のすごさを思い知らされますし、
英国ビクトリア&アルバート美術館のパトロンたちが驚嘆したというのも肯けます。

国宝のようなものはありませんが、そのほか玩具、器、駕籠など珍しいものが多く
建築、庭園も含め、一度お近くへ行かれたらぜひ覗いて見る価値は十分にあると
思います。


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