大きくする 標準 小さくする
次ページ

2007年07月04日(水)更新

「年金問題」と「言志四録」

先日当社に来た友人の工務店の社長が「最近家を新築してくれるのは退職した公務員の人ばかり」と言っていましたが、依然として好景気など「どこの話」という地方の町では現実感があります。

家を新築しても、ライフスタイルまで急に変えられるものではありませんから、立派なガレージにチョコンと小型車と軽自動車が納まっていたりするのを見ると、妙に納得するものがありますが、それにしても「年金問題」でさらに公務員の働きぶり、職業倫理への批判が強くなったように思います。

昔、公務員を揶揄して「休まず、遅れず、働かず」などと言われましたが、その上こう不祥事が続くと、時節柄世間の目はいっそう厳しくなっても仕方ありません。

例によって日本のマスコミは、社会保険庁などに集中砲火を浴びせていますが、かっての担当者も含め、ブログなどで反論する人はいないのでしょうか。
現職はともかく,退職者からでも「公務員側からの真っ当な話」も聞きたいものです。

・・・・・・・・・・・・・・・

神渡良平著『佐藤一斎「言志四録」を読む』(致知出版社)を読んでいますが、この年齢になるまで佐藤一斎をよく知らなかったことを恥じるというか、惜しいことをした、という思いです。

巻頭に近いところで「言志四録」を血とも肉ともなるまで自分のものとした西郷隆盛の話がでてきますが、隆盛の遺訓集「西郷南州遺訓」に素晴らしい言説がありますので引用させていただきます。

「廟堂に立ちて大政を為すは天道を行うものなれば、いささかとも私を挟みてはすまぬものなり。いかにも心を公平に操り、正道を踏み、広く賢人を選挙し、よくその職に任える人をあげて政柄を執らしむるは、すなわち天意なり。それゆえ真に賢人と認める以上はただちにわが職を譲るほどならではかなわぬものぞ」

(政府にあって国の政をするということは、天地自然の道を行うことであるから、たとえわずかであっても私心を差し挟んではならない。どんなことがあっても心を公平に保ち、正しい道を踏み行い、広く賢明な人を選び、その職務に忠実に耐えることができる人に政権を執らせることこそ、天意にかなうものである。だから本当に賢明で適任だと認める人がいたら、すぐにでも自分の職を譲るくらいでなくてはいけない・・著者意訳)

今月は参議院選挙ですね。 また役人の心構えについては、

「万民の上に位する者、己を慎み、品行を正しくし、驕奢を戒め、節倹をつとめ、職事に勤労して人民の標準となり、下民その勤労を気の毒に思うようならでは、政令は行われがたし」

(多くの国民の上に立つ者は、いつも自分の心を慎み、身の行いを正しくし、驕りや贅沢を戒め、無駄を省き、慎ましくすることに努め、仕事に励んで人々の手本となり、一般国民がその仕事ぶりや生活を気の毒に思うくらいにならなければ、政府の命令は行われにくいものである・・著者意訳)

西郷さんは本当にそう思い、実行したとありますが、経営者にとっても教えられることが多々あります。

なにもかも否定した戦後教育、今、維新の兆しすらないこの国、残念に思っている人も多いはずです。昔、元服の年頃にはこのような素養を持った日本人も少なからずいたことを思うと、あらためて「教え育む」ことの大事さを考えさせられる本です。

打ち続く不祥事・・先生だけでなく一般公務員にも倫理観、初心を忘れぬよう、免許更新制が必要な時代かも知れません。


横山国男

【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/
【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/

2007年07月02日(月)更新

<吉川壽一個展に久米繊維工業・当社もコラボする>

今や日本を代表する「書家」の一人、吉川壽一さんの個展「VIAGGIO IN
SICILIA―SYO杲杲(コウコウ)展」が、東京九段南の「イタリア文化会館」で
6月29日から始まりました。

前夜の28日には会場でパーティーがあり、久米秀幸常務や私も出席しました
が、供された「吉川壽一書ラベル」の直送シチリアワインはとても品の良い美味しい
ものでした。

レセプション スクリーンプリント・イタリア

今回は昨年の中東ドバイの沙漠での書制作、個展に続いて、先ごろイタリアの
文化財団から「世界の7人の芸術家」の一人としてシチリアに招かれたことが
機縁となり、有名な現地ワイナリー「PLANETA」社の「日本におけるイタリア
2007」の催事として、全面的なバックアップを得た経緯があると聞いています。



彼(小学校の同級生でもあり、当社のアドバイザーでもあるので、こう呼ば
せてもらいますが)は「SYO ARTIST」と自称しているとおり、「毎日書道」の
前衛書部門の重鎮でもあるのですが、昔から目は世界に向いていました。

ビジネスの世界にいる我々と違い、書道界で60歳代の半ばは、「いよいよこれ
から」ということかも知れませんが、それにしてもそのエネルギーには驚嘆す
べきものがあります。

大いに飲み、食べ、あちこちで夢を語り、福井と東京で書教室を開き、毎年の
ように海外でも制作し、その成果を「個展」で発表、頼まれ事は嫌な顔ひとつ
せず、あらゆることを見聞きし(宮沢賢治か?)、超多忙の中、ほとんど毎日
「開運ひと文字HAPPY!」というブログを書き続けて3年足らずで今や1000回を
超えるという、博覧強記の「スーパーカリグラフイスト」。
コミック「書きくけこ」(講談社)のモデルにもなるはずです。

その仕事の質と量にケタ違いのものを感じて、“同じ時間を生きてきたのに”、と
うなだれるほかありませんが、さらに近年はますますアクセルを踏み込んでいる
感じがするのには理由があるように私には思えます。

ひとつは、NHK大河ドラマ「武蔵」の題字と各回のタイトルロールを一年間書い
て全国にその名が知られるようになったこと、もうひとつは刎頚の友ともいうべき、
吉田福井新聞社長を失ったこと(高校時代の同級生で最大の支援者でしたが、
3年前急逝)です。吉田社長とは私もゴルフ仲間でしたが、「無念の死」が吉川
壽一の背中を常に押し続けているように見えます。

吉田耿介氏は吉川壽一を評して「彼は床の間芸術家ではない。(略)あえて
名づければ“書の冒険家”だ」と書いたことがあります。

今回の展覧会では、久米繊維さんの「日本のTシャツ“楽”」シリーズに、当社が
壽一書を「アナログ魂デジタル才(彩)」でプリントした実験的な作品も数多く
展覧されています。
7月15日まで。ぜひご高覧ください。



花鳥風月「楽」 
花鳥風月
*「楽」字に花鳥風月4文字が隠されています。
吉川壽一は「文字遊び」の名人でもあり、すぐれたグラフィックデザイナーでもあることを示していると思います。

横山国男

【オーダー よさこい屋】
http://www.yosakoiya.jp/
【染型工房 横山工藝】
http://www.ykougei.jp/

次へ»
<<  2007年7月  >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31