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2009年06月15日(月)更新

「丁稚奉公物語」と高島屋の創業者飯田新七

 
丁稚奉公物語 ~郷土の苦労話~
 

この30ページほどの冊子は、元教員で現在も自然観察指導員や郷土史の研究
をされている福井県敦賀市の柴田亮俊氏(80歳)が自費出版されたものです。

地元新聞で紹介があり、無償で60部ほどの頒布のお知らせがありました。
しかしあっと言う間になくなり、入手が難しかったのですが、I支局長のご厚意で
幸い頂くことができました。

私が興味をひかれたのは、大正時代「丁稚奉公」をしたという96歳の南良蔵さん
(敦賀市出身)が、著者に苦労した丁稚奉公の体験を3時間に渡り口述された記
録。そしてほとんど知られていませんが、大手百貨店高島屋の初代飯田新七は
敦賀の出身で、10才の時(1814年)京都へ丁稚奉公に出て過酷な行商から
店を興した、とあったからです。

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南さんは大正7年、尋常小学校を出るとすぐ大阪へ丁稚奉公に出たのですが、
いわゆる本当のご奉公で、無給、粗末な食事と衣服(お仕着せ)が支給される
だけで朝早くから夜遅くまで働くわけです。

先輩のいじめや嫌がらせにも耐え、育ち盛りの身に朝昼はタクワンと味噌汁、夜
たまに魚や野菜の煮物が少しつく程度の食事、ただただ30年近くも働けば住ん
でいる家が退職金がわりにもらえることを希望に働いたとあります。

「家に帰ってくるな」と親から厳命されて奉公に出ましたから、「やぶいり」が唯一
の楽しみ。近江や若狭で今でもある「丁稚羊羹」は、勤め先へ帰る息子に母親
が雇い主、同僚へのお土産として持たせた素朴なものが始まりだそう。

南さんは体をこわし、故郷の大和田商店に入り長く勤めますが、いわれのない
中傷により退店する経緯も話されています。しかし若旦那夫人が自分の無実を
信じてくれ、退職後も何度も店に戻るよう言われたことが嬉しかったと。

南さんの丁稚奉公から退職に至るまでの長年の辛苦を聞くと、丁稚から叩き上げ
られ、番頭への出世がいかに難しいものであったかが、窺えると著者は述べてお
られます。

この話はせいぜい我々の祖父の時代のことです。考えてみれば私たちは現在の
雇用制度や職場環境を手に入れてからまだそれほど経っていないんですね。
100年後、後世の人たちは正規だ、非正規だと騒いでいる平成の世をどのように
評価することになるのでしょうか。

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高島屋の初代飯田新七は敦賀の出身で幼名を鐵次郎といい、10才の春、京都
へ丁稚奉公に出たとあります。名を新七と改めて行商に励んだそうですが、最初
の奉公は実に過酷なものだったようです。

彼のひたむきな勤勉さが認められ、烏丸松原千本上がる西側で米穀商を営んで
いた滋賀県高島郡の出身、高島屋儀兵衛の長女秀と縁あって結ばれ婿養子と
なります。

新七はのちに分家し、古着と木綿の商いを妻と二人ではじめ、屋号も同じ高島屋
とします。これが今日の「高島屋」の初代創業であり、今から170年前のこと。

『高島屋150年史』にある飯田家の記録を引用紹介しますと、
「資性闊達・果断に富み・博愛慈悲の心深く・神仏の信仰篤く・寛容よく人を容れ・
厳格にして貸借せず・万事機敏・敏活を尊ばる・性少急言語明晰・応待巧妙・
衷心誠実なり・業務を尊重すること厚く・勤勉にして衷心誠実なり・文字は鮮明に
見易さを要すとて、細かきを嫌い、常に筆太いにかつ濃墨をもって書かれたり」
とあります。

なお、『高島屋は、故郷の人材育成に力を寄せている。創業150年の記念事業
の一環として、高島郡の教育会に対し、1億円を奨学資金として寄贈している』と
最後に結ばれています。

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要約しかご紹介できませんでしたが、私の父もよく似た境遇でしたので、心に残る
冊子でした。柴田亮俊氏の労作に感謝申し上げます。

(旅行のためしばらくブログ休みます)。


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