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2007年11月14日(水)更新

老後の読む楽しみは「夏目漱石」がよいかと。

12日(月)は、錦糸町の久米繊維工業さんをお訪ねして、今年させていただい
た仕事のお話とか、来年ぜひ共同で実現したい企画の提案なども久米社長、
スタッフの皆さんとお話することができました。
絶滅寸前の「和綿」復活プロジェクトのDVDも見せていただき、「これはロマン
ですねー」と感激。

また「エコロジー・チャリティー2007 Tシャツ・アート展」のプロデューサーで、
イラストレーターの竹本明子さん(デザインスタジオバンブー)にも、久米社長の
お計らいで、お会いすることができました。
今夏アート展の参加作品のほとんどを、当社のインクジェットシステムで制作さ
れました。出来上がりを喜んでいただきましたが、こちらこそ感謝しております、
と御礼を申し上げました。

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ところで、今回久米繊維さんをお訪ねした折に、もう一つ手前の「両国」の江戸
東京博物館で開催されている「文豪・夏目漱石―そのこころとまなざし」展を家内
と観ることも楽しみにしていました。

「夏目漱石」に詳しくありませんが、(“猫”と“坊ちゃん”くらいしか読んでいないの
で)いずれ全集を読み通したいもの、とかねがね思っていたところ、京都の漱石
研究家で茶道家の「椿わびすけの家」という、とても心癒されるサイトを見つけま
した。(主筆―丹治伊津子さん)

ご案内で漱石のお孫さんである松岡陽子マックレインさん(米オレゴン大学名誉
教授=日本語・近代文学、83歳)の「漱石夫妻 愛のかたち」(朝日新書)を読ん
で、よく話題になる「鏡子夫人悪妻説」に関してもサラリとしたユーモアあふれる
文章を書かれていて、ぐっと漱石を身近なものに感じました。
同時に発刊されたこの展覧会の「公式ガイドブック」から、懸命に勉強した跡が
残るノートや、ロンドンの留学先から妻子に宛てた漱石の誠実で情愛溢れる
手紙類、俳句や絵なども豊富に展観されていることがわかりました。
(18日まで)
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公式ガイドブックに「おわりに」と題して、当博物館の橋本由紀子、金子未佳
両学芸員の記述があり、漱石の魅力の源泉に触れた気がしました。
(以下一部を引用させていただきます)

・・・むかしの人の一生は、平均寿命が80歳を超えた現代人に比べてずっと短く、
それゆえに早熟で、一事を成し遂げるのも早かったかもしれない。しかし明治の
文豪・夏目漱石が、小説家として世に出たのは遅く、人生も後半にさしかかって
からだった。(中略)
悩み彷徨する時間も長かったが、いくつになっても新しい世界に挑戦した漱石。
漱石の生き方は、進路を模索している若い世代や、第二の人生を歩みだそうと
する団塊の世代など、現代を生きる私たちに、勇気や示唆を与えてくれるものだ。
明治という時代とともに歩んだ漱石が、見ていたものは何だったのか、考えていた
ことは何だったのか、それを解き明かしたい・・・(略)。

出口近くの漱石のデスマスクを眺めながら、私の両親も明治生まれで、子供の
頃、正月には絣の着物に黒い足袋をはかせてもらい、祖母の家に行ったこと
などをふっと思い出したりしました。

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偉大なエンターティンメント小説「吾輩ハ猫デアル」「坊っちゃん」から、「草枕」
「虞美人草」「三四郎」を経て、「それから」「門」へ。 そして晩年の「行人」「心」、
絶筆となった「明暗」まで、その他の作品も含め老後の「晴ゴ(ルフ)雨読」は、
じっくりと「夏目漱石」を楽しみたいな、と思った展覧会でした。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
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