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2008年12月17日(水)更新

「廃用性委縮」・・・カラオケの効用。

姉の一人が晩年のある日、声が出ないのに気づいて病院へ行くと、医師から
「声を出さないからですよ」と言われたという。

二人の娘も結婚して外に、ご亭主にも先立たれて一人暮らし、おまけにあまり外へ
出ない物静かな性格が災いして、声を出さない日々が続いたせいでしょう。

これを聞いて「廃用性委縮」という言葉を思い出し、それから好きなものの5番目位
の「カラオケ」にちょくちょく友人夫婦たちと出かけるようになりました。

懇意な友人から今年頂いた年賀状に小さな文字で「○○全国カラオケ大会で3位に
入りました」とあってビックリ。長いつきあいなのに全然知らなかった、お人柄だな
と感心しましたが、先日いつものカラオケ店に引っ張り出して拝聴。さすがでした。

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体も頭も使わなければ退化する、ベストセラー作家で医師の渡辺淳一さんが、
週刊誌で面白おかしく「廃用性委縮」について書かれていて、それでこの医学用語
を知りましたが、“恋愛小説家”ならではの話題でした。

「廃用性委縮」でもっとも有名なのはアルツハイマーに関してのもののようです。

アルツハイマー型認知症とアルツハイマー病は違うのだそうで、アルツハイマー
病はアルツハイマー型認知症の1~2%しかなく、脳内のシミや委縮で認知症に
なる病気。
「アルツハイマー型認知症」は、脳を使わないことで起きる廃用性委縮で、認知症
の90%近くを占めるそうです。

ということは、脳を使うという個人の努力でかなり防げる、ということのようです。

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子供の自立、会社の退職、愛する家族の死などで、生きる意欲が低下したりする
ことがきっかけになることも多いそうです。

子供はいつまでも自立しないし、自営業者で退職も自分次第、カナイもなんとか
やっています。
が、何よりこのミゾユウの経済危機で、連日頭の中は考えることでいっぱい。
脳の「廃用性委縮」の心配はなさそうなんですが、それにしても「モノ忘れ」が多い
のが気になるこの頃ではあります。

横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2008年12月15日(月)更新

「結婚するとき、私は女房を食べて・・・

「結婚するとき、私は女房を食べてしまいたいほど可愛いと思った。
今考えると、あのとき食べておけばよかった」 (アーサー・ゴッドフリー)

この格言(?)というか、ジョークにはカナイと大笑いしました。
ことほどさように、年月が経つと「こんなはずでは・・」と。
自分の努力不足には思い至らないのが「凡夫のあさましさ」でしょうか。
こんな気の利いた「パーティージョーク」なら、どっとウケるに違いありません。

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早くも今年もあと半月です。しかしお正月を楽しみに待つ、というような歳でもないし
第一、街や家庭にもそんな風景は年々うすれてきています。

週末土曜日は、今年最後のゴルフ。20度近い暖かいいい日に恵まれて友人夫婦
3組と、全員日頃お世話になっている元ドクターをお誘いして楽しくプレー。

そのあとは、忘年会のようなもので、メンバーのお一人推奨の和食店へ。
古い町の「蔵」が集まっているところを、今はやりの「町おこし」で、土蔵や座敷蔵を
今風に改装して飲食店などに変身。お料理もよく雰囲気も結構でした。

日曜日は、メンバーが全く変わったものの、偶然3夫婦にプラス1名で我が家で
洒落て言えば「ホームパーティー」。
遅くまで飲んで食べて大騒ぎしましたが、皆さんをお送りしたあと、薪ストーブの
火を落としながら、この景気、来年は厳しい冬にならないといいけど、とちょっと
気持ちが沈みます。

「バブル」も経験し、「失われた10年」も乗り越えてきた、いわば戦友のような
50代後半から60代なかばの友人たち。
それぞれの「夫婦」の歩みがあるんでしょう。そしてこれからも。

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「寒い晩だな」
「寒い晩ですね」
妻のなぐさめとは、まさにかくの如きものなり。 (斎藤緑雨)

10年後、こんな感じの夫婦でいられたら、と思います。

横山国男

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2008年12月12日(金)更新

縄文のグッドデザイン

「今どきの若いモンは・・・」というフレーズは縄文時代からある、という笑い話が
あります。
たまたま探し物をしていて、(財)福井県文化振興事業団発行の「福井の文化」
(平成14年3月発行第38号)という小冊子に「縄文とは何か」という記事があり、
そのまま引き込まれるように読んでしまいました。

福井県の南部、若狭地方の旧三方町に、国内屈指の縄文遺跡「鳥浜貝塚」が
あり、「三方町縄文博物館」が置かれています。

鳥浜貝塚発掘現場 三方町縄文博物館の外観

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まず縄文時代が、一万五千年くらい前から、約八千~一万年続いたということを
あらためて知りました。西暦はまだ2000年、その5倍もの長さです。

毛皮などを身にまとい、槍を持って山野を渉猟する、土器を「野焼き」という手法
で焼成し、まあ、飾りといえば「縄目」をつけるくらい、そんな文化を想像していま
したが、トンデモナイ思い違い、無知でした。

鳥浜貝塚は海抜0メートル以下で、常に新鮮な水が浸透したため、土偶や土器
はもちろん、木製品、落ち葉、蝶など普通なら腐ってしまうものが原型を保った
まま出土する、一万年以上を経た「タイムカプセル」だったのです。

ただ、鮮やかな紅葉は空気にふれた瞬間から黒ずみ、ある調査員は『鮮明な
 青色の昆虫の羽や、黄金色に輝く羽の生き生きした美しさ、それが粘土層の
なかから顔を出し、すぐに変色していく瞬間など「時間よ止まれ」と叫びたくなる』
と述べています。

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ワイングラスのような木杯、桜の樹皮を巻いた弓、漆を塗ったお盆様のものまで
出土、それらはいずれも博物館に展示されているようですが、ビックリしたのは
丹(に)で赤く彩色されているという抹茶茶碗のような土器です。

鳥浜貝塚出土の丹彩土器 この造形は本当にモダンで、表面につけ
 た模様も縄目ではなく、矢じりか貝殻で
 彫りを施してあり、その意匠もすばらし
 いと思います。(拡大してご覧ください)

 どっしりしたやさしいカーブを見ると、
 これで「一服」いただいて、茶碗の底を
 のぞけば縄文人の会話が聞こえてくるよ
 うなそんな気がします。 

茶人が欲しがる、あるいは「うつし」を作ってみたくなるほどの器とも言えそうです。
これだけの「グッドデザイン」ができる高度な文化をもっていたことに驚かされます。

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いろいろな出土品から、縄文人が自然を大切にし、自然と共生しようとする思い
が強かったのでは、という考察もなされています。

『かって一万年続いた文化があり、この時代が終わって時間は急速に早まり、
今この地球は滅びようとしている。地球の滅亡を少しでも先へのばそうとするなら、
一万年持ちつづけた縄文人の思想に何かを学ぶことが必要ではないか』
と、館長の玉井常光さんは結んでおられます。

(写真は同誌から転載させていただきました)


横山国男

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2008年12月10日(水)更新

「京都漱石の會」

昨12月9日は夏目漱石の命日でした。(1916年没 享年49歳)。

漱石については作品もあまり読んでいないのですが、明治34年留学先のロンドン
での日記に次のような一節があることを知り、ぐっときました。

「往来にて向こうから背の低き妙なきたなき奴が来たと思えば
                       我が姿の鏡にうつりしなり」 

異郷の地で日本人であることを厭というほど思い知らされる、食費をギリギリまで
つめて本を買い、そして夜は下宿にて真剣に日本の前途を考え続けた漱石。
精神的限界まで追い込まれながらも、帰国してあれだけの文学における業績を
残した人。・・・魅かれます。

昨年の初秋「江戸東京博物館」で開催された「文豪夏目漱石・・そのこころとまな
ざし」展を観ました。その時の感想などは当時ブログにも書かせてもらいましたが、
もし漱石が生きていたら今の日本をどう思うでしょうか。

漱石についてのムック本ともいえる内容豊富な図録

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今年の5月若葉のころ、「京都漱石の會」と差出人の名のある大きな封書を頂き
ました。
代表 丹治伊津子(さん)とあります。「?」と思いながら内容物を見て納得しました。
私のブログをご覧になったそうで、立ち上げたばかりの「会」にお入りになり
ませんか、というお誘いでした。

丹治さんは、裏千家のご高弟でもあられますが、私より少し年長の方と思われる
のに、数年前から「椿わびすけの家」というブログを縦横無人(デジカメもパシパシ)
の内容で発行されておられ、お若い感性で尊敬してしまいます。

別館「夏目漱石の部屋」というページでは、漱石のお孫さん松岡陽子マックレイン
さん(1924年お生まれ、現オレゴン大学名誉教授)とのご交遊や、あちこちでの
生き生きした、本当にモダンで快活な日常が綴られていて、私ごときが失礼です
が、教養あふれる素敵な日本女性を目の当たりに見る思いがします。

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会報「虞美人草」創刊記念号 写真は、同封されていた会報誌「虞美人草」の創刊号ですが、
 創刊に寄せてお祝いの言葉を寄せられている錚々たる諸先生
 の顔ぶれを拝見すると、いくら「入会の資格を問いません」
 とあっても正直ちょっとひるんでしまいます。

 たとえば「漱石と私」と題して、人間環境大学名誉教授の
 井尻益郎先生のお寄せになった原稿は、内容もさることながら
 文頭でのごあいさつがとても美しい文章で感動しました。
 ご紹介したいと思います。

『このたびは、丹治伊津子先生の馨しい御事業「京都漱石の會」発会、まことに
おめでとうございます。謹んでお祝辞を申し上げます。
大切の会報に一文を寄せるよう、思いがけぬお勧めを頂きました。生来文学音痴
の身、あまりに不相応で随分躊躇いたして参りました。
しかし、重ねてのご要請を賜り、分際を弁えませず尊い会報を雑文で汚しますこと
を何卒お許し下さいませ。』

「謙虚」とはどういうことかをこの美しい日本語で思い知らされる気がいたします。

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この秋にはご丁重にも第2回のご案内もいただきました。
京都嵯峨小倉山の名邸「渡辺家別邸」が会場で、大変魅力的でしたが、はずせぬ
所用と重なり出席はできませんでした。

それより、少しずつでも「夏目漱石全集」を読み進み、皆様のお話が多少なりとも
わかるようにすることの方が先決、と思うこのごろです。

漱石夫妻 愛のかたち (朝日新書)松岡陽子マックレイン著

横山国男

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2008年12月08日(月)更新

菊池寛賞受賞―かこさとしさん(絵本作家)

第56回菊池寛賞(日本文学振興会主催)の受賞者は、宮尾登美子さん、安野光
雅さん、それに絵本作家のかこさとしさん(82)の3人でした。

宮尾、安野両氏は著名ですし、特に安野さんの絵本などは子供が小さいころ、
何冊か買ってやった記憶があります。その長い画業での作品数は膨大で、美しい
水彩画や装幀でもおなじみでした。

宮尾さんでは映画「鬼龍院花子の生涯」がすごく印象に残っています。
いまは亡き夏目雅子。生きていたら岸恵子とならぶ国際的女優として大成されて
いたはず。
大河ドラマ「篤姫」の原作も、宮尾さんの「篤姫の生涯」からですね。

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かこさとしさんのことは不勉強で知りませんでした。他のお二方でなく、かこさんが
地方紙に写真入りで大きく取り上げられているのは、かこさんが福井県武生市
(現在越前市)生まれで、8歳まで住んでおられたそうで、そのご縁ということも
あるでしょう。

作品には第1作の「だむのおじさんたち」から、「だるまちゃんとてんぐちゃん」、
「からすのパンやさん」など500点以上もあるということです。

絵本作家ですから、たとえ8歳までであっても、故郷の美しい山や川の印象が、
きっとその絵に描き込まれたに違いありません。

受賞の喜びを語られたかこさんの言葉に、あらためて子どもって大したもんだなあ、
と思う言辞がありましたので、その言葉をお借りします。

かこさんは
「子どもは自己中心的とか言われるが、超法規的な“みそっかす”ルールを発揮
して小さな子の面倒をみるなど、道徳教育の教科書を地でいくようなことをやって
のける。それは生きるという発奮、望みを抱いて毎日を送り、周りからいろいろ
摂取し、糧にしているからだと気がつくのに50年もかかった」。

【超法規的みそっかすルール】というのがいいですね。このルールこそが「イジメ」
をこれほどまでに社会問題化させないルールだったはずなんですが。

かこさんのお仕事が高く評価されたのには清々しい気持ちになりました。

横山国男

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