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2008年06月25日(水)更新

団扇(うちわ)。

季節感がだんだん薄れていくこの頃ですが、夏を感じさせるものに「団扇(うちわ)」
があります。

夏来る。
<吉川壽一書 “吹く風”>

子供の頃、母親が作る「五目すし」の桶の横で、うちわで煽いで冷ます手伝いを
したり、七輪の炭火おこしに使ったりしましたが、それは頑丈な作りの柿シブを
塗った大き目のベンガラ色の「しぶうちわ」。

そういえば昭和30年ごろは、近所の酒屋さんとか、呉服屋さんがサービスで盛ん
にうちわを配布したように思います。女優さんの浴衣姿が絵柄になっていたものも
記憶にあります。(年末のカレンダーも同様のものですね)
手で煽ぐやわらかい風は、冷房もない時代のひとときの「涼」を感じさせてくれる
優れた日用品であり、日常の中にある「美」の一つでもありました。

今でも工芸品として美しいうちわもまだ作られていますし、販促用にプラスティック
骨のウチワも最近では増えてきたようです。
先日、「応援旗」を作らせてもらった、市内の子供バドミントンチームの責任者の方
から、子供達で応援のウチワを作りたいので、旗のデザインデータをお借りできま
せんか、という依頼があり、データを送って差し上げました。
昨今は、用紙にインクジェットで出力し、両面から貼り合わせれば、簡単に楽しく
マイウチワができてしまいます。

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うちわの歴史は古代の中国や、エジプトまでさかのぼるようですが、日本では古墳
時代に木製でその原型を見ることが出来、大型で「あおぐ」というより、宗教的な
儀式の意味がつよい「祓う・はらう」ためのものであったようです。

百花繚乱の江戸時代には、日常生活道具として、オシャレの小道具として、洗練
されたものになっていくとともに、「団扇産地」も形成されていき、現在でも京都、
丸亀、岐阜などが有名のようです。

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京都の舞妓・芸妓さんが「夏の踊り」のあと、名の入ったうちわをごひいき筋に
配ったものがよく料理屋さんなどに架けられています。
席について、涼やかな冷酒を一口、ほっとして見上げると、すだれをバックに白地
に墨書きですっきりと優美なデザインの名入りうちわが数本かかっていて、
「夏だなー」と思います。
とても風情があって、賀茂川沿いの「床」とともに、暑い京の夏を一瞬忘れさせて
くれます。

  涼み舟 団扇の端を ぬらしけり  子規


横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
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