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2006年09月30日(土)更新

【お題】経営者を志した瞬間

慶應義塾大学 吉井千晴さんの質問

「なぜ経営者を志したか、転機となるきっかけはあったのか」
にお答えします。


私の場合は最初から「経営者を志した」わけではなく、
自分のやりたいことを事業化するために「会社」を
創る、結果「経営者」(というより自営業者といった
方が近いと思いますが)になったと言えそうです。

勿論転機はありました。大手の商社を辞め、一転、町工場で
技術習得している内、「私ならこうする、こうしてみたい」
という事例が嵩じた結果です。


「会社を経営する」以上は、従業員や家族、株主に対する
責任があるのは当然ですが、自力ではどうすることも出来ない
「グローバル化」「フラット化」など、すさまじい産業構造
の転換・変化の時代でもあり、業種によっては限界もある
のではないでしょうか。


いろいろな希望や夢を実現するために起こした会社が、
いつか自分を苦しめるようになるのでは本末転倒です。
そうならないよう「変化の兆候」を探り、後継の育成も含め、
自社の対応力を上げることに努力する以外ないと思います。


それが無理という判断なら、足元の明るい内に清算し、
「再チャレンジ」するのも少しも恥ずかしいことでは
ないと思います。


最近周囲で「決断の遅れ」が招いたと思われる倒産などが
目につくようになり、一層その観を深くしています。

2006年09月19日(火)更新

ゴルファーのスピリット

今朝、郵便受けから新聞を取ろうとしたら、バサッと
小型で厚めの封筒が落ちました。
「?」と思い、差出人を見ると「ゴルフダイジェスト社」
とあります。中は「新書」のようですが、注文の覚えは
ありません。

タイトルは「ゴルファーのスピリット」。帯に”上質ゴルフ人
の紳士道と武士道”とあり、「あー、鈴木さんの新刊だ」と
納得。「謹呈 二〇〇六年秋 著者」のシオリがはさんであり
ます。

ゴルフダイジェスト新書

「ゴルフダイジェスト新書 定価857円+税」

鈴木さんというのは、鈴木康之さんのことです。おそらくゴルフ
愛好家で、多少なりともゴルフのエチケットやマナーについて
関心を持たれたことがある人は、一度は著作を手にされていること
でしょう。

「職業」はこれもおそらく日本でただ一人、「ゴルフマナー研究家」と
自称されておられますが、往年はコピーライターの第一人者として
広告界で活躍されるかたわら、この30年以上にわたって、
「皆が気持ちよく楽しめるプレー」の普及に取り組んで来られました。

名著「ピーターたちのゴルフマナー」は、十数回の刷りを重ね、
何かとゴルフにまつわるお行儀の悪さが先達から苦言を呈される昨今、
日本人ゴルファー必読の「バイブル」といってもよいでしょう。

9月始めの週末、鈴木さんがこよなく愛し、これぞ日本の”リンクス”
と称える「古河ゴルフリンクス」(茨城県・古河市営)に、招かれて
「ピーターズクラブ・月例会」に参加してきました。
渡良瀬川の広大な河川敷に展開するコースは、ゴルフをするに
必要なものはすべて揃っており、不必要なもの、例えば豪華な
クラブハウスや、庭園、仰々しいスタッフや高級メニューなどと
いうものは一切なく、「本質・スタンダード」がここにはあります。
金田武明さんのコース設計にも感激です。


ボロい(失礼)手引きカートを引っ張り、プレーはゴルフゲームの
原型とも言うべきマッチプレー形式、お仲間には翻訳家の永井淳
さん、敬愛する”オールドマンパー”嶋口信義画伯のほんわか笑顔
も見えます。

前の組の鈴木会長は間もなく70歳というのに、きびきびとフットワーク
も軽く、小柄な人ですが大きいスイングとカッコいいフイニッシュは
さすがです。

楽しい19番ホールの席上、鈴木会長はお隣に私の席を設けてくださり、
「横山さん、冬もう一度いらっしゃい。体がよろけるほどの寒風の
中でやるんですよ。もっとリンクスらしくなって、これがまた最高よ」
とアリガタイ(!)お招きの言葉。どなたかが「鈴木さんはマゾ
ですからネ、やめといた方がいいですよ」と混ぜっ返してにぎやかな
ことでした。


新刊「ゴルファーのスピリット」を贈呈されたのにはワケがあります。
この本は「週刊ゴルフダイジェスト」で150回を超える連載「あざみの
教え」から54編を編んだものですが、そのなかの一遍「聖人君子に
あらず されどゴルファー」は、私のエピソードを書かれたからです。

あざみの教え

文中、私のことは「Yさん」としてもらいましたが、鈴木さんは「絶対
実名で。作り話と思われるから」と何度もプレッシャーをかけられました。
シャイな私は「実名はご勘弁」で押し通しました。

ここ一番でO.B.なんぞを出してもニコニコしているほど人間ができて
いませんから。聖人君子、エチケット・マナーの達人にはほど遠い
のです。

そういえば鈴木さんも「あとがき」で書いていらっしゃるじゃないですか。
「私はゴルフマナーの本は著しましたが、ゴルフマナーの師範ではあり
ません。”ゴルフマナー研究家”です。(中略)ミスショットに悪態
ついた後でも、おかげさまで『研究中でーす』とエクスキューズすれば
オッケー」と。

ゴルフ愛好家の経営者のみなさま、どうぞ本棚に一冊。あらためて
「ゴルフって素晴らしい」と思えますよ。


横山国男
http://yosakoiya.jp
http://www.echi-zen-art.co.jp

2006年09月18日(月)更新

【今週のお題】何度でも観たい、この1本!

<黄昏>
ニューイングランドの美しい景色と、主人公のエセル
(K.ヘップバーン)が、老いゆく夫ノーマン(H.フォンダ)に
対する、時に優しく、時に励ます愛情あふれた、いろいろな
シーンでの「ノーマン!」という呼びかけが、今でも鮮やかに
耳に残ります。

この映画でのH.フォンダの’81年アカデミー主演男優賞にも
納得しますが、K.ヘップバーンが主演女優賞をとれなかった
ようなのは不運というほかありません。

音楽(デイブ・グルーシン)も映像とともに印象的でした。


LDJK_thegoldenonpond

【所蔵LD「黄昏」】


「今後も繰り返し観たい」という点では、「日の名残り」と迷い
ました。出演したA.ホプキンス、E.トンプソンが好きなので。

映画は作品としての面白さもさることながら、やはり好きな俳優の
出演が大きいですね。

映画フアンで、戦後すぐのものからかなり観ている方だと思いますが、
「チラシ」が思い出すのに一番いいです。
また1800名の俳優経歴、日本での公開作品14000本の索引がついた
「クインラン版 世界俳優大辞典」も「へえー」と思うことが
沢山あり、けっこう次々とページを繰ってしまいます。



映画の本

【所蔵本】

2006年09月14日(木)更新

不易流行

明大生との毎週一問百答

・・企業経営上、「変化(適応)すべきもの」と「変化すべき
でないと考えるもの」とは何?とのご質問に対して、


私は「変化」について、ご質問の2つの項目に加え、
「変化するもの」、「変化しないもの」というのがあり、むしろ
これが前段になっているのではないか、と日頃考えています。

即ち
A-「変化するもの」、「変化しないもの」
B-「変化させるべきもの」、「変化させてはならないもの」
です。

企業経営という点で、Aについては深い観察や、洞察が
必要で、そのためにはきっと多くの読書や思索する、といった
自己啓発も要求されるのではないでしょうか。

その結果としてBの解答が導きだされてくるのではないか、と
考えているのですが、いずれにしても膨大な玉石混交の経営
情報の海のなかで、取捨選択、未来予測も含めた的確な判断を
する資質と責任が経営者に求められることは間違いないと考え
ています。

難しいのは、変化が表面的なもので、実際は本質的なものは
変わっていない、とかその逆も当然あるわけで、ホリエモン
とか村上某氏とかは、このあたりの「読み違い」があったのかも
知れない、と考えたりもします。
即ち、あまりに「変化するもの」に気をとられ、「変化させては
ならないもの」をどこかで見失ったのではないか、と。

「変化」という言葉で連想するのは、松尾芭蕉の「不易流行」という
有名な言葉です。
一般的には「不易」は変わらないこと、「流行」とは変わるもの、
うつろうことの意として、私もその程度の理解しかないのですが、
本当は芭蕉の「自然観」を表した言葉で、この二つを単純に対立
したものと捉えるのではなく、深い意味があるようで、ご質問の
解答になるヒントが隠されているかもしれません。


「流され行く」のではなく、21世紀の新しい「不易」をご自身で
発見されるとよいですね。


横山 国男
http://yosakoiya.jp
http://www.echi-zen-art.co.jp

2006年09月12日(火)更新

マカラマ大将


東京オリンピック(1964年)をはさんで、前後5年ほど、
私は大手商社の横浜支店におりました。
支店は伊勢佐木町の入口、吉田橋のたもとのビルの5階に
ありましたが、まだ高い建物は少なく、時には大桟橋に
接岸した「豪華客船」の煙突が望めたものです。

このような大きな客船が入港すると、しばらくしてビルの反対側
伊勢佐木町の入口にあるカメラ店の前に、アロハシャツや
派手な花柄プリントのおじさん、
おばさんたち(おそらく裕福なアメリカ人のクルーズ客)
がゾロゾロとウインドウを覗いたり、店に出入りしたり
しているのが窓から見えます。戦勝国のアチラにはこのように
船で世界一周などを楽しむ人がもういたんですね。

支店は「絹織物・生糸の輸出」が主な業務で、’60年代
の初頭が全盛、外貨獲得に大いに貢献しました。
北陸や奥羽産の羽二重や白生地、シルクオーガンジー、
桐生のジャカードやドビー織物、そして横浜の地場産業で
隆盛をきわめたスカーフやマフラーなどです。今は見る影
もなくなってしまいましたが。

支店に毎日のように顔を出す業者さんの中に、「マカラマ
大将」というあだ名をつけられたS山さんという人がいて、
その大きな体、でかい声、支店中にひびく笑い声と童顔で
人気がありました。こまめに女子社員にお菓子の差し入れ
をしたり、まだ自家用車などの少ない頃でしたから、休日に
自社の車をわれわれ独身の連中に気軽に貸し出してくれたり
したので、一層人気があったのでしょう。

「マカラマ」というのは、中近東かアフリカで女性が首に
巻くスカーフのようなもので、主にシルクジョーゼット
のプリント品です。これがある時期大量に輸出され、生産
が間に合わないほどで、商才に長けたS山さんは、生地
が薄くてスケスケなのをいいことに4枚ほど重ねて上から
一遍にプリントする、という禁じ手を使い、「マカラマ
御殿」を建てたというまことしやかな噂が立ったほどでした。

ほどなく絹やこれらの商品は韓国品などに押され、支店は採算
がとれないとの理由で’67年に閉鎖、社員は東京支社や別の
支店に移されるのですが、その後「モーレツ社員」とか、「午前様」
などという流行語が生まれたとおり、時代は一気に日本をGNP世界
第2位に押し上げていきます。

しかしあの「三丁目の夕日」的な、のんびりした支店時代を
懐かしむOB,OGの提案で、廃店から20数年後に同窓会が出来、
この15年毎年旅行会をしてきました。その名も「シルク会」といいますが、
先日最後の会を、我々がことあるごとに利用した横浜中華街の
老舗「華正楼」で開きました。もう幹事をできる人がいなくなった
というのがやめる理由です。私が一番若いのですが、地方におり
ますので無理はいえないということでしょう。
当初40数名の仲間の中には亡くなった人もおり、病床にあったり、
所用と重なったりで14名の集まりとなりました。

「マカラマ大将」S山さんも70歳半ばを越えているはずですが、元気に
ご出席、相変わらずの”ナイスガイ”は例年のごとく幹事にテーブルの
陰から「志」を渡して下さいます。「これをひとつ」、「や、や
これはどうも」おきまりのやりとりが長老幹事のオーさんと交わされます。
それからいつもの思い出話がテープレコーダーのように長時間繰り返
されて、みな頭は真っ白ですが、目は徐々に青年の輝きを取り戻して
いくのです。
我らの「オールウェイズ」です。

会社概要

http://www.ykougei.jp http://www.yosakoiya.jp

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個人プロフィール

「知るは喜び、調べるは楽しみ、分かるは感動、学ぶは一生」とか。高齢者の仲間入りの年齢ですが、仕事でも趣味でもICT時代の恩恵に感謝しています。趣味・・本好き、水彩画、ゴルフ('05までJGA委員、現在中部ゴルフ連盟ジュニア育成委員ほか。エポック・・還暦のアルバトロス、'06...

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